2011-02-06 12:15:15

近藤誠氏への反論III④他の腫瘍内科医の意見

テーマ:近藤誠氏への反論

先日全国のがん治療有力施設の腫瘍内科医が集まった厚生労働省の班会議があった。そのとき近藤誠氏の話題も出た。日本の癌治療を引っ張っていくトップランナーの研究者たちから出た言葉は「近藤誠氏は実際に患者さんの治療してないじゃないの?」というものであった。
実際文藝春秋2月号の立花隆氏との対談でも近藤誠氏は転移があるがん患者さんは症状が出るまでウエイトアンドウオッチングつまり何もしないということを述べていた。そういう選択を行う人が多いと言ってはいるが、抗がん剤治療を否定する担当医であれば患者さん側はそういうものだと思うのだろう。班会議では慶応大学の医師も参加していたが近藤誠氏のことは「あの人はどうしようもない」と言っていた。近藤誠氏は決して慶応大学の意見を代表する訳ではないが、やめさせることもできないのであろう。また同大学にはそもそも腫瘍内科がないのだ(消化器内科や呼吸器科など臓器別で化学療法は行っている)。
近藤誠氏はかつては臨床現場でがん治療の実態を感じていたのであろうが、もはや昔の感覚は通じない。彼の記事を見ると最近は実際に患者さんを治療(してもおそらく放射線関係の治療のみ)せずに論文や文献ばかり読んでいるのがよくわかる。
最近開発中の分子標的薬に対しても皮膚、腸管への副作用がひどいと言っているが、15年以上前の治療関連死5~10%が当たり前、制吐剤や、GCSF(白血球を早く回復させる薬剤)などの副作用を緩和する手法が発達していなかった頃に比較するとずっと患者さんの負担は減ってきているのだ。
次々に新しい薬剤、治療法の開発についていくためには机上の論だけではなく常に現場で患者さんたちと直接向かい合って治療しつづける必要がある。
ここからは想像であるが古くは悪性リンパ腫などの血液領域のがんの化学療法をおこなってきた近藤誠氏はがんと共存をはかり症状緩和を重視した緩和的化学療法の価値を知らないのであろう。
そもそも白血病や悪性リンパ腫などの造血器腫瘍領域はtotal cell killというがん細胞を全部破壊して治癒せしめる事を目標としている。治る可能性があるからだ。固形がんは例外を除いてそこまでは無理で手術で切らないと治らない。
そのため固形がんには抗がん剤治療は有害だという考え方に至るのであろうが、QOL(生活の質)を重視した緩和的化学療法が最近では注目されるようになってきた。
かつて抗がん剤が効かないと言われた肺、膵臓、胆道、大腸がんなどの抗がん剤治療が今はむしろ注目されているのだ。もちろん治癒までは難しいが、そこまで効かなくても患者さんに十分メリットがあると分かってきたからだ。
以上のように近藤誠氏は一般人相手に雑誌にはセンセーショナル的な事を発言しているが医療界では全く相手にされていない(医師専用掲示板にも話題を振ってみたが9割以上賛成していない)のが実情だ。

今回で一応反論シリーズ終了となります。
次回からは、くせもの(医学)用語解説シリーズを開始します。
-------------以下予定している用語、言葉の項目です------------
・余命
・科学的根拠
・副作用
・先端治療あるいは最新治療
「がんばらない」
「もう治療法がない」
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