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2005-07-31 19:01:15

エミール・クストリッツァのこと

テーマ:映画エッセイ

エミール・クストリッツァ

エミール・クストリッツァほどここ20年、
劇的な映画人生を送った監督もいないのではないでしょうか。
それはクストリッツァの華やかな映画賞の受賞歴だけでなく、
彼の祖国である旧ユーゴスラビアの悲惨極まりない歴史が、
その映画人生を劇的にしたといったといえるでしょう。
ソ連のアンドレイ・タルコフスキー、トルコのユルマズ・ギュネイ
祖国の政治的状況に翻弄された映像作家は数多くいますが、
ここ最近では、また冷戦終決後の一見平和に見えている世界の中でも
クストリッツァの映画人生の波乱さはダントツではないでしょうか。

 
 ビデオメーカー
 パパは、出張中!
1985年、少年の目を通して祖国ユーゴスラビアを痛烈に皮肉った
監督第2作目の「パパは出張中!」でいきなりカンヌ映画祭パルムドールを受賞。
ユーゴスラビアの新鋭は一気に全世界の注目を浴びることとなります。

1988年、監督第3作目「ジプシーのとき」では少数民族として虐げられていたジプシーにスポットを当て
彼らを大いなる愛情で包み込むかのように描き、

 

 ジェネオン エンタテインメント

 アリゾナ・ドリーム

1993年には遂にアメリカに呼ばれジョニー・デップ主演にて「アリゾナ・ドリーム」を発表。
アメリカン・ドリームの空しさを全くアメリカ映画に迎合しない独自の視点で描いておりました。
(ベルリン映画祭銀熊賞審査員特別賞受賞)

と、ここまでのクストリッツァの映画人生は順風満帆でありました。
ところが「アリゾナ・ドリーム」を製作中に彼の祖国であるユーゴスラビアが、
社会主義の崩壊と共にガラガラと音を立てて崩れ始めたのであります。
ユーゴスラビアは6つの共和国、2つの自治州の連邦国家であったのが、
それぞれの民族が独立を叫び、民族紛争に一気に発展。
民族紛争はクロアチア戦争、ボスニア・ヘルツェコビナ戦争と
民族間の血で血を争う殺し合いへと発展してしまったのです。

もう祖国はない、祖国では映画は作れない…
栄光から一気にどん底へ突き落とされたクストリッツァの映像パワーは、
しかし衰えることなく“大いなる怒り”を映像でありったけの力で表現すると言う
すざまじいパワーを生み出し、

 

 ジェネオン エンタテインメント

 アンダーグラウンド

そのパワーが1995年「アンダーグラウンド」という大傑作を生み出す事となるのです。
そして「アンダーグラウンド」は文句なしの2度目のカンヌ映画祭パルムドールを受賞
しかし祖国を失った“映画ジプシー”である彼にとって民族紛争は、
他の民族の「アンダーグラウンド」批判をまき起こし、
祖国のゴタゴタにホトホト嫌気がさしたクストリッツァは一時「監督引退宣言」まで出すに到りましたが、

 

 ビクターエンタテインメント

 黒猫・白猫

1998年軽やかなコメディ「黒猫・白猫」を発表。
ヴェネチア映画祭銀獅子賞最優秀監督賞受賞にて鮮やかに復活。
しかし、相変わらず祖国ボスニアでの映画製作は出来ず、
新作を発表しようにも他国の資本に頼らなければならないクストリッツァの映画製作状況は
思ったよりも過酷で、カンヌ映画祭のパルムドール受賞監督(しかも2度!)、
ヴェネチア、ベルリン映画祭受賞監督であるにもかかわらず、
今回の「ライフ・イズ・ミラクル」までさらに7年と言う月日を待たねばならなくなったわけです。

才気あふれる監督であるにもかかわらず、その新作を見られるのは5年以上待たねばならない…
政治的状況の不幸とはいえども、本当にエミール・クストリッツァの映画人生は、
現在も相変わらず劇的な状況にて現在進行中なのであります。

そして今回の「ライフ・イズ・ミラクル」は…

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2005-07-30 21:25:54

伊東四朗一座~急遽再結成公演~「芸人誕生物語」

テーマ:演劇

伊東四朗一座

7/24 サンシャイン劇場にて

あの伊東四朗一座が1年ぶりに帰ってきました!
内容も前作とほとんど変わらずに…

作・構成:妹尾匡夫
出演:伊東四朗、三宅裕司、渡辺正行、小倉久寛、春風亭昇太、東貴博、他

昨年の7月、下北沢の本多劇場を連日超満員にした
伊東四朗一座~旗揚げ解散公演~「喜劇 熱海迷宮事件」
私はこの公演、奇跡的にもチケットがとれ、舞台を大笑いしながら見ました。
さらにWOWOWにて舞台中継として放送したものを後日鑑賞、再度大笑い。
その興奮は当blogでも報告させていただきました。

 伊東四朗一座~旗揚げ解散公演~「喜劇 熱海迷宮事件」(2/3)
 ※この記事では、なんと作家の妹尾匡夫氏よりコメントをいただいたんですよ!

あれから1年。
人気者が勢揃いした公演につき、再演するとしても2年後くらいかな、と思っていたのですが、
なんと1年という早いスパンで再演が決定。
今回もチケットが取れるか心配でしたが、無事に取ることができて鑑賞に至った次第です。

1年という短いスパンの再演ですので、
旗揚公演を見ている身にとっては、正直「オッ!」と驚く新味さ今回はありません
開演前の東貴博の派手な「開演5分前!」のシーンからして前作の流れを忠実に再現。
ストーリーの基本的な流れも、前作の【警察モノ】を【芸能事務所モノ】に変えたぐらい
中で展開する所作の数々は前作と同じです。
配役も前作のラサール石井が演じたキャラクターを、
今回は渡辺正行春風亭昇太が分けて、それぞれのキャラクターに変えたような配役でしたね。
小宮孝泰のキャラクターは今回残念ながら無くなってました!)

まあ「これじゃ前と同じじゃないか!」と言ってしまえばそれまでですが、
それでもやっぱりおもしろい、大いに笑えました。
それは、作り手の「前作で盛り上がったんだから今回も大いに利用してやれ!」という
開き直ったような姿勢が、逆に堂々としていて、
見るものを力技でねじ伏せるようなおもしろさになっていたからでしょう。

それに、やはり伊東四朗の至芸の数々は何度同じものを見ても笑ってしまいます。
今回もお約束の「歌ってはいけないのについつい歌ってしまうコント」もありましたし、
それに加えて今回は小倉久寛との「新しい歌を入れても古い歌になってしまうコント」
(毎回説明が長ったらしいですね)
これが本当におもしろかった。
これは売れない歌手役の伊東四朗が、小倉久寛扮する芸能プロダクションの社長に
「もっと新しい歌を覚えなくちゃ売れないよ!」ということでカラオケボックスに行くのですが、
どんなに小倉久寛が【新しい歌】を入れてイントロで盛り上がろうとしても
それを伊東四朗が強引なまでに【古い歌(“りんご追分”とか)】にして朗々と歌ってしまうというもので
それにつられて小倉久寛も派手なアクションで【古い歌】で歌ってしまうところが

このコントのミソで、相乗効果のおもしろさでありました。

なお今回は伊東四朗の娘役ということで日替わりゲストが登場しており

私の見た日のゲストは南野陽子
なんでも17歳の娘が急速に老けてしまう病気にかかったという設定でのゲストの登場ということで、
ゲストにとっては何とも酷な登場の仕方。
しかも私の見た日は、アイドル復活コンサートを開こうとしている南野陽子ですから尚更酷な設定。
案の定【三十路】をキーワードに出演者たちからイジられておりました。
【三十路】を年寄り扱いするのは、ちょっとリアルすぎて笑いづらいですね。
もうちょっと年配の「この設定に開き直ってしまう」くらいの年齢のゲストの方で見た方が
おもしろかったかもしれませんね。

さて伊東四朗一座、3演目はあるのでしょうか。
今回も大入満員のようでしたし、きっと3演目もあることでしょう。
もうこうなったら【大いなるマンネリ】目指して徹底的に同じパターンでやってほしいですね。

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2005-07-26 01:43:09

「松本清張傑作短篇コレクション<下>」

テーマ:
松本 清張, 宮部 みゆき
松本清張傑作短篇コレクション〈下〉

宮部みゆき責任編集「松本清張傑作短篇コレクション」

ラストを飾るは下巻であります。

下巻は「タイトルの妙」として3篇
 ●支払い過ぎた縁談
 ●生けるパスカル
 ●骨壷の風景
タイトルの一言で本編をズバリ表現している作品や
読んでいって始めてタイトルの由来がわかる作品をピックアップしたようですが、
ジャンルがバラバラで(「骨壷の風景」なんて清張氏の自伝ですからね)
ちょっと強引なまとめ方だと思いましたね。
また絶好調だった宮部みゆき氏の【前口上】もこの章だけは、おフザケが強すぎて
【前口上】を読んだ事で余計本編を読んだ時に混乱してしまいました。
あくまでも宮部氏は“解説”の立場であることをお忘れなく!

「権力は敵か」として骨太な2篇
 ●帝銀事件の謎ー「日本の黒い霧」より
 ●鴉
この2篇でこの下巻の全てを占めるといっていいほどの骨太な傑作陣。
「帝銀事件の謎」などはもうこれは一つの歴史的な告発といって良い傑作。
完璧な検証に、息つくひまも無い畳み込むような展開。
GHQの知られざる暗部を、清張氏は社会派作家の面目躍如で堂々と告発しています。
そして「鴉」は、主役の人間たちの歯車を狂わすのは、声なき声の普通の人々の集団であると、
読み終わって気付くその怖さ!
ラストのおびただしい数で飛んでいる鴉のシーンは
なにやら映像が浮かんできそうで怖さ倍増であります。

そしてラストは「松本清張賞受賞作家に聞きました」ということで
山本兼一、森福都、岩井三四二、横山秀夫の各氏らが選んだ「マイベスト清張」
 ●西郷札
 ●菊枕 ぬい女略歴
 ●火の記憶
なるほどなあ、と思う作品もあれば「これがマイベスト」と思う作品もあり、
まぁそれだけ松本清張氏があらゆる人に様々な「マイベスト」を作り出した
多作でありながら幅広いジャンルを取り上げ、しかも各作品が珠玉の輝きに満ちている
と言えるからでありましょう。

上・中・下巻ともかなりの厚さの文庫本ながら
私の【通勤電車内】はこの数ヶ月、この3冊のおかげで非常に充実した日々を送る事ができました。
ありがとう!宮部みゆき氏。
そして…ありがとう!雲の上の松本清張氏!

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2005-07-25 00:58:38

「松本清張傑作短篇コレクション<中>」

テーマ:
松本 清張, 宮部 みゆき
松本清張傑作短篇コレクション〈中〉

宮部みゆき責任編集「松本清張傑作短篇コレクション」
上巻をアッという間に読み終えてしまった私は
早速この中巻を購入したのであります。

中巻は女性が主役、または男性が主役ながら脇役の女性たちの個性が強烈に光る
「淋しい女たちの肖像」として4篇
 ●遠くからの声
 ●巻頭句の女
 ●書道教授
 ●式場の微笑

そして男たちが常にイライラしながら犯罪を犯して(または犯罪に立ち向かって)行く
「不機嫌な男たちの肖像」として4篇
 ●共犯者
 ●カルネアデスの舟板
 ●空白の意匠
 ●山
の合計8篇。今回は比較的ミステリーや、犯罪ものにジャンルを固定し
非常にバランスの良いセレクトとなっております。

と、いうなかで前回と同じく【中巻】でもっとも好きものをあげて行くと
やはり「淋しい女たちの肖像」では中篇並みのボリュームで
ひとりの平凡な銀行マンが犯罪を犯したことで転落の日々を送る「書道教授」がベストですね。
出世街道をそこそこ歩んでいる銀行マン。
仕事もお金にもゆとりを持った彼はふとしたことから愛人を持つ。
しかしこの愛人が災難の元。
ほとほと愛想がつきて何度も別れようとするが、
金づるの銀行マンを愛人が離そうとするはずがありません。
だんだん追い詰められた銀行マンがとった行動は…。
なぜこれが「書道教授」なのかは言わずもがな。是非読んでみて下さい。

そして「不機嫌な男たちの肖像」からは文句なし「空白の意匠」
この作品、確か大学の時に読んでいたのですが、
当時はそんなにピンとこなかったのに、今回読んで背筋が寒くなりました。
ある地方紙の広告部部長が朝、何気にその日の新聞を見て驚いた。
自分がとってきた薬品メーカーの広告の上に、その薬品を批判する記事が載っていたのだ。
あわてた部長は早速、出社して編集部を問い詰めるが、編集部長は「編集と広告は別」の一点バリ。
ところがその記事が編集の完全な誤報だったものだから、さあ大変。
広告部長は大クライアントの薬品メーカーに侘びを入れるため東京へはせ参じるのだが…。
…いやぁ身につまされる話であります。
自分もここまでデカイのはありませんが、背筋がゾーッとした経験ありますもの。
“この業界”にはいるからこそわかる「空白の意匠」のリアルさ、怖さ!
ラストの1行の身も蓋も無い結末には何ともやるせない気持ちになりましたワ!

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2005-07-24 04:33:39

「松本清張傑作短篇コレクション<上>」

テーマ:
松本 清張, 宮部 みゆき
松本清張傑作短篇コレクション〈上〉

昨日、本についての事を久々に書いたので、ついでと言っちゃあなんですが、
この数ヶ月【通勤電車の友】としておりました書の紹介をしたいと思います。
宮部みゆき責任編集「松本清張傑作短篇コレクション」
本日はその上巻であります。

松本清張といえば知らない人はいない“推理小説界の大御所”でありました。
1992年に逝去されてますから、もう亡くなられて10年以上。
しかしその人気は衰えることなく
最近もTVで「砂の器」「黒革の手帳」がリメイクされ大ヒットしましたから、
これで松本清張氏を知った方も多いんじゃないでしょうか。

私は高校生の頃、選択授業で氏の歴史小説が課題図書となり
(確か「佐渡流人行」だったと思います)
それを読んで以来、松本清張氏に一時ハマリまして、当時はむさぼるように読んでいたのですが、
正直なところ近年はトントご無沙汰気味。
書店でたまたま本書をみかけまして、久々に青春プレイバックってわけで買って読んだわけです。
松本清張の「傑作短篇コレクション」というところに非常に惹かれました。
なぜならば高校の時、私が好きでむさぼるように読んでいたのも
実は松本清張氏の【短篇】だったからであります。

氏の【短篇】は本当に素晴らしい。
長篇が悪いわけじゃないんですが、氏の【短篇】でのコンパクトに起承転結をまとめる見事さ
(特に推理ものは“結”できっちりどんでん返しを展開させるのですから!)
人物描写の的確さなどは他の追随を許さないものがあります。
【上巻】に収録されているのは次の10篇
 ●或る「小倉日記」伝
 ●恐喝者
 ●一年半待て
 ●地方紙を買う女
 ●理外の理
 ●削除の復元
 ●捜査圏外の条件
 ●真贋の森
 ●昭和史発掘「二・二六事件」
 ●追放とレッド・パージ「日本の黒い霧」より

オーソドックスなミステリーから、歴史小説から、最後には昭和史告発まで
こう見ると清張氏の扱ったジャンルは実に多岐にわたるものがありますね。
【推理小説界の~】なんて紹介の仕方は、とても失礼なように思えますね。

と、いうなかで【上巻】でもっとも好きなのは
やはり宮部みゆきさんも【マイ・フェイバリット】に入れているように「一年半待て」
私は「捜査圏外の条件」の2作ですね。
「一年半待て」は最後の2ページでのどんでん返しには本当悲鳴が出そうになりました。
また「捜査圏外の条件」は非常に映像的な内容だと思いましたね。
確かに昭和32年の作品ですから出てくるキーワードは今では古臭いものばかり。
しかしこの時代がかったキーワードを現代のものに変えても何ら物語には影響しないほど、
この作品は時代に左右されない普遍的な物語だと思いますね。
逆に「あの計画」が壊れるきっかけとなる「あの歌」自体は、
今日でも雰囲気満点な曲ですけれどもね。
…抽象的に書きすぎて何がナンやらこれじゃわかりませんよね。
それでは、その先は…是非皆さんの読書後にお話しすることにしましょう!

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