聖女の救済

2009-07-25 23:35:14 テーマ:本 さ-そ
聖女の救済/東野 圭吾

¥1,700
Amazon.co.jp
満 足 度:★★★★☆  (★×5=満点) 

■内容■

 男が自宅で毒殺されたとき、
離婚を切り出されていたその妻には鉄壁のアリバイがあった。

 草薙刑事は美貌の妻に魅かれ、毒物混入方法は不明のまま。
湯川が推理した真相は―虚数解。
理論的には考えられても、現実的にはありえない。
                     (「BOOK」データベースより)


■感想■

 東野さんの小説に登場する女性はホントに芯が強いですね!
綾音のキャラと、過去の背景からすると、
湯川じゃなくて“加賀恭一郎”が登場しそうな雰囲気でした。
でも、鑑識でさえ見つけられなかった完全犯罪に近い証拠を探し出すには
関係者の心情面からは草薙、科学的な根拠面では湯川、
そして女性独特のものの見方をする立場から
内海が必要だったのだと思いました。

 最初私は、誰かが綾音を“救済”するのかと思っていたのですが、
それはいつものごとく、あっさりハズレ 汗。
そして、本当の意味を知った時、ゾッとするというよりは
綾音の結婚生活にやりきれないものを感じました。
草薙が最初に会ったときから綾音に持っていた感情は
湯川が語った学生時代の猫の話からも、
実態は何だかわからないけど
同情してしまうオーラを感じ取っていたのではと思います。

 また、問題の男・義孝ですが
自分の子供が欲しいという気持ちはわかるけれども
その人間性には絶句!
“子は鎹”という言葉は確かにその通りだと思いますが、
少なくとも夫婦の間に
一度は通い合った絆があることが前提だと思うので、
たとえ義孝に自分の子供が生まれたとしても
家庭を作ることや、子育ては出来ないと思いました。
それに、綾音との出会いについても形から入ったりして
40歳過ぎても物事の本質が見えてない男なので、
かなり不快で気色悪かったですね。。。笑

 東野さんの作品はいつも先が気になって
一気に読んでしまうんですが、今回もそのパターンでした~。



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その日のまえに

2009-06-07 19:43:56 テーマ:本 さ-そ
その日のまえに (文春文庫)/重松 清

¥610
Amazon.co.jp

満 足 度:★★★★☆  (★×5=満点) 

■内容■

 昨日までの暮らしが、明日からも続くはずだった。
それを不意に断ち切る、愛するひとの死―。

 生と死と、幸せの意味を見つめる最新連作短編集。
                     (「BOOK」データベースより)


■感想■

 ひこうき雲
 朝日のあたる家
 潮騒
 ヒア・カムズ・ザ・サン
 その日のまえに
 その日
 その日のあとで

この7編の短編集から成っていて
それぞれの作品に登場する人物が少しだけ関わりあっています。
全て、愛するひととの別れ、生と死が描かれていました。

 最初の「ひこうき雲」は遠い日の記憶から始まるので
それほど“死”を感じないのですが、
読み進めるにつれて
自分が“その日”をむかえたらどうするのだろうかと
重々しく考えてしまいました。
特に、余命を宣告されての“その日”が描かれていたので、
何ともいえない恐怖と焦りの気持ちになりましたね。。。

 特に、「ヒア・カムズ・ザ・サン」での母息子には
涙が止まりませんでした。
“死”はどのようなかたちでも悲しく辛いことですが、
突然の死ではなく、期限のある生のほうが
残酷な気がしました。

 でも、ここにある物語はどれも、
悲しくて仕方が無いということに終わらず、
残りの人生を共に精一杯生きる! という前向きさと
看取る者の心のもちかたが描かれているので、
“死”に対する心の支え的なものを感じました。
前向きに考えるなんて、簡単には出来ないと思うのですが、
どうしようもない現実に直面したら
人間って今までとは変わるのかもしれませんね。

 明日をむかえられることに
感謝しながら生きていこうという気持ちになりました。



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重力ピエロ

2009-05-09 08:49:12 テーマ:本 さ-そ
重力ピエロ/伊坂 幸太郎

¥1,575
Amazon.co.jp

満 足 度:★★★★☆  (★×5=満点) 

■内容■

 半分しか血のつながりがない「私」と、弟の「春」。
春は、私の母親がレイプされたときに身ごもった子である。

 ある日、出生前診断などの遺伝子技術を扱う私の勤め先が、
何者かに放火される。
町のあちこちに描かれた落書き消しを専門に請け負っている春は、
現場近くに、スプレーによる
グラフィティーアートが残されていることに気づく。
連続放火事件と謎の落書き、
レイプという憎むべき犯罪を肯定しなければ、自分が存在しない、という
矛盾を抱えた春の危うさは、やがて交錯し…。
                     (Amazon.co.jp より)

■感想■

 伊坂幸太郎サンの本を初めて読みました。
グラフィティアートと連続放火の謎を追うミステリーですが、
メインとなっているテーマは「家族の絆」でした。
なので、読んでいくうちに
事件の謎については先にわかってしまうのですが
登場人物一人一人がとても魅力的です。

 中盤まで、春の危うさに若干の恐怖を感じたのですが、
兄・泉水との子供の頃から変わらぬ関係はとてもほほえましいもので
大人になっても兄を慕う弟と、弟を守ろうとする兄の姿から
少しずつ安心感へと変わっていきました。
また、春のストーカー・夏子サンは突飛なキャラでしたが
家族とはまた別の視点、気持ちで春を見ていて
ユニークな形で登場したものの、
ある意味、唯一冷静だったのかもしれません。

 私は、最後に遂げられた復讐に対して
あれが正しい選択だったとは思いませんが、
気持ちの上では、理解できます。
実際に葛城のような人間はいますし、
人としてどうなのか?と問い詰めたくなりますからね。
社会においての秩序とは何なのかと、考えさせられるラストでした。

 そして心に残ったのは、父の
「おまえは、俺に似て嘘が下手だ。」
「俺たちは最強の家族だ。」
 

という言葉。
ここに、妻と息子に対する全ての愛情を感じ、
春は、そして勿論、泉水も、
ようやく血の繋がりを超えた絆を理解したような気がしました。

 スクリーンではどのように描かれているのか、映画も楽しみです。


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女性の品格

2009-01-09 17:29:18 テーマ:本 さ-そ
女性の品格 (PHP新書)/坂東 眞理子
¥756
Amazon.co.jp


満 足 度:★★★★  (★×5=満点)


■内容■


 いまや女性の社会進出、活躍が当たり前となった日本社会。

学校や職場でも優秀で元気なのは女性ばかり。

もはや古い型の「女らしさ」は求められない?

いや、女性上位の時代だからこそ、

従来の男性とは異なる価値観、よき女性らしさを、

職場や家庭に持ち込んでほしい。


 本書はビジネスから装い、話し方、恋愛にいたるまで、

女性としての振舞い方を具体的にアドバイス。

「礼状が書ける」「約束を守る」「型どおりの挨拶ができる」

といったふだんの言動に、

女性の生き方と品位はおのずと表われるのである。

                     (「BOOK」データベースより)



■感想■


 このところ、 “品格”や“見識”に関する書籍を多く目にするのですが

日本人のモラルが問われているのでしょうか。。。

ま、決して高いほうとはいえないのでしょうね 悲。

私も耳が・・・・・相当、痛いです!!


 こういうものって“価値観”にもよるので

全てに納得できるというわけではありませんでしたが、

改めて、こうやって読んでみると

自分でも当たり前と思っていることが

出来ていない心当たりもありました。。。反省。


 まずは、、、品格の概念ですね!

「成金夫人やお嬢様と気品のある女性は違います」

この違いが理解できる人って意外に少ないかも!と思いました。

装い、振る舞い、会話の内容、ビジネスなどなど

あらゆる面でのことが書いてありましたが

私が今年、気に留めていこうと思った事柄をいくつか挙げますと、


・本当の意味でのよい客になる

・約束をきちんと守る

・独りのときを美しく過ごす

・愛されるより愛する女性になる

・礼状をこまめに書く

・感謝の気持ちをあらわす


こんなとこかな。


 更に、そうなることが一番難しいと思われたのは

「人間としての教養で一番大切なのは、

 普遍的な基準と自分の行動を照らし合わせ

 自分を自分でコントロールする力を持つことかもしれない」


「個性の前提として一番重要なのは

 人間としての基礎力を持つことで、

 基礎力とは自分の行動や生き方の芯になる信念を持つこと。」


という言葉でした。

当たり前のことのようですが、なかなか・・・・汗


 そして、あとがきの

「強く優しく美しく、そして賢く」

という言葉が印象的でした。



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卒業―雪月花殺人ゲーム

2008-12-10 21:35:04 テーマ:本 さ-そ
卒業―雪月花殺人ゲーム (講談社文庫)/東野 圭吾

¥620
Amazon.co.jp

満 足 度:★★★  (★×5=満点) 


■内容■

 7人の大学4年生が秋を迎え、就職、恋愛に忙しい季節。
ある日、祥子が自室で死んだ。
部屋は密室、自殺か、他殺か?
心やさしき大学生名探偵・加賀恭一郎は、
祥子が残した日記を手掛りに死の謎を追求する。

 しかし、第2の事件はさらに異常なものだった。
茶道の作法の中に秘められた殺人ゲームの真相は!?
                     (「BOOK」データベースより)


■感想■

 年末の大掃除にむけて本の整理をしていたら
出てきた加賀恭一郎シリーズを立て続けに読み始めてしまい
整理どこではなくなりました 笑。

 まだ学生だった加賀恭一郎が
茶道の作法の中に隠されたトリックをみつけ
殺人犯を突き止めるわけですが、
最初に読んだときは、トリックとして利用された“雪月花”が
どうしても理解できませんでした。
それで、今回は何とか自分でも
そのトリックを理解したいと思い挑んだのですが、、、、
あっけなく玉砕。。。。
これ、知っている人にとっては簡単なことなのでしょうか。
今回も理解できず、ちょっと損した気分です 笑。

 恋愛、就職、進学、部活、、、
そこに様々な感情が入り混じって事件が重なり、
複雑になっていくのは、小説ならではの世界なんですが、
仲間だったはずなのに、その関係が崩れていくあっけなさは
かなりリアルでした。

 加賀をはじめとし、この事件にかかわったメンバーは
この先、誰も信用することが出来ないんじゃないかとおもうほど。
それに仲良しグループの中でカップルが成立した場合、
二人の関係が全員にひびいたり、逆の場合もあるので
加賀の恋も、このことがなければ
結果は変わっていたと思うんですよね。
タイトルの“卒業”が希望ではなく、
今まで築いてきた関係との決別を意味しているようで
ちょっと寂しい気持ちになりました。

 そうそう気のせいか、前回読んだときよりも
加賀恭一郎をオッサンに感じてしまった 笑!
大学生なのに妙に落ち着いてて、
古い時代の人(良く言えば硬派)という印象が強くなりました。

シネマテーブル

2008-11-09 19:50:59 テーマ:本 さ-そ
Cinema Table シネマテーブル[映画の中のレシピ]/高橋 ヨーコ(写真)

¥1,995
Amazon.co.jp

 シネトレさんの初の書籍『シネマテーブル』が当選しました。
このところ映画祭続きで時間に余裕がなく
記事のアップが随分遅くなってしまったのですが、
何か一品作って、それも一緒にアップしようと考えていたら
尚更遅くなってしまったわ~。 シネトレさん、スイマセン!!


■内容■

 映画を見る楽しさと、料理を作って食べる楽しさを、
一冊に盛り込んだフォト&レシピブック。
料理の本であると同時に、コーヒーテーブルブックとしての
クオリティも実現した、ビジュアルブックです。

 全写真を高橋ヨーコが、スタイリングを岡尾美代子が手がけ、
ストーリー性を感じさせるスタイリングと写真を重視したつくりとなっています。

 映画はハリウッドの不朽の名作から、
インディペンデント系の秀作まで通好みなセレクト。
料理もスタンダードな朝食からアウトドア料理、
バースデーケーキまで新鮮な切り口で多彩に網羅します。
全料理の詳しいレシピ、DVD作品データつき。
                       (Amazonの本書内容紹介より)


■感想■

08.11.19シネマテーブル1









 どこをとってもスタイリッシュ。
写真は映画のワンシーンのようで、
あえて新ピンな感じでないところが、
私のツボでした。
使い古しのお鍋が、絵になるから不思議です。
まさに、スクリーンの魔力 それがこの本にも詰まっていました♪

 08.11.19シネマテーブル3

 お菓子は材料を
厳密に量らないと
失敗する恐れが大きいため、
時間がたっぷりあるときに
まわして。。。。




などと考え、
最初に作るお料理として
私が目をつけたのは
ブロークバック・マウンテンに登場した
ベイクドビーンズです。
08.11.19シネマテーブル2

 作中で、主演の二人は
毎日のように食べ続け→→
少々飽きていた
記憶があるのですが、
私は今回、
作るのも食べるのも初めて。
調理時間は、
約20と簡単。
味も、バッチリよ~~。
(嬉しいことに、映画と寸分狂わず同じにするのではなく、
 お肉を加えてあったりと、若干のアレンジがしてあります。)

 最初、バケットと一緒に食べようと思っていたのですが、
思っていたよりスパイスが効いていたので
ショートパスタのファルファッレ(リボンの形をしてる)に
かけて食べました。
それがコチラ  ↓↓↓
08.11.19シネマテーブル4


 今後も、片っ端から掲載レシピに挑戦していこうと思っていますラブラブ
次はフルーツパンチなどのデザート系もいいなぁ。。。ビックリマーク

色即ぜねれいしょん

2008-11-08 17:44:27 テーマ:本 さ-そ
色即ぜねれいしょん/みうら じゅん

¥1,575
Amazon.co.jp

満 足 度:★★★  (★×5=満点) 


■内容■

 「夏休み、予定あるんけ?」
 「いや、別にあらへんけど」
 「行かへん? 旅」

 悶々とする毎日を送る僕に新しい道が開けるのか!?
何も特別なことがない退屈な日々。
青春を探していた―。
                     (「BOOK」データベースより)


■感想■

 ちょっとしたキッカケで、みうらじゅんサンに興味を持ち、
面白そうなタイトルを選んでみました。

 男子高校生の頭の中って。。。
色んなことが渦巻いてるんですね~~。

 いぬ、池山、伊部の3人が向かった“フリーセックスの島”、
この発想も傍から見るとかなり可笑しいものなんだけど
最後まで必死な3人が滑稽でした。
特に、伊部という同級生の
女性をわかったかのような口ぶりにはうんざり 笑。
ま、本人達も、カッコ悪いとわかっていながら
精一杯背伸びする姿が面白いんですけどね。

 モテない男子の心の内と見れば
気恥ずかしい青春という感じでしょうが
ちょっと、ちょっとだけ、、、、引きますね。。。汗
それでも、嫌悪感が少し紛れたラストは、
いぬが音楽という情熱を注げるものを
持っていたからだと思います。

 ま、彼等のやりとりに驚きつつ、
ガールズトークもなかなか凄いものなので
お互い様だったりして。。。。笑

さまよう刃

2008-11-08 17:42:48 テーマ:本 さ-そ
さまよう刃 (角川文庫 ひ 16-6)/東野 圭吾

¥740
Amazon.co.jp
満 足 度:★★★★★  (★×5=満点) 


■内容■

 不良少年たちに蹂躙され死体となった娘の復讐のために、
父は仲間の一人を殺害し逃亡する。

 世間の考えは賛否が大きく分かれ、
警察内部でも父親に対する同情論が密かに持ち上げる。
はたして犯人を裁く権利は遺族にあるのか?
                     (「BOOK」データベースより)


■感想■

 帯の「正義とは何か。犯罪被害者の叫びを聞け。」という文字が
頭から離れませんでした。。。
少年法や、加害者の人権について深く考えさせられた一冊です。

 特に、未成年の凶悪犯罪は
たとえ逮捕されても被害者遺族が納得する刑を受けることは
まず少ないんですよね。
身内意識などという言葉をたまに聞きますが、
もし、裁判官や検察官の家族が被害者だったら
どういう刑が下されるのかなどと
私は考えてしまいます。。。

 こういう感情的なものを一切抜きにしたものが
法というものなのでしょうが、
それも人間が作ったものだし、しかも法に正義を感じないし、
裁判だって裁判官によって結果が異なることが多いので
あてにならないんじゃないかなどとも思ってしまうのですが。。。

 そんな気持ちから、被害者の父・長峰が
なんとか復讐を遂げてくれないか。。。と思ってしまった私でした。

 もう一人の被害者の父、鮎村がTV番組に出演する場面がありましたが
弁護士、ジャーナリスト、番組関係者は
少年の刑務所での更生を語る前に、事件の本質や
少年達の精神状態をまるで理解していないように感じました。
このような問題を本気で解決しようとしている人は
どのくらいいるのでしょうね。。。

 逃亡しているカイジに誠が自首を勧めたとき
「まだ遊びたい」とのたまって自首を拒否したのには驚きですが、
そういう少年に人権が与えられ、保護され、
再び社会に解き放されるのかと思うと
何だか違うような気がしました。

 また、誠もとことん腐った男で、
カイジ同様に自分のことしか考えておらず、
実行犯、共犯、にかかわらず
ここに登場した加害者側の少年とその親たちは、
自分達のしたことが何一つわかっていないのが印象的でした。
まさに、この親にして、この子有り。
小説とはいえ、かなり現実的です。

 こういうことが一切表に出ずに裁判が行われ
刑が確定していると思うと、読めば読むほど疑問がわいてきますが、
加害者たちの反省のない態度が何より許せないし、
涙を流す理由が被害者への謝罪ではなく
これから刑に服すことへの恐怖だというところにも
憤りを感じます。

 担当刑事の綾部が、最後に自問した内容は
一生正しい答えなど出ないのでしょうが、
しかし、このラストを読む限りでは
どの世界にも、本音と建て前があって
当事者じゃない人は建て前を受け入れても
刃を剥くことはないんだろうなと感じました。




さよならバースディ

2008-09-10 09:41:53 テーマ:本 さ-そ
さよならバースディ (集英社文庫 (お52-3))/荻原 浩

¥630
Amazon.co.jp


満 足 度:★★★  (★×5=満点) 


■内容■

 田中真は霊長類研究センターに勤務する研究者。
類人猿・ボノボに語習得実験を行っている。
恋人の由紀は、同じ研究センターに助手として通っていた。

 真が由紀にプロポーズをした夜、
由紀は研究室の窓から投身自殺をしてしまう。
そのとき、研究室にはボノボのバースデーだけがいた。
バースデーは何かを見ていたのだろうか・・・。


■感想■

 ミステリーでありながら、同じくらいの割合で
ラブストーリーとバースデー(ボノボ)との心の交流も
描かれていました。

 ボノボの言語習得と恋人・由紀の死が
繋がっていることをほのめかすあらすじから、
想像を超えるミステリーかも、と期待感が高まっていたんだけど、
主人公・田中真が、ミステリーに登場する人物としては薄い気がしたな~。

 由紀とのやりとりは、半分が真の回想だけど、
全てを投げ出して没頭するほど好きだったようには感じられなかったのと、
由紀の死の真相を暴く方法も、あてずっぽう的な気がしました。
ジャーナリストも絡んで、本格的に秘密を匂わせているけど、
教授と由紀の死の原因は、死ぬほどのことなのかしら?と
消化不良気味だったよ~。

 でも、バースデーと真の交流という視点で読むと、
ちょっとだけ感動ですかね。
バースデーが真をいかに信頼しきっているか、
言動の全てが文章から伝わってきます。
動物好きな私にとって、
人間は、あくまでも勝手な生き物なんだという
エゴの一面が描かれているあたりでは
かなり切なくなりましたね。

 恋人の死の真相を探るミステリーと思って読み始めたので
なんとなく物足りない感じがしなくもないんですが、
バースデープロジェクトに係わる人々の欲や想いが交錯する
複雑な人間関係を表面化させたのはバースデーの存在なので、
やっぱりミステリーの分類になるのかなぁ 笑。

鹿男あをによし

2008-08-02 22:08:47 テーマ:本 さ-そ
鹿男あをによし/万城目 学

¥1,575
Amazon.co.jp


満 足 度:★★★★  (★×5=満点) 


■内容■

 教授から神経衰弱と言われ、
大学の研究室を追われた28歳の「おれ」。
教授に勧められるままに2学期限定で
奈良の女子高に赴任した。

 初日、遅刻してきた生徒の堀田にからかわれた「おれ」は
気持ちが治まらない。
更に、教頭から剣道部の顧問に任命され困っていた。
そんなとき「神無月だよ―先生」と中年男の声がして、
驚いて振り返ると、背後に雌鹿が立っていた。
そして「おれ」は鹿から、
“目”の“運び番”として任命されてしまう・・・。


■感想■

 半年くらい前?にドラマ、やってましたね~。
一度も観たことがなかったんだけど
妙なタイトルがとても印象に残っていました。
「鹿」と「あをによし」は「奈良」を連想させるけど、
鹿男って何。。。?
かなり気になるよね 笑!

 全く想像のつかない内容だったんだけど、
読んでビックリ。
ファンタジー、サスペンス、スポ根、ヒューマンなどなど
思いもしない要素がいっぱい詰まった中身でした。

 最初はね、私は神経質そうな「おれ」が
イマイチ好きになれなかったんだけど、
鹿に出会っちゃってから、妄想なのか、病気なのか、現実なのか
内心アタフタしている「おれ」の姿を想像すると
可笑しくなってきちゃったよ。
大阪女学館の剣道部顧問や京都のマドンナに
「先生は鼠ですよね!」「狐ですよね!」「ぼくは鹿男です」
と迫る辺りなんて、もう我を忘れてるしさ~。
鹿化していくにつれての驚きと絶望と使命感によるハチャメチャが
本当に面白かったです。

 それに、「おれ」の目線と同様に、
読者からみても掴みどころがない冷静な堀田イトのキャラには、
読み進めるごとに興味が沸いてきました。
強い意志を秘めた剣道の試合はかなりの迫力で、
小さい身体で勝ち抜き戦に挑む大和杯では
感動で、思わず涙。。。
痛快な1本が目に見えるようでした。

 明らかになる謎とともに、
堀田が単なるツンデレではないとわかってきます。
そして、鼠や狐、その“運び番”の全体像が見えてくるんだけど、
意外にもその背景には大きな歴史ネタがあったりして、
女性っていつの時代も、どの立場でも
大切な「鍵」を握っているのね。。。と感心してしまったよ。
それは「おれ」のお母さんも、重さんとこのばあさんも同じ。
お別れ間際まで「おれ」は、
堀田のペースにのまれてたってラストも微笑ましくて良かったです。
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