「東京都庭園美術館 殿下書斎の修復3」 | Classic to Modern デコラティブアート的造形と家具作家の日記

「東京都庭園美術館 殿下書斎の修復3」

昨年夏から3期に分けて修復をしていた東京都庭園美術館2階

殿下書斎の修復が終わりました。

 

2016年7月に書斎内壁面の古い塗膜を剥離して

9月にセラックニスの塗装を始めました。

画像は、9月にニスを吹き付け塗装しているところです。

 

 

この画像は丸い柱の部分にたっぷりとニスを塗って

艶が出ているのがわかります。

 

背後の壁はまだニスを塗っていないので艶がありません。

 

ニスを全体に厚く塗るとこんな風になります。

だいぶ艶が出て来ました。

 

セラックニスは硬化剤を使わない塗料なので乾燥に時間がかかります。

9月にたっぷり塗ったニスを約3ヶ月乾かして

12月の年末から仕上げの作業に入りました。

 

まずは乾燥した塗膜を丁寧に研磨をして、スムースにしていきます。

 

サンディングペーパーで研いだ所は艶が無くなっています。

書斎内の壁面すべてを研磨するのはなかなかの重労働でした。

サンディングペーパーをずっと持っていた右手の指は、指紋が無くなって

スマホの指紋認証ができなくなりました。

 

サンディングが終わったらニスを部屋全体にひたすら吹き付けていきます。

 

これは扉を塗装しているところです。

 

 

壁面も塗装していきます。

 

吹き付けたニスがミストになって部屋全体に霧がかかっているようでした。

 

仕上げの塗装が終わったところです。

 

ニスの光沢が美しいです。

 

壁面全体に艶が出て、とても色気のある空間になりました。

朝香宮殿下がこの部屋で過ごしていた時と同じ状態に修復されました。

カーテンを閉めて間接照明に照らされると赤味のある美しい色になります。

 

 

 

 

かなり嬉しかったので、アシスタントのSさんと

一枚ずつ記念写真を撮りました。

 

 

手間のかかる施工で最後まで無事に終わるか心配しましたが

コツコツとやるべきことを積み上げていくと、ちゃんと完成できると

再認識した仕事でした。

終わってみるととても楽しい施工でした。

 

この先も塗装のメンテナンスにしっかり関わっていきます。