ユメニカケル 夏×夏×夏 3 | 舞う葉と桜〜櫻葉・嵐綴り〜

舞う葉と桜〜櫻葉・嵐綴り〜

腐女子向けのお話ブログです。

「雅紀さん」





しょーちゃんに呼ばれて、重なる唇。キス。





応えようと開いた口に、何か流れ込んできた。





「……………んっ」





ビックリして、目を開けた。





スポーツドリンク、だ。





唇が離れて、少しして、もう一度。


さっきより多目に流れてきた。





「そろそろエアコンつけてヤらねぇと本気で熱中症になるな」
「…………だね」





しょーちゃんが、大丈夫か?って、扇風機の風を僕に向けてくれる。


ちょっとぼんやりする頭で、大丈夫って起き上がって、ペットボトルを受け取った。





夏の花屋は寒い。





花が傷みやすいからって、いつもエアコンの設定は低め。


だからなるべく部屋ではエアコンを使わないようにって。してるけど。





「一気飲みかよ」
「ん、ごめん」





汗、と。


声をあげすぎて、喉がカラカラだった。





「まだ要る?」
「ううん、もういいよ。ありがと」
「ん」





しょーちゃんがペットボトルを持って行ってくれる。


戻って来た手には、また新しいペットボトル。





しょーちゃん、それ、仕事に行くとき用にってこないだ箱買いしたやつなのに。


そんな遠くないとは言え、夏の自転車通勤だからって。





ベッド。


僕の隣に座って、しょーちゃんがキャップを開けてる。





「ねぇ、しょーちゃん、仕事に持って行く前になくなりそうな勢いじゃない?」
「ああ。また買いに行かないとな。夏のえっちの必須アイテムだ。知らなかったよ」





しょーちゃんがすごく真面目な顔して言ってて、ちょっとおかしい。





「僕たちふたりして汗っかきだもんね」
「塩飴とかベッドんとこに置いとく?飴舐めながらヤるとか」
「それ絶対、喉につまると思う」
「……………確かに」





ちりーんって、風鈴の音。


エアコンは控えめに、その分気分だけでもって買ってみた、昔ながらの。





「起きられる?もう1回シャワー浴びて来いよ」
「しょーちゃんは?」
「雅紀さんがへばってる間に浴びた」
「全然知らなかった…………」





しょーちゃんが笑う。そんなに良かった?って。





「しょーちゃん」
「なに」
「アレ、は、またネットで調べたやつ?」
「さっきの?」
「うん」





しょーちゃんの肩に凭れる。


またちょっと逞しくなった、身体。





さっきのアレ、今まで、したことないの、だったよね?





暑いけど、汗がすごい、けど。





「そう、ネット。見つけたときに、雅紀さんが好きそうなやつだなって思った。ああいう密着するやつ、好きだろ」
「…………好きだよ。しょーちゃんも好きでしょ?」
「ん、超好き」





キスして、キスして。





笑う。





良かった、よ。すごく良かった。気持ち、良かった。





思い出して、身体が覚えてて、震える。





ちりーんって、また、風鈴の音。





「何か、食いに行かね?たまには」
「うん、行こうか。たまにはね」
「かき氷も食おうぜ」
「いいね。夏だね」





んって、落ちていた服を渡されて。


僕はシャワーを浴びるため、ベッドから立ち上がった。





「頼むー、隠してくれー」





後ろから聞こえてきたしょーちゃんの情けない声に、僕は笑った。