「ふくろう」 | こだわりの館blog版
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特集【日本映画を語ろう!】
【プレイバック2004】第五弾は御歳93歳にして
バリバリの現役映画監督兼シナリオライター
日本のマヌエル・オリヴェイラ(私が勝手に命名)こと
新藤兼人の最新作「ふくろう」であります。
2004年劇場公開作品
監督:新藤兼人
出演:大竹しのぶ、伊藤歩、木場勝己、柄本明、原田大二郎、他
住民が出て行った希望カ丘開拓村に残る一軒の荒屋に住む
ユミエ(大竹しのぶ)と娘エミコ(伊藤歩)。
食べ物もなく餓死寸前となった2人はある計画を企てる。
やがて、ダムの工事現場で働く男がやってくるが、
彼女らの計画とは色仕掛けで男たちから金を取り、
帰りに毒酒を飲ませて殺してしまうという驚愕の行為であった…。
新藤兼人。
永年のパートナーであった乙羽信子の逝去で、さぞかし意気消沈かと思いきや
そんな杞憂は「かまわないでくれ」と言わんばかりに、
自らはますます己の道を極め続けています。
この「ふくろう」は2003年制作の翌年2004年初頭の劇場公開でありましたが、
それでも新藤兼人91歳での新作の発表。
しかもとても90歳以上の監督が撮ったとは思えぬほど
艶っぽく、過激なストーリー展開に一種前衛的とも言える演出方法。
この映画監督には90歳を越えても【枯淡】とかいった言葉は似合いません。
いつまでも過激で、いつまでも前衛的。
そのストーリーを発想する頭脳や、演出のスタミナたるや驚くべきものがあります。
確かにこの「ふくろう」は過激で前衛的な作品ではありますが、
どちらかというと大ベテランが軽くスケッチのように撮った作品といった感じで、
何人もの男どもが出てきては色仕掛けにあい、
そして殺されて行くといったそのストーリーはやや短調的。
主役の大竹しのぶと伊藤歩も、大ベテランの演出の過激さにはついて行けなかったか
演技もオーバー気味。
さすがの大竹しのぶも大いに笑わせてもらいましたが、
自身を演じるだけで手いっぱいといった感じ。
ラストで唐突に【労働讃歌】が出てきてしまうのも意味不明で暴走気味と
まぁ【アラ】を探せばボロボロ出てくる作品なのではありますが、
それでもやっぱり91歳の監督が放つ作品としては驚異的な出来ばえ。
新人監督たちが束になったって、この大ベテランのパワーの足元にも及ばないでしょう。
何でも新藤兼人は、ある雑誌で読んだのですが、
故郷である広島の原爆についての総決算的な作品をライフワークとして準備中との事。
しかし原爆についてを微に入り細に渡り取り上げるために
CGもフル活用と製作費も膨大にかかるため
なかなか実現できないでいるそうです。
インタビューの最後で「この作品を撮らない事には私は死ねない」とまで
90歳を越えた大ベテランは過激な発言。
是非、ここまできたら日本映画界では前人未到の
「100歳記念作品」として撮りあげてほしいものですね。
他人事のように勝手な事ばかり書いてしまってますが…。
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