「コンフェッション」 | こだわりの館blog版

「コンフェッション」

勝手に「オーシャンズ12」鑑賞記念として
スティーブン・ソダーバーグ監督作品特集。
最後は番外編としまして、
ソダーバーグは制作総指揮にまわり盟友ジョージ・クルーニーが初監督を務めた「コンフェッション」を取り上げましょう。
監督ジョージ・クルーニー自らも出演し、ジュリア・ロバーツが共演、ブラッド・ピット、マット・デイモンもゲスト出演と「オーシャンズ」で培った人脈をフルに使っている作品でもありますし…

2002年劇場公開作品
監督:ジョージ・クルーニー
脚本:チャーリー・カウフマン
出演:サム・ロックウェル、ドリュー・バリモア、ジョージ・クルーニー、ジュリア・ロバーツ、ルトガー・ハウアー、他

おもしろい人物がアメリカのTV業界にはいたもんです。
「デートゲーム」や「ゴングショー」など軽薄バラエティ番組を次々と制作していた人気ディレクターが、実は裏でCIAの手下として殺し屋をやっていた、というストーリー。
何の予備知識もなく作品を見たため最初は「本当かよ!」と信じそうになりましたが、ダマされてはいけません。
脚本が「マルコビッチの穴」のチャーリー・カウフマンであります。
これは壮大なホラ話である(と、私は思ってます)。
確かにヒットバラエテティを次から次へと放たなくてはならないプレッシャーから彼はよく1週間ほど失踪していたそうですし、番組中の失言・奇行は日常茶飯事だったようです。この点を彼は「実は殺し屋をやってたんだ」と上手い具合に“言い訳”をしたのが、この作品の原作「危険な心の告白」であった(と、私は思います)。
そして「衝撃の告白」と見せかけておきながら、どことなく漂う「うさんくささ、ウソくささ」に目をつけたのが脚本のチャーリー・カウフマンであり、この原作に彼は自分と同じ“ニオイ”を感じ取ったのでありましょう(と、私は思います)。

そしてその脚本をジョージ・クルーニーが演出し、
原作・脚本に漂う「ウソくささ」を映像化できれば、
これは傑作になったのでしょうが、
まずいことにジョージ・クルーニー、最後まで完全に
「彼が殺し屋であった」と信じ込んで演出しております。
これは最後の最後でまずい結果を生んでしまいました。
画面もやたらと落ち付いたトーンで統一させてますし、やたらと辻褄を合わせようと主人公は真剣に悩み、そしてやがてノイローゼに陥っていく、と演出が真面目で一本槍なのです。
この演出だけをみれば
重厚でクライムサスペンスとしてはいいのでしょうが、
「オイオイこの描き方で正しいの?」
という疑問が見ながら常に頭から離れません。

原作は壮大なホラ話なのだ(と、私は思います)し、
脚本も皮肉たっぷりな内容(だと、私は思いますであったでしょうし、
もう少し力を抜いてブラックコメディばりの演出をみせ観客に「ね、おもろい人でしょ」ぐらいの余裕があってもよかったんじゃないでしょうかね。

まあ初監督でそこまで度なものを求めるのは酷なのかもしれませんが、
俳優の初監督作にこういう高度な脚本を提供するチャーリー・カウフマンという人物が、私にとっては今回劇中の主人公以上にもっとも「意地悪で危険な」人物に見えた一作であります。

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タイトル: コンフェッション