2007-03-10 23:23:29

「雪まろげ」

テーマ:演劇


雪まろげ

3/10 帝国劇場 にて


作:小野田勇
演出:マキノノゾミ
出演:森光子、石田純一、中田嘉子、森口博子、山田まりあ、青山良彦、田根楽子、
    金内喜久夫、大塚道子、米倉斉加年、他


何気に私は森光子の芝居を数多く見ている。
結構定期的に見ている。
…実は秘かなファンかもしれない。

ざっとあげてみよう。

 ● 「流水橋」(芸術座)
 ● 「放浪記」(芸術座)
 ● 「紙屋町さくらホテル」(新国立劇場)
 ● 「桜の園」(新国立劇場)
 ● 「おもろい女」 (芸術座)


今は無き芸術座に両親を連れて行ったこともあれば
おばちゃんたちに混ざって見に行った事もある。
井上ひさしの新国立劇場の柿落とし作品だというのに
大女優を遅筆地獄に追い込んだ舞台(「紙屋町さくらホテル」)もあれば
チェーホフの代表作を日本に舞台を置き換えた
実験的な舞台(「桜の園」)も見た。


杉村春子も亡くなり、山田五十鈴も第一線から遠ざかった今、
舞台で「大女優を見た!」という満足度を得られるのは今や
森光子以外ちょっといないんじゃないでしょうか。

しかも森光子のよさは「大女優でありながら舞台の固さが全くない」ことと
「時に実験的な事へも挑戦する」その【女優魂】みたいなもの。


舞台は常に明るく、観客もケラケラ笑いながら森光子の奮闘する姿を見て楽しんでいる…
その舞台の楽しさに私は毎回惹かれて見に行ってしまっているわけです。


しかし森光子ももう87歳
あとウン十年彼女の舞台を楽しむのはもう不可能な事。
今のうちに見ておかないと、と失礼を承知の上でこう思ってしまうのは人の常。
そして早速といってはなんですが彼女の当たり役「雪まろげ」
今回いそいそと見に行ったわけであります。


この「雪まろげ」はそもそも芸術座で大当たりをとったお芝居。
それを芸術座が現在改装中ということで(シアタークリエなんていう劇場になるらしいが…)
帝国劇場という大舞台でやったようだが、
芸術座の演目をそのまま帝国劇場でやること自体がどうかなぁと思う。


芸術座は確かキャパ700席ほどの劇場であったはずだ。
それが一気に倍以上、2000席近い帝国劇場という【器】はちょっと大きすぎやしないか
それに「雪まろげ」は芸術座という
小じんまりした劇場だからこそ 「面白かった」芝居なんじゃないだろうか。
青森・浅虫温泉のウソツキ芸者・夢子(森光子)がついた
小さなウソがあれよあれよという間に大きくなってしまう
そんな一騒動を描いたこの戯曲を、帝国劇場でみてしまうと
なんか【器】が大きすぎてひどく大味な舞台に見えてしまうのであります。


また主役の森光子は大女優であってもお世辞にも、
それほど「大柄な女優」じゃないもんですから
帝国劇場という大舞台では、なんか小さな存在に見えてしまって、
あまり演技も動き回らないのものですから尚更。
「放浪記」といい、この戯曲といいやっぱり芸術座という【器】が
小じんまりと、また客席の隅々までをも楽しませる
最適なものだったのではなかったでしょうか。

それに石田純一、森口博子、山田まりあ
共演者たちも、なんか芸術座でも器が余りそうな
…とてもじゃないが帝国劇場向けの役者さんたちじゃないから
なおさら大き過ぎた【器】の穴は埋められないなぁと余計思ってしまいます。


森光子も87歳、でも「やっぱり老けたなぁ」とは決して思いたくない。
戯曲に分不相応の劇場だったからこそ、
なんかスカスカな印象を受けてしまったと、
私は思いたい。


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2007-03-01 21:40:08

2月のラインナップ

テーマ:ブログ

暦では3月雛祭りですが、
私のブログはまだ2月の節分(笑)。
現在、必死に記事更新中であります。


更新状況につきましては記事アップしましたら
順次リンクさせていきますので
よろしくお願いいたします。


2月分更新予定記事


■映画(映画館)

 ● 「どろろ」 (2/10 Tジョイ大泉)
 ● 「ディパーテッド」 (2/12 新宿ミラノ2)
 ● 「不都合な真実」 (2/17 TOHOシネマズ府中)
 ● 「世界最速のインディアン」 (2/17 Tジョイ大泉)
 ● 「ドリーム・ガールズ」 (2/25 Tジョイ大泉) up!


■映画(ビデオ他)


 ● 「どこまでもいこう」 (塩田明彦監督作品 1999年)
 ● 「カナリア」 (塩田明彦監督作品 2004年)


■演劇


 ● 小松政夫とイッセー尾形の今だから創れる「百戦錬磨の人生ドラマ」 (2/10 THEATRE1010)
 ● こまつ座「私はだれでしょう」 (2/12 紀伊国屋サザンシアター)
 ● 「殿のちょんまげを切る女」 (2/24 新橋演舞場) up!
 ● Studio Life「Daisy Pulls It Off」 (2/27 シアターサンモール) up!


■伝統芸能


 ● 人形浄瑠璃文楽 第二部「摂州合邦辻」 (2/18 国立劇場) up!


■落語


 ● 国立演芸場2月上席 (2/3 国立演芸場)


■その他


 ● 「第79回 アカデミー賞」  up!
 ● 松本清張 小説「点と線」


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2007-02-28 23:17:35

Studio Life公演「Daisy Pulls It Off」

テーマ:演劇

2/27 シアターサンモールにて


作:DENISE DEEGAN
上演台本・演出:倉田淳
出演:舟見和利、三上俊、林勇輔、石飛幸治、曽世海児、倉本徹、河内喜一朗、他


「久々にこういう【小劇団】の公演を見たなぁ」というのが率直な感想でありまして
まずは劇自体の感想よりも、その「久しぶりだなぁ」と思った昔の思い出を。


私が大学生の頃だから、もう15年以上前。
【小劇団】の公演を見に行って衝撃を受けた。
当時で言うと「遊◎機械全自動シアター」「花組芝居」「第三舞台」とか…。
なんたるパワーだ!と。
決してテレビでは顔を見たことのない若い役者陣が、舞台の上で飛んで跳ねて大活躍し、
それを観客たちは大笑いしながら楽しんで見ている…。


役者陣もすごいと思ったが、それ以上に
その劇団を熱狂的に支持している観客たちの方にも私は「すごい!」と思った。
役者陣と観客たちが織成す【一体感】、これが【ライブ】なんだと。
私はその後、この感覚を味わいたくてあちこちの劇団を見に行くようになった。


しかし歳をとれば趣向も変わる。
あちこちの小劇団を見ているうちに、だんだんとその【ノリ】だけが命の舞台よりも、
ストーリーの面白さ、演出の面白さに目が行くようになり、
自然と演劇にも「落ち着いたもの」を求めるようになった自分は、
【小劇団】の公演には足が遠のくようになってしまったのでありますね。


だから久々にこういう若い劇団の芝居を見ると
「久しぶりだなぁ」という思い出というか、感慨というか、
そういうもんにまずは浸ってしまったのであります…


ではStudio Life公演「Daisy Pulls It Off」について


デニス・ディーガンという作家によるこの戯曲は、
なんでもロンドンで大ヒットした喜劇だ、ってことですけど
まぁストーリーを見る限りではごく普通の女子高生の話しかな、と。
(あちらでも標記は女子高生でいいのでしょうか?)
きっとイギリスの若手人気女優あたりが演じて話題になったんでしょうね。
あとあちらではA・ロイド・ウェーバーがプロデュースしたってことですから、
ここらへんでも話題になったのか、と。


で、この女子高生の話を【男性だけの劇団・Studio Life】が演じる
っていうのがこの公演の眼目ではないか、と。
コメディもやるしシリアスな演目もやるっていう同劇団の役者さん達が
【女子高生もの】をやるっていうのは、
まぁ男性が女性を演じる演技の上でも基本であるわけだし、
この劇団での2003年の初演が好評による再演らしいですから、
4年後のキャスト一新による再演は、この劇団のファンにとってもうれしいことなんでしょね。

それくらいこの演目は「役者陣の力・魅力」を全面にだしたものになってます。

会場は女性陣が約9割と、連れの女性からの紹介で見に行ったとはいえ
男性の私は大変肩身の狭い思いで(笑)。
で、明かにこの劇団の熱心なファンだと思われる観客たちは
役者の一挙一動にもう大喜びして見ているわけです。

演出の方も御丁寧にもそのファンたちが喜びそうなツボを心得たような演出で(笑)、

オープニングの役者陣が会場にちらばってご挨拶するところといい、
客席をクリケット場に見立てて、役者陣がクリケット観戦の観客となって
客席に散らばって声援を送るところなどといい、
もうファンたちにとっては【堪んない】要素
そこかしこにご用意されてるわけであります。


私はこの劇団が初めての鑑賞でありますし、
もうこの【ノリ】っていうのにはご無沙汰っていうのもありますから
はっきりいって【引いて】しまったのでありますが、
最初から最後までノリノリで楽しんでいるファンの女性陣を見ていると、
なんかこの劇団の【人気】っていうのがわかるような気がしますし
(現に人気俳優も数名出ているようですし)
男性が女性を演じるという、ちょっと【奇抜さ】はありますけど、
役者陣が芝居のライブ感覚を大切にしてるっていうその姿を見ると、
これからもこの劇団、人気出てくるんじゃないでしょうかね。
ファンにとっては「もう充分人気劇団です!」って怒られそうですが。


久々にこういう舞台を見ると改めて、
今も昔も【小劇団】のやってることってある意味同じだなと思います
でもこの変わらぬマンネリさが【芝居】の重要な要素なんでしょうし、
このマンネリが新しい演劇ファン、そして人気劇団を作りつづけているのでありましょう。
商業演劇だって【役者の人気】が興行の命でありますしね。

そして、この観客たちに指示されるからこそ、
劇団の人気役者がメジャーな舞台やテレビの世界へと
今も羽ばたいているのでありましょう。

今のテレビドラマに出ている役者さんたちを見ると本当、
ジャニーズ以外はほとんどが、かつての【小劇団】の人気俳優さんばっかりで、
このへんなんかに今でも充分
【小劇団】が果たしている役割っちゅうもんが証明されてると思いますね。


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2007-02-27 23:47:36

「第79回 アカデミー賞」

テーマ:映画エッセイ

本日のお題「アカデミー賞を憂う!」
全く深夜に怒りが爆発してしまったよ!
いい歳して!


楽しみにしていた「第79回アカデミー賞」
昨日はネットもyahoo!のトップページは極力見ることを避け
テレビもニュースになると目をそむけ、極力情報を入れず、
サラな状態で受賞を楽しもう、一緒にサプライズしようと
深夜になってしまったがやっとこさ録画していたものを鑑賞。
相変わらずwowowの放送は同時通訳が追い付かず、見辛いことこのうえなかったが
それでもアカデミー賞、早送りをしながら見続けて行った。


助演男優賞→アラン・アーキン 意外
助演女優賞→ジェニファー・ハドソン 納得


で、ズーッといって脚色賞でカチンときた。
「ディパーテッド」 …あれは脚色じゃないでしょ、コピー賞でしょ。
カチンときたからスピーチを見るのもすっ飛ばし、先へ進む。


主演女優賞→ヘレン・ミレン 華が今回は彼女ぐらいしかいないでしょ
主演男優賞→フォレスト・ウィテッカー これまた華がないから彼ぐらいしかいないでしょ

と、このへんになると「地味だなぁ」とだんだん見ていて憂鬱になってくる。
で、だんだん不安にもなってくる。
あまりにも華がないから、どこかで強引に【華】を持ってくるんじゃないか、と。
往々にしてアカデミー賞はこの出来レースが多い。


その不安は見事敵中!
監督賞でまたカチンときた。
マーティン・スコセッシ…受賞するのはいい。
名監督だ、今まで受賞してないのがおかしい。
だけど「ディパーテッド」 はないでしょ。
それに…そんなに喜ぶなよスコセッシ。
「俺はもっといい作品を撮ってきたのに!」ぐらい言ってほしかったよ。


で、またもや不安になってくる。
それも深い不安…まさか、まさか…ラスト
作品賞「ディパーテッド」 私は…キレた
あんな「インファナル・アフェア」をパクリを
その年のアメリカ映画の頂点に選ぶなんて、
アカデミー会員どうかしてる!
しかもアカデミー賞は全世界に放送してる!って自慢してるでしょ。
つまり全世界に「アメリカ映画は香港映画のリメイクを頂点に選びました!」
って自国の無知さをさらしてしまったわけでしょ。
本当、アカデミー会員が「インファナル・アフェア」をしっかり見ていたら
到底こういう結果にはならないはずですよ。
もっともナレーターが「ディパーテッド」 「日本映画のリメイク」と、のたまった時点で
自国の無知さを充分さらしてしまったんですけどね。


自分の国が一番!と思っていても、もう自分たちでは映画のアイデアすらも出せず、
人のをパクって「さすがいい映画」と自己満足にひたっている。
本当声を大にして言う、
アカデミー賞とアメリカ映画界を憂う!


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2007-02-25 22:31:12

「ドリームガールズ」

テーマ:映画(映画館 2007年)

ドリーム・ガールズ

2/25 Tジョイ大泉 にて


ミュージカルは【ノリ】が命です


監督・脚本:ビル・コンドン
原作:トム・アイン
出演:ジェイミー・フォックス、ビヨンセ・ノウルズ、エディ・マーフィ、ジェニファー・ハドソン、
   アニカ・ノニ・ローズ、ダニー・グローヴァー、他


 エフィー(ジェニファー・ハドソン)、
 ディーナ(ビヨンセ・ノウルズ)、
 ローレル(アニカ・ノニ・ローズ)の3人組は、
 コーラスグループ“ドリーメッツ”を結成し、成功を夢見てニューヨークへ旅立った。
 やり手マネージャーのカーティス(ジェイミー・フォックス)に見出され、
 大スターのジェームズ・“サンダー”・アーリー(エディ・マーフィ)の
 バックコーラスとしてデビューするが…。


アカデミー賞発表の前夜に見に行きました。
「バベル」は見てないし、
「リトル・ミス・サンシャイン」のアビゲイル・ブレスリンはお気に入りだけど
やっぱり助演女優賞はジェニファー・ハドソンで決定だろう!
この作品を見た時に決定的となり、翌日「『ドリームガールス』どうでした?」と聞かれたら
有無を言わさず「助演女優賞はジェニファー・ハドソンで決定だね」と周りに吹聴しまくってます。

(追記:でも内心、菊池凛子が受賞したらどうしようとハラハラしながら授賞式を見てました)


「ドリームガールズ」のオリジナルは1981年初演のブロードウェイミュージカル。
大ロングランを続けた名舞台の映画化であります。
実はこの舞台版「ドリームガールズ」にはちょっとした思い出がありまして
ブロードウェイで大ヒットした余波で20年くらい前に
日本でオリジナルキャストによる日本公演をやったんですね。
その時にテレビ朝日かなんかがスポンサーになって
この舞台の告知を、もう大量にテレビスポットで流してたんです。
その時のCMで使われてたナンバーが「One Night Only(Disco)」
この曲を歌いながら3人の黒人女性が、派手な衣裳で正面から歩いてくる…
このCMがもう来る日も来る日もテレビで流れていて、
すっかり私は子供心に
「ドリームガールズ」という舞台名と「One Night Only(Disco)」の曲が
脳裏にコビりついてしまったんです。
だから今回、劇中で「One Night Only(Disco)」がかかった途端に
別の意味で鳥肌が立ちました
20年ぶりの記憶が蘇った【鳥肌】であります。


話が横道に逸れました。
映画版の「ドリームガールズ」に戻しましょう。


でも「ドリームガールズ」、ホントよかった。
「ノリがいい」という言葉はまさにこの作品にあるようなもの。
オープニングのドリーメッツが、デトロイト・シアターの新人オーディションステージに出演し
見事に「Move」を歌い上げるシーンからもう見事なナンバーの連続。
メジャーデビューを果たすステージでの「Dreamgirls」 なんかは
見ていて、聞いていて鳥肌がたってしまうほど(こっちはナンバーの素晴らしさで!)。

残念ながらオリジナルの舞台は見ていないので比較はできませんが、
映画としてはオリジナルの舞台に忠実なんでしょうね。
オリジナルが秀逸な舞台だから、もとがいいと作る側もラクでしょうね。


でもこの映画自体、次々と流れるアップテンポなナンバーのように
短いカット割りでストーリーが進み、
ミュージカルでないドラマ部分も実に良いテンポでとにかく退屈する隙もないくらい
この全体のテンポの良さが抜群にいい
ここは映画版の最大の長所、スタッフの最大の功績。
ミュージカルってオリジナルナンバーの曲の良さと
そのシーンの描かれ方が重要なのはもちろんですけれど
その合間のドラマ部分も【ノリ】良く描いて行かないと
本当、全体の印象すらも崩れてしまう
この作品を見て思い知らされました。

そしてこの作品のもう一つの魅力はキャスティング。
特に女性陣たちがいい
ちっとも綺麗じゃないジェニファー・ハドソンの迫力ある演技は、
見た途端にアカデミー賞を予感させるくらいだから言わずもがな。
あとビヨンセもいいですね。
今までビヨンセっていうと【派手】というイメージしかなかったけど
この作品でオープニングに登場するビヨンセの、なんと可憐で綺麗なことか!
途中までビヨンセだとは気が付きませんでした、お恥かしい話。
後半の派手派手メイクでやっと「あっ、彼女がビヨンセだったんだ」って感じ。
あともう一人のアニカ・ノニ・ローズの良さは…地味なところ(笑)
無理矢理ほめようとしなくてもいいか。
とにかく【華】【実】を揃えた女性陣のキャスティングが見事でした。


ブラック・ムービーって正直なところ
私、今まで苦手でほとんど見なかったのですが、この作品は別格。
日本公開2週目でもそれほど客足が落ちずに、
ついには興行1位をとってしまったのも、
まさに作品のよさが浸透した結果であるんでしょう。
私のような人が多かったってことですね。


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