「死に花」 | こだわりの館blog版

「死に花」

東映
映画「死に花」それぞれの「生き様」

特集【日本映画を語ろう!】
いよいよ年内最後の企画としまして【プレイバック2004】
そろそろ2005年の各ベスト10も発表になる頃でしょう。
そこで劇場公開のベスト10を考える前に、
昨年2004年の話題作や未見作をHDDで鑑賞して
ビデオ部門の方は改めて2004年の方を振り返りたいと思います。

まず本日第一弾としまして今年「メゾン・ド・ヒミコ」が公開された犬童一心監督
2004年作品「死に花」であります。
シルバーパワー爆発の豪華なオヤジキャストで固めた異色作。
犬童監督のことだから、さぞかし笑いのはじけたパワーあふれる作品かと思いつつ…

2004年劇場公開作品
監督:犬童一心
原作:太田蘭三
出演:山崎努、宇津井健、青島幸男、谷啓、長門勇、藤岡琢也、他

  郊外の老人ホーム。
  急逝した現田(藤岡琢也)の葬儀が、
  生前撮ったビデオとジャズバンドによる派手な音楽が流れる中、とり行われている。
  葬儀も終わり、ホーム仲間たち(山崎努、宇津井健、青島幸男、谷啓)は
  現田が銀行から17億円を盗み出す企画書を見つける。
  そこは仲間の伊能(宇津井健)がリストラされた銀行。
  仲間たちは一致団結し、計画を実行しようとするが…。

前半までは、まことに軽快なテンポで快調そのもの。
現田(藤岡琢也)の葬儀シーンでの型破りな派手さといい、
現田の死を悲しみ、老人ホームの恋人(加藤晴子)の後追い自殺するショッキングなシーンといい
現田の意志を継いでホーム仲間たちが現金強奪計画を実行しようとする、その若々しさといい、
犬童監督らしいユーモアを全編に漂わせた軽快な展開は、見ていて笑いとともにワクワクしてきます。

キャストも秀逸。
山崎努、宇津井健、青島幸男、谷啓という、まさに4人4様のキャラクター設定が絶妙。
これに映画開始早々に亡くなってしまう藤岡琢也に、
計画実行から絡んでくる長門勇も加われば
6人6様のバラエティさ。
よくこんなキャストを考えたもんです。
特に青島幸男に、いつまでも若い女性の尻を追い掛け回すセクハラオヤジ役を演らせるところが、
この作品のミソ。
また青島幸男自身が嬉々としてこの役を演じているものだから、なおさらの事。
もう青島幸男には【前東京都知事】という肩書きは無くなってしまったようです…。

と、まあ前半に関して言えばこの作品、褒めちぎりたいくらいなんですが、
いざ計画実行となる後半の展開となると何故か急に失速して、
作品全体に元気がなくなります
計画実行が順調に進んでいるにもかかわらず、何故か見ていて【爽快感】が無いんですね
それは計画実行の合間に挿入されるエピソードの数々が、暗く重苦しいからなんです。

例えば押し入った銀行が、宇津井健がリストラされた銀行で昔の屈辱を思い出したり、
山崎努が愛人(松原智恵子)と関係を結ぼう(あっちの方の)とするけれど“うまく”いかなかったり、
どうも奇抜な発想の行動を老人たちがとっているにもかかわらず、
出てくるエピソードは【現実】に引き戻されてしまうものばかりなんです。
これでは見ていて【爽快感】など得られません。
ましてやこの【現実的】なエピソードが実を結んで(?)か、映画の終わりも実に現実的。
後半も、犬童一心監督の軽快さに期待した身にとっては実にガッカリ。
原作がこうだったのかもしれませんけれど「やっぱり【現実】は厳しいワ」という終わり方が
この作品として果たして正解だったのか…。
前半にワクワクさせられた身にとっては、
この後半のだんだん暗くなってくる失速さが誠に残念でありました。

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