2011-02-05 14:56:12

近藤誠氏への反論III③腫瘍内科医になると患者さんの苦悶に鈍感になる?

テーマ:近藤誠氏への反論

週刊文春1月27日号記事で近藤誠氏は以下のような主張をしています。
-----引用-----
がん治療に関心があるという医学生に進路相談に際し「腫瘍内科医になるのだけは止めなさい」、「理由は、転移性固形がんは治らない上、抗がん剤の毒性で患者を苦しめる。それを一生の仕事にすると、患者の苦悶に対して涙する感性を失いかねない。治らない患者を診るなら、患者・家族に感謝されるホスピス医の方が数等ベター」と伝えています。
-----------------ここまで
腫瘍内科医は患者さん苦悶に鈍感になるとは一方的な見方です。
逆に敏感になり、苦痛を最小限にしてあげないと治療効果をあげられないのだ(継続できないので)。
ただ患者さん側からみると主治医は患者さんの苦痛に鈍感ではないかという疑問が出てきてもおかしくない。
このブログで時々出てくる治療中と思われる方々のコメントからも想像できるだろう。
その理由としては一般的な病気による苦痛だけはなく、抗がん剤というさらに苦痛を増やすかもしれない(ただし臨床試験ではがんの苦痛を軽くするので、抗がん剤治療した方が楽という結果が出ている)薬剤を投与するためであろうと思われる。
前回のコメントで記載したように抗がん剤治療は「内科の手術」である。
外科手術で麻酔はあっても苦痛を一時的に加えるのと同じで、そこを乗り越えた後により大きなメリットが得られるだろうという前提で行われるのだ。
また語弊があるが鈍感にならないとできない部分があるもの事実だ。
筆者は抗がん剤治療から緩和療法まで一貫して治療してきたが、治療期間が長くなるほど情が移る。なんとか苦痛を減らしてあげ、希望を持ってもらおうと工夫し続けるが、最終的には亡くなることが多い。
がんばってやってきていることは患者さんが亡くなることですべて消えていくような感じになり、自分が何をやっているのか分からなるという精神的危機の時期があった。
腫瘍内科医はあまり人気がないのはこういった「治す」という達成感が得られにくいことも一因と思われる。
しかし死因としてがんが最も多くなりかつ治療法が進歩した今、腫瘍内科医が必要とされているのは自明のことであろう。
こういう厳しい状況である腫瘍内科医がやりがいを感じられるようになる考え方は後日記事にする予定だ。
ホスピス医(緩和療法)の方が数等ベターという近藤誠氏の主張がバランスを欠いている。
抗がん剤治療がもはや無効で状態の悪い患者さんなら緩和療法のみが望ましいが、そうでない患者さんたちを絶望に陥れるからだ。
人間どんな状況でも希望は必要である。
近藤誠氏は抗がん剤治療が無効となった後も大枚はたいて怪しげな代替療法に走る心理を加味していないともいえる。
現時点で最も公明正大に臨床試験で証明された癌に対する武器(抗がん剤治療)を全否定することは、患者さんたちの多彩な要望を無視することにつながるだろう。
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