「国家戦略特区」blog

ポスト・グローバリズムの社会を考察。安倍政権の移民=外国人労働者受入れ政策に警鐘を鳴らしています。


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『書評:世界を戦争に導くグローバリズム』

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『一芸に秀でたる者は多芸に通じる』

中野剛志氏の凄さを改めて感じた一冊です。経済問題や政治思想の分野で優れた論考を続けて来た中野氏ですが、現代の複雑な外交問題を理路整然と分析することで、五里霧中となって全く先行きの見えない国際社会の全容を本書で明らかにしています。

『陰謀論にもうウンザリ』

東西冷戦終結後の国際秩序は、複雑なために日本では多くの論客が単純化した思考で外交を語りたがります。その結果として多数の陰謀論が世間に出回り、アメリカ陰謀論、ユダヤ陰謀論、中国陰謀論、コミンテルン陰謀論など、ばかばかしい話が大手を振って吹聴されています。

『伊藤貫氏を凌ぎ我が国随一の外交評論家へ』

そのような中で、私が最も信頼を寄せていたのが、伊藤貫氏です。同氏の「自滅するアメリカ帝国」は現代の国際秩序を知る上で欠かせない一冊でした。しかし、伊藤氏の難は、経済観が財政破綻論や中国成長論などに冒されており、その部分割引いて考える必要がありましたが、本書の業績で中野氏は伊藤氏を抜き去りました。

『現実主義と理想主義』

本書では、特に米国の外交戦略が、理想主義と現実主義で揺れ動いた様を明らかにしています。理想主義とはある種のイデオロギーを外交戦略の原動力にしているケースで、自由と民主主義、人権などを世界に広めようとする意思です。第一次大戦後の20年間と、冷戦崩壊後の20年間で、共に米国が国際社会を主導して大きな間違いを冒したと指摘しています。

『理想主義の方が不寛容』

面白いのが、理想主義外交の方が、穏健さが無く、不寛容
(リベラルで無い)外交姿勢が顕著となり、世界を戦乱に陥れるという点です。理想主義外交の結果として、第二次政界大戦が発生したり、近年ではイラク戦争が失敗に終り、現在、冷戦崩壊後の米国一極体制が終焉しようとしています。

『同盟戦略、共存戦略、撤退戦略』

米国のオバマ政権は、これらの結果、理想主義から現実主義に移りつつあり、具体的な対応策としては、アジアでは、日米同盟により日本を封じ込め(同盟戦略)、チャイナとは米中共存を図り戦争の危機を回避し(共存戦略)、徐々に世界の警察官としての地位から退く(撤退戦略)という3つの戦略で動いていると説明します。

『意思を支配する力』

また外交力とは、「経済力」と「軍事力」に加え
意思を支配する力」(プロパガンダ)の3つが一体化して分割不可能なものと説明しています。これは私のなりの解釈ですが、この「意思を支配する力」というのは、損得勘定抜きで人間や国家を動かしてしまう歴史や文化などの国柄を背景とした思想と呼んだ方がしっくり来ると思いました。

『矛盾だらけの外交』

面白かったのは、覇権国家の存在によって国際社会が安定する事で、各国が経済成長しパワーバランスが崩れて世界が不安定化することです。さらに示唆に富むのは、経済が豊かになるから、世界が平和になるのではなくて、むしろ緊張状態が高まるケースが多々あることです。日中関係や日韓関係などが最たる例でしょう。

『ブレジンスキーの予言』

本書で印象深かったのは、民主党系の理想主義者として知られる、ブレジンスキーの外交見解が、米国外交の失敗の本質を示しています。先ず彼は、冷戦終結によって米国は歴史上唯一ユーラシア大陸に存在しないのに、ユーラシア大陸を支配した国になったと高らかに宣言します。

『国際社会の混乱の原因』

ここでブレジンスキーは、この世界秩序を仮
に米国が衰退した後も安定的なものにするために、西欧の拡大を提唱します。ウクライナとトルコを西欧の仲間にしようと言うのです。しかし、これは歴史や文化を完全に無視しています。ウクライナはロシア発祥の地で、トルコはイスラム国家であり西欧と対立した歴史を持ちます。

『理想主義の現実』

これはむしろ西欧にとっても迷惑な話です。つまり米国の理想主義とは、このような勝手な考えで、イラク戦争で中東を米国風に改造出来ると信じ、ウクライナを西欧に取込めば、ロシアを封じ込めると思い、世界を作り替えようとしたのです。歴史の無い米国らしい、歴史や文化を無視した発想で世界は混乱します。現在のウクライナ危機の原因です。

『オバマは、おバカか?』

日本の保守派を中心にオバマ無能論に近い意見を良く見かけますが、中野氏の分析は異なります。大統領の個人的な資質ではなく、米国の一極体制の終焉を背景に、覇権国家から降りようとする過程において様々な軋轢が世界で発生しているのとの認識です。このような傾向は今後も続くのです。

『プーチンと安倍晋三』

ロシアのプーチン大統領は、本書を読むと、世界侵略を繰返す米国に対峙する常識人に見えます。安倍総理に対しては、靖国参拝や歴史認識を通じて戦後体制に挑戦する側面と、日米同盟の強化や
TPP交渉参加などを通じて戦後体制を強化する側面など、矛盾した部分を持っていることが指摘されています。

『日本の外交姿勢』

中野氏は尖閣問題について非常に危機意識を持っており、チャイナの侵略を受けても米国は日本を助けず、むしろ日中対立を非常に迷惑なものと考えていると指摘しています。そのため日本は自主防衛を急ぎ、内需を拡大して国力を増進に励めと提言しています。また日中によるアジア地域覇権戦争が尖閣を舞台に起きうると懸念しています。

『中野剛志の悲観論』

中野氏はシンポジウムで、「来年の予想は、今年より悪くなること」と発言し、エマニュエル・ドット氏を爆笑させた悲観論者として知られています。
TPPにもあれだけ反対しつつも、政府は交渉に参加するだろうとの当初から予想し、8%への消費税増税も昨年6月のプライマリーバランス黒字化の閣議決定を根拠に安倍総理は必ず増税をすると予言しました。

『次の時代に対しての責任』

中野氏は精力的に著作を発表する理由として、将来、子供に向かって恥ずかしくないように、記録を残しているのだと語っていた事があります。同世代人として政策決定が出来る訳では無い。しかし何が問題なのか、それを著作として残せば自身が危惧した通りの悲惨な状況になったとしても、子孫に面目が立つというのです。


『必ず力を発揮する時が来る』

中野氏のように、これだけ悲壮な覚悟で言論活動を行っている人物もいないでしょう。経済にも完全保障にも精通している人物で、しかも現役の官僚なら本来は首相補佐官にでも起用すべきだと思います。今の安倍政権は中野氏の危惧する方向にドンドン動いていますが、いつかこの中野氏の蓄積が必ず活かされる日が来ると信じています。思想の力はそれだけ偉大なのです。


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本エントリーは、『世界を戦争に導くグローバリズム 』  (著)中野 剛志(出版社)集英社のAmazon書評を転載したものです。


 

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