2009年10月14日

second scene39

テーマ:黄昏はいつも優しくて2

 朝食をすませた後、篠塚に部屋で待っているようにといわれた。浴衣姿のままでベッドに腰掛けていると、身支度をしている北沢が不思議そうにみてきた。
「支度しないの」
「すこしだるくて」
 北沢が近づいてきて額に手をあてた。次にはしゃがみこみ顔をみあげてくる。
「熱はないみたいだね」
「はい」
「朝ごはんは全部食べた?」
「……はい」
「なら心配ないかな。でも、無理はしないほうがいいよ」
 そうだった。北沢はもと医者だ。へたに仮病などをつかうと、とたんに嘘がばれてしまう。
「わかりました」
 篠塚が部屋に戻ってきた。北沢の姿をみて、かすかに眉をよせる。篠塚の感情を微妙に感じとっているらしい。北沢がすばやく立ちあがった。
「徳川さんは体調が悪いようですね」
「疲れがでたんでしょう」
「観光はあまりおすすめできませんね」
「ええ。わたしも残るつもりです」
「わたしがついていましょうか。篠塚先生が参加しないと、皆さん、がっかりするんじゃないですか」
 篠塚が「いえ。お気遣いありがとうございます」と、事務的な返答をかえす。北沢が肩をすくめ「そうですか」と、言った。
 北沢の態度には、どこか含みがある。篠塚も敏感に感じているのだろう。これまで傍にいてわかったことだが、篠塚の人を見る目は確かだ。


 九時になったところで北沢が部屋をでていった。帰ってくるのは夕方になるだろう。それまでは篠塚と二人でいられる。すぐにも篠塚を抱きしめたい気分だったが、さすがにその度胸はない。
 それまでテレビの画面を眺めていた篠塚が、北沢が姿をけすと同時にテレビの電源をオフにした。首をまわしソファに背中をあずける。いままで気づかなかったが、かなり疲れているようだ。考えてみれば仕事を終え着替える余裕もなく車を運転してきたのだ。疲れていないわけがない。休養を必要としているのは篠塚のほうではないか……。
「篠塚さん」
「ん」
「疲れているんですか」
「いや」
「肩、揉みましょうか」
 篠塚が「まるで、じいさん扱いだな」と言って、失笑した。ソファから腰をあげ窓のカーテンを閉めにいく。瞬はじっとして篠塚がくるのを待った。いつになく緊張している。どうしたのだろう……。
 篠塚がベッドに横になり瞬の肩を引いてきた。瞬は倒れこむようにして篠塚に身をまかせた。



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