「 がんになった人に対して、やってはいけないこと」治療経験者編
今回はがん治療経験者が助言するときに注意すべき事を紹介します。
★治療経験者が、がん患者に助言してはいけないこと
×自分のがんの治療法をそのまま勧めること
→同じがん種でも、同じ治療法でも、進行転移の形式、その効果、副作用の出方は全く異なるのが普通です。
ガイドライン上はステージごとの治療法が定めてありますが、あれは治療開始時期のコンパスに過ぎません。
治療の方向性は正しくとも、そのままその方向に行くと崖が待っている可能性があります。
よってその患者さんのがん情報、体力、価値観が記載された「地図」を、主治医と一緒に読み込んで、最終目的地に到着するためには、多少迂回する必要があることもあり得ます。
治療経験者自身の地図が役に立つ場面は少ないでしょう。
×自分のがん治療でうまくいったという民間治療を勧めること
→民間療法だけでがんが治療できる確率は非常に低く(だからこそ保険認可されていないゆえんですが)、たいていは病院での治療との併用をしていることが多いでしょう。
その際きつい抗がん剤治療などの効果よりも、併用した代替療法を強調したくなるものです。当然これは、ほかの患者さんを危険な方向に誘導することになります。
×今やっている治療法に口出しすること
→もちろん、患者さん自身が治療の副作用に苦しんでいるにもかかわらず、医療者に伝えようとしない場合など、支援が必要なこともあります。しかし治療法自体に異議を唱えるなど、軽率なことはすべきではありません。
正確な診断と治療に至るまでの過程は、一般の方の想像以上に大変なことがあります。内視鏡検査での生検だけでなく、場合によっては試験開腹による病理診断まで行うこともあります。
もっとも可能性のある治療法を、多くの医療者と患者さん本人、家族が、時間をかけて決めたものを変更させるなど、大それた事は考えないでください。
×新聞や週刊誌の医療記事を見せて誘導すること
→もともと売れるために書いている記事が、そのまま個別のがん患者さんの治療に役立つ確率は非常に低いものです。
「がんに効果がある」という言葉は「病気に効果ある」と言うぐらい、広すぎてなんの意味もありません。
★治療経験者が、がん患者に助言できること
〇自分のがん治療時期の失敗談
→だれでもがん治療がうまくいった経験談を聞きたがるものです。
悲観的な印象を刷り込まれた「がん」にかかった人は、少しでも希望的な情報を求めます。
そのこと自体は悪いことではありませんが、全く同じ状況と経過を示すがんはありませんから、他のがん患者さんのうまくいった治療がそのまま当てはめられるシーンはほとんどありません。
逆に治療前は本人が予想もしていなかったアクシデントに見舞われるのががん治療です。
むしろ、治療経験者の失敗談(たとえば、調子悪かったのに、受診予定日まで我慢してしまったなど)のほうが、印象に残り、事前に用心できて、トラブルを避けやすいと考えます。
〇自分のがん治療で生じた問題へ対処する、具体的方法と心構え
→がん治療中に起こるトラブルはたくさんあります。個別性は高いとは言え、吐き気や食欲不振、主治医とのコミュニケーション不良など、良くある問題を事前に教えてもらうと大変ありがたいものです。
〇治療後、社会復帰したあとの情報
→がん治療がうまくいくかどうかで、頭がいっぱいになってしますのが、がん患者さんです。
しかし一方で、職場復帰や治療しながら以前の生活にもどることを、考えておくほうが、気が紛れます。
ところが、こういった情報は意外とすくないものです。
治療経験者だけが語れる貴重な情報こそ、もっと発信すべきですし、ありがたいものです。
その治療経験者による社会復帰の情報を集積したサイトがあります。
一度ご覧ください。
https://5years.org/contents/page/goal/
前回のブログでは、単なる勉強会の報告だったのだが、えらくたくさんのアクセスがあった。
元記事はハチドリワールドという元若年性がん治療経験者のブログから、要点だけをピックアップしただけなので、興味ある方は是非ともオリジナルサイトを読んでほしい。
医療者ではないが、かなりの医療リテラシー(読み書き能力)がある方らしく、患者さん側のメンタリティを生かした視点が、とても勉強になるからだ。
その中でも
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医療知識ゼロの元若年性がん患者が、医療情報提供サービス「メドレー」の”失敗”から医療ジャーナリズムのあるべき姿を考えたい
http://www.hachidori-world.net/entry/医療ジャーナリズムのあるべき姿
インターネットの医療情報は、『人々の教育』を目指すべきです。
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と言う主張は、的を射ていると感じました。
このブログ、当患者会、東京支部会での動画ライブ配信も、患者さんへのピンポイント的なアドバイスではなく、「問題へ対処する心構え」が身につくようなものでありたいと心がけています。
そうじゃないと、状況が変わっても応用が利かず、医療リテラシーが向上しないからです。
かつて当NPO法人宮崎がん共同勉強会例会で
「テレビや雑誌のがん治療情報が、あなたの治療に役に立たないのは理由がある 」
というテーマで講演したことがあります。
いくつかあった大きな理由のうちの一つは、テレビや雑誌のがん記事が「目立つよう切り貼りされた情報の提供」に過ぎなく、人々のがん学習の視点が全く欠けているからです。
つまり、視聴率や売り上げ部数が増えさえすれば良いという商業主義に片寄りすぎていることを、読み手が常に意識しないことには、これからも不幸でややこしい誤解を招く記事にだまされることになるでしょう。
ーーーーーーー本日の動画ーーーーー
-----重要告示-----
◎ 第18回東京支部会(NPO法人宮崎がん共同勉強会)
がん患者さんやその家族、あるいはがんについて興味ある人は誰でもご参
加いただけます。
当日は女性看護師も出席しますので、女性の方々もどうぞ。
ご自身あるいは当該がん患者さんの診療情報をお持ちください。
セカンドオピニオンほどではなくても、応用の利く助言ができると思い
ます(ただし個別相談ではなく、出席者全員の前での助言となります)。
なお、人数把握のため、事前に開催概要をご確認のうえ、申し込んでください。
日時:2017年6月18日(日曜日) 11:00 ~ 15:00
場所: 東京都JR大崎駅近く (直前変更の可能性あり)
11時~12時 自己紹介と近況報告
12時~14時 レクチャーと質疑応答(ライブ動画配信あり)
14時~15時 グループに分かれたおしゃべり会
最近参加人数増えたので、今回から事前登録制として、先着順で締め切ります。当日予約無しで来られた場合、お断りすることがあります。
↓会場人数制限があるので事前に参加登録してください↓
http://hut-ex.com/Lb0/2t111
登録時にメルマガ創刊準備号+がん患者心得集2017年4月版(PDF)をもれなくプレゼント。
バックナンバーは無く、後でさかのぼっての閲覧は不可能なので、今のうちに登録することをお勧めします。
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