Fragment

ホミンを色んな仕事させながら恋愛させてます。
SJのウォンキュ、はじめました。
未成年者のお客様の閲覧はご遠慮ください。


テーマ:
一緒にいける。

ユノと、一緒に。

戦える。


大変なところに行くというのに、どうしてこうも高揚してしまうのだろう。
たくさんの人の生命がかかってるというのに。
彼と戦えるというだけで、なんの不安も無くなるのは、どうしてかな。

『チャンミニ、』

キュヒョンに呼び止められる。
振り向くと、彼は僕の短槍を持っていた。
僕に向けて渡してくる。

『回収して、綺麗にしておいた。色んなものが付いていたから、』

色んなもの。
それはきっと、あの日の、色んなもの。
色んな血。
僕の、そして、ユノの血だろう。

『ありがとう、』

白樺でできた柄を握る。
しっくりと、手のひらに収まってくれるこの感触。

『渡さないほうが、いいのかなって考えてたら遅くなった、ごめん、』

キュヒョンはキュヒョンで、きっと色んな気遣いを多方面にしていたのだろう。
誰かの過去に触れたり、誰かの未来がかかっていることが続いたのだから。

『ううん、ありがとう、』

両手で抱き抱えてみると、寄せた胸と槍が同じ温度に感じたんだ。
大丈夫、戦える。
そんなふうに思えるように。









ドンへ兄さんたちが僕の夫になる人だった者を捕らえる。
僕が本人と顔を合わせるのは、その後だ。
僕とユノはそのすぐ下で働く人間に会うこと。
所持している危険なものを、動かさないでいて欲しいと頼むこと。

うまくやれるだろうか。
その気持ちが胸を過ぎる。
けれど、うまくやらなくてはいけない。
その胸を掴む。
大丈夫。
ここにも彼がいてくれるのだから。
そして、隣にも。

父から聞いた、隣の国の二番目に値する人の情報。
それを頼りに兄達が透視をして場内を探る。
その映像をこの場にやってきた父にも見てもらうことになった。
父が頷くと、全員が頷いた。

『準備はいい?』

誰かが言った。
全員が頷いた。

父と母が不安気に僕を見ていた。

笑い返そうとした。
その瞬間、隣にいた彼に手を握られる。
ユノの大きな手が、僕の気持ちを捕まえてくれるように、しっかりと。

だから、父と母にきちんと笑いかけたんだ。
いってきますって、気持ちを込めて。

身体の中が浮くような感覚。
魔術が身体のなかに染み込んでくる。
降り立った場所は、もうあっちの国だ。
死地かもしれない。


『いってきます、』

ユノの声だった。

凛とした声が、僕の両親に向けて放たれていた。
僕の手を、しっかり握ったまま。

唱えながら見送ってくれる兄達。
心配を露にしてくれる、イトゥク師。
唱えることに集中しているイェソンとリョウク。
シウォンに守られながら唱えるキュヒョン。

ドンへとウニョクのふたりは表情が締まって仕事の顔になっていた。
きっと、ふたりでこんなふうに気持ちを統一して駆けるのだろう。


必ず、この国の気持ちを、伝えて帰ってくるから。

みんなで、待ってて。

ユノと二人で、みんなで帰ってくるから。




染み込んだ魔術の力。
手のひらに感じる彼の体温。
頭の中の視界が開ける。
目を開ける。

そこには、あの醜い元婚約者と、父が言ったその下で働く人が揃っていた。

ドンへとウニョクのふたりが既に構えている。


驚いたこの国の人達の顔。

時が止まったように部屋の中から音が消えた。


『お久しぶりです、』

だから、僕から音を作った。

驚いて狼狽える声を漏らす元婚約者。

『突然押しかけて申し訳ありません、』

僕は散々、追いかけ回されていたけれどね。

『陛下、今日はお話がしたく、参上いたしました。』

二番目の男が抜刀しかけようとする。
それをユノが音もなく動いて自分の槍を当てて止めたのだった。
横から「ひっ」と息を飲む声がした。
王である、元婚約者。

なんだ、全てに脅えるような、小さいやつじゃないか。

ユノの殺意がない動きにすら、脅えるようなんて。

悪態を吐きたい気持ちを抑える。
僕は二番目の男の名を呼んだ。
驚いたように僕をみる。

『陛下と少々お話をさせていただきたいので、外にお連れいたします。』

ドンへとウニョクが動き、慌てふためく王を挟むように掴んだ。
ヒチョルが呟くように呪文を唱える。

『動かないでください、僕は残り、貴方と話がしたいのです、』

ヒチョルの詠唱が終わると、喚く声と共に三人と一人が一度消えた。
残ったのは僕とユノだけだ。

忽然と消えたこの国の主。

われに帰った同室の番兵たちが抜刀をして襲いかかってきた。

僕とユノは槍を手にして構える。
いつかもそうしてきたように、背中と背中を合わせるようにして。

『動くな!』

僕は言った。
戦いたいわけじゃない。
そのつもりで来たけれど、そんなつもりで来たわけじゃない。

それでも剣は振りかざされる。

殺さない。
誰にも、殺させない。

兵士の手首を狙い、槍の柄で叩く。
剣が床に落ちた音が響く。
ユノは爪先に力を入れ、踵を浮かせただけで重心を前に傾けていた。
ふわっとした槍の動きで前方から襲いかかる兵士ふたりの剣を叩き落とした。

風に吹かれた布のような動きだった。

『話をさせてください、』

再び二番目の男に向き合う。

『この国と、僕の国が、共に歩める方法を、話し合いませんか、』


解らずやの剣が唸る。

僕は二番目の男を見つめ続ける。







ユノがその剣を振り落としてくれる。

ユノの風圧が、僕の前髪を踊らせた。


『チェ・シウォンの国をご存知ですね、彼は僕の友人です。』

彼とも、また婚約者という関係だったけれど。

『彼の軍が、すぐ側まできてくれています、』

本当はもう少し、時間はかかるけれど。
脅しにしか聞こえないだろう。
脅えた剣がまた、僕に向かってくる。
大丈夫。
ユノが払ってくれる。
誰も殺さずに、この国に落ち着いて貰うから。

『あなた方の高い水準を持った技術を買おうと、向かっているのです、』

奪うのではなく。
閉鎖的な使い方だけでなく、その技術で綺麗な富を作るために。

『あなたたちが作ったもので、僕の国がどうにかなってしまうかもしれないことを知りました。』

だから止めに来た。

『僕はそれを止められなければ、僕は友人の力を借りてあなたたちを裁きにかけなくてはいけない。』

世界的な、裁きを。

そしてこの国は、その報いという形で奪われるのだ。

二番目の男は、そこまで頭が悪いわけでもないらしい。
僕の友人が誰で、友人の国がどれほどのものかを察したようだ。

『このまま、国が国として成り立たないままでらいられない。少なくともあなたはそう感じていらっしゃるのではありませんか、』

憶測でしかないけれど。

魔力が唸る音がした。
この国には術を使う者もいるのだ。
ヒチョル師はまだ戻らない。


ウオン


テプン。
そうだ、こちらにはユノの分身がいる。

ユノの背後から現れたテプンは術を唱え始めた者に向かっていった。
体当たりをして突き飛ばす。
さっと身を翻して大きな体で男の上に乗った。
噛まないようだ。
ユノが血を流さないように武器を扱ったみたいに。
やはり、分身なのだ。

二番目の男は狼狽えた。

『あなたたちの「武器」を、止めて頂けませんか。』

僕は自分の槍を足元に置いた。

からん、と乾いた音がした。

すると、ユノも自分の槍を床に置いた。

テプンがひとつ鼻を鳴らすと、踏んでいた男から降りてユノの側へゆっくり四足歩行をした。
そして鎮座する。


僕は膝を折って床についた。


手のひらを、床についた。


こんなことは、今までしたことがないかもしれない。




空気が動いた。
知っている気配だった。

ひとり、ふたり、さんにん、よにん、...ごにん、

僕の後ろに知っている人たちがいる。



二番目の男が言った。









シウォンの名を。




僕は振り向かなかった。



そして額を床に付ける。






『罪を認めて、僕達の手でこの国を生き返らせてください。』





床に向かって僕は言った。

この部屋にいる人全員の視線を感じた。

兄たちの視線も。

けれど、ユノの視線は感じなかった。

気配は感じた。

動いた気配。

僕と同じ高さに肩を落とした。

だめだよ、ユノ、あなたはこんなことをする必要はない。

あなたは鷹の目のように、何も言わず見下ろしているのがとても似合うの。

地に落としちゃ、いけない。
これはここにいる誰の役目でもない。
僕がすればいいことだ。



『誰の命も取り上げません。』


それはここにいる誰もが望んではいない。


『誰の命も裁きません。』


僕はすべてが欲しいのだ。


『認めてください、お願いします。』







二番目の男は、枯れたような声で兵士達に言った。

この国の「武器」の使用停止を。

そして兄達は散った。

その「武器」を自分たちの手で制しに。




僕は誰かの手によって、顔を上げさせられた。

シウォンだった。

ユノのそばにはヒチョル師がいた。




『夫婦揃って、土下座してるとは思わなかったっつーの、』


大魔術師がテプンの頭を撫でながら言った。




『裁きにかけるのは、国王だけと約束しよう。』


シウォンが二番目の男に言った。

男はその場にへたりこんだ。




終わったのだろう。




きっと散った兄たちと、僕の国で待機している兄たちが任務を完遂してくれるはずだ。




床についた手で、僕はユノを求めた。

外套の下に手を入れて、彼の帯に添えるように抱きしめた。

彼は僕の背をゆっくりと撫でてくれた。




『よくやった、』










その一言が、僕にとってなによりの勲章だった。


彼に褒められることが、

僕のなによりの喜びであることを、

思い出したのだった。














ほっ(*∵)
にほんブログ村 BL・GL・TLブログ 二次BL小説へ
にほんブログ村
AD
いいね!(231)  |  リブログ(0)

AD

Amebaおすすめキーワード

Ameba人気のブログ

Amebaトピックス

ランキング

  • 総合
  • 新登場
  • 急上昇
  • トレンド

ブログをはじめる

たくさんの芸能人・有名人が
書いているAmebaブログを
無料で簡単にはじめることができます。

公式トップブロガーへ応募

多くの方にご紹介したいブログを
執筆する方を「公式トップブロガー」
として認定しております。

芸能人・有名人ブログを開設

Amebaブログでは、芸能人・有名人ブログを
ご希望される著名人の方/事務所様を
随時募集しております。