「まほろ市の殺人 秋―闇雲A子と憂鬱刑事」 麻耶雄嵩 | カラクリリリカル

「まほろ市の殺人 秋―闇雲A子と憂鬱刑事」 麻耶雄嵩

架空の「真幌市」という所で起きる事件を題材に、
4人の作家が書き下ろしの中篇小説を競作する「幻想都市の四季」シリーズ。
倉知淳さん(春)・我孫子武丸さん(夏)・麻耶雄嵩さん(秋)・有栖川有栖さん(冬)
というなんとも豪華メンバー。

現在脊髄反射状態で麻耶雄嵩さんの本を買い集めている為、いきなり秋から読んでしまいましたが、どうやら各作品完全に独立しているようで、何の問題も無く読めました。


まほろ市の殺人 秋

麻耶 雄嵩
まほろ市の殺人 秋―闇雲A子と憂鬱刑事

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「早く乗せて!」非番の刑事天城憂の車に、女性が乗り込んで来た。真幌市在住の有名なミステリー作家闇雲A子だった。この春から十一件も連続して殺人事件が発生している。その「真幌キラー」をA子は追っていたのだ。死体の耳が焼かれ、傍には必ず何かが置かれている。犬のぬいぐるみ、闘牛の置物、角材…。真幌市を恐怖のどん底に陥れる殺人鬼の正体とは。
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まずビックリしたのは語り口が軽い!
中篇という長さの為なのか、体言止めを多用したテンポの良い文章で、ちょっと捲ってみるだけのつもりがスラスラと読み終えてしまいましたw

しかし、やはり麻耶雄嵩さん。闇雲A子、メランコ、鬱、怪盗ビーチャムといった名前も性格も変なキャラクターが続々登場。コメディタッチで、11人連続殺人事件の犯人を追うことになる破天荒ぶり。

連続殺人の死体の横には必ずぬいぐるみやら角材やらジオラマやらが置いてあるのだが、途中真幌市のキャラクターという変な生き物まで出てきて、ダークな殺人が起きた場面でも思わず笑ってしまいますw

そしてどんどん本格ミステリからズレて変な展開になってきて…ラストもやはり麻耶雄嵩さん。
しっかりと崩壊して、落ち着かないイヤーな気持ちにさせて頂きましたw

「ヘリオスの神像」、「夏と冬の奏鳴曲(ソナタ) 」そしてこの作品と読んできましたが、それぞれ全く違ったタッチでありながらも芯にある麻耶雄嵩ワールド。
これはやはり全ての作品を読まないと気が済みませんw