2011-01-24 11:36:08

近藤氏「抗がん剤は効かない」への反論II-③

テーマ:近藤誠氏への反論
前回の続きです。
結論から言うとPFS(無増悪生存期間)ではベクティビックスが投与された患者群の生存曲線がBSC(抗がん剤以外の緩和療法のみの)患者群を上回っている(つまりより腫瘍増大を先送りできると言う意味)。しかしOS(全生存期間)の生存曲線はほぼ重なっているのでベクティビックスを使っても使わなくても寿命は変わらないと主張は嘘です。
実はBSC患者群の7割以上が腫瘍増大となった後ベクティビックスが投与されているのです。
元の臨床試験は二次三次治療が無効となった患者さん達を本人達の意志とは関係なくコンピュータで年齢性別など偏らないようベクティビックス投与群、非投与群に分けて臨床試験を行っているものです。
非投与群の患者さん達の腫瘍増大が認められた後にベクティビックスを投与してはいけないことにするのは倫理的に問題があるとされ、希望があれば投与が受けられる試験なのです。これをクロスオーバーと言います。
ベクティビックスと同じ機序で効果が認められたアービタックス(一般名セツキシマブ)でも三次治療以降で同様な試験が行われ、PFSで差がつきましたが、クロスオーバーが認められてOSに差が出なかったという報告があったからです。
ちなみに胃がんの国際第三相臨床試験(日本含まず)でDCF vs CF (5FU+シスプラチン+ドセタキセル vs 5FU+シスプラチン)でDCF群が有意にOS(全生存期間)が延長したと報告されていますが、これはクロスオーバーを禁止していたからだと言われています。
海外では日本の健康保険ほど安価な治療が受けられず、治療費を払わなくても良い臨床試験に参加せざるを得ない人々が多いためこのような事が可能なのでしょう。

(雑誌記事中の以下の引用文献)
ベクティビックス審議結果報告書

http://www.info.pmda.go.jp/shinyaku/P201000024/400256000_22200AMX00307_A100_2.

P.50
副次評価項目の一つである OS の主要解析の結果は下表のとおりである。各群の OS に有 意差は認められなかった。なお、BSC 群の 177 例(76.3%)が継続投与試験に移行し、176 例で本薬が投与された。

いつかは正式な記事にしたいと思いますが、抗がん剤臨床試験の簡単かつ部分的な評価基準を記載します。
100人の患者さんがいて時間経過とともに死亡することそのものをイベントと言い、その残りの患者数がだんだんと減っていきます。その推移をグラフ化したものが生存曲線というものです。これはOS: Overall Survival(全生存期間)と言って、これこそが抗がん剤の成績あるいは治療メリットを表すものとされてきました。
これは抗がん剤治療が一次治療(ファーストライン)だけしかないときはわかりやすい指標なのですが、二次治療(セカンドライン)以降が存在し、それがかなり有効だと当然患者さん達はより長く生き延びます。
これは一次治療が無効でも二次治療が効いた場合OSの延長につながりますので一次治療の純粋な評価としてはPFS: progression free survival(無増悪生存期間:死亡するイベントを腫瘍増大のイベントに置き換えたもの)をかわりの指標にしようという傾向が出てきました。これは効果のある抗がん剤が増えた証拠でもあるのです。
つまりOSの結論が必要だとしても結果が出るまで何年もかかるようになるほど生存期間が延長してきたからとも言えます。
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