「世界の中心で、愛をさけぶ」 | こだわりの館blog版
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特集【日本映画を語ろう!】
柿落としは【今の日本映画を語るに欠かせない3監督】としまして
行定勲、阪本順治、岩井俊二を取上げたいと思います。
本日から3日間は新作「春の雪」も公開間近な、「今最も売れっ子な若手監督」行定勲。
そしてその第1弾は昨年のメガヒット作「世界の中心で、愛をさけぶ」であります。
この作品の大ヒットで一挙に売れっ子監督の筆頭にまでなった行定勲のまさに出世作。
こういう作品でこの特集をスタートとは、自分のキャラクターからしても
んー、意外、意外…
【今の日本映画を語るに欠かせない3監督】
①行定勲監督作品第1弾
2004年劇場公開
原作:片山恭一
脚本:坂元裕二、伊藤ちひろ、行定勲
出演:大沢たかお、柴咲コウ、長澤まさみ、森山未來、山崎努、他
もともと私はちょっと捻くれた性格ですから、
「誰もが涙した」と大評判をとったこの作品を
この特集の初っ端に持ってきて「さあ、批判してやろう!」と意気込んでみたんですね。
ところが、お恥ずかしい事に最初の意気込みはどこへやら
意外にも素直な気持ちで見終わってしまったのですよ。
って別段、恥ずかしがる事ないか…
朔太郎(大沢たかお)は休日出勤のオフィスでなにげなくTVをつけた。
そこには台風上陸のニュースが流れていた。
ぼんやりニュースを眺める朔太郎だったが、
今日は婚約者律子(柴咲コウ)と新居へ引っ越しをする日だったことを思い出す…。
一方、律子の方はせっせと引っ越しの準備中。
と、箱の片隅から1本のカセットテープが出てくる。
何かを想い出した律子は、しばらく使っていなかったウォークマンで
意を決してそのテープを聞き始め、そして涙する。
それは約20年前の、朔太郎にも律子にも深い心の傷を残している
忘れられない“あの人”の最後の声が入っていたからだ…。
この大沢たかおと柴咲コウのオリジナル・ストーリーである【現在のパート】よりも
断然、長澤まさみと森山未來の原作である【20年前のパート】の方が良かったですね。
まぁ、この主人公たちが自分と非常に近い年齢ということもあり(ちょっと下かもしれない)
【20年前のパート】は出てくる事柄やキーワードや小道具までが
リアルタイムで接してきた私にとっては見ていて思わず
「懐かしいなぁ」を連発してしまいました。
だから、このパートが良かったというのは、
ちょっと【エコひいき】の部分が多大にあるわけですが、
でもこの純粋なラブストーリーが、思いの他ストレートに描かれていて、
それがかえってイヤ味がなく新鮮に映りましたね。
行定勲の監督作品は「GO」を劇場で見て以来のご無沙汰だったのですが、
この数年で自信をつけた監督っていうのはうまい具合に変わるもんです。
その演出たるや実に堂々としたもの。
変化球なしの直球勝負といったところでしょうか。
また何と言っても【20年前のパート】に好感がもてたのは、
主役の2人に長澤まさみと森山未來という素朴な俳優陣を起用したところでしょう。
長澤まさみは、まぁ東宝の秘蔵っ子ですから、
魅力的に描かれるのは当たり前といったところなんですが、
意外だったのが森山未來の好演。
ちっとも色男でもないし(失礼!)
どちらかというと脇役で終わってしまいそうな風貌ながら(ますます失礼!)
この【素朴さ】が青春時代の朔太郎という等身大のキャラクターを造形していて
彼が演じたことでこのパートはイヤ味のない、
実に瑞々しく切ない恋物語へと昇華していると思います。
まぁ、私の青春時代も【劇的な要素を抜いた朔太郎】みたいなモンでしたから、
余計に好感が持てたのでしょう。
これもはっきり言って【エコひいき】です。
しかし長澤まさみと森山未來のパートが良かったからこそ、
余計に大沢たかおと柴咲コウのオリジナル・ストーリーの部分が
【蛇足】に見えてしまったのも事実。
オープニングこそ作品の導入部分でありましたから許せたものの
やはり後半「世界の中心」に実際に行ってしまった、というのは如何なモンでしょ?
20年前の彼らにとっては「憧れの世界」であったのですから
「憧れ」は現実で見せずに青春時代の【あこがれ】で終わってほしかったと私は思います。
「それじゃ物語が完結しないじゃない」と反論されるならば
せめて、実際に映像で「世界の中心」見せないまでも、
「世界の中心」に出発する前の成田空港あたりで作品を終わらせてしまった方が
作品としては余韻が深くなって良かったんじゃないでしょうかねぇ…。
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