夜海を照らす月を見上げて

ストーリーと夜半言の部屋


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 先日、Adobeの「Photo shop」と、「Illustrator」というソフトを入手しました。

画像処理と、イラスト作成をするためのものですが、

かなり前に少々使っていたものの、使いこなしたレベルではございません。

 

以前より、文章に挿絵がほしいなぁと思っていました。

どなたかにお願いできる身分ではないので、自分でどうにか・・・なんて。

ですが、ソフトがどうとか言う前に、まずは絵を描けるのかという大問題が。

ちゃんとした写真が撮れるのかという、課題が。

やばいです。文章以上に難しいかもです。

 

とりあえずインストールをしますが、「うおぉーーー!やめたやめたー!」と、

投げ出す姿が早くも目に浮かび、恐ろしくなっています(笑

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 頭の中で思い描いたシーンを、いざ書く(またはキーボードを打つ)時、

「神様~、どうか私に書かせてください!」

と、かなり大げさにお願いをする、変な癖があります。

 普段は全くと言っていいほど、そういうことに無関心な人のくせに、

なんとも自分勝手で都合のいい私です。


 ただそれは、頭の片隅のどこかに

「書いている私」ではなく

「書かせてもらっている私」という

意識が働いているせいかもしれません。


 以前に「私はアリス」の中で少し触れましたが、

子供時代、病弱な時期があったことも

私が本の世界にのめりこんでいった一つの要因だと思います。


 ハックルベリーの自由に憧れ

幸福の王子のつばめに涙し

小公女に励まされ

秘密の花園に胸がときめき


毎日毎日、それこそ恥ずかしい話、トイレの中にも持ち込むほど、

時間を惜しんで読みふけっていました。

 もとはといえば、私以上の読書好きであった母親が薦めたことでしたので

おもちゃを買ってくれることはなくても、全集であろうと、少々高価であろうとも、

惜しまずお金を出してくれました。

自分の部屋に納まりきらなくなり、あげく、本の部屋が一つ別にできてしまったほどです。


 私は、一体何を求めて、それほどまで読書に没頭していたのでしょうか。

それは多分、「幸せ」を探していたんじゃないか。

純粋な気持ちで、勇気や青春や、戒めや道徳を吸収しながら

本の世界の中では、元気に飛び回る自分がいて幸せな気持ちになれました。

実は病弱だったのは一時のことで、今は十分元気すぎる大人ですが(笑


 周りの女の子が、「ケーキ屋さんになりたい」「お花屋さんになりたい」

などの夢を作文で書いていた中で、「小説家になりたい」と、今では

赤面ものですが、堂々と宣言したものでした。


私にとって、小説家とは「人を幸せにできるお仕事」だったからです。


夢は夢だとため息まじりに苦笑しながらも

書いて、そしてありがたいことに、読もうとしてくださる方がいる。

そして、またそこから私の書く原動力が沸き起こるのです。


あっそうでした。

「神様~書かせてください」ではなく

「読者様~書かせてください」じゃないですか。

たった今、気がつきました(笑


あの頃の純粋の延長線上に私が立っているとはいえません。

ですが、もちろん今も山積みの書籍に囲まれながら

小さな幸せを満喫しています。

そして、やはり今も、作家は人を幸せにする仕事だと思うのです。


今夜はつらつらと独り言につき合わせてしまいました。  ごめりんこ。

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ピィピィヒャラドン、ピィヒャラドン。

「なあ、お父ちゃん。りんご飴買うてなあ」

美里は今夜、黄色地で金魚柄の浴衣の上に、絞り兵児帯を締めてもらい

自分の手を引いて歩く父親の顔を覗き込んだ。

遠くの景色が、まるでゆらゆらと写るほど暑い昼間に比べ、幾分風は涼しげにそよいでいる。

祭りの賑わいを知らせる笛と太鼓の音が、いつもならば、

すでに寝静まっているはずの夜の空気に流れ渡り、村人の足元を浮かせるのである。

「ええけど、みっちゃん。綿飴も食べたいんやろ」

「うん」

「そんなに甘いもんばっかり食べたら、歯が痛うなるで。後で泣くかもしれへんで」

父親は、どちらか一つにするよう言ったが、駄菓子家にりんご飴は置いていない。

こんな時にしか食べられないのだから今日は許してくれと、美里は懇願した。

「お父ちゃんは食べへんの?」

「いらん」

「なんで?」

「お父ちゃんは、砂糖より酒やからなあ。酒好きは、甘いもんが嫌いと相場がきまってるんや」

「ふうん、けどタカ坊が言うとったで。この間、タカ坊とこのおじちゃん、大福餅をいっぺんに三つも食べたんやて。でも、お酒もぎょうさん飲むねんて」

「それは、両党っちゅうやつでな。長生きしたいもんがすることやないなあ」

そう言うと、父親は大口を開けて笑った。

美里は、胸が膨らむほど大きく息を吸った。

山から降りて来る木々の香りは夜の湿り気を帯びて、一層濃く放たれているように匂う。

だんだんと近づく笛の音と共に、美里は胸の高鳴りを覚えた。

「境内に入ったら、迷子にならへんようにしっかり手をつないどくんやで」

「うん、わかってる」

答えて、ぎゅっと手に力をこめた。 

時折意識して、父親の分厚い手の感触を確かめるたびに、ふわっと広がる安心感が心地いい。

そんな時、いつも父親が大好きだと思う。

だが今日、学校の放課後、男子生徒から言われた言葉を思い出してまた泣きそうになり、

気づかれないよう暫く下ばかりを向いていた。

「みっちゃん、慣れてない下駄履いて足疲れたんか。もうすぐ着くで」

父親は歩を停め、しゃがんで彼女の下駄の鼻緒に手をやった。

「お父ちゃん」

「なんや」

「私な、お父ちゃんのこと悪く言う人、みんな消えてしもうたらええと思うねん」

美里より下にいた父親は、顔を上げ静かに聞いた。

「どないした。誰かに、なんか言われたんか」

「ううん、なんも」

「なら、ええがな」

立ち上がり、父親が軽く自分の頭を撫でたせいで、もっと泣きそうになった。




「うちのお父ちゃん見たんやて。この間、おまえの父ちゃんが“あおい”で酔っ払って暴れてたとこ」

焼け付くように暑い校庭の隅の水道で、如雨露に水を流し入れる美里の後ろから

その言葉は、なんの前触れもなく突然、背中に投げつけられた。

びっくりして落とした如雨露を跳ね返った水しぶきが、勢いをつけて額にまで届く。

美里は濡れた前髪を拭うこともせず

「そんなん嘘や。お父ちゃんはそんなことせえへん」

蛇口を止める手が、震えているのが自分でもわかった。

「う、嘘やないでえ。なあ」

様子に感ずいたのか、少し語気を弱め、

隣の誰かに同意を求めているらしいが返事は聞こえない。

みるみるうちに涙は溢れ出すが、そんな顔を見られたくないと思い、

背中を向けたまま、身を固めていた。

「おまえんとこの母ちゃんが死んでもうてから、おかしくなったんちゃうかって、そない言うてたもん」

逃げるように土を蹴る音と共にそれは遠くで聞こえ、その後あたりはしんとなった。

雫だらけの顔に、とめどなく涙がこぼれている。

どこかの木で、急に蝉の声が響きだし、それはやがて複数が競いあうようにだんだんと

ふくらんでいくのだった。




「美里、どうした」

「え?」

「いや、なんだかぼぉっとしてたから」

ピィピィヒャラドン、ピィヒャラドン

境内の入り口近くでは、人々がゆっくりと吸い込まれるように進んでいる。

「ごめんなさい。子供の頃、父さんにここへ連れてきてもらったこと、何だか急に思いだしてしまって」

「うん」

「こうして同じように手をつないでもらってるせいかな。すごくはっきり思い出してたわ」

「美里のお父さん、今年でもう7年か」

「ええ」

「よく覚えてるよ。体が大きくて、いつも物静かでどっしりしてはった」

「いつも優しかったわ」

二人は人波に身を任せ、少しの間黙っていたが、男の方が口を開いた。

「実は、美里に謝りたいことがあるねん。小学生の頃の話やけど」

「私ら、お互い小さい頃から知ってるもん。そんなこと言いだしたら、

私だって謝らなあかんこと、沢山でてくるわよ」

おかしそうに、けらけらと返したが

「美里のお父さんのことで、泣かしたの覚えてる?」

さっき蘇ったばかりである回想の続きであることに、笑みが消えた。

「あれ、あなただったの」

「やっぱり忘れてなかったね。あの時、僕は横にいただけやった。

あいつもあんな酷いことを言うつもりは、なかったはずや」

父親を“あおい”で見かけたという両親の会話を、夜、トイレに入るために起きた友達が偶然こっそり聞いたのは事実である。だが、暴れたわけでも、くだをはき散らかしていたわけでもない。ただ、大きな背中を丸めて、ひっそりと涙を流したのだと言う。


一人娘を立派に育てあげることが、今の自分の生きがいだ。

先立たれた妻との間にできた二人の宝だから、妻のためにも私は責任がある。

ただ、娘の成長とともにやはり男手ではどうしようもないこともでてくるだろう。

会えるわけもない妻の姿を、わかってはいても私はこれからも追い続けてしまうのだと思う。


気の毒で見ていられなった。なにかあれば惜しみなく手を貸してやろうという両親の会話を友達は聞いたのだ。

「あいつ、美里のことが好きやったんや。けど一言も話したことなかったから、それをきっかけにしたいと思ったらしい。一人ではよう近づかれへんから、僕について来てほしいと頼んできた」

「……」

「あの後あいつ、えらいしょげてしまって。なんであんな意地悪な嘘をついたんやろう、

美里を泣かせた自分はどん底のあほやって。それ以上、責められへんかった」

「どうして今まで話してくれへんかったの」

「何度も打ち明けようとは思ったけど、その場で何も言わなかった僕も同罪で、やっぱりそれで美里に嫌われるのが怖かった」

「話してくれて、ありがとう」

そう言って、「ありがとう」とまた繰り返した。

「でも、あいつって誰?私には名前を知る権利があると思うけど。大丈夫よ、時効だもの。

正直に話してくれたし、もう怒らないわよ」

すると、彼は

「魚屋の2代目」

と少しためらいがちに言った。

「えっまさか」

「そうまさか」

「立たされじん太!」

同時に口にした後、二人は大きな声で笑い合った。


「私ね、お父さんに教えてもらったことがあるの。ここの鳥居をくぐる時、手をつないで、

お互いがこの人といつまでも仲良くいられますようにと願うの。そして帰りもしっかりと手を離さずに鳥居をくぐれたら、二人は深い絆で結ばれるんですって」

「それ、誰かと試したことはある?」

子供の頃、お父さんとそうして鳥居をくぐったことがあると言い、

「だから、今でも時々近くにいてくれるような気がする」

と微笑んだ。

「じゃあ二番目やけど、今から僕と一緒にその願い事をかけへんか」

「え」

「ほら、もうすぐそこや」

人波に押されながら、口をつぐんだ二人は、さっきより少し強く手を握り、抜けた。

美里は、胸の中で

この人といつまでも仲良くいられますようにと願い、

彼について行きますと、父親に言った。

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 「なに、この雑誌。随分古そうだけど」

表紙のモデルは、一昔前に流行した水着姿でポーズをとっている。

どこかで聞いたことがあるような雑誌の名前だが、いかにもゴシップ専門というそれに、

幸恵は興味を抱いたことはなく、当然読んだ記憶もなかった。

 「俺、気になって調べたんや。次男のこと」

パラパラとめくるページに視線をやりながら、遼平は続けた。

 「楠原聡子は、次男を水の事故で亡くしたとだけ話してくれた。確か幸恵はそう言ったよね」

 「え、ええ」

信二の行方を捜す材料になるとは思えない過去の一件に、彼が探りをいれたことを疑問に思ったが、

幸恵は、彼女から語られた内容の、そのほとんどについて遼平に伝えることはしなかった。


 私の不注意だったんです。悪いのは私なんです。


 あの時、小さな位牌の前で、涙に目を潤ませ未だ後悔の念に苛まれつづけている彼女の苦しい過去に、

誰であろうが、入り込むべきではないと幸恵はそう決めたのである。

 「なんで、こんなことに俺が首を突っ込むねん。今そう思っているやろ」

顔を上げた遼平の、あまりに意標をついた言葉にうろたえたが、

 「そりゃそうよ。聡子さんがお願いしたのは息子さんの捜索だけだもの。

それ以外は私達には関係のないことでしょ」

誤魔化すように、少し憮然と切り替えした。

 「もちろん、依頼の範囲を越えていることはわかっている。自分自身、らしくない感情に囚われている気さえしてるんやから。けど、どうして信二は出ていかなあかんかった。弟を亡くした後、悲しみにくれる両親を振り切って、そうまでして出て行くきっかけはなんだったのか。俺には、それがわかれへんかった」

そう言って、雑誌の開いたページを幸恵の方に向けた。

 そこには、目の辺りを黒く塗りつぶされた人物の写真とともに、大きく見出しで


慈愛の皮を被った家族の本性。そして被害者となった息子の悲惨な末路


と書かれてあった。








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中原さん

「書籍編集者の裏ブログ」 のブログで、出版業界の裏のウラまでを

教えてくださっています、編集者のお一方ですが、「本・書評」のジャンルでは

ご存知の方も大勢いらっしゃると思います。

私も、興味深く読ませていただいている一読者ですが、書籍出版を目指す方々に対して

よい情報となる記事を書かれています。

そちらでも時折話題にのぼっている「持ち込み原稿」についても、おもしろいですよ。

小心者の私には、とてもそんなチャレンジはできそうもございません。(笑

こちらに遊びにきてくださり、ありがとうございます。

これからも、よろしくおねがいします。




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monokakiさん

「もうオレは物書きになるしかない。」 のブログで、一話完結小説を書かれています。

色々なところで、素敵なブログタイトルをお見かけします。常々素敵だなぁ~と感心させられていますが、

monokakiさんのブログタイトルにも、ぐっと魅かれるものがありました。

「~なるしかない。」 物書きになるしかない人が、なるものじゃないかと

私も思っているからです。

とても短い文章の小説を書かれていますが、また長い文章も読ませていただきたいと思っています。

あっ、ところで、monokakiさんから手渡されましたリーディングバトン、手に持ったままですみません!

本の話になりますと、数作品だけをチョイスするのが難しく、また書評に関してもとても長くなりそうです。

書評という括りではなく、私なりの書き方でまた好きな作品のご紹介をさせていただきますね。

これからも、よろしくおねがいします。



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aa

 色っておもしろいです。緑を見ていると、爽やかな気分になったり、

赤を見つめていると高ぶり、紫には大人の魅力を感じてみたり。

不思議と人それぞれ、好みの色がありますよね。

私の場合は、ピンクです。物が愛らしく写るところが好き。

 あなたは、何色が好きですか?

 目の前に置かれたりんごも、真っ赤であればあるほど

おいしそうに見えるものです。

ですが、もしそこが暗い部屋の中だとしたらどうでしょう。

手で触って形を感じても、色は消えますよね。

 どんな色も、光の反射の条件が合わさってはじめてその意味を持つ。

澄みわたった空気であればあるほど、夕焼けは美しいのだそうです。

目に見えないほどの細かな埃でも、微妙に光の通りを妨げてしまうと、

せっかくの夕日も空の青も、美しさを存分に発揮できません。

 たまには自然の中で、おいしい空気を食べたついでに、自然本来の色にも触れて

リフレッシュをしたいものです(笑

 形がないものに色をつけて表現をすることもありますよね。

例えば時の流れに対する場合、「バラ色の人生」とか、「お先真っ暗」

という感じかな。

少し想像してみましょうか。

 あなたの今日は何色でしたか?

そして、明日は何色にしてみたいですか?

 どんな色にしたところで、心の部屋が暗いままでは

台無しかも。パァーと明るい心を通して

あなたがなりたい今日の色は、鮮やかに発色するのでしょう。

 暗く落ち込む日もあれば、明るく笑える日もあるけれど、

明るい日を1日づつ増やしていければ、いつの間にか

好きな色の人生を歩んでいるのかもしれませんね。


 あっ、ちなみに私は 「バラ色の人生」目指しています(笑


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lllll

このところ、バタバタあたふたしていて、

更新が遅れ、本当にごめんなさい。

PCの調子が悪いのか、昨夜せっせと打ち込んだ記事も

アップするとビジーになり、画面が消えました。

少し長文だっただけに、がっかり。

「もう、書けない!」と不貞寝しました。(笑


今年も、天の川を眺められない空で残念ですが、

みなさんのところはどうですか?

彦星と織姫が出会える夜にふさわしい

ロマンティックな一日を・・・という気合も虚しく

今夜も原稿用紙に向かっている女がここにいます。(笑

夏の計画を立てる夜でも、いいですよね。

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 「おう、早かったな。コーヒーでいいかな」

ドアを開けきらないうちに、遼平の言葉が飛び込んできた。

 「それしか、ないくせに」

そう言って、幸恵はテーブルの上の、吸殻が山となった灰皿を指差し

 「ヘビースモーカーな上に、コーヒー中毒。絶対、病気になるわよ」

脱いだコートをソファーの背にかけた手で、そのまま灰皿を持って

小さなステンレスの流しに行った。

 (私、話が本題に入ることが怖いのかしら)

蛇口から流れ出る水で灰皿を洗いながら、思わず小さくため息を漏らしたが、

振り返ると、彼は煙草をくわえたままぼんやりと窓の外に顔を向けている。

 「もう、言うてるそばから火をつけてるんだから」

幸恵はわざと、ゴトンと鳴るよう、彼の目の前に灰皿を置いたが、

それを気にした様子は見せずに、落ち着いた声で、話を切り出した。

 「今更こんなこと聞くのもなんやけど」

 「うん」

 「俺は、幸恵と楠原聡子の関係をどう理解したらええのかな」

 「え?」

 「楠原聡子の、いや、その家の内情を、幸恵が知ることに対して

彼女がどの程度までをよしとしているかなんや」

 (確かに・・・)

 ただのご近所同士にすぎない私には、むしろ知られたくないことの方が多いかもしれない。

しかし、脳裏には彼女が仏壇の前で語った最後の言葉が蘇ってきた。

"お願いします。私にとって、幸恵さんのご好意に甘えさせてもらうことが、

こんな老いぼれの生きる望みに繋がっているんです"

 幸恵は顔を上げ、挑むような目で遼平を見たが、

 「彼女にとって、私は近所の知り合いでしかないのは事実よ。それでも

私を頼るしかなかったの。それくらい追い詰められていると思う。

そんな人を放ってはおけないじゃない。せめて真実を知らせてあげたい、

ただそれだけよ」

 そう静かに口を開き、コーヒーを啜った。

 「よし、わかった。だが、俺は仕事としてドライになれるけど、幸恵はそうじゃない。

もし、楠原聡子に直接伝えにくければ、代わりに俺が会って話をするから」

そして、テーブルの上に一冊の週刊誌を放った。




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qqqqqqqqqqqqqqq  



kerrieさんの描く、サトエリの絵から一つ拝借し、

軽くショートストーリーです。

全く、サトエリとのイメージとはかけ離れます、ごめんなさい。

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「天使と吸血鬼」 

 その昔、重い罪を背負い、天に召すことを許されない女がいた。

償いとして、「1000の孤独」の刑を宣告された女は、

背中に白い羽をつけられて、雲の隙間から、再び地上へと突き落とされた。

 1000人の孤独を救い終えたその時に、初めて、心は満ちたり、そして望むべき場所へ還れるという。

ある人は、荒涼な地がどこまでも続く、あてどない闇のような孤独を持ち、

またある人は、深海に手を伸ばすように、どこまでいっても掴めないほどの深い孤独にさいなまれていた。

 たった一つを救う間にも、容赦なく時は流れ

振り返ることもできないまま、数百年という、果てしなく長い月日が過ぎていたが、

未だ自分が還りたいのは、一体どこであるのか思い出せるわけでもなく、悟ることもない。

 もしかすると、私があまりに時間をかけすぎたせいで、天は許すことを忘れてしまったのかもしれない。

   羽を休めるため、高層ビルの先端に腰かけて街を見下ろしながら、

とうとう最後となった、自分を必要とする人が現れるのを待ち続けているうちに、

こみあげる寂しさと悲しみの雫が頬をつたい、落ちていった。

 雫は、誰も気付かないうちに、すぐさま空気中に溶け込んだが、

何故か道行く一人の男だけは、不思議そうな面持ちで顔を上げている。

 女は、その男の表情から、一種凄まじさを感じさせるほど強烈な闇を見いだし、背筋がゾッとなった。

だが同時に、これまで経験したことのない共感が、身体中の血を熱く走らせ、

耳までもが赤く染まるのを感じた。

 ドクドクと駆け巡る血の理由を確かめてみたくなった女は、

人に姿を変え、男の傍まで近づくことにした。

 星は瞬きだしていたが、眠らない街中のネオンにすっぽりと呑み込まれている。

男は、鬱陶しく目を細め、狭い路地へと滑りこんでいった。

飲食店の裏口が並び、華々しい表とはうってかわってあたりを薄く照らしているのは

一つきりの外灯だけである。

 力ない足取りの男が、ゴミ箱の蓋をあけ、何かをあさっていたが、

その手に掴んだ、動く塊にかぶりつく姿を目にした瞬間、思わず

 「あっ!」

声を上げてしまった。

振り向いた顔の、ケチャップを塗りたくったような口元と、金色に光る瞳が

大きなドブネズミを右手に、その場から逃げ出そうとするがよろめく。

 「待って」

追うように駆け寄り、丁度、外灯の下で、互いは顔を突きあわせてしまった。

 すると突然、女は頭の中がパンッ!と破裂したような音をたて、

ものすごい勢いで、自分が遠い記憶に引き戻されていくことを感じた。

男もまた、光が消えた瞳を大きく見開き

 「ど、どうして君がここに・・・・・・」

そう言って、女の腕を掴んだ。

 「私は・・・私は・・・あなたを救うために戻ってきたの」

無意識にこぼれた言葉だったが、女は確信をしていた。

 「あれからずっとずっと、僕は自分がしたことに、後悔をしていた。

僕のエゴが、君をあんな目にあわせたんだから。」

 かつて、恋に堕ちた二人は、お互いが心の底から愛し合っていた。

だが男は、鮮血を得ることだけでしか生きながらえれぬ一族の者であることを

ひた隠しにしていたが、女は知ってしまう。

ついに男は、彼女を自分と同じ人種にすることを選んでしまった。

 それから、異常な喉の渇きと苦しみに耐え切れなくなった女は

首を掻き毟り、月が隠れる夜になると、人を襲うようになった。

最期は、娘の異常に気付いた父親が嘆き、哀れに思い、

その手で、銀の銃弾を彼女の胸に打ったのである。

男は、助けに行ったが、すんでのところで間に合わず、

すでにその姿は灰と化していた。

 「君にしたこと、そして君を失ったことで、僕は本当の辛さを知った。

それから人を襲っていない。だが死ぬこともできずに

何百年たった今も、こうしているんだ。 とても苦しいんだ」

ボロボロと涙を流す彼の手をとり、

 「もう私達、一人じゃないわ。行きましょう、夜明けがくるわ」

 二人は、ビルの屋上にあがり、仄かに白けつつある空を見上げた。

口に出すまでもなく、互いの望みはわかっている。

 「これまでの全ては、今のためにあったのね。とても長かった」

ゆっくりと、朝の太陽が地上に昇りだしてきた。

やがてオレンジの光は、目を眩しくする。その前に。

 「今よ」

 男は大きく口を開き、女の右の首筋に牙を食いこませた。

女は、あの時と同じ、細胞が何者かにとって代わられ、

心臓はやがて止まる瞬間を覚える。

 二人は抱き合ったまま、朝日に焼き尽くされ

あっという間に、一握りの灰となったが

すぐに、風に吹きとばされて、空に消えた。






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