『翻訳の布石と定石』を読んで注目した2つ目の点につい書きたいと思います。
参照:
『翻訳の布石と定石』:(例文3C-2, p145)
『翻訳の泉』:「第14回 and と or の話 」例文9の少し前
A and B of C・・・とあるとき、
of以下が係るのは、Bだけなのか(=「Aと、CのB」)、Aと
今回注目したのは下記の記載です。
後置の修飾語句が後ろ(最後)のものにしかかからない場合は冠詞
冠詞の有無で、of以下がどこに係るかを判断する。
当然のことなのですが、これまで冠詞にそこまで注意を払えていたか、あまり自信がありません。
今後自分で翻訳する際には気を付けることはもちろんですが、非ネ
今回のA and B of C以外のものも含め、修飾句が係るのはどこまでなのかということ
意味の上から推測できる場合、あるいは対象のモノの構造上、明ら
そういう日本語原稿に出会った場合は、必ず事前に確認するか、後
どちらにも解釈できるものについては、どちらでもとれるようにし
今回のこのA and B of Cのほかに、例えば「Aな(の)BとC」といったときに、「Aな(の)」がBだけに
以前、「付属のAとB(supplied A and B)」という記載があったので、AもBも両方付属品なのかとおも
日本語、英語だけで考えてみると、どちらにも取れるから、判断がつかない時は原稿通り(?)曖昧にしておけば誤
「A and B used for xxx」のように、後ろから過去分詞で修飾されるパターンも同様
used forがAとBの両方に係るのか、Bだけに係るのか。
A and B of Cの同様に冠詞で判断すればよいのかもしれませんが、たとえば関
少し文が長くなってしまうかもしれませんが、曖昧にしないではっ
ここで、過去に苦労したときの話を書いてみたいと思います。
以前、英語版の取説を数十言語へ翻訳する多言語編集、チェック等
例えば、どちらにも取れるような訳文を納品したします。
そのように翻訳された英語、あるいは日本語が、その後どう使われ
大元のクライアントが、納品された翻訳を海外の支社や関連会社へ送り、他の言語へ翻訳をすることはよくあることです。
こういう、どちらともとれる表現が、その後に翻訳される言語にど
例えば、前挙げたsupplied A and Bを例にとってみた場合。
英語やドイツ語などのように、形容詞が基本的には前につくものは
フランス語に翻訳した場合を考えてみると、
Aだけに係る場合は
A fourni(e) et B
(*カッコのeはAが女性名詞だった場合につく)
Bだけに係る場合は
A et B fourni(e)
AとB両方にかかるのであれば
A et B fourni(e)s
(*カッコのeはAとB両方が女性名詞だった場合につく)
となります。
言語によっては、どこに係るのかを翻訳の時点で判断しなくてはい
係りが曖昧なまま、特に指定せずに翻訳手配をしてしまうと、ある
分からない言語がほとんどなだけに、そのまま気づかずに納品して
1言語だけ考えれば大した問題ではないかもしれませんが、言語が
だから、多言語への翻訳を手掛ける場合、原稿になる英語を書くラ
「曖昧さは排除」を原則でやってきていたので、翻訳の際にも、チ
とはいえ、多言語の翻訳のことは多言語手配者が考えればよいこと
ただ、私が翻訳に関わっている取説等は、その後フランス語とドイ
最後に、もう一つ注目した点があるので書いておきます。
参照:
『翻訳の布石と定石』:(例文3C-17~3C20, p157-158)
A as well as B xxxxxという文章の場合、後ろにあるxxxxxがAにも係る
これについてもこれまで特に意識したことがなかったというか、当
下記のような解説がありました。
as well asの場合は、修飾関係がそこで切れるという説明があり、それが
当然のようにBだけに係ると思って考えだことがなかったため「なるほど」
as well asについては、別にもう1つ気になっていたことがあるので、次