先日、渡辺竜王がブログを再開した。
 
皆さんのご意見は届いていますし、1月の報告会等でも棋士から私に対して厳しい意見がありました。それらは真摯に受け止めます。
 
この「受け止めます」というのが、ニュアンスは「受けて立ちます」と感じるのは筆者のみであろうか。
 
開幕した棋王戦五番勝負をはじめとした対局に取り組みながら、新理事会や棋士と話をしていきたいと思っています。機会があれば将棋ファンの皆さまにもご説明をしたいと考えています。
 
とのことで、対局にはしっかり取り組むと宣言しており、やはり反省は垣間見ることもできない。
今日のブログでも、
 
隠しているわけではなので、いずれは皆さんの疑問に答えますが、双方向性がある場所でないと説明が難しいものもあると思いますので。
 
このような言動が、初代永世竜王としてふさわしい振る舞いではないとは考えないようだ。

昔、筆者は渡辺竜王を応援していた。
2008年の竜王戦七番勝負は、羽生名人が挑戦者として登場し、あっという間に渡辺竜王が3連敗した。
その後、ご承知のとおり、第4局の奇跡的な逆転からの4連勝でタイトルを防衛した。
将棋界初の3連敗後の4連勝で、渡辺ファンとして興奮したものだった。

文春新書に渡辺明の『勝負心』(2013年発行)という著書があり、冒頭にその竜王戦のことが記載されている。
それを読むと、あの頃、元気で、生意気なところもあるが、羽生名人に拮抗できるかもしれない若者の登場に、将棋ファンとして盛り上がっていたのを思い出す。

ただ、今となっては、この本も愉快に読むことができなくなった。
昔は、渡辺竜王の失敗談に、おいおい、それは先輩に失礼だよと笑って読み流せたことが、そうはいかなくなった。

改めて読むと、文章がいわゆる「ゴーストライター」の文体であり、ライターの質問に渡辺竜王が答えるといったインタヴューをもとに文章にまとめて作った本だろうと思われる。
(筆者は、渡辺竜王のブログも好きで、よく見ていた。この本の文体よりもブログの文体が良かった)

29歳(当時)にしては、いいことを言っている。例えば、
 
人間は挫折を味わってこそ成長する。(p.27)

将棋においても、日常生活においても、ミスを犯したときに、次にどう行動するかで、その人の真価が問われるのである。(p.127)
 
本当に、本人が発言したのだろうか。
スタッフが書き加えたのではないかと思ってしまう。
今の渡辺竜王に送りたい言葉だ。

本書の結びの一文は次のとおりである。
 
もちろん当分の間、引退するつもりはない。しかし、棋士として、「初代永世竜王」の称号にふさわしい振る舞いをしなければならない。(p.180)
 
なかなか立派な決意表明だ。
本人は覚えているだろうか。思い出せないだろうか。
 
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