2010-07-02 18:30:12

『いい天気なのに吐く息は白かった…3』

テーマ:ブログ
◆3


そこにこだわる女心がわからへんウチには彼女たちの必死さが滑稽に映る。


「アンナっ」サヤカが叫ぶ。


「ン?」緊張感の無いウチ。


「先に行って順番取ってくれへん?!」



悔しそうに唇を噛みしめたサヤカが「あの占い師、先着10名しか占ってくれへんの!」
十番以内じゃなかったら見てくれへん?ほんならウチの時間は水の泡やない。
アカン!ウチの時間はウチのもんや!。

視線をオバチャンに向けると冬の雑踏に紛れてオバチャン争奪戦が繰り広げられていた。

ざっと見積もって35名ほどの女の子が占い師のオバチャン目掛けて走ってる。


ウワァァ…何や知らんけど燃えてきたぁっ。


一気にエンジンが掛かった。「ワカッタ!」


色気ないウチはこんな季節もスニーカーやで。こう見えても陸上部出身やでぇぇ。
負けへんでぇっ。



冷たい空気がサッと頬を撫でる。


どんだけ走ってなかったんやろ?
高二の夏以来やろか?
あん時100メートル何秒で走れたっけ?

アァ…気持ちえぇ風やなぁ。




無意識にバタっと足を止めた目の前。
『一番か』簡易テーブルを組み立ててるオバチャンの背中があった。

「ハァハァハァハァ…」周りを見渡すと一着はウチで、背後には次々に列ぶ女の子たち。


「おめでとさん」どこか癇癪持ちで気難しい性格を想わせるオバチャンの声だった。


「アンタ…あのコの連れかいな」オバチャンは想った以上に無愛想だ。


オバチャンの視線にはゆっくりコチラに向かって来るサヤカが居た。オバチャンはさらっとサヤカに視線を伸ばす。


「へ?…あ、はい」


「世の中そないに甘ぉないで」


「何のコトですか?」


「で?何がしたい」オバチャンはもう次の話をしている。


「アンナ…さすがやな」息を切らしたサヤカが肩を抱いてきた。


サヤカは眉間にシワ。
冬だというのに額に汗を光らせている。


「ほんで?いい加減座りぃ」オバチャンがキレ気味に言うと。


サヤカは何事も無かったようにオバチャンの正面の席に座ろうとした。


「ちょっとぉ」オバチャンは訝しい表情でサヤカを見た。


「はい?」サヤカは悪びれる風もなく。


「アンタは順番外っ」オバチャンはきっぱり言った。


「エ?」


「えぇって…よう見てみぃ顰蹙買ぉとるで」 オバチャンが言う通り、辺りは図々しいサヤカに夥しく冷たい視線を浴びせていた。











続く

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