2013-06-10 22:47:21

近藤誠氏の誤った理論が受け入れられる背景とその不利益①予告編

テーマ:近藤誠氏への反論

最近また近藤誠氏の新刊本が立て続けて発行されている。

・がん放置療法のすすめ―患者150人の証言
・医者に殺されない47の心得
・「余命3カ月」のウソ
等々

2年前に近藤誠氏への反論シリーズを当ブログに連載した。
全部で27エントリーあり、相当な分量になったが、「抗がん剤は効かない」など著作への包括的な反論を試みた。

当時、文藝春秋誌で標準的ながん治療を批判するセンセーショナルな記事が載ったことから、がん患者さんから疑念や質問に個別に対応するのは大変だと思い、簡単に参照出来るようにと作成した。

医療界からは雑誌、ブログも含め反論記事がそれなりに出ていたが、当の近藤誠氏の言動はますます盛んになっているようだ。

前回までのシリーズは医学論理的な理詰めの反論だったが、多くのがん種にわたる細かな議論は一般の方々にはなかなか理解してついて行くのは難しかっただろう。

最近の彼の著作についても同様に個別の医学的反論をしても良いのだが、再び専門的議論だけで重箱の隅をつつく事を繰り返すのもおもしろくない(もちろん多少は書くが)。

彼は自分の著作は一般向けに分かりやすく書いたと述べているが、本当の意味で理解し、正しいがん治療が認識出来る人は少ないと思う。

たとえばアインシュタインの一般相対性理論を分かりやすく解説した本があるが、一般人が読んで素直に理解するには相当な忍耐と努力が必要だ(当方はさっぱりわからなかったが)。

一方、近藤誠氏の本はがん治療について理解出来たように錯覚させるのがうまい(あるいは面倒でそのまま受け入れやすい)ので、売れるのだろう。

そこで今回は、視点を大きく変えて近藤誠氏の誤った理論が受け入れられる背景と理由について解説することにした。
彼の言動を軸に今のがん治療の問題点をあぶり出し、その上で近藤理論の欠陥も指摘したい。

なお当方は腫瘍内科医であるが、緩和ケアも主体としており、がん患者会を主催して、自分の受持以外の他病院の患者さんの意見もよく聞く立場でもある。

まずは多くの一般人が疑問に思う点とがんの臨床医としておかしいと感じる項目を以下に羅列して、それぞれ解説する予定とした。

・なぜ近藤理論が一般がん患者に受け入れられる素地があるか
・がん治療の専門化が近藤理論に利する理由
・斬新な理論のように見えるが、患者にとって最終的な有用性は高くない
・専門家を説得出来ない近藤理論の手法の問題
・なぜがん医療界は組織的に反論しないのか
・なぜ個別に反論するがん治療医が少ないのか
・製薬会社とがん関連学会、がん治療医の間に陰謀は存在するか
・がん医療が専門外だとそれなりに見識のある医師でも近藤理論に賛成してしまう理由
・近藤理論が今後がん治療の主流になり得ない理由
・近藤誠氏自身ががん関連学会内で活動しない理由(推測)
・慶応大学医学部の准教授の立場であり続けられた理由(推測)
・がん放置療法がいかにもまともに見える理由
・近藤理論でのがん治療がいずれ不幸となる理由
・一般論としての近藤理論をがん患者自身が自分に適応することの愚
・極論は身体症状が無く、まだ切迫していない患者さんの抗不安剤でしかない
・医者を敵視する患者さんの雰囲気は主治医に敏感に伝わる
・苦しまない人生というゴールを共に目指す患者と医師に、ボールの取り合いをさせる不幸な理論

(なお各項目は順番が入れ替わったり変更する可能性あり)

実は前回までのシリーズ「早期緩和ケア導入が生存期間を延長する」の論文自体が近藤理論の古さを証明していると言って良い。これについてもいずれ解説する。

--追加--
今週発売の週刊朝日6月21日号に近藤誠「医者に殺されない47の心得」の真実が記載されています。がん専門医と近藤誠氏の誌上討論が行われており、なかなかおもしろい内容です。ちょっと立ち読みしてみてはどうでしょう。
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コメント

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16 ■Re:近藤誠理論を批判

>君高台さん

以下のリンクに50本の近藤誠理論への反論を書いていますので、ご参照ください。
http://ameblo.jp/miyazakigkkb/theme-10030731337.html

さらに、最近グルッぽでも、議論がありました。
こちらもどうぞ
http://group.ameba.jp/thread/detail/GOd57__HJLM8/e462a71b-6ec3-4729-aa78-acf54c328832/

15 ■近藤誠理論を批判

近藤誠理論を論理的、具体的に指摘してください

14 ■Re:彼は無責任と思っています。

>たださん
医療関係者では近藤誠氏の理論はほとんど受け入れられていませんが、通常のがん患者さんの間でもあまり受け入れられていないと個人的には感じています。ではなぜこの連載を始めたかというと、がん患者さん本人よりも、その周囲の人への影響を懸念してのことです。

13 ■彼は無責任と思っています。

無責任な理論を巷に広めた結果の影響を定量的に把握出来たらどうなんでしょうね?
がん治療は、病院ごとの治療成績、抗がん剤も定量的なデータがありますから批判でもなんでも出来ます。
しかし、彼の話しを信じたが為に亡くなった人、これは定量化出来ないですよね。
これが、彼の説に論理的且つ一般人が分かるように反論出来ない事に繋がっているように思います。
まぁ、彼は何があっても治療しても無駄ながんと、がんもどきで逃げるのでしょうがね。
治療しなかったor遅れた事例で、治癒、ある一定の延命が見込めた事例を統計化したならば、彼の説のいい加減さが立証出来ますね。
患者にとっては、完治するのが一番ですが、納得出来る期間の延命も充分に意味があるってのを、近藤さんは理解出来ないようです。

12 ■Re:なぜ受け入れられてしまうのか?

>Annaさん
参考になります。最近では臨床試験においてもがんが小さくなる奏功率では治療薬の優劣は語れないことになってきています。
患者さんにとっては抗がん剤治療をしないほうが良い例はもちろんあります。
はっきり事前にそれがわかる例は問題ないのですが、やってみなければわからないケースの方が多いため、臨床試験で判定するわけです。

11 ■Re:応援してます!

>がん治療認定医さん
ありがとうございます。近藤氏の話しは医師の間ではいろいろ言われていますが、そういう楽屋裏の話しもできると、一般の方にも参考になると思っています。

10 ■Re:ブランドの廃止

>Reiさん
彼の理論が現在のがん治療のどんな位置に存在するかということを示しておくのも大事と思っています。

9 ■Re:無題

>つよよんさん
自分も大学病院にいたときはその肩書きが説明に有利になっていたような気がします。近藤誠氏が慶應を辞めても「元」慶応という肩書きは残りますしね。

8 ■Re:無題

>みふろさん
ありがとうございます。しかし分かりやすく説明すると言うのもなかなか難しいです。

7 ■Re:楽しみにしています。

>奈々草さん
6月21日発売ではなく、今発売中のものです。水曜日には次の号が発売になるので注意してください。

6 ■なぜ受け入れられてしまうのか?

>がん治療認定医さん

抗癌剤治療が必ずしも延命してはくれないことがあるからではないでしょうか?
外来会計で待っていたら、二人のご婦人が話していました。
肺がんで自分は未治療経過観察をしているのだそうで、同じがん患者さんたちが、抗癌剤治療をしていて、「がんが小さくなった!」と喜んでいたのに、先に亡くなってしまっていったのだというのです。
患者さんによっては、未治療経過観察が、抗癌剤治療よりいいってこともあるのではないでしょうか?
もちろん、治療するなら今!って状態もあるでしょう。
そこは、インフォームドコンセントの腕でしょうか?
納得のできる治療ができたらいいですね。
色々なご意見、いつも大変参考になります。
ありがとうございます。
本を読まれての専門の医師のご感想もぜひ、知りたいです。
よろしくお願いします。

5 ■応援してます!

なぜ受け入れられてしまうのか。
そこの問題を検証することはなかなか
今までなかった新しい手法だと思います。

医者=悪のようなマスコミ受けする構図を
作り出して、いかにも自身は救世主であるかの
ような振る舞いをしている所が問題です。

我々医師が癌患者ひとりひとりの意思・価値観などに真摯に耳を傾け実証された科学をもとに
最善の治療を施して差し上げる。そうした不断の努力を無にしようとしているとさえ思います。

被害者が拡大しないように先生のさらなる
追求記事を今後とも期待しています。
頑張って下さい!

4 ■ブランドの廃止

>つよよんさん

近藤先生は今年3月末日をもって、慶応大学病院を定年退職と思います。

私は、近藤先生の「がん放置療法のすすめ」と同時に「近藤誠氏の『がんもどき理論』の誤り―病理医の見たがんの真実」 斎藤 建 (1996/11)
も 同時に読みました。

治療をどうするのかは、患者自身が自分の体力と体質とを考えて決めていかなければなりませんね。

専門の先生方の色々な意見は、大変参考になります。

いつもありがとうございます。

3 ■無題

 近藤氏の本も読んでみようと思います。
 最近、自分の受け持ちではなかったのですが、近藤氏の本を信じ、治療の機会を逸した方がいましたので。
 近藤氏の主張の誤りをひとつひとつに論理的に分かりやすく患者・患者家族に説明できる医師にならねば、と思います。
 ここで、邪魔なのが近藤氏の「慶応」ブランドなのですが。
 近藤氏も「慶応」ブランドについては認識しているようですね。
 だから、「慶応」をやめない。

2 ■無題

先生のいつも分かりやすい論理展開、楽しみにしています。

1 ■楽しみにしています。

今後のブログの展開楽しみにしています。

6月21日発売の週刊朝日も勿論読ませていただきます。

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