PDCAなき政治に決別を~統一地方選前半戦結果を受けて | 選挙バカ一代~衆院選、参院選、統一地方選~

PDCAなき政治に決別を~統一地方選前半戦結果を受けて

ペタしてね

地域政党 大阪府議会で過半数確保 愛知県議会は届かず
朝日新聞 2011年4月11日1時12分
http://www.asahi.com/politics/update/0411/TKY201104100324.html

 橋下徹・大阪府知事が代表の地域政党「大阪維新の会」は府議選(定数109)で57人、大阪市議選(同86)で33人が当選した。
 それぞれ改選前議席の29と13から大幅に議席を増やし、府議会では目標の過半数を確保する躍進ぶりを見せた。
 橋下氏が「主戦場」と位置づけた市議会では過半数に届かなかったが、19議席の公明党や17議席の自民党を大きく引き離し、第1党となった。
 市議会でのさらなる支持拡大は欠かせないが「大阪都構想」の実現に弾みがついたといえる。
 堺市議選(同52)でも改選前の7議席から13議席に増やし、第1党を確保した。
 橋下氏は都構想に反対する大阪市を「仮想敵」に見立て、激しい批判を繰り返した。
 震災後、有権者の関心が薄れたと見るや「メッセージの出し方を大きく変えないと」(橋下氏)と攻撃一辺倒ではなく、西日本にも首都機能が必要だと力説し始めた。
 他党からは都構想に対し、「今は被災地支援や災害対策を考えるべきだ」「政治は実験ではない」との批判を受けたが、維新の会は無党派層のほか民主、自民の支持層にも浸透し、「橋下人気」の健在ぶりを見せつけた。

 一方、河村たかし・名古屋市長の地域政党「減税日本」と、大村秀章・愛知県知事の地域政党「日本一愛知の会」は、愛知県議選(定数103)で公認・推薦あわせて45議席を獲得し、最大勢力となったが、目標の過半数には届かなかった。
 両氏が掲げる「県民税10%減税」実現には曲折が予想される。 改選前は減税日本の1議席だけだったが、減税日本は13人、愛知の会は5人が当選した。
 加えて愛知の会が推薦した公明、自民などの公認候補27人が当選した。 
 震災後、菅政権や民主、自民両党内では増税論が浮上し、「減税」への風当たりは強まったが、河村氏は「ここで増税なんてとんでもない。こんな時こそ減税」と「増税なき震災復興」を訴え続けた。

民主、厳しい戦い 道府県議選、自民は前回並み確保へ
朝日新聞 2011年4月11日2時37分
http://www.asahi.com/politics/update/0411/TKY201104100345.html

 10日投開票された41道府県議選(総定数2330)は、1年半前に政権交代を果たした民主党が前回得た335議席を維持できるかどうかが焦点だった。
 辛くも前回の獲得議席は上回ったものの、終盤まで厳しい戦いを強いられた。
 一方の自民党は前回並みの議席を確保する見通しで、次期衆院選に向け、地方組織立て直しの足がかりは築いた。 
 民主党は当初、政権与党となって初の統一地方選に意気込んだ。
 千人以上の公認候補を擁立する目標を立てたが、菅内閣の支持率低迷が続き、擁立は難航した。
 さらに立候補予定者からの公認辞退も相次ぎ、公認候補は571人(告示後、岡山で無所属に変更した1人を除く)しか立てられなかった。
 前回より146人多いものの、当初目標の半数にも及ばず、党勢拡大に欠かせない地域組織の強化には至らなかった。
 政権与党であるにもかかわらず、41道府県の議会で第1党の座を確保することもできなかった。
 一方、自民の公認候補は前回より131人少ないものの、1244人(告示後、福井で追加公認された1人を含む)を擁立した。
 このうち現職は8割以上を占める1032人。自粛ムードの選挙戦では、知名度で勝る現職に有利に働いたとの見方も強い。
 公明は前回より1人減の172人を擁立した。組織力を生かし、前回、前々回に続き全員当選をめざしたが、かなわなかった。
 共産は前回に比べ67人減の225人、社民は16人減の45人と絞り込んだ。福島第一原発の事故を踏まえ、両党とも原子力政策の是非を最大の争点に掲げたが、伸び悩んだ。
 昨年の参院選で躍進したみんなの党は党幹部の地元の栃木、神奈川などを中心に103人を擁立したものの、参院選時のような勢いは見られなかった。

民主、支持層を固めきれず 朝日新聞社出口調査
朝日新聞 2011年4月11日1時24分
http://www.asahi.com/politics/update/0411/TKY201104100307.html


 朝日新聞社が10日、主な知事選、指定市長選で実施した出口調査を分析すると、民主党にとって極めて厳しい状況が各地で見られた。
 北海道を除き、投票者の政党支持率は自民を下回った。
 独自候補の擁立見送りが続出した上、民主支持層の票が自民・公明の推す候補に流れた例も多い。
 東京都知事選では、民主党支持層の票は、石原慎太郎、東国原英夫、渡辺美樹の3氏にほぼ均等に分割された。
 そんな中で、石原氏は自民、公明両党の支持層の7割を固めた。無党派層の票も、前回選挙では民主などが支援した候補の方が多かったが、今回は石原氏が最多だった。
 東国原氏は4年前の宮崎県知事選で無党派層の6割の票を得たが、東京の無党派層は厳しかった。
 民主・自民の対決の構図となった北海道では、民主推薦の木村俊昭氏は民主支持層の47%からしか得票できず、44%が自公推薦の現職に投票した。
 三重県知事選でも、民主支持層の26%が自公など推薦の鈴木英敬氏に流れた。広島市長選では、民主県連が支援した豊田麻子氏は、民主支持層の45%からしか得票できず、自民支持層の61%を固めた松井一実氏に及ばなかった。
 大阪府議選では、橋下徹知事が率いる「大阪維新の会」が大きく議席を伸ばし、過半数を占めた。民主、自民、維新の会が最低1人の候補者を立てた大阪市旭区、東住吉区、西成区、堺市北区、豊中市、東大阪市で出口調査をしたところ、維新の会は民主、自民の支持層から、ともに3割強の票を取った。 無党派層は6割近くが維新の会に投票した。
 3月の名古屋市議選に始まる「首長与党」の躍進だが、地方自治の新たな潮流をつくるのか、それとも混迷の要因となるのか。にわかには評価できないにしても、有権者が既成政党への不信を突きつけた典型例であることは間違いない。

震災・議会不信…投票率、戦後最低48% 道府県議選
朝日新聞 2011年4月11日0時46分
http://www.asahi.com/politics/update/0411/TKY201104100306.html

 統一地方選の前半戦の平均投票率は、知事選が52.77%で戦後2番目に低く、道府県議選は48.15%で戦後最低を更新し、初めて40%台に落ち込んだ。
 三つの「やはり」が口をつく。
 一つは「震災だから」。いまも避難者は15万人を超えている。原発事故に余震も続き、停電の混乱もあった。街頭演説が、はばかられた地域もある。震災で住民の連携の大切さや自治体の役割が見直されたものの、なかなか選挙モードには切り替わらなかった。
 二つめは「知事選が地味だから」。現職が強く、勝敗が見えていれば、投票所への足も遠のく。その責任の過半は民主党にある。首都決戦に独自候補なしでは「選挙放棄」に等しい。これでは、道府県議選でも敗北するわけだ。
 三つめは「議会不信だから」。41道府県議選のうち34道府県で戦後最低だった。昨年来の名古屋市などでの「首長VS.議会」で噴出した議会批判の根深さを裏付ける。だが、これは実は長年続く傾向だ。
 なにしろ栃木は32年前の1979年から9回連続で最低記録を更新している。青森、群馬、長野は8回連続。秋田が7回、山形、石川は5回、鳥取が4回連続のワースト記録である。岐阜、静岡、和歌山、山口、愛媛、長崎、熊本、大分、鹿児島も3回連続だ。
 止まらない下落ラッシュは、有権者が「県議とは何なのか」という疑問を募らせ続けている証しだ。
 今回、島根では定数の7割、岐阜で4割、山形、香川の3割強が無投票で選ばれた。全国平均も2割弱。有権者に選択の機会を与えなければ、民意との距離は広がるばかりだ。
 高い支持率の首長が率いる地域政党が議席を大幅に増やした大阪と愛知でも投票率は40%台だ。愛知は戦後最低だ。そんな低率でも議会の顔ぶれを大きく変える結果になった。
 一連の結果から見えてくるのは、全国に鬱積(うっせき)する「議会不信」の巨大さである。このまま増幅すれば、いずれ議会不要論やカリスマ首長待望論に行き着きはしないかと懸念せざるを得ない。
(引用ここまで)

統一地方選の前半戦が終わりました。
結果についての私の評価は、投票率が低迷した事を除けば、ほぼ満足すべき結果かなと思います。
正直な話、当日に投票率の速報を見た時は50%を下回る見通しで、「大阪維新の会、終わったな…」と思ったものです。
ところが、その後NHKの速報では次々と大阪維新の会の候補者に当確が。
大阪府議選では60人候補者を立て、落選者はわずか3人。見事過半数を獲得。
私の住む大阪市東成区のアラサー世代期待の星・岩谷良平さんもNHKで当確が出たのは一番最後でしたが、見事当選しました。
さて、大阪市東成区の選挙結果に対するコメントは他の記事でするとして、まずは前半戦全体の総括を。

やはり、何と言っても、地域政党の躍進が目立ちます。大阪維新の会の大躍進も驚きですが、愛知の減税日本日本一愛知の会も過半数獲得はならなかったものの、健闘しました。
要因は、やはり、既存政党への不信感。民主党にしろ、自民党にしろ、選挙の時だけしか有権者の前に顔を出さない。メディアに露出する機会の多い議員以外は、普段何をやっているのかさっぱり分かりません。
そして、大半の議員は、有権者のおかげで当選した癖に、有権者に対しての説明責任を放棄しています。
(定期的に報告会を開いてくれる議員もいますが、少数派です。)
我々が投票した所で、それがどう日本を、地域を良くする事につながるのか。さっぱり実感が湧きません。
投票率が上がらないのも、そこに原因があるのでしょう。

大阪維新の会はこうした有権者のニーズを汲み取っていたように思います。
大阪維新の会は昨年8月より大阪府内各地で59回もタウンミーティングを開き、公約である大阪都構想について説明してきました。こんな政党は、少なくとも私が知っている中では初めてでした。
タウンミーティングのうち大半は橋下知事出席の中で開かれました。
公務で忙しいでしょうに本当に脱帽です。

今回の選挙を2009年の政権交代選挙とダブらせる人も多いようですが、私は決定的に違う点が2つあるように思います。ですので、大阪維新の会が2009年以後の民主党政権のような体たらくとなる可能性は低いものと考えています。
1つ目は投票率
2009年衆院選では大阪府内の投票率は66.79%。2005年の郵政選挙では65.37%。2003年衆院選が54.92%でしたから、2005年、2009年では、今まで政治に関心を持たなかった人もかなりの数で投票に行った事になります。
結果、私のように十分な政治知識を持たずに候補者を選んでしまう人がかなりの数で発生し、結果的に過ちも犯してしまい、政治の混迷を招きました。

ですが、今回の大阪府議選の投票率は46.46%。前回2007年の選挙では44.90%でしたから、実はさほど投票率は上がっていないのです。
上昇したのは+1.56%。有権者数は688万人ですから、約10万人の増。
選挙区の数は62ですから、1選挙区あたり約1700人上昇した事になります。
前回投票しなかった1700人が投票に行ったくらいで、しかも全員が大阪維新の会に投票するわけもないのに、普通ここまで選挙結果がひっくり返るでしょうか?

答えは3番目の引用記事の出口調査が示しています。
維新の会は民主、自民の支持層から、ともに3割強の票を取った。
そう、既存政党の支持者が大阪維新の会を支持したのです。
理由は、やはり既存政党への不信感。
民間企業であれば、必ず株主向けに経営状況の報告や今後の経営方針の説明を行います。
なのに、政治ではなぜかそれが行われません。全てマスコミ任せ。
で、正しく報道されなければ、情報操作だなんだと騒ぐ。
マスコミの肩を持つわけではありませんが、マスコミだって人間です。誤解だって誤報を流す事だってあります。
マスコミ情報が間違っているなら、自分で有権者に向かって説明すればいいではありませんか。
橋下知事はそうやって府議会で過半数を取ったのです。

日本国憲法では、国民主権と定めています。しかし、現実にはこれを理解していない政治家が余りにも多すぎるように思います。
実際にはまじめにやっている議員が多いんでしょうが、国民に対する報連相ができていない
主権者は国民。つまり、政治家目線で言えば、国民は上司です。
なのに、上司に成果報告をしない。これでは上司にそっぽを向かれても当然でしょう。
え?成果なら文章で発表している?分厚く何時間も読みこなさないと理解できないような難解な資料は、上司は見向きもしません。こっちだって忙しいんですから。

まぁ何を言いたいかというと、要はタウンミーティングを定期的に開いて議員が普段何をしているかをちゃんと有権者に分かりやすく報告せいと。要するにそういう事です。
その願いを込め、当記事のタイトルを「PDCAなき政治に決別を」とさせていただきました。

但し、議員のほうにばかり問題があるわけではなく、上司たる我々国民にも問題があります。
そもそも、我々は議員をちゃんとマネジメントしてきたのでしょうか?
難しい事は全部議員に丸投げ、任せきりだったのではないでしょうか?
これでは議員もやる気をなくします。不正への誘惑に負けてしまいます。
我々も議員に要望という形で日本が歩むべき道について方向性を示す必要があります。
また、不正をしないか見張る必要があります。

我が東成区においては偶々意識の高い議員が多かったのか、大阪維新の会だけでなく、自民党も、公明党も報告会を開きました。
ですが、民主党は報告会を開きませんでした。
東成区は衆院大阪4区に属するのですが、当区選出の吉田治衆院議員(民主党)はまだ1回も国政報告会を開いておりません。
昨年のちょうどこの時期に、民主党は参院選へ向けてのマニフェスト作成に役立てるため、「全国一斉タウンミーティング」を開きました。
ところが、「全国一斉」と銘打ったくせに、大阪4区では開かれた様子はありません。
一度吉田事務所へ問い合わせたのですが、後日電話しますと言ったきり、音沙汰なし。
今回の統一地方選の選挙戦のお手伝いで、衆院選当時吉田治氏のボランティアをしていた人の話も聞く事が出来ましたが、やはり音沙汰なしとの事。一体どうなっているのか。
当時は丁度大阪維新の会の初陣となった福島区補選(5月)を控えていたため、タウンミーティングどころではなかったのでしょう。
補選の結果は政権与党にも関わらず政党公認者中最下位の惨敗。選挙も大事なのは分かるが、国民を蔑ろにするからだ。ザマーミロ。

というわけで、2009年衆院選では政権交代ブームに乗せられ、吉田治氏に投票してしまいましたが、今では少し後悔し始めてます。政権交代を起こした事自体は後悔してませんが。
当時は柴橋正直氏や福田衣里子氏といった若い力を応援しようと民主党に票を投じたのですが、よく考えてみれば私が直接支援できたアラサー世代候補者は比例代表単独で近畿ブロックより立候補していた松岡広隆氏のみだったので、小選挙区で吉田治氏に票を投じる必要は無かったのです。
対立候補の中山泰秀氏(自民)は吉田氏より若く、外務政務官を務めるなど外交の専門家。
尖閣諸島問題などを見るに付け、「小選挙区は中山、比例で民主にしておけば良かったかなぁ…」と思ってしまいます。
まぁ後悔先に立たずですが。

1つ目が長くなりましたが、理由の2つ目は選挙制度の違い。
衆院選は小選挙区比例代表並立制。小選挙区で惜敗率が50%くらいでも比例復活してしまったり、選挙直前にいきなり名簿に名前を貸しただけで国会議員になったりなんて訳の分からない状態になりました。
そして、代表選の最中にいきなりヒッチハイクをしたり、震災対応や統一地方選の応援で忙しい筈のこの時期にペットカフェに現を抜かすような、国会議員としてふさわしくない人物が国会議員になってしまう事態が起きました。
しかし、これらは全て比例区選出の議員の話。少なくとも、柴橋正直氏や福田衣里子氏など、小選挙区を勝ち抜いた新人議員に関しては、それなりにまともな議員が多いように感じます。

さて、一方の地方選ですが、こちらには比例復活などというふざけた制度はありません。落選すればそれまでです。
従って、必ず有権者の審判を受ける事になります。有権者がダメと判断すれば落選します。
選挙区当選の議員の才能を疑うと言う事は、その選挙区の有権者の知能を疑う事と同義です。
まぁ、実際他府県のネットユーザーからは「また大阪か!」とか言われているのかも知れませんが(笑)

以上、長々と2009年衆院選と今回の大阪府議・市議選で異なる理由を述べました。
もし、現職議員の中で、「大阪維新の会を支持する奴は馬鹿だ」と言っている議員がいるとすれば、自分の支持者の3割をけなしているという事になります。特に2年以内に衆院選を控えている衆院議員の皆様、どうか勘違いなさらないようよろしくお願いします。

読者登録してね