2012-01-27 21:06:04

抗がん剤拒否の理由④効果より副作用軽減のほうが重要と教育されていない

テーマ:抗がん剤拒否の背景
・抗がん剤治療に対する事前準備の必要性が周知されていない

ここまで強調する理由は初回治療の説明が、がん治療全体の成否を決める最重要事項といえるからだ。

マスコミでは最新治療の話題で持ちきりだが、病院側にほとんどをゆだねる医療行為ならどれが自分に合っているかを判断するだけで良いだろう。

ところが抗がん剤治療においてはどんな有望な成績を出した薬剤でも、その副作用にどれほどうまく対処できるかが最重要なのに、その心構えとノウハウの必要性を強調した報道記事がどれだけあるだろうか。

副作用はなるべく少ない方が良いという決まり切った話はあるが、患者自身の工夫がないと副作用を最小限にはできないという「常識」に言及した記事は見たことがない。

・副作用対策が後手に回っている

問題は抗がん剤治療においてこの事前学習、準備の必要性を教えてくれるシステムがないことだ。
確かに看護師、薬剤師の説明、パンフレットでの教育というものはあるが時間制約のためか徹底しているとは言えない。
また副作用は個人差もあり色々な時期に分かれて出てくるため、必ずしもすぐには医療者に相談できず、患者は単独で悩み、対処しなければならない。
ここで抗がん剤に対してのイメージが決定的に悪くなる。

また人によっては治療なのだからきついのは当たり前で、これぐらい我慢しなければという固定された考えを持つ人も多い。

こういう誤解が抗がん剤治療の非常に大きな問題点となっている。

副作用の中でも最も嫌われる吐き気を例にすると、筆者が担当した治療例では以下のようにしていた。

抗がん剤治療時に予防的に制吐剤を使うのは当然ながら、吐き気があって我慢できなくなったら吐き気止めを使うというのは論外だ。

少しでもむかつきがあったら事前に渡しておいた数種類の制吐剤を次々に試してもらうことにしている。

その際「きつくない」程度ではなく「忘れる」ぐらい吐き気を抑えることを患者さんに強調しておく。

そこまでしないと治療継続中に「体」が徐々に吐き気を覚えてしまい、「予測性嘔吐」がひどくなって治療が困難となるからだ。
どんなに効果のある抗がん剤でも継続できなければ治療は失敗となる。

なるべく薬は使いたくないと思っている人が多いので納得させるための説明に一苦労する。

たとえ話をすると梅干しの話をした場合、実物がなくても日本人ならつばが出る。
つまり条件反射が既に身についているからだが、予測性嘔吐がコントロール出来てない患者さんの場合、抗がん剤を見ただけで、いやそれどころか治療当日の朝から吐き気で悩み始める。

前もってワイパックスやデパスなどの抗不安薬を使うことで軽減できるが、最も効果的な予防法は事前に抗がん剤で、きつい吐き気を体験させないことだ。

となると初回治療の前からしっかり対策と教育が必要になるが、この予測性嘔吐について治療前からしっかり教育された患者さんがどれほどいるか疑問だ。

事前に用意周到に準備をしないと言うことは、例えば戦争において新兵が徴集されていきなり最前線に投入されるようなものだ。
実戦は訓練に勝るとばかりにそこを切り抜ければベテラン兵士になるだろうが、事前に訓練されていなけば討ち死にする兵士は続出する。

ここで抗がん剤治療を受けた患者さんで質問したい。
うまくいったあるいはひどい目に遭ったなど色々な人がいるだろうが、一旦リセットして抗がん剤治療を最初からやり直すとしたら次はもっとうまくいきそうな感じがしないだろうか?
もちろん同じ副作用が出るが、事前にその程度はわからないという仮定でもかまわない。

今度は事前に身構え、副作用に対する対処は用意周到になり、ずいぶんと治療経過が変わってくるだろう。
これは学習効果といえるものであるが、各患者に共通点も多いことから、最初から事前学習も可能なはずだ。
最初からそうしていればもう一回治療をやり直すのに近いぐらいうまく抗がん剤とつきあっていけるだろう。

そこに抗がん剤治療経験者が近くにいて、すぐ相談できる環境であればどうであろう。

厳しい戦場において頼りになる鬼軍曹(笑)がいれば、新米兵もたくましく生き残るチャンスがずっと増えるのではないだろうか。

コメント

[コメントをする]

1 ■イリノテカン

前回のCTで肝臓の転移巣が数ミリ大きくなっていました。今はまだ、私は副作用の吐き気に耐えられそうに無いので、治療を断りました。
ただ、今度のCTでさらに増大していたら、イリノテカンを入れる治療になると思います。
先生の仰る吐き気止めの薬を具体的に教えてください。よろしくお願いします。
私が今貰っているのは、デカドロン8錠カイトリル1錠(朝) 吐き気ある時 プリンペラン1錠 です。イリノテカンを入れていたときは、イメンドを朝追加していました。現在のアバスチン+5FU/LVの治療では、治療後3日間で吐き気は収まります。
先生の仰る、いったんリセットして・・・の立場に私はいると思います。このままだと上手く行く気はしません。ただ、縮小効果はきっとあるだろうと思っています。だから、ちょっと苦しくても、受けようと思っています。 この制嘔吐剤を教えて頂ければ・・・・助かります。よろしくお願いします。

2 ■Re:イリノテカン

>ふわりさん
大腸癌の肝転移の場合総胆管が閉塞しそうとかきわどい部分の腫瘍増大でなければあまり焦ることはないと思いますが、きつければイリノテカンは半量から入れてもらっても良いかもしれません。続かなければ意味が無いからです。
特に初回より2回目の時が要注意です。
イメンドは最初の3日間は当然投与してもらうとして、可能なら初日にアロキシも併用してもらうと良いでしょう(カイトリルと同系統ながら遅発性嘔吐にやや強い)。
デカドロンは8錠はday2,3まで継続し、同時にプリンペランは毎食間一錠ずつ3ー4日間継続します。これは吐き気がなくても使うことが大事です。何回か治療して問題なければ減らすようにしても良いでしょう。
嘔気を感じるときに追加薬剤としては
①デパス0.5 or 1mg(ワイパックスでも可)を頓服あるいは毎食間一錠ずつ
②セレネース0.75mgを頓服
大事なのはどこまで吐き気を忘れられるかです。我慢するようではいつか体が覚えてしまって条件反射で嘔気が出ます(そのときはデパスが有効)。吐き気が来そうな感じがしたら先手を打って内服しても良いでしょう。
ただしプリンペラン、セレネースは個人差が大きいですが、アカシジアという副作用が出る事があります。
イライラしていすに座れなくなると言う症状が出ます。もしそういう症状が出たときはアタラックスPを筋注すると改善します。
嘔気に関しては医療側は言われないとわかりませんで10段階でどのくらいかと言うことをノートに記録して訴えると良いでしょう。

3 ■Re:Re:イリノテカン

>Sho(がん治療の虚実)さん

詳しい回答ありがとうございました。
主治医にお願いしてみます。

イリノテカン半分からということは、先日の治療の時聞いてみたのですが、「効果が?で副作用だけある」ということでは、意味が無いのであまりやりたくないようです。あんなに強い薬なのに、半分にしたら効果が?になるのかと思うと、半分からするのは気持ちが微妙です。
私の場合、8割くらいに減らしても1月に1回の治療となるので、この吐き気の副作用がクリアーできれば、本当に楽になります。ありがとうございました。 
吐き気⇒食べれない⇒力が出ない⇒倦怠感続く・・・
これが2週間近くありましたから、この元を断ち切ることが出来れば治療も長続きできそうです。m(u_u)m

4 ■Re:Re:Re:イリノテカン

>ふわりさん
イリノテカン初回治療なら半量投与は勧めませんが、すでに副作用がきつくて一旦止めた場合は多少大胆に減量しないともっと嫌気がさして、継続できないと思いました。腫瘍は縮小しなくても大きくならなければ判定勝ちです。しかしそれは継続することが前提ですから、その折り合いを何とか見つけることが大事です。

5 ■Re:Re:Re:Re:イリノテカン

>Sho(がん治療の虚実)さん

そうなのですね。それもありですね。
sho先生ありがとうございます。
私も、大きくならないことそれが今の目標です。
来月のCTの結果で主治医に相談してみます。
現在は、数ミリ大きくなっても今のままの治療法で行かせて貰うようお願いしています。
半量入れてもどれくらいの副作用になるかよくわからないので、心置きなく治療のことに専念できるまでは・・・・という気持ちもあります。目標があるので副作用も軽くなるかもしれませんけどね・・・・。σ(^_^;) 

コメント投稿

一緒にプレゼントも贈ろう!

アメーバに会員登録して、ブログをつくろう! powered by Ameba (アメーバ)|ブログを中心とした登録無料サイト