ときには星の下で眠る
Theme: 片岡義男はどこを走ったか?のんびり、のんびり。
急がない、急がない。
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週末は某ツーリングクラブのミーティングに参加してきた。
角川文庫「ときには星の下で眠る」片岡義男 著に挿入されている写真撮影地を巡る。
そんな嗜好もあって、現場に立ちながら「どこから撮影したのだろう?」「ずいぶん様子が変わったね~」と、しばし小説の世界へと浸るのだった。
のんびり、のんびり。
急がない、急がない。
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週末は某ツーリングクラブのミーティングに参加してきた。
角川文庫「ときには星の下で眠る」片岡義男 著に挿入されている写真撮影地を巡る。
そんな嗜好もあって、現場に立ちながら「どこから撮影したのだろう?」「ずいぶん様子が変わったね~」と、しばし小説の世界へと浸るのだった。
ふと、片岡義男氏に会った友人から聞いた話を思い出した。
片岡義男氏が書く小説には主人公の彼あるいは彼女がオートバイに乗って日本のあちたこちらを走る話が多い。舞台となる地名がはっきり書かれているものもあれば、読者の想像力に委ねる場所のイメージだけのときもある。読んでいて思うのは、片岡義男氏が体験した場所の断片を集めて作られているのではないかということだ。旅行記、紀行文じゃないから、全身の五感で受けた体験がさまざまに織り込まれ1つの物語やエピソードとなりえる。主人公が見る光景、走る情景は詳細に書かれ、それでいてどこだかわからない。それでいて、その道が日本のどこかに存在するように思えてならない。
オートバイで旅する楽しさを知ってしまった友人は瀬戸内海に面した小さな町から外へ外へと気持ちが飛び出していた。そんな折に片岡義男氏に会ったので、「日本でオートバイで走るとしたら、どこがいいですか?」と、そのような質問をしたそうだ。その答えは意外にも、広島県の三原だった。
「ぼくは田舎の道が好きなんだ」
まだまだ日本には田舎っぽいところはある。そして、意外な地名が出てぼくも驚いた。オートバイで旅をして三原を通ったことはある。それは、ただ通過したことに過ぎない。旅で使っていた地図帳を広げると、走ったルートがマーカーでピンク色に引かれている。岡山県から国道313号を走って広島県から国道486号線を直進。そのまま三原の北部をかすめて県道29号線に向かった。ほかには瀬戸内海に沿って国道185号線を西から東に向かって走っている。どちらもはっきり覚えてないほどあっという間に通り過ぎてしまっていた。それは道が快適すぎて停まらなかったという意味も含んでいる。走る喜びを感じながらゆっくり走ることもできたわけだが、当時のぼくは旅を急ぎすぎていたのかもしれない。
今になって、三原という町が気になる。そして、時間があれば個人的な興味から片岡義男氏の小説やエッセイから地名をピックアップしてみたいと思っている。
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角川文庫「幸せは白いTシャツ」より
片岡義男氏に会った友人から聞いた話に興味深いものがあった。
エピソードとしては活字になっていないし、活字にするする必要もなく、きわめて個人的な話だからだ。
角川文庫「幸せは白いTシャツ」が手元にあったら、めくってみて欲しい。
大谷勲氏が撮影した写真が挿入されているはずだ。
ツーリングシーンを切り取ったような1枚1枚にわくわくさせられてしまう。
今ではこのようなツーリングのスナップ的写真はよく見かけるようになったが、当時としては珍しかったのではないだろうか。
モデルはすべて三好(山村)礼子さん。
アクセルを握る手やステップに乗せられた足といったライダーの特徴を良く現しているクローズアップされた写真もすべて彼女がモデルとなっている。
その中の何点かに茶色のブーツが映し出されている。
これは片岡義男氏が愛用しているブーツということだった。
片岡義男氏はすべての撮影に同行し、そのとき三好礼子さんがスニーカーを履いていたため、「ぼくがブーツが好きだから」そんな理由で彼女にブーツを履いてもらい撮影してもらったそうだ。
小説「彼のオートバイ、彼女の島」で、オートバイに乗った主人公が車から悪質な幅寄せの悪戯を受けて、ハーネスブーツで相手を痛めつけるシーンが出てくる。
ブーツと書くところをわざわざハーネスブーツと書くところが片岡義男氏らしさ。
あのブーツは「幸せは白いTシャツ」の写真のブーツかもしれないな、ふと、そんなことを思い浮かべながら、ぼくは友人の話を楽しく聞いていた。
友達が片岡義男氏に会って、話す機会に恵まれたそうだ。
嬉しそうに話す彼女の1つ1つを聴いてぼくも楽しい時間を過ごすことが出来た。
たくさんのオートバイが出てくる小説を書いているから、オートバイ乗りで彼のファンは多い。
そのファンのひとりとして彼女は片岡義男ファンのツーリングクラブを立て上げて、あわよくば片岡義男氏を引っ張り出して一緒にツーリングできないものかと数年前から活動している。
そんな彼女だから片岡義男氏とのオートバイの話は尽きなかったに違いない。
その中の1つに、片岡義男氏は今でもオートバイの乗っているか?という興味ある質問が彼女の口から出た。
「ぼくには大きすぎるから、もう乗ってないんだよ」
とても残念な答えだ。
この言葉を聞いて色々想いが巡る。
片岡義男氏の小説は大型バイクがよく登場する。
それなのに『大きすぎる』とは、どういうことなんだろう?
ぼくらの知らないことを小説やエッセイで書いてくれ、常に新しいことを示してくれる。
当時としては排気量750ccが国内で大きなオートバイだった。
ところが最近では一番売れているホンダのCB1300SFは排気量が1300ccもある。
ぼくが見ても、ずいぶん大柄な車体だと思う。
たぶん、最近のバイクを指して、今のバイクは大きすぎるから自由に操る楽しさがないと取れなくもない。
彼女は思う存分オートバイの楽しさを話したそうで、まさかと思うが再び片岡義男氏がアクセルを握ってくれたら、ぼくも嬉しい。
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遠く浅間山のうしろに、入道雲がそびえはじめていた。空は、まっ青だ。
夏のさかりの信濃。晴天の下でカワサキにまたがり、浅間の入道雲を見ながらの昼食だ。
目を細めて、彼女は、千曲川のほうを見た。
「入道雲なのね」
きれいな声だ。張りがあって軽くて。明るい笑顔と、なぜだか丸くかたく筋肉の張った太腿を連想させる声だ。
「わかった。あれは、浅間山だ」
地図をながめて、彼女が言った。
浅間のむこうに、入道雲がひときわ大きい。千曲川からでも、あの入道雲は見えるだろうか。
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『彼のオートバイ、彼女の島』の冒頭シーンを並べてみた。
やたらと浅間山と入道雲が出てくる。
もっとも夏らしい夏を感じさせてくれるアイテムだ。
小説では管平が見える別所温泉の高原となっている。
写真は鬼押し出しハイウェイから写したもの。
だから小説とは反対の風景となる。
それでも、じゅうぶんに夏らしく小説のシーンが楽しめる。
ちなみに鬼押し出しハイウェイは夜のシーンしか出てこない。
本棚を漁っていたら、帯つきの文庫本が数冊出てきた。
列記しときますか。
恋愛小説って、読むのが苦手。
途中まで読んで、しおりがはさまっているままのものが多かった。
それでも、買い続けていたなんて。
当時、片岡病がかなりの重症だったみたい。
微笑みの育て方
'86角川文庫夏のフェスティバルのコピー「DO YOUR BEST.一冊の青春 角川文庫」
少年の行動
「夢を模索する少年たちの、透明にきらめき輝いた行動。」
結婚しよう
「”結婚しよう”のひと言から、こんな物語が始まる。長編書き下ろし」
うお座の最後の日
「夏の終り、人のいない海岸。ながくつづくラブ・ストーリーのはじまり。」
彼らに元気が出る理由
「めぐりあう異性たちの誰もが、かならず元気を与えてくれる。」
他の出版社の帯つき文庫も少々出てきたので、書いておきます。
浴室で深呼吸(祥伝社ノン・ポシェット)
「うつろいやすい男女の姿を優しく描く都会派恋愛小説・・・」
ムーヴィン・オン(ハヤカワ・ミステリ文庫)
「21歳の私立探偵は透明な空のような心を持っていた-彼が見たアメリカの日常の小さなきらめき。」
最愛のダーク・ブルー(集英社文庫コバルトブルー)
「彼と彼女の、透明な時間。真夏の海辺を、深夜の都会をふきぬける風のような5つのラブ・ストーリーズ。」
新潮文庫の片岡義男さんの著書の背表紙は青が使われている。
その文庫本に付いていた帯に書かれていたコピーを列記してみた。
新潮文庫の片岡作品は角川文庫よりだいぶ後になってから刊行されはじめた。
すでに重い片岡病に侵されていたので、片岡作品の文庫の新刊は出ないか、まだ読んでいない文庫はないかと漁るように書店に足を運んでいた頃に新潮文庫から出たときはちょっと驚いた。それから、最新刊が出るごとに買った記憶がある。文庫が本棚に並んでいても、帯がないものもある。退屈な通勤電車の行き帰りで読んでいたから、帯がぼろぼろになって捨ててしまったのだろう。
一部だけれど、今になっては貴重な資料!?
紙のプールで泳ぐ
「とっておきの素敵なアメリカの本とヴィデォを紹介する、面白くて楽しいエッセイ集。」
ブックストアで待ち合わせ
「とっておきのアメリカの本70冊を紹介する、楽しくて愉快な本でいっぱいのエッセイ集。」
彼とぼくと彼女たち
「海の風と高原の香りにみちた40のエッセイとストーリーで写し出した彼とぼくと彼女たち。」
さっきまで優しかった人
「彼女の知らない彼の一日、彼の知らない彼女の気持ち-。六つのラブ・ストーリー。」
頬よせてホノルル
「誰もが頬よせあう島、そこがぼくの故郷・・・・・・。ハワイを舞台にした5つのラブ・ストーリー。」
時差のないふたつの島
「素敵なストーリーとフォトで贈る書き下ろし文庫。」
探し物をしていて、押入れの中を漁っていたら、小さな箱が出てきた。
自分の物なのに何が入っているかとっくに忘れていた。
開けてみたら、びっくり。
文庫本に巻かれている帯やLPレコードに巻かれていた帯が大量に詰め込まれていた。
なんで、こんなものを捨てずに仕舞いこんでいたのだろう?
その中で大量にあったのが片岡義男さんの角川文庫の帯。
すべて最新刊の帯。
帯の裏には書名が書かれている。
片岡フリークのために帯に書かれている言葉を列記してみよう。
俺のハートがNOと言う
「一年まえの彼女に会いにいくべきか、それともほっておくべきか ハートにきいてみる・・・。ひとつの夏の物語がはじまる・・・。」
味噌汁は朝のブルース
「深夜のハイウェイで、秋の海で、味噌汁が白っぽい初冬の都会で、この物語のように、おなじ風に吹かれてみませんか。」
ターザンが教えてくれた
「生活の中でふと感じる充実した一瞬-それは教えられたものではなく自然に感じるもの-爽快なフィーリングエッセイ。」
友よ、また逢おう
「百年前、西部の荒野を、ひとりさすらいの旅を続けるビリー。21歳で短い生涯を終えた、若き無法者の傷だらけの青春・・・・・・。」
湾岸道路
「夏の彼方に去っていった彼。あとに残された彼女は、自らその生き方を選択してゆく。彼と彼女のハッピーエンドとは・・・。」
缶ビールのロマンス
「冷えた缶ビールの心地良い湯あがりの喉ごし、長距離電話をした彼女とのロマンスが消えないように缶ビールをもう1本。」
一日じゅう空を見ていた
「彼から私への誕生日のプレゼント-彼が運転する車から私は一日中空を眺める・・・・・・。夢のような物語とフォトエッセイ。」
誰もがいま淋しい
「淋しさを知り、なおいっそう素敵になっていく彼女たちの物語。」
星条旗と青春と
「対照的な二つの視点からとらえる”日本のなかのアメリカ”」
and I Love Her
「自分好みのことをしている短い不思議な時間。こんな時間を、ひとりの女性の一年間から拾い集めた、愛する彼女の伝記。」
ボビーをつかまえろ
角川文庫グリーンフェアのコピー「君を待っている間、僕は旅人になった。」
寝顔やさしく
角川文庫グリーンフェアのコピー「君を待っている間、僕は旅人になった。」
吹いてくる風のバラッド
「スローなブギにしてくれ」が映画化されたことで片岡義男フェアが行われていたらしい。
キャッチコピーがふたつ書かれている。
「WE LOVE KATAOKA WORLD」と「SLOW BOOGIE KATAOKA」。
帯の裏に映画「スローなブギにしてくれ」のコピーが書かれている。
「溌剌たる青春、という昔話に決別してはじめる、現代の青春物語。」
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'87角川文庫冬のフェスティバルのコピー「時、止り。夢、蘇る。俺の角川文庫。」
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'88春のフェスティバルのコピー「一生、反抗期。」
長距離ライダーの憂鬱
「夏の終り。北へ走る3台のオートバイ。それぞれのドラマ・・・・・・。」
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「まっ赤でなく、ほんのり赤ければ嘘も楽しい。彼女も素敵な笑顔。」
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「すっきりと短く、奥行きは深い8つの物語。あなたはしばし主人公。」
個人的な雑誌2
「お待たせしました。著者が自分の雑誌を作る、その第2号です。」
花のある静かな日
「あなた自身の、花のある美しい時間を、見つけてください。」
きみを愛するトースト
「彼女は機内で、彼から贈られた小さな本を読む。オリジナル・エッセイ」
生きかたを楽しむ
「この小説に登場する素敵な人たちの誰もが、生きかたを楽しむ。」
ふぅ~、疲れた。
ここに書かなかったものは帯がなく、捨ててしまったか、古本だったのでしょう。
あー、書き始めたら止まらなくなり、こんな時間。
探し物は、明日探してみよう。
それにしても、何で取って置いたのか不思議でしょうがない。
これも1つのタイムマシーンだな。
別所の安楽寺にある八角三重塔の話を、ぼくたちはした。ぼくも彼女も、その三重塔を見てきたばかりだった。
「国宝だってよ」
「そうなのね。四重なのに、なぜ、三重塔なのかしら」
「いつも三重だから、しじゅうなんだ」
ぼくたちは、笑った。
塔のまわりの杉木立の、セミの鳴き声をぼくは思い出していた。安楽寺は、信州でいちばん古い禅寺なのだそうだ。
『彼のオートバイ、彼女の島』より
石畳の道をオートバイで進むと、砂利がひかれた駐車場に出た。そこにオートバイを停めて、歩き始めた。苔むした石段をゆっくりと登っていくと大きなひさしの塔がそびえ建っていた。なぜか四重なのに三重塔と呼ばれている。説明書きによると雨よけのひさしとの見解で、三重塔と呼ばれているそうだ。
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