潜水服は蝶の夢を見る

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08.02.27潜水服は蝶の夢を見る

満 足 度:★★★★★★★
   (★×10=満点)
 
監  督:ジュリアン・シュナーベル
キャスト:マチュー・アマルリック
      エマニュエル・セニエ
      マリ=ジョゼ・クローズ
      アンヌ・コンシニ
      パトリック・シェネ、他




■ストーリー■

 雑誌ELLEの編集長・ジャン=ドミニク・ボビー(マチュー・アマルリック)。
彼が目を開けると、そこは病院だった。
しかし、言葉を発することが出来ず身体も動かない。
唯一動くのは、左目の瞼だけであった。

 意識は鮮明なのに
重い潜水服を着せられたような自分に絶望するジャンだったが、
言語療法士アンリエット、理学療法士マリーの協力で、
瞬きでのコミュニケーションを会得する。
そしてある日、自伝を書こうと決意するのであった・・・・。


■感想■

 前々から観たかった本作品、レイトで観てきました。
遅い時間にもかかわらず9割の入り。
益々期待感が高まる私でした。。。

 映画は、始まってからジャンが自分の状態を認識するまでの間ずっと、
カメラジャンの眼となってます。
ボヤーっとピンボケで映る画面から始まり、
ジャンが記憶を辿りながら自分は病院にいるのだと認識して
カメラのピントが合うの。
この数分間、私は自分がジャンになったような感覚になりました。

眼をこする事も出来ない
話かけようにも声が出ない
しかも声が出ない事に気づいていない


このもどかしさを一緒に体感しているようだったよ。

 本人も医師たちも、状況を把握した後は
言語療法士が提案したアルファベットを読み上げながらの会話が
ジャンにとって唯一外界とのコミュニケーション方法。
恐らく、体力的にも時間的にも
伝えるのは最小限のことだけだと思うから、
疲労とストレスは相当あったはず。

 最初に伝えた言葉は「死にたい」
この時、絶望しかなかったと思うの。
でも自ら死ぬことも出来ない状態で、それもまた絶望。
そして同時に、「死にたい」と伝えることが出来たこと自体が
少しずつ希望に変わっていったのかなと思いました。

 気の遠くなるような瞬きの回数だとわかっていても
自らの意思で本の出版を決めたわけだから、
生きようとしている人間は、精神的にとても強くなれるんだね。
そしてその精神力に加えて、
私は、ELLEの編集長だったという彼の仕事
執筆に大きく影響していたと思います。
何かを書くということに対して抵抗が少なかっただろうし
自分の今を潜水服に例え、蝶の身軽さと比較するあたり、
健康な人々にボブの感覚を一発で伝えるセンスを感じました。
自伝は、色々な意味で、ジャンだからこそ書けたんじゃないかな。

 忙しい仕事のせいか、
子供がいながらも「家族」は作らなかったジャンが
家族の大切さをかみしめたような浜辺でのシーンがとても印象的でした。
そして、淡々と現実を伝えていく内容なので、
無理に泣かせようという作りではなかったんですが、
最後に、言葉を書き取ってくれた出版社のクロードに
労いの言葉を伝えたとき、涙が出てきました。


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