「男はつらいよ 寅次郎夕焼け小焼け」 | こだわりの館blog版
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特集【日本映画を語ろう!】
【スターで魅せる映画たち】。
渥美清を取上げたならば、やはり「男はつらいよ」シリーズは避けては通れません。
ということで本日は、私の最も好きな「男はつらいよ」。
1976年公開のシリーズ第17作、「男はつらいよ寅次郎夕焼け小焼け」であります。
1976年劇場公開作品
監督・脚本:山田洋次
出演:渥美清、倍賞千恵子、前田吟、太宰久雄、太地喜和子、大滝秀治、岡田嘉子、宇野重吉、他
実はこの作品、私がタイムリーに観た初めての「男はつらいよ」なんです。
と、言ったら歳がバレちゃいますけどね。
私の父親の会社が年1回、浅草の国際劇場(現在は浅草ビューホテルのところ)で
【納涼観劇会】のようなものをやってまして、
1部が「男はつらいよ」の上映、2部がSKD(松竹歌劇団)のレビューショウで、
それに初めて親に連れて行ってもらって、その時観た「男はつらいよ」がこれ
「寅次郎夕焼け小焼け」だったんです。
その初体験の“寅さん”「寅次郎夕焼け小焼け」が子供心にスゴイおもしろかったのです。
もう面白すぎて、この記憶が私を「男はつらいよ」のファンにさせてしまったのかもしれません。
でも、子供の面白かったものって、大人になると
「なんでこんなのが面白かったのだろう?」と思う時ってあるじゃないですか。
だから学生時代、TVで放送された時、この作品を恐る恐る再見したところ、
子供の頃感じた以上に、これも無茶苦茶面白かった。
3年ほど前、TV東京で「男はつらいよ」シリーズ一挙放送の時も録画して見たら、
これも面白くって立て続けに2回見てしまった。
そして今年、NHK-BSで放送された時は、永久保存版としてDVD録画して、
4回目の鑑賞をしましたが、もういい歳の大人になったのに…やっぱりおもしろい。
本当、「寅次郎夕焼け小焼け」は私にとって「男はつらいよ」の最高傑作だと今でも思ってます。
他に「男はつらいよ」のお気に入りを挙げるならばですね、
●「男はつらいよ(1969)」【マドンナ:光本幸子、他の出演者:志村喬】
●「続・男はつらいよ(1969)」【マドンナ:佐藤オリエ、他の出演者:ミヤコ蝶々、東野英次郎】
●「男はつらいよ 寅次郎恋歌(1971)」【マドンナ:池内淳子、他の出演者:志村喬】
●「男はつらいよ 寅次郎相合い傘(1975)」【マドンナ:浅丘ルリ子、他の出演者:船越英二】
このあたりでしょうかね。
ではなぜ「寅次郎夕焼け小焼け」が面白いのか。
1つ「寅さんが恋をしない(失恋しない)」。
「男はつらいよ」といえば寅さんがマドンナに恋して、そしてフラれるのが定番。
観客もそのフラレっぷりを見て楽しんでいるともいえます。
しかしこの「寅次郎夕焼け小焼け」には「恋物語」らしき展開はこれといってありません。
マドンナは太地喜和子、兵庫県・竜野の芸者・ぼたん役。
この芸者さん、実にさっぱりした性格で、
口では「寅さん好きよ」といいながら全然ベタベタしてません。
寅さんもこの“さっぱりした性格”の芸者をえらく気に入り
「ぼたん、ぼたん」と連日酒盛りとなるのですのですが、
ぼたんを見る寅さんの目は“恋人”というよりは、“仲間”といった感じです。
そう、シリーズ最多出演の浅丘ルリ子扮する歌手・リリーに感じが似てますね。
ですから、この作品には「恋」や「失恋」といったジメジメしたものが全くありません。
これが逆に「男はつらいよ」シリーズの中で異色の面白さを発揮しているのです。
他の「男はつらいよ」には無い“洒落た雰囲気”すら漂っているくらい。
2つ目「サブストーリーが抜群におもしろい」
「男はつらいよ」は寅さんが面白ければ充分なのかもしれませんが、
寅さんに絡んでくる脇役たちによって演じられるサブストーリーによっても随分と変わってきます。
しかもそれが名優たちであれば尚のこと。
作品がひとつピシッと引き締まります。
「寅次郎夕焼け小焼け」での共演は宇野重吉。言わずと知れた演劇界の重鎮。
今では寺尾聰のお父さんといった方が通りが良いのでしょうか。
宇野重吉が演じるのは日本画壇の第一人者・池ノ内青観役。
この青観がいかに寅さんと出会い、寅屋の人々たちと絡んでくるのかが、この作品のポイント。
これが実に面白く、そして実によく出来たストーリーなのであります。
そしてこの見事なサブストーリーが、寅さんとマドンナとの出会いを呼び、
この2つのエピソードが見事に絡んで至福の大団円を迎える。
本当にこの作品のラストは素敵で見事です。
うれしくって、幸せな気分になって、私今回は思わずホロリとさせられてしまいました。
人間、歳とると涙腺もゆるくなってしまうものです…。
今回はストーリーを細かくは書きません。
「男はつらいよ」シリーズ、全48作という膨大な数の作品の中、
どの作品から見始めればよいのか、
またどの作品が良い出来なのかを問われたら、
私は迷わずにこれ「寅次郎夕焼け小焼け」を推薦しますね。
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