テーマ:
0.イントロダクション
1.研究者と問題発見
2.変人を参照すること
3.企業とアカデミアの共通点


前回、「企業とアカデミアで相容れないこと」というタイトルを予告しました。

このタイトルを考えた時には、企業と大学(研究所等も含む、学問を行う所)の間には、何らかの違いがあると考えていました。しかし、この原稿を書くにあたって、実はこれらの間には違いはないのではないか、あっても些細なものなのではないか、という考えに至りました。なので、今回は、私がどう考えたのか、企業と学問はどう同じなのか、ということを説明していきたいと思います。

企業において企画とは、あるいは企画の元になる問題発見は、最終的に企業の収益をあげる、ということが目標になります。学問・研究における問題発見も同じで、学問的な成果や、応用で使える技術の開発を着地点とした成果が求められます。どちらにおいても、問題とその解決手段が文化として広がっていくことが、「成果」につながるのです。

企業と大学での問題発見において違いがあるとすれば、それは成果が金銭を媒介として観察されるかどうか、ということでしょう。これは成果に注目するならば、些細な違いであると言えます。

では、もう少し学問と問題発見の共通点に注目していくことにします。

学問では問題発見の根本として、論文を参照することができます。というよりも、論文を参照することは基本であって、その先に何をするかが問題になります。論文とは、その筆者がある問題に取り組んだ「考え方」を伝えるものです。そこには、問題発見のヒントがちりばめられています。

一方で、わたしたちは「製品」を目にすることができます。時代背景や、その製品が開発される前の社会環境などもあわせて考えると、どのような文化開発が行われようとしていたのかがわかります。会社内では、企画書や仕様書といった文書を残しておくものでしょう。それらの参照によって、さらに詳しくどのように問題発見が行われたか、がわかるわけです。このような観点からすると、仕様書や企画書といったものはアーカイブする必要があり、またその執筆の際には、後に参照されてもわかりやすい文書にすることを心掛けねばならないでしょう。

ともかく、学問にしろ、企業での問題発見にしろ、このようにして方法知の共有を行うことができます。前に題材にした、『新しい市場のつくりかた』でも、方法知の共有が問題開発に有用である、という話がありましたね。

科学の世界、とくに基礎科学の世界では、研究の情報が論文によって全世界に発信されます。科学に縁の薄い方々でも、ネイチャーやサイエンスといった雑誌の名前はきいたことがあるでしょう。このような雑誌に、問題意識からその問題解決の手法まで、書いて投稿するわけです。

企画においても、これからはオープンな企画者コミュニティといったものが、「学会」や「雑誌」といった形でありうるのではないか、と私は思っています。企画書や仕様書がストックされていくという雑誌の形態は(どう儲けるのかはさておき)、面白いと感じます。さて、このような「企画のオープン化」ともいうべき文化を広げることは、一体可能でしょうか……?

『喜嶋先生の静かな世界』を題材にしよう、と思った時はもう少し簡単に考えていたのですが、小説を題材にするのは思ったより難しいものですね。

次回からは、コミュニケーションについて考えてみようと思います。
AD
いいね!した人  |  コメント(1)  |  リブログ(0)

AD

Ameba人気のブログ

Amebaトピックス

      ランキング

      • 総合
      • 新登場
      • 急上昇
      • トレンド

      ブログをはじめる

      たくさんの芸能人・有名人が
      書いているAmebaブログを
      無料で簡単にはじめることができます。

      公式トップブロガーへ応募

      多くの方にご紹介したいブログを
      執筆する方を「公式トップブロガー」
      として認定しております。

      芸能人・有名人ブログを開設

      Amebaブログでは、芸能人・有名人ブログを
      ご希望される著名人の方/事務所様を
      随時募集しております。