2005-10-25 02:28:32

「蝉しぐれ」

テーマ:映画(映画館 2005年)
蝉しぐれ

特集【日本映画を語ろう!】

【劇場公開作品より】3本目は「蝉しぐれ」です。
藤沢周平の原作を黒土三男がまさに執念ともいえる念願の映画化。
その意もあって前半が見応え充分な力編、
しかし後半になるとちょっと「?」が出てきてしまうのが何とも残念…。

【劇場公開作品より】
10/22 ユナイテッドシネマとしまえん にて
監督・脚本:黒土三男
原作:藤沢周平
出演:市川染五郎、木村佳乃、石田卓也、佐津川愛美、ふかわりょう、原田美枝子、緒形拳、他

  江戸時代の東北の海坂藩。
  下級藩士の牧文四郎(石田卓也)は父・助左衛門(緒形拳)を心から尊敬し、
  隣家に住む幼なじみのふく(佐津川愛美)に淡い恋心を抱きながら、日々の生活を送っていた。
  しかしある日、助左衛門は藩の派閥抗争に巻き込まれ、冤罪によって切腹を命じられてしまう。
  またふくも殿の屋敷の奥につとめることとなり江戸へ行ってしまう。
  以後、文四郎(市川染五郎)は成人してからも謀反をおこした父の子として数々の試練にさらされる…。
  またふく(木村佳乃)も江戸で、殿の後継者争いに巻き込まれる事となるのだが…。

前述の通りこの作品、文四郎の青年時代を描いた前半が素晴らしいです。
製作者も早く市川染五郎らのスターを登場させたかった事でしょう。
しかしこの作品は前半をしっかり描き込まなければ、後半の感銘は受けられない。
何せ成人してからの文四郎は、青年時代の屈辱をバネに全て行動に移していくのですから!
ですから監督の黒土三男は、成人した市川染五郎や木村佳乃を登場させずに、
あえて地味なキャストでたっぷり1時間近くかけて
この前半の文四郎の青年時代を描いて行きます。
また地味なキャストながら青年時代の文四郎を演じた石田卓也や、
少女時代のふくを演じた佐津川愛美の両名がなかなか魅力的で、
2人の無念の別れなど胸に迫るものがあります。

そして何と言っても前半の素晴らしさの原動力は、
父・助左衛門を演じた緒形拳の演技の見事さに尽きるでしょう。
近年の緒形拳は、これといった活躍もなく登場してきた時は「久々だなぁ」と思ってしまいましたが、
今回の役は本当に適役!
威厳に満ち溢れ、自らの信念で死を選ぶ「これぞ武士」といえる父親を名演しております。
緒形拳の名演あればこそ、この前半は充実したものになったのであります。

しかし、しかしです。
緒形拳も亡くなり、キャストが成人してからの後半に変わってくると
画面からいくつも「?」が出てきてしまうのです。

まずは成人の文四郎を演じる市川染五郎
決してミスキャストだとは思いません
さすが歌舞伎役者だけあって立ち振る舞いの美しさなど、
今や時代劇でこういう所作のできる若手俳優が皆無の状況の中、
非常に貴重な人材であるとは思います。
しかし青年時代を、色の浅黒い、どちらかといえばゴツい体型の石田卓也が演じていたものですから
文四郎が青年時代から苦労して今日に至りスリムな【すっきり顔】
市川染五郎に変わるということに、どうも違和感を感じてしまうんですね。
苦労したんだからもっと武骨な人間になっているだろうに、と。

さらにもっと「?」だったのが、文四郎の学友たち逸平と与之助。
成人してから何故【お笑い】のふかわりょう今田耕司にならなければいけないのか!
特に与之助は武道が苦手と江戸で学問に励みそれなりの秀才として地元に帰ってきた人物。
それがなぜ今田耕司にならなければいけないのか?
どう考えても「?」しか浮かびません。

そして最後は演出上の「?」。
ラストでお互い中年になった文四郎とふくが久々に対面するシーン。
ふくは尼になるため、文四郎とこれが最後の対面となるのです。
言葉少なき両名がしばし歓談し、そして遂に永遠の別れとなります。
さあ別れだという時に文四郎、感極まって「ふく!」と叫ぶでもなくつぶやくでもなく呼びかけます。
いいシーンです…ここまでは。
すると演出はどうしたことか、文四郎とふくの青年時代からフラッシュバックで
数々の2人の想い出シーンを延々と映し出してしまうのです。
…これは余計でしょ。
作品もここまで展開すれば、2人の想い出のシーンなどは
見ている側のそれぞれの頭の中で出来上がっているのですから
見る側のイマジネーションに任せればいいのであって、
具体的に展開させてしまうとかえって「さあ、泣け!」と言わんばかりに
画面が急に押しつけがましくなってしまってます。
さりげない良いシーンだったのに、
最後の最後の締めで「?」を感じてしまうとは、ここはホントに残念でしたね。

■特集【日本映画を語ろう!】の過去の記事、今後の予定は こちら から

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コメント

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8 ■chishi 様

コメントありがとうございます。

お笑いの人って
うまい具合にはまると作品のグレードが予想以上にあがるものですが、
失敗すると最悪の結果になるんですよね。
この作品は…後者でした。
今だに「なぜ今田耕司?」と思いますもの!

7 ■お笑いのお2人

私もね~不思議に感じましたです。別に彼らの必要性、無いですよね。スポンサーの関係なのかなぁって、余計なことを考えちゃいました。

6 ■あかん隊様

コメントありがとうございます。

と↑ではボロクソに書きましたが、
昨今の日本映画では極めて丁寧に作られた貴重な作品だったと思います。
特に前半は素晴らしかった。
親子の最後の対面のシーンなど
正直私、わかってはいたものの涙してしまいましたもの…。

5 ■スナッチャー様

コメントありがとうございます。

ふかわりょうは見方によっては
結構素朴な顔立ちなのでまぁ許せるとしても
今田耕司は、どう贔屓めに見ても納得がいきません。
しかも劇中のギャグがちっともおもしろくない!
最悪…。

4 ■ミチ様

コメントありがとうございます。

私もラストの「泣かせ」に
「ダメだよ~!」と欽ちゃんばりのツッコミを入れてしまいました。
藤沢周平の世界には「さりげなさ」こそ似合うと思うんですよね。
作品自体は私も好きなんですけど。

3 ■TBありがとうございます。

まあ、いろいろ思うところはありましたが、良い映画だったのではないか、と個人的には思っています。
「泣かせ」的なお話が、溢れている昨今ですので、多少のことは仕方ないかな、と。

2 ■TB御礼

TBありがとうございます。
色々賛同する点が多いのですが
>成人してから何故【お笑い】のふ
>かわりょうと今田耕司にならなけ
>ればいけないのか!
この点に関しては、“超”が付くほ
どでございます・・

TBお返しします。

1 ■TBありがとうございました

こんにちは♪
藤沢ワールドが大好きなんですけれど、どちらかというと山田監督による2作の方が好みだったりしました。
もちろんこの作品も良かったです。
これ見よがしな「泣かせ」の部分だけはいかがなものかと思いました。

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