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2006-03-25 00:28:42

追悼・三遊亭 圓右

テーマ:落語
三遊亭円右
(落語芸術協会のHPより)

その日はなにげなくHPを眺めていただけであった。
落語芸術協会のHPを。
「ああ池袋演芸場のGW番組が発表になったんだなぁ」までぐらいしか
HPで見るべきものはなかった。
しかしニュース欄を見て私はびっくりした。
と、いうよりも「ついにこの日が…」という感慨を…

そこにあったニュースは「三代目 三遊亭圓右死去」
享年82歳。
この数日、新聞をこまめにチェックしてなかったから逝去の報はちっとも知らなかった。
またワールドベースボール一色に染まっていたマスコミも圓右師の死去には冷たかった。
CMに落語中継にと一時はあんなにTVに出まくっていた師匠だというのに。
なんでも今年の池袋演芸場の初席を5日まで務めたらしい。
1/5まで高座を務めて3月に亡くなるなんて人の一生なんて本当わからないモンだなぁと思う。


これで落語芸術協会の桂文治春風亭柳昇三笑亭夢楽、桂小南と亡くなり、
大正生まれの落語家はほぼ絶滅状態となってしまった。
…唯一、桂米丸というお化け的に元気な師匠が気をはいてはいるが…


三代目三遊亭圓右。

圓右という名前ではかつて「圓朝を継ごうとした」人間すら現れたビックネームであるのに
なぜか当代の師匠はそんな名跡どこ吹く風とばかりに「古風な新作落語家」だった。
【古風】【新作】という相矛盾する単語が並んだが、
この矛盾がすんなりくるくらい古風な新作派だった。

「おばあさん落語」で有名だった五代目・古今亭今輔に師事。
今輔の娘婿にまでなって公私ともに師匠・今輔に心酔していたのであろう。
圓右師の高座は師匠・今輔の芸風を忠実に今日の観客に伝えていたように思う。
もっとも私は圓右師の落語を通じて古今亭今輔という落語家を知ったのであるが。

漫談に近いような噺では、もう今日の観客たちは古今亭今輔なんて落語家など知りそうもないのに
昔の今輔師の【ガンコ】なところ(落語家の鹿芝居のエピソードなど)を面白おかしく話し
師匠・今輔作の「関の扉」なんかも今日ではすっかり「古臭い新作」であるのに取り上げて演じていた。
また自作では「温泉ばあさん」「ストリップ奇談」「青い鳥」など
いずれも新作というか漫談というか…。

でも特に師匠・今輔師ゆずりの「おばあさんもの」はムチャクチャ面白かった。
師匠・今輔がデフォルメした「おばあさん」を演じていたのに対し、
圓右師の「おばあさん」はその艶っぽい容姿から
「自分がおばあさんに間違われた」ことから起こる騒動で観客を笑わしていた。


私が大学生の頃、仲間との話でなにげなく三遊亭圓右の話になった。
理由は圓右師が「なんであんな気持ち悪い(失礼!)老人なんだ!」ということで。
話は大いに盛りあがり、
結局私たちは新宿末広亭の主任をとっていた圓右師の高座を生で聞きに行ったのだ。
その時の演題がまさに「温泉ばあさん」
混浴の温泉につかっていた師匠が、その後に入ってきた「おばあさん」に同じ「おばあさん」と間違われ
いまさら「おじいさんです」とも言えず、結局おばあさんの【フリ】をずっとし続けるという噺。
もう圓右師のキャラクターだけで成立しているような噺ではあったのだが、
なにせ当日の私達は圓右師の「気持ち悪さ」を見に行ったのだから、
この演題こそ、その期待に大いに応えてくれた内容であり、
私達は寄席中響き渡るくらい腹を抱えて大笑いしたものだった。

なんでも何かの写真集で楽屋入りする圓右師を見たが、
その姿は立派な「おばあさん」であった。
まぁこれ以上は個人のプライバシーですから触れませんけど…。


圓右師の新作の数々は、今日の春風亭昇太が高座で話すような
自作の「新作落語」ほどの立派な骨組を持った噺ではない。
ましてや同年代であった春風亭柳昇の「新作落語」とも違う。
前述のように落語のような漫談のような、
【発表した当時】の時代の雰囲気をコビりつかせたような噺であった。
だから平成になって圓右師の高座を聞くと、失礼を承知で言えば
ひどく「時代遅れ」の印象を受けざるを得なかった。
確かに昔(当時)はその噺は面白く、圓右師もCMに落語中継にと引っ張りだこであったろうが、
この師匠譲りの【ガンコ】なまでの芸風が急速に進む時代から彼を取り残し、
遂に彼を「新作派」であるのに「古風な新作落語家」という奇妙なレッテルにしてしまったのであろう。


でも圓右師匠。
あなたは確かに「新作派」としては古風な芸風になってしまっていた。
しかし、あなたはしっかりと奇抜な芸風の新作派・古今亭寿輔という立派な弟子を育てたのだから、
TVではあなたの逝去に対してえらく冷たい扱いだったかもしれませんが、
やっぱり「新作落語家」としては、後世に残る立派な足跡を残したのかもしれませんね。


合掌。


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2006-03-22 22:39:15

渋谷・コクーン歌舞伎「東海道四谷怪談【北番】」(その弐)

テーマ:伝統芸能

東海道四谷怪談

3/21 Bunkamura シアターコクーンにて


「東海道四谷怪談」の戯曲の本質に迫った見事な公演!


●昨日の続き●


渋谷・コクーン歌舞伎 「東海道四谷怪談【北番】」


作:四世 鶴屋南北
演出:串田和美


配役


 お岩・直助権兵衛       中村 勘三郎
 民谷伊右衛門・小汐田又之丞   中村 橋之助
 お袖             中村 七之助
 お梅             坂東 新悟
 秋山長兵衛          片岡 亀蔵
 伊藤喜兵衛・按摩宅悦・お熊  笹野 高史
 四谷左門・仏孫兵衛      坂東 弥十郎
 佐藤与茂七・小仏小平     中村 扇雀


今回の「東海道四谷怪談」、特に【北番】の上演は素晴らしかった
内容もさることながら、今日「東海道四谷怪談」がこういう戯曲だったのだという
戯曲が発表された当時の作者・鶴屋南北の意図が
【北番】の上演で鮮明に浮かび上がってきたからである。
「東海道四谷怪談」を取上げる役者が皆無になってしまった今日、
地道に上演を重ねていった中村勘三郎の
この「東海道四谷怪談」への集大成までもが見えてきそうなくらいの出来であります。

もともと「東海道四谷怪談」が、こちらも歌舞伎の人気演目「忠臣蔵」の【裏の世界】
描いた作品というのは有名な話。
初演当時は「忠臣蔵」と「四谷怪談」を日替りで上演したなんていう話も残っているくらい。
しかし今日、「東海道四谷怪談」に【忠臣蔵の裏世界】と言われても、
ちょっとピンとこないのであります。
それはあまりにも「東海道四谷怪談」が、
非道な浪人・民谷伊右衛門に殺された【お岩さん】の復讐物語として
有名になってしまったからでありましょう。
ところが、今回この【北番】を観ると、【お岩さん】のパートは
「東海道四谷怪談」の1パートに過ぎないことがよくわかり
その他にも【お岩さんの復讐物語】よりも遥かにドロドロした人間ドラマが次々と登場して、
全体を通して見ると、何かと「忠義、忠義」と美談で語られる「忠臣蔵」も一皮むけば
ホラ、人間の欲望剥き出しの世界が展開されてるんだよという、
いかにも鶴屋南北らしい残酷でシニカルな視点が存分に発揮された戯曲であるという事が
浮き彫りになってくるのであります。


今回の【北番】では【お岩さん】のパートは極力抑え目にされています。
「伊右衛門浪宅の場」でお岩さんは伊右衛門から渡された毒を薬として飲まされ壮絶な死を迎えます。
しかしその後は「蛇山庵室の場」がばっさりカットされているので、
お岩さんが幽霊となって伊右衛門も呪い殺すまでの壮絶なシーンは出てきません。
最初はこの有名なシーンのカットを「エッ!なんで?」と思いました。
だってやはり「東海道四谷怪談」ですもの、
お岩さんの幽霊がカットされてるとは思いもしませんでしたから!
しかし結果としてはこの有名なシーンをばっさりカットしたから成功であったのではないでしょうか。
お岩さんの幽霊を見てしまっては「東海道四谷怪談」は、
やはり【お岩さんの話】となってしまったでしょうから。


で、今回は【お岩さんの話】を抑え目にして「三角屋敷の場」を上演したのが良かった。
この日頃はあまり上演されることのない「三角屋敷の場」。
現状の【お岩さんの話】の話に続けて上演してしまっては時間ばかりくってしまい
さりとて「忠臣蔵」の「九段目」のように単独で上演するほどは筋がおもしろくない
この厄介な代物を、「蛇山庵室の場」をカットし【お岩さんの話】を抑え目にしてでも上演したことで
この【北番】は非常に地味なテイストにはなってしまったけれども、
「東海道四谷怪談」の世界、しいては鶴屋南北の世界がクッキリと浮かび上がってくるのであります。

「三角屋敷の場」の主役は直助権兵衛
【お岩さん】が中心の筋では民谷伊右衛門と結託してお岩・お袖姉妹をダマす
小悪党ぐらいにしか見えないこの人物が、
この「三角屋敷の場」では堂々の主役であるのはもちろんのこと、
お岩・お袖姉妹と【実は…】の関係まで浮き彫りになって
【お岩さん】の話以上にドロドロとしたパートの重要人物であったことに始めて気付くのであります。


その後「小仏小平住居の場」では、
お岩さんと一緒に戸板に括り付けられて殺された小仏小平が幽霊となって仇討をするなど
つまりこの【北番】では現状の【お岩さんの話】では単なる端役で
「なぜ出てきたのだろう」と思わされる人物たちも
実は「東海道四谷怪談」では重要な人物であり、
これらの登場人物たちがまるでモザイクのように関係を持ちながら
ドロドロとした人間模様を繰り広げていく。
そのドロドロの集大成こそが「東海道四谷怪談」なのだということに始めて気付くわけであります。


「東海道四谷怪談」【北番】は、派手な演出もありませんから
コクーン歌舞伎としては非常に地味な仕上がりであります。
しかし作者南北がこの戯曲で描きたかった世界が忠実に再現されていて、
そこが歌舞伎として非常におもしろかったし、
「東海道四谷怪談」を研究してきた中村勘三郎の研究の集大成として
本当に貴重な上演であったと思います。
本来ならばこういう【意図を探る】っていうのは国立劇場あたりが得意分野だと思うのですが、
そこをコクーン歌舞伎で、しかも中村勘三郎串田和美という、
一役者・一演出家がやってしまったというところに
私は改めて今回「すごい!」と思いましたね。


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2006-03-21 22:14:05

渋谷・コクーン歌舞伎「東海道四谷怪談【北番】」(その一)

テーマ:伝統芸能

東海道四谷怪談

3/21 Bunkamura シアターコクーンにて


中村勘三郎・中村屋が久々に渋谷のコクーン歌舞伎に帰ってきた。


昨年は十八代目中村勘三郎襲名披露興行で多忙を極めた中村屋は、
コクーン歌舞伎を欠席。
替わりに中村福助・成駒屋「桜姫」でコクーン歌舞伎の主役を務めたが
その時の記事でも書いた通り 、やはりコクーン歌舞伎には中村屋は
もう欠かせない存在になっているなという事である。

中村福助や、こちらも皆勤賞で出演の中村橋之助とコクーン歌舞伎の常連役者は数多く居れど
彼らがいくら熱演しても、コクーン歌舞伎の【斬新さ】を理解しつつ、
そこに歌舞伎の伝統芸を発揮する力量は、
やはり中村屋の右に出る役者はいないのでありまして、
彼らは悪く言ってしまえば中村屋の盛り立て役としては一級品の力量を発揮しますが、
彼らが率先して【コクーン】と【歌舞伎】との“縁結び”役ができるかといえば、
昨年の「桜姫」を見た限りでは「まだまだだなぁ」と思ったのであります。


ですから中村屋のコクーン歌舞伎の復帰は何より嬉しいの一言なのでありますが、
今回はそれに加えて演目の設定が一ひねりされていて、
中村屋ファンとしては思わず唸らされました。
演目は平成6年のコクーン歌舞伎の記念すべき第1回目演目「東海道四谷怪談」なのでありますが、
その「東海道四谷怪談」を【お岩さんの復讐物語】つまり現在のスタンダードな流れを、
串田和美が演出した【南番】として、
また現在はあまり上演される事の無い【三角屋敷の場】【小仏小平住居の場】を加え再構築したもの
(こちらも演出は串田和美)を【北番】として2つのバージョンを日替りで上演するというもの。
なんとも心憎いことをするな、と思うと共に「東海道四谷怪談」に並々ならぬ力を注いでいる
いかにも研究熱心な中村屋らしい演目の選定だなとも思うのであります。


野田秀樹串田和美を起用し、何かと“新作”や“斬新な演出”などが
クローズアップされている中村屋でありますが、
歌舞伎の人気演目であり、歌舞伎を良く知らない人でも
それなりにストーリーは知っているはずの「東海道四谷怪談」
現在では中村屋が積極的に取り組んでいると同時に、
実は中村屋以外は取上げる役者がいないというのが、
悲しい事ですが現状なのであります。

確かに花形の女方が、お岩さんで醜いメイクをするというのは
ある意味耐えられないのかも知れませんが、
鶴屋南北の代表作である「東海道四谷怪談」が実のところは
“滅多に上演されない演目”であるというのは
果たして歌舞伎ファンの方々でもどれぐらい知っていることでしょう。


私はこの「東海道四谷怪談」を観るのは3回目であります。
しかも全部中村屋が主演。
と、いうよりもこの15年ほどの上演リストを見た限りでも
純粋に「東海道四谷怪談」を取上げているのは中村屋しかいないのでありますね。

最初に「東海道四谷怪談」を観たのは平成4年6月の歌舞伎座。
中村屋は、当時はまだ中村勘九郎
今回の【南番】と同じくお岩・小仏小平・佐藤与茂七の3役。
民谷伊右衛門は松本幸四郎、直助権兵衛は片岡孝夫(現:仁佐衛門)でありました。
この頃はまだ中村屋の大胆な演出も加わってなく、夜の部を通して演じられたスタンダードバージョン。
お岩さんの髪剥きの場もたっぷり時間をかけて演じられていて、
始めての「東海道四谷怪談」体験だったにもかかわらず、
お岩さんが幽霊になって現れるまで約4時間
やたらと長い演目だなと思ったのが、正直な所でした。

で、中村屋のほうも「どこかでこの演目はシェイプアップできないものか?」と思っていたのでしょう。
その2年後に渋谷のシアターコクーンでコクーン歌舞伎を旗揚げし、その第1回目の演目が
3時間にシェイプアップされた「東海道四谷怪談」だったのであります。
このコクーン歌舞伎は大評判を呼び、
コクーン歌舞伎が今日の人気興行のきっかけとなったのはご承知のとおり。
しかもこの3時間にシェイプアップされた「東海道四谷怪談」は
歌舞伎座で凱旋公演にまでいたっているのですね。
これが平成12年8月の「納涼歌舞伎」で演じられた私の2回目の鑑賞。

3部制の夜の部(第3部)で堂々と【通し狂言】として銘打ってしまうのですから、
8年前、夜の部を全部使って演じていた中村屋、この新演出はさぞかし自信作なのでありましょう。
確かに観ていて、どこをどう省略したのかわからないくらいしっかりと全段上演しながら、
お岩さんの幽霊も登場までに全く退屈せずに3時間できっちり終わる見事な演出でありました。

と、中村屋の並々ならぬ熱意が成果を発揮しているこの「東海道四谷怪談」。
今回のコクーン歌舞伎ではさらに研究を加えて
【南番】と【北番】の2バージョンで演じるというのは前述の通り。
相変わらぬ中村屋のこの演目に対する熱心さには本当に頭が下がります。
で、私は今回は3回目の鑑賞と言う事もあって、
また中村屋の更なる研究を是非とも拝見したい!と思いまして
チケット争奪戦ではありましたが【北番】の方を観に行ったワケであります。

では明日は今回の【北番】につきまして具体的に書いていく事としましょう。


●翌日へ続く●


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2006-03-19 23:55:57

3/18「日本の話芸」 柳家小三治「かんしゃく」

テーマ:落語

かんしゃく

3/18に放送されたNHK教育「日本の話芸」を見る。
演目は柳家小三治「かんしゃく」


「かんしゃく」は小三治師の十八番。
と、いうか現在の高座で小三治師以外で「かんしゃく」を聞いたことがないから、
今や小三治師以外「かんしゃく」を演じる人間はいないのではないだろうか。
少なくとも私はない。
誰か他の人が演じていたなら教えて欲しいくらい。

この全編、主人公がただひたすら怒りっぱなしの「かんしゃく」。
難しい演目だと思います。
だってひたすら怒っているのを観客は聞かなくちゃいけないんですよ。
気分が落ち込んでいたら余計ヘコみそうですもの!
主人公がひたすら怒っている姿を見て、小言を聞いて、
それで観客は笑わなくちゃいけないんだから
怒る“姿”“言動”にどこか愛嬌がなければ笑えないし、
怒りがストレートに出ようものならとても聞くに耐えない噺になってしまうでしょう。
やはり飄々としたフラが持ち味の小三治師だからこそ演じられる演目なんでしょうなぁ。

で、この「かんしゃく」を昔の名人たちが演じていたかというと、これもほとんどいない。
小三治の師匠、5代目柳家小さんはおろか志ん生、円生、正蔵みんな演じていない。
この噺を唯一十八番にしていたのが8代目桂文楽ただひとりであります。

あの寸分の狂いもない完璧な高座の桂文楽の十八番が「かんしゃく」。
対して現在の「かんしゃく」の演者は、
高座がマクラで終わってしまうほど日によって高座が変わる柳家小三治。
この2人を「かんしゃく」を通して隣に並べてみても一見共通点がすぐには見つからない。
しかしそれぞれの十八番を並べて見ると…

 桂文楽    愛宕山→(幇間の噺)→鰻の幇間→(小言)→寝床かんしゃく

 柳家小三治
 たらちね→(横丁のご隠居さん)→小言念仏→(小言)→寝床かんしゃく

【小言】というキーワードあたりから「寝床」を経由して「かんしゃく」に結びつくのであります。
つまり芸風こそ違えども両師とも【小言】をキーワードにした噺を得意としているのでありますね。

きっと高座を離れた場でも両師は【小言】が多い(多かった)のでしょう…って憶測ですが!

でも「小言が多い」っていうのを自分で自覚してなければ、
高座で小言を言ってもそれは【説教】に聞こえて嫌味な高座になってしまうことでしょう。
【小言】をいう姿に前述の通り【愛嬌】が見えて、
どこかに【微笑ましさ】すら見えなければ観客は笑えないのですから
「かんしゃく」でしっかりと観客を笑わすのは、
やはり立派な【芸】の持ち主じゃなければダメなんでしょうね。

しかし「かんしゃく」を十八番にしたら、きっと演じていて気持ちいいでしょうね。
思いっきり怒って、小言を言って、しっかりと観客は笑ってくれる。
こんな気分すっきりの演目って他にないんじゃないかなぁ。
「日本の話芸」での柳家小三治師のどこか溌剌とした表情が非常に印象的でした。


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2006-03-12 22:27:50

3/11「日本の話芸」 林家染丸「猿後家」

テーマ:落語

3/11に放送されたNHK教育「日本の話芸」を見る。
演目は林家染丸「猿後家」


「猿後家」は私は勝手に読みを「えんごや」かと思って、
大家の噺かと思っていたら
何のことはない「さるごけ」
ストレートな読みであるし、まさに主題を一言で言い表した名タイトル。


  さる大家(もうここで後家さんには怒られそうだが!)の後家さん。
  これがもう顔が猿そっくり!
  つまり不細工。
  しかも本人がそれを最も知っているものだから、
  話の中で「さる」というキーワードが出てきただけで
  途端に機嫌が悪くなってしまう始末。
  しかし相手は大家の後家さん。
  お金は有り余るだけ持っている。
  だから人が寄り付かないどころか
  自然と“おべんちゃら”をいう人間が集まってくる。
  今日も“おべんちゃら”を言いに出入り業者の人間。
  歯が浮きまくるような“おべんちゃら”を並べて
  後家さんのご機嫌をとっていたまではよかったが
  うっかり観光地の話で「猿沢の池」と言ってしまい、哀れ彼は出入り禁止に。
  「最善の注意は払っていたのに…」と悔しがることしきりの彼。
  「よっしゃ!もう1回挑戦したろ」と後家さんのもとを訪問するのだが…。


仕事で頭髪の薄い方、つまりハゲの方と話をするのってつらいですよね。
相手が最初に「こんな頭でも実は若いんですよ」なんておチャララケてくれれば一安心なんですが、
ブスッとしたハゲと話をするほどキツいものはありません。
会話には最新の注意を払い、
「ハゲ」「薄い」「毛がない」などをNGワードにしつつ悪戦苦闘。
視線だって相手の目を凝視して、決して眉毛より上は視線を持っていかぬよう
目に必死に力を入れてはいるんですが、
私の中で悪魔がささやくんですよ

「はっきり言ったら気持ちいいよ~」
「見てみな、バーコードで必死に隠してるよ」と。

もうここまでくると悶絶状態。
なんとかその場は切り上げますが、出てきた後は「王様の耳はロバの耳」状態。
会社の誰かを捕まえて思いのタケをありったけ伝えてガス抜きをします。
これに「カツラ」が加わっちゃうと私はもうギブアップ状態。
「カツラ」。
特に安~い頭髪から浮いちゃってるもの、
永年装置しているせいで
「当時の頭」と「今の頭」の間に日付変更線ができちゃっている人かなんかを
電車の中で見かけたら私はもうダメ。
「見ちゃいけない」と思いつつ思わず禁断の果実に手を伸ばしてしまうのであります。

そんな私もすっかり前髪が薄くなり、人様から「薄くなったね」言われるのを極端に嫌う人種。
ひとのことなど言ってられなくなりました。


って、一体今回は何の話をしていることやら!
本題に戻りましょう。

でも、この「猿後家」の話って、
こういう「言っちゃいけない事」のフラストレーションが溜まった作者が
作った噺じゃないかなって思いますね。
これが江戸落語じゃとても成立しないでしょうが、
上方落語では笑いにあふれた一編の【噺】に仕立ててしまうあたりが、
何とも上方落語のユニークなところ。
しかも歯が浮きまくるような“おべんちゃら”を含めて20分強の噺にしてしまうのですから
笑いに貪欲な上方ならではの世界でありますよね。


この噺、私は二度ほど故・桂文枝師の高座で聞きました。
その時は文枝師が作り出した強烈な後家さんのキャラクターに圧倒されたのでありますが、
今回の演者は林家染丸師
落語の他にも古典芸能に造詣の深い師匠だけあって
強烈なキャラクターよりも、
どこかで愛嬌のある後家さんのキャラクターに仕上げてましたな。

高座のあと若干時間が余ったため、
小佐田定雄氏による林家染丸師のインタビューがちょっとつきましたが
何でもこの「猿後家」は林家の【お家芸の噺】であるとのこと。
愛嬌あふれる高座を繰り広げる林家一門には
「猿後家」はまさにぴったりな噺と言えるでしょうね。


追伸:噺で出てきた「猿沢の池」を調べてみました。
奈良の五重塔のもとに広がる池だそうですね。

どうでもいい話なんですが、いちよう調べてみたんで…。

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