17歳の時にフランスを代表する魚料理、「ルー・アンクルート、スズキのパイ包み」を食べ、その美味しさに強い衝撃を受けたシェフですが、

 

「その時どんな風に美味しいと感じたの?」という私の質問に、その答えがとても興味深く、

 

またその答えが今のシェフの目指すお料理の道しるべとなっているようです。

 

 

 

 

「とにかく美味しかったんだけど、どう美味しいかというとね、ソースとメインである魚のパイが共に引き合っているという感じ。パイを食べるでしょ、そうするとソースが欲しくなる。そしてソースを付けて食べるとまたパイが食べたくなる。そしてまたソースが欲しくなってね、いつの間にか気が付くとお皿の中が綺麗になくなっている。最後は、あ~美味かった~。と食材とソースが口の中で溶け合って余韻を残してくれるんだよね。」

 

 

 

「「美味しい」っていう表現の中に、一皿の中でメインである食材とソースが引き合う美味しさってあるんだな。って。フランス料理にはこんな世界もあるんだ。って知ってもう腰を抜かした気分だったよ。頭に雷が落ちた衝撃って言うのかな。丁度そんな表現の感じだった。今でもその時のことはよく覚えているよ。」

 

「そしてその時オレもこの料理を作れるようになりたい、そしていつかこんな一皿を生み出してみたいと思ったんだ。このルー・アンクルートを超えるなんて大それたことは言えないけど、それに近い料理。」

 

だからシェフは今でもこんなにまでソースにこだわるのね。と納得。

 

そしてシェフの話を聞いている時、私の頭の中にはあのお料理がグルグルと浮かんでなりませんでした。

 

そう、シェフのスペシャリテ中のスペシャリテ。

 

長年お客様から愛されている料理、私にとっても心の中で一番輝いている一皿。

 

「江戸前の梅雨穴子とフォアグラの一皿」です。

 

 

 

私が初めて頂いた時その時感じた「美味しい」も正にそんな感じだったな。と思い出していました。

 

ソースはポルト酒とブール・ブランというバターを使った基本のソース。

 

それが食べるうちに穴子を食べてソースを付けて、フォアグラも一緒に食べてソースを付けてを繰り返しているうちに、

 

それら2色のソースと食材が次から次へと引き合って美味しさを醸し出してくれる感じ。

 

正にシェフがルー・アンクルートで感じたメインの食材とソースが互いに引き合う美味しさの感じです。

 

ガルニと呼ばれる付け合わせの野菜も全て穴子の食感に合わせ、口の中で1つにまとまるようになっているお料理で最後までソースで絡むような構成になっいます。

 

さらに付け加えるなら使う穴子は、「江戸前の梅雨穴子」に限定し、四季の食材を味わうことを愛でる私達日本人に馴染んだ江戸前の梅雨の穴子を使うことで、

 

シェフが日本人であることのプライドと日本人のシェフが作るフランス料理に完成されているのです。

 

 

 

私がこのお料理をシェフのスペシャリテの中で、「最も完成された一皿。」と思うのは、

 

シェフが17歳の時に感動したルー・アンクルートを目指し、フランスで培って来たソースの技法と、日本人であることのオリジナリィティ、シェフ宮本としての個性を兼ね備えた逸品であるからです。

 

一方シェフは「現代フレンチ」と呼ばれる新しい道具や食材、技術を取り入れたスタイルも積極的に講習会や若い料理人さん達との交流を通して学んでいます。

 

それはそれら全てがフランス料理であり、フランス料理のことは全部知っていたいと思う強い好奇心を持っているからと、

 

またどんなその時代の新しい技法や料理もそのまま使っていたりただ作っていれば時代と共に古の料理となってしまいますが、

 

料理人は常に新しいことを学ぶことで自分の料理を進化させることが出来るという信念を持っているからです。

 

ちなみに30年以上作っているシェフのルー・アンクルートは毎年ソースの「ソース・ショロン」のレシピを見直し、

 

一見同じに見えるお魚のパイも、間のホタテもムースを徐々に軽く仕上げ、現代人の舌の嗜好に合ったお料理に毎年変えて作っているそうです。

 

既に年齢では熟年クラスに入って来たシェフですがフランス料理にかける強い思いがあるようです。

 

クリスマスから年始にかけてシェフが毎年この「ルー・アンクルート、スズキのパイ包み」を作るのは、

 

40年経った今でもあの時の感動を思い出し、

 

シェフ自身が憧れるフランス料理をもう一度見直す為でもあるようです。

 

「さらに完成された一皿を求めて」シェフは常に新しいフランス料理の世界に触れ、さらには自らの技術を磨き上げ日々精進を続けなければならないと言います。

 

 

 

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