「悪名」 | こだわりの館blog版
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特集【日本映画を語ろう!】
今回のお題は【スターで魅せる映画たち】。
この数週間、ひたすら日本映画を見続けて
気鋭の力作やら問題作やらで、こちらも少し疲れ気味なものですから
ちょっと気休めといった感じで、往年プログラムピクチャーを中心に
映画の黄金時代にキラ星のごとくに存在していたスターたちの魅力を堪能しようという企画です。
まず1本目は1961年、今から45年前の大映作品「悪名」。
もうスゴいスタッフにスゴいキャスト。
しかも今や大御所連中がみんな若い!若い!
1961年劇場公開作品
監督:田中徳三
原作:今東光、脚本:依田義賢、撮影:宮川一夫
出演:勝新太郎、田宮二郎、中村玉緒、水谷良重、浪花千栄子、他
今の日本映画に無くなってしまったもの…
【映画】が国民の娯楽の王様として君臨し、毎週のように新作が次々と公開され
人々は映画館に足しげく通って、スクリーンで展開されるスターたちの魅力に
ワクワクしながら食い入るように見入ってる…。
お目当てはあくまでも役者、しかも飛びっきりの映画スターたち。
そしてそのスターたちを脚本や撮影などのの熟練したスタッフたちが、より一層魅力的に盛り立てる
【監督】なんてのはどうでもいい、ただの【職人】でよかったですね。
「悪名」には当時絶頂期であったろう大映映画のプログラムピクチャーの魅力がギッシリ詰まっています。
そしてスクリーンを彩るは、大映が誇るスター、スター、スター!
河内の百姓の伜ながら無類の暴れ者で
“肝っ玉に毛の生えた奴"と恐れられていた主人公・朝吉。
扮する勝新太郎の何と魅力的なこと!
彼の大当り役で後半のイメージを決定的にした「座頭市」シリーズの前年の作品という事もあり
キリッと引き締まったワイルドなその風貌は、
「座頭市」から勝新太郎を見ている自分にとっては何とも新鮮。
喧嘩やバクチで無類の強さを示し、
“悪い奴ら”には相手が大勢であろうが、単身で徹底的に食下がる。
女性に対しては、手は早いが気持ちはやさしい。
後に河内で一家をはる朝吉役は、若き勝新太郎のキャラクターにまさにどんぴしゃり。
そしてその朝吉とパートナーを組むのが、土地の暴れん坊モートルの貞。
朝吉の連れの青年と酔った勢いでひと悶着を起し翌朝、朝吉と対決する羽目になったが、
機敏な朝吉の働きで散々に打ちのめされる破目に。
やがて朝吉の魅力にひかれて舎弟の契りを交わす彼。
扮するのは「白い巨塔」の田宮二郎。
もう私にはクイズ「タイムショック」の司会としてしか記憶にない、
若かりし頃の田宮二郎の何と格好よいことか!
彼の喋る関西弁のなんと滑らかで、美しい響きである事か。
台詞は汚い言葉でも、彼の低音の“声”と滑らかなカツゼツで思わず聞き惚れてしまったほど。
そして、朝吉にからむ【女】が3人、いずれも今では大御所や名女優。
一人目は朝吉が松島遊廓にくりこんだ際出会い、朝吉にぞっこん惚れ込んだ遊女・琴糸。
扮するのは水谷良重、現二代目水谷八重子。
まだ若くて純粋そのもの。
芝居もお世辞にもそんなにうまくありません。
でもその【純さ】が幸薄い遊女役にピタリとはまって魅力的。
その後の彼女は母親(水谷八重子)に反発し、
バラエティにライブにとエンターテイナーとして活躍するのですが、
血は争えず今や新派の大黒柱。
二人目は琴糸の後に朝吉が出会う、料理屋の仲居・お絹。
かわいらしい可憐な風体ながら意外にも気は強く、
惚れ込んだ朝吉に“妻にする"という証文をかかせて身を任せる強い女。
扮するのは中村玉緒、ご存知勝新太郎夫人。
今やバラエティでのイジられ役ですが、
本当に現在の姿が信じられないくらいにかわいらしい!
大体、声からして違いますもの。もちろん「グフフフ…」の笑い声もありません。
そして最後は、因島で子分二千人を持つ【島の女王】麻生イト。
扮するは今は亡き浪花千栄子。
なんだ婆さんかと侮るなかれ、そのド迫力さにはビックリ仰天!
小津安二郎作品での【上品な大阪のご婦人】とは打って変わっての大親分。
浪花千栄子…役の懐が深すぎです。
ラストで約束を裏切った朝吉をステッキで叩きのめす、その姿は“狂気の沙汰”さえ見えてきて
ちょっと…ものスゴイ迫力でしたワ。
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