タイトルのないミステリー

これは小説のタイトルではありません。
ブログのタイトルです。

ご訪問ありがとうございます。

こちらは私が趣味で書いている小説をUPしています。


それぞれの小説のタイトルをクリックしていただくと 

その物語の最初のページに行きます。


途中、誤字脱字あるかと思います。

(気がついたところは直していますがそうでないところもあります。)

そこは流してください・・・あせる



*注>ここのところ自動と思われるコメントが多く入ってきます。記事内容に全く関係の無いコメントはスルーさせて頂きます。


<一作目>

リンク ~棘~  (2010年7月~2012年10月連載)
申し訳ありません、原作変更のため只今公開を中止しています。

2作目よりお楽しみ下さい。

<二作目>

ゲンと源太 (2012年10月~11月連載)
こちらは短編物です。

狼と人間の切なくも悲しいお話です。

ささっと流し読みしていただければ幸いですアップ


<三作目>

羅刹(らせつ)の囁(ささや)き (2012年11月~2015年5月連載)
こちらも超がつく長編です。

人と人とが何処でどう繋がっているのかを解き明かしていくミステリーです。

複雑怪奇に繋がった人物関係を楽しみながら読んで頂けると嬉しいです。


<四作目>
魍魎(もうりょう)たちの誘(いざな)い (2015年6月~
 
(短編連載)

 第一話 「獲物」
 第二話 「呪縛」
 
第三話 「幻想」
 第四話 「冤罪」
 第五話 「女優」

 第六話 「因果」  

 第七話 「誕生」

 第八話 「暗鬼」  

 第九話 「悪夢」

 第十話 「淫雨」

 第十一話 「故意」  

 第十二話 「起点」

 第十三話 「疑惑」  

 第十四話 「奸計」  

 第十五話 「隠微」

 第十六話 「落月

 第十七話 「善意」  連載中)

こちらは短編構成です。1話が20~35回くらいの連載でお話が完結しますが一話から二話、三話、もしくは何話目かと関係ない中にもどこか関連があったり、繋がっていく構成にする予定です。


短編でありながら長編?みたいな。ただ今第17話執筆中です。

構成を楽しみながら読み進めて頂ければと思います。


★尚、ここに掲載されている全ての物語はフィクションです。

登場する人物、団体名は実在するものとは一切関係が有りません。



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「山下初恵様ですね」

真新しいパスポートを手にした出国管理官がパスポートの写真と初恵の顔を見比べている。この出国審査が終われば後は飛行機に乗るだけだ。

 高木美弥子の事件から二年が過ぎた。もっと早くに日本を出るつもりだったが海外永住権を手に入れるのに予想より大幅に時間が掛かってしまった。一度目は申請を却下されてしまった。初恵という人間は本当に平々凡々に生きてきたからろくな資格も持っていない。それらの資格を取得するのにも時間が掛かった。技術もノウハウもあったから初めから取り組む事を思えば楽ではあったと思うが。お金は既に海外バンクに移した。実際にずっと向こうにいるかどうかはまだ決めていないが当分日本に帰ってくるつもりはない。現地での仕事も見つけてある。それが上手く行けば帰ってくる事は無いと思うが、もし日本が恋しくなったら帰って来ても良い。何年も経てば高木美弥子の事件の事などみんな忘れ去ってしまう。支障は何もない、彼女は死んだのだ。

 出国管理ゲートを出た初恵はトイレに立ち寄った。洗面所で鏡を見る。そこに高木美弥子の顔があった。初恵は鏡に手を当ててその顔の輪郭をなぞる。

(この顔が作り物だなんて)

こんなによく出来ているのにと思う、そんな話し誰が信じるだろう。

(でも、あの子は信じた)

初恵の脳裏に森山あさ美の顔が浮かんだ。あの怯えきった顔は初恵の期待した通りだった。否、それ以上だったかも知れない。少し脅かし過ぎただろうか、だが人を殺したのだ、それくらいの報いはあって当然だ。しかも美弥子を殺そうとするなんて。恩を仇で返すとはこの事だ。人は一度受けた恩は忘れてはならない。それを忘れるからあんな事になったのだ。あさ美は警察で高木美弥子の殺人を自白した。あさ美にとって殺した相手が山下初恵であっては自分の行為に何の意味も無くなってしまう。だから何か疑いがあっても間違って違う人物を殺したかも知れないなどという事は決して口にしないだろう。それも分かっていた。それでも殺した筈の美弥子が目の前に現れた時は心臓が飛び出るくらいの驚きであったに違いない。この美弥子の顔をした人物が初恵である事は彼女にとっては救いの筈だ。こんな事を教えてあげたのも他ならぬ善意の賜物だ。あさ美が捕まってあのニュースを見た時はあまりにも期待通りの展開に小躍りした。これで全ての憂いが取り除かれたと思った。横領犯である高木美弥子はあさ美の手によって殺された。そして初恵はそれには一切関わってはいない。そんな証拠は何一つないのだから。美弥子の横領を知った初恵がそれを利用した時からこの計画は始まっていたのだ。

(全く、良い考えだったわ)

美弥子は初恵の言う通り動き、伝票の操作、不正を繰り返した。初恵が加わってからその額はどんどん大きくなった。このままではばれるのも時間の問題であると思えた。美弥子が捕まれば一網打尽だ、そんな時にあさ美が美弥子を殺してくれたのだ。そうなる前の何ヶ月か、美弥子のあさ美に対する仕打ちはあさ美に殺人の動機を与えるには十分なくらい陰湿なものだった。初恵の言いなりになっている事に鬱積のたまった美弥子がその腹いせにあさ美に八つ当たりした、そう初恵は思った。あさ美は大人しくて逆らえない性格だ。だから男の暴力にも耐えてしまう、そんな性格を見抜いていたから美弥子はあさ美を選んだのだ。彼女なら思い通りになると。それがまさかこんな結果になるなんて。初恵は鏡を見てニッと笑う。

(こうなる事は分かっていたくせに)

鏡の向こうの顔に向かって初恵はそう心の中で呟く。

(何もかも貯め込むのは良くないわね)

あさ美にもそう教えてあげれば良かった。そうすれば彼女には違う人生があったかもしれない。きっと今頃あさ美の精神は崩壊してしまっているだろう。美弥子に選ばれてしまったのは彼女の運命だったのか。もう誰も真相には辿り着けない。鏡の向こうの美弥子の顔は相変わらず綺麗だ。初恵は自分の望む顔を手に入れたのだ。初恵はこの顔になりたかったのだから。「あなたって本当に綺麗。私もあなたみたいな顔に生まれていたら人生が変わっていたのに」初恵は美弥子によくそう言った。仕事が出来て美人で聡明な美弥子になりたかったのだ。

「望みが叶って良かったわね」

初恵は今度は声に出してそう言った。みんな望みを叶えたのだ。あさ美は計画通りに美弥子を亡き者にした。初恵は美弥子の顔を手に入れた。だって初恵のパスポートの中にはあの美弥子の顔の写真が張り付けられているのだから。それが真実だ。初恵はパスポートを開いてその写真を見る。これが山下初恵だ。

「ねえ、良かったわね。これからはこの顔をしたあなたが山下初恵よ」

そう言うと初恵はまた鏡に向き直して赤い口紅を引く。

「それともあなたは高木美弥子?なんてね」

高木美弥子はもうこの世に存在しない、それで良い。どう生きるかは自分次第だ。人生、何が待っているかなんて誰にも分かりはしない。運命を切り開くのは自分次第、どんな事も自分の転機に導けば良い。

(さあ、新天地では何が待っているかしら)

初恵は鏡に向かって微笑むと化粧室を後にした。飛行機の搭乗口はすぐそこだ。そこからまた新しい未来が開ける。

 善意を尽くして人と関われば良い。そうすれば何もかも上手くいく。ずっとそうしてきたのだから――。

 

 

 

 

 

       第十七話 「善意」――終

 

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