日本弁護士連合会の「企業等不祥事における第三者委員会ガイドライン」では、説明責任についての指針(調査報告書の開示に関する指針)の②で、

企業等は、第三者委員会の設置にあたり、調査スコープ、開示先となるステークホルダーの範囲、調査結果を開示する時期を開示すること。

としている。

 

 が、今回の日本将棋連盟の第三者調査委員会では、残念なことに、「出場停止処分の妥当性、三浦九段の対局中の行動について、調査を要請しました」と調査スコープ(調査対象範囲)が示されているだけで、調査結果開示時期などが示されていない。

 

 一般的に、第三者委員会が設置されてから報告書を提出するまでの期間は、2か月、3か月というものが多い。
 恐らく、今回の委員会では、三浦九段の出場停止処分(年末まで)の解除の前後に発表することを予定しているのだろう。

 

 もちろん、筆者は一日でも早い結果の公表を願うが、調査を行い、報告書にまとめるには、それなりの日時を要することも当然だ。
 真摯で誠実な調査が適切に行われ、今回の不祥事の真の原因が明らかにされることを願っている。

 

 ただ、ガイドラインでは脚注で、

 

調査の過程では、設定した調査期間内に調査を終了し、調査結果を開示することが困難になることもある。そのような場合に、設定した調査期間内に調査を終了することに固執し、不十分な調査のまま調査を終了すべきではなく、合理的な調査期間を再設定し、それをステークホルダーに開示して理解を求めつつ、なすべき調査を遂げるべきである。

というように、調査の過程での状況に応じた判断も認められるものとしている。

 

 もし、三浦九段への出場停止処分が重大・明白な瑕疵があると考えられた場合には調査過程であっても、急遽、中間報告として、将棋連盟に処分の解除をアドバイスすることが妥当だろう。

 

 さて、そうは言っても現状を考えると、竜王戦が決着するまで第三者委員会は何も言わない可能性が大きい。
 やはり、年末になるのだろう。
 年末のどさくさに紛れてと姑息なことを考えているかもしれないが、問題は、どのような報告書となって、それを受けて将棋連盟はどのように動くのか、という点だ。

 

 第三者委員会の報告書で示される見解等が、将棋連盟側にとってどの程度きびしいものとなるか。
 また、厳しい見解が示されたとき、将棋連盟がどれだけ潔く決断できるか。

 

 不祥事に関する第三者委員会の例は様々あろうが、例えば、2012年10月の週刊朝日の橋下徹特集記事問題というのがあった。
 その際には、第三者委員会の見解を踏まえて、出版元である朝日新聞出版が非を認め、社長は引責辞任、編集長は停職3か月及び降格などの処分が取られたそうだ。

 

 今回の将棋連盟の不当処分疑惑についても、筆者は、重い処分が科されてもやむを得ないものだと思う。
 例えば、会長の引責辞任やタイトルホルダーの除名処分等があっても不思議ではない。

 

 棋士の皆さんも将棋ファンも、今後の第三者委員会の報告結果、それを踏まえての将棋連盟の対処がどのようなものになっても、冷静に受け止めるとともに、将棋連盟が今回の不祥事を深く反省し、ファンの信頼を回復するよう努めることを期待すべきだと思う。

 

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