劇団東京乾電池祭り③「授業」
テーマ:演劇
祝!劇団創立30周年!
いよいよ最後、17時開演の3本目!
作:イヨネスコ
演出:柄本明
出演:ベンガル、角替和枝、高尾祥子
●昨日からのつづき
●
3本目はイヨネスコ作の「授業」。
この作品、東京乾電池公演ということを抜きにしても見たかった作品なのであります。
私にとって「授業」といえば中村伸郎のジャンジャン10時劇場。
ちょっとこれからは本公演とは話がそれます。
渋谷にジャンジャンという小劇場があったということは
「イッセー尾形」の公演の記事でも書いてきました。
そのジャンジャンの名物企画に「10時劇場」というのがありまして
ようは今のレイトショーの先駆けのようなもので
夜の10時から1時間ほどの演劇やらトークショーを毎日やっていたのですね。
故・マルセ太郎の一人芝居やおすぎのシネマトーク、永六輔のトークショーなど。
その中で1972年から11年間、毎週金曜日欠かさず上演されていたのが、
中村伸郎主演の「授業」だったのです。
中村伸郎(1908-1991)
演劇界の巨匠にして、黒澤明や小津安二郎作品の常連として出演していた名脇役。
晩年は別役実作品の常連として舞台中心の活動を行ってました。
私が演劇を見始めたときはもうかなりの高齢で、
舞台にもたまにしか出演してませんでしたが
でも私は氏に心酔し、
氏の晩年の舞台はもう追っかけのごとくに見まくっていました。
その氏の代表作がジャンジャンでの「授業」だったのです。
もちろん中村伸郎の「授業」は見ていません、何せ子供でしたから。
しかし伝説の舞台ともなった「授業」は中村伸郎では見られないにしても
何とか見てみたかった。
そういう時に今回、東京乾電池が取りあげてくれたのですから、
もう見ないわけにはいきません。
即決でチケット購入であります。
東京乾電池が今回この「授業」を取上げたは何となく分かるような気がします。
東京乾電池も人気が出たのは1978年からのジャンジャンでの公演からでした。
つまり夜は東京乾電池が公演した後、
夜10時からは中村伸郎氏が「授業」を演じていたわけです。
柄本明氏の作品チョイスにもきっとこのジャンジャンの思い出があったからに違いありません。
そして念願の「授業」の鑑賞。
簡素な舞台装置にカバンやノートが散乱しており、
そこに女生徒(高尾祥子)がやってくる。
部屋の裏のほうではトンカチのトントンという音が響き、
やがて女中(角替和枝)が出てきて
散乱しているカバンやノートを無造作に片付け、
女生徒を部屋に案内する。
やがてトンカチの音が鳴り止んで、老教授(ベンガル)が現れる。
教授の授業が受けたいという女生徒。
その要望を快く引きうける老教授。
やがて奇妙とも言える授業が進んで行くうちに…。
ベンガルの台詞ひとつひとつを、私は頭の中で中村伸郎氏の声に変えながら見続けて行った。
中村伸郎氏はあのシーンではああ言ったのだろう、
このシーンではこう動いたのだろう。
ベンガル氏には申し訳ないが、
私はこの作品を東京乾電池公演としては半分も見ていなかった。
常に中村伸郎氏が頭の中にいたからだ。
そして不条理さに笑いころげながら見続けて行くうちに
ラストの展開で劇は一気に緊迫し、
ラストでわかる、その最初のシーンの真実を知った時にはホラーばりにゾーッと背筋が寒くなった。
これぞ「授業」という戯曲のもつ見事さなのだろう。
「授業」見ておいて本当によかった。
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