薬剤名を覚えないと8つの不幸が..⑥栄養状態が悪化する→薬だけでお腹いっぱい | がん治療の虚実

薬剤名を覚えないと8つの不幸が..⑥栄養状態が悪化する→薬だけでお腹いっぱい

当方はがん治療(主に消化器領域の固形がん)を専門としている。しかし救急外来を持つ一般病院病院に勤務しているので、いろいろな状況の患者さんを診療している。

紹介されてくる方も多いが、他院通院中ながら当院の夜間救急外来を受診される患者さんも結構いる。
常々やっかいだと感じているのは、投薬されている定期薬のあまりの多さだ。

最近のジェネリック薬の増加で複雑な薬剤名が多いのはしようがないが(ネットで検索すること可能だし)、本当に必要あるいは効果を発揮しているのだろうか?と思うくらい多種類の薬剤を投与されている場合がある(特に高齢者)。
5種類ぐらいならまだかわいいのもので、昔から持病がある患者さんは13~15種類の定期薬を服用していることもある。内服するため一定量の飲水も必要だし、これに数種類の頓服薬が加わる事も多い。こうなると薬だけでお腹いっぱいだ。

これでは必要な食事を十分摂取できない。

がん治療において栄養状態の悪化は、自動的に治療失敗と病状悪化に直結する。
病状改善を目指して薬を飲んでいるのに、逆にアダとなるのでは何のための治療かわからなくなってしまう。

話は元に戻るが、時間外に緊急入院した他院通院中の患者さんの定期薬は、一時的にばっさり中止することもある。
これは意識障害や吐下血など、緊急入院時には普通に内服するのが困難な場合が多いからだ(もちろん中止すると危険な薬剤はチェックして、何らかの方法で継続することもある→後述)。

ところが薬剤をいきなり全部中止しても、意外となんの支障も無い事も多い。

なんとなく「症状緩和のため」、「検査値改善のため」、「念のため」(!?)の投与薬がいかに多いことか。
他院通院中の患者さんが肺炎などで緊急入院した際、必須ではない定期薬を大幅に減らした所、入院の原因となった病気を治療したことよりも、「飲み薬が随分少なくなって大変楽になりました」と感謝されることが結構あるのは、どうもいただけない。

どうしてこんな事になるかというと、各疾患の専門化が著しくなってきたからだ。

患者さんは専門医に診てもらいたいし、専門医は自分の専門外については他の専門医に任せる傾向が強くなってきた(自分の専門領域の進歩について行くのに精一杯なので)。

かかりつけ医では血圧や高脂血症、腰痛は整形外科医、心不全は循環器内科医、咳症状は呼吸器内科医、糖尿病は糖尿病専門医にかかっている場合も珍しくない。
そして各科あわせると多くの薬剤が処方され、知らないうちに効能のかぶっている薬剤の重複処方もある。

これである日、がんと判明して抗がん剤治療(さらに副作用緩和薬が必須となる)が必要となるというケースは決して珍しいものではない。

こうなってくるとどの担当医が薬剤コントロールの主導権を責任持ってくれるかでその人の治療人生が決まってしまう。

高齢になるほど薬の名前や効果についていちいち覚えるのが面倒くさくなってくるのはやむを得ない事かもしれない。しかしその場合でも家族がきちんと薬剤名とその効能をチェックすることがとても大事だ。
もちろんかかりつけ薬局が管理してくれる部分もあるだろうが、はっきり言ってあてにするは危険だと言いたい。(理由は後日の記事を参照)


-----注: 勝手に中断すると非常に危険な薬剤というものがある。
その一部の例を下記に記載するが、必ず主治医と相談の上で決めるべき(ただし、基本的に薬剤は全て主治医相談の上調整すべきではある)。
・抗不整脈薬
・プレドニンなど長期のステロイド薬
・チラージンなどの甲状腺ホルモン薬
・抗精神病薬
・医療用麻薬
・脳梗塞や狭心症などに対する抗血栓薬
・抗パーキンソン薬など。
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ーー広報ーーー
ついにNPO法人宮崎がん患者共同勉強会 第一回東京支部会が2016年1月16日14時から東京都新橋周辺で開催が決定!!
後日会場など詳細についてはこのブログで告示しますが、参加希望者はメッセージ機能で当方に事前連絡を御願いします。当日は女性看護師も出席しますので、女性の方々もどうぞ。

2016年1月9日土曜日、13:30より宮崎善仁会病院院内がんサロンを開催しますが、院外のご興味ある方も参加できます。事前に当方にメッセージをいただけるとありがたいですが、当日参加も可能です。

2016年1月30日土曜日、13:00より宮崎市郡医師会病院講義棟で第69回宮崎がん患者共同勉強会を開催します。今回のテーマは 今回のテーマ: 今回のテーマ: 「がんになってよかったことを、あえて探してしまおう」です。
当日は11時30分頃から患者さんだけの気軽なおしゃべり会を開いてますので、初めての方も気軽にご参加ください。
なお最新情報は「がん治療の虚実」トップページのメッセージボードにあります。
ただしスマホや携帯からは直接見るのが難しい場合があります
http://ameblo.jp/miyazakigkkb