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2005-04-30 12:31:08

「バッド・エデュケーション」

テーマ:映画(映画館 2005年)

バッド・エデュケーション

4/30 テアトルタイムズスクエア にて


ペドロ・アルモドバルがここまで自分の心情を素直に映像にできたのは
スペインの巨匠として確固たる地位を築いた気持ちのゆとりからか?
それとも時代が彼の気持ちを純粋に受け入れる器にまでなったからか?


監督・脚本:ペドロ・アルモドバル
出演:ガエル・ガルシア・ベルナル、フェレ・マルティネス、ハヴィエル・カマラ、ルイス・オマール、
    ダニエル・ヒメネス・カチョ、他


ペドロ・アルモドバルは1989年「神経衰弱ぎりぎりの女たち」で日本初登場以来、
いかにもラテン系なパワフルで強烈なコメディを連発して見る者の度肝を抜いてきましたが、
1999年「オール・アバウト・マイ・マザー」あたりから一気に映像作家として充実の時を迎え
奇抜さ、パワフルさも影を潜め、
その代わりに優しく包み込むような暖かい眼差しで“人間”を見つめる作風になっていきました。
しかし「オール・アバウト・マイ・マザー」で“母性愛”を描き、
「トーク・トゥ・ハー」が“男の偏向愛”を描いていても
彼の作品には重要なアクターとして【ゲイ】を登場させることを抜きには考えられませんでした。
男でも女でもないその【中間】の人間が劇全体の傍観者として登場させることで、
狂言廻し的役割を果たすとともに、
アルモドバルとしては映像作家としての本音を【ゲイ】の台詞で語っていたのではないでしょうか。

そして今回彼は「バッド・エデュケーション」にて【ゲイ】をストレートに主役にすることで、
この作品の持つテーマをストレートに描く事に挑戦したのであります。
この素材が彼の半自伝的な内容であり、彼の思い入れから内容を素直に映像化するという
思いきった挑戦なのでありましょう。

 1980年、映画監督エンリケ(フェレ・マルチネス)の元に、
 神学校の寄宿舎で共に少年時代を過ごしたイグナシオ(ガエル・ガルシア・ベルナル)が訪ねてくる。
 幼い頃の面影が全くないイグナシオ。
 彼はエンリケに自分の書いたということで「訪れ」というタイトルの脚本を置いて行く。
 エンリケはイグナシオが去った後その脚本を読み始めるが、
 その内容はエンリケとイグナシオのお互いに恋心を抱いた少年時代の日々、
 そしてイグナシオを愛する寄宿学校教師・アロマ神父の嫉妬から、
 エンリケが退学処分されるまでを克明に書いたものであったのだ…。
 数日後「訪れ」の主役を演じたいと再び訪れるイグナシオ。
 彼は本当にあれほど愛したイグナシオなのか…。


さすがアルモドバル入魂の一作だけに、この作品に出てくる男たちは実に“なまめかしい”。
フェレ・マルチネスとガエル・ガルシア・ベルナルの主役2人はしかり、
アロマ神父役のダニエル・ヒメネス・カチョ、ベングエル氏役のルイス・オマールまでもが、
実になまめかしく妖しい炎をメラメラと燃やしています。
役者陣の妖しい炎を受け、作品全体実に“なまめかしい”フェロモン全開にて展開しております。


しかしアルモドバル入魂の一作であり、映像作家としての果敢な挑戦であるからこそ、
私は、作品の要となるエンリケとイグナシオの

愛し合った少年時代が描ききれていないことを残念に思うのです。

作品がガエル・ガルシア・ベルナルが「本当にイグナシオか?」というミステリー描写に傾倒しすぎて、
肝心の「エンリケはなぜイグナシオにそこまでこだわるのか」が薄いのである。
少年時代2人があれほど愛し合ったのにという部分が薄いと、

見る者は、エンリケは「ガエル・ガルシア・ベルナルがイグナシオでなくとも別にいいや」に
なってしまってもおかしくないのではないでしょうか。
現に後半、エンリケは彼がイグナシオでなくともどうでもいいようにしか見えませんでした。
それはガエル・ガルシア・ベルナルが魅力的に描かれすぎているのも原因でしょう!
確かにこの新星スターは実に魅力的な俳優であり
アルモドバルの力が自然に入ってしまったのはわかるような気がします。
しかし彼は“真実”がわかるまではあくまでも脇役であるべきであり、
少年時代のエンリケとイグナシオの愛を優先的に、しかも徹底的に描かれないと、
ラストのエンリケの真実を知った絶望さもイマイチ伝わってこないのであります。

まぁ少年時代をあまり詳細に描いてしまうと幼児ポルノになりかねないから、
描写はここは自然と抑え目になったのでしょうが、
本作が映像作家アルモドバルの満を持しての果敢な挑戦作であり、
しかもやっと時代が彼のストレートな表現を充分に受け入れるようになったのですから、
なおさら、やるからには徹底的にやってほしかったですよね。


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2005-04-29 23:34:49

「タイガー&ドラゴン『茶の湯』の回」

テーマ:TV

レギュラータイガー&ドラゴン

第3回目です「タイガー&ドラゴン」

ここで一言いわせていただきますが
虎児(長瀬智也)がやたらと「俺は古典で…」と“古典”を強調しますが
虎児がどん兵師匠から教わる噺は“古典落語”ですが、
最後に虎児が林家亭小虎で高座にあげる“あれ”は立派な“新作落語”ですのでお間違いなく。
設定を【反物屋の誰々】などとしてますが、設定を古くしたから古典というのは間違いで、
新作落語でも立派に江戸を舞台としているものがありますからね。
今後勘違いのもとになりそうなんで一言。


それでは第3話「『茶の湯』の回」。


4/29 TBSにて放送
脚本:宮藤官九郎
演出:金子文紀
出演:長瀬智也、岡田准一、春風亭昇太、銀粉蝶、阿部サダヲ、荒川良々、大森南朋、高田文夫、
    笑福亭鶴瓶、西田敏行、他


今回の2つのストーリーですが


1つ目のストーリーは、
アマチュア落語のチャンピオンで評論家気取りの、
ジャンプ亭ジャンプこと、淡島ゆきお(荒川良々)が
林家亭どん兵衛(西田敏行)に弟子入りを志願するというひと騒動。


もうひとつのストーリーは
「ドラゴンソーダ」の経営状態がいよいよ限界にきている竜二(岡田准一)の前に、
カリスマプロデューサーのBOSS片岡(大森南朋)が現れ、一緒に“コラボ”しないかと話を持ちかけられる。
夢のような話に舞い上がる竜二だが…。


とまあ今回はえらくあっさりと説明を終わらせてしまった通り

あまり出来がよろしくありません。
残念ながら2つのストーリーが全くリンクしてないのです。
『茶の湯』の“サゲ”も出てきますが、
小虎(長瀬智也)に「ちょっと強引過ぎたかな」と言わせてしまうんですから
宮藤官九郎も脚本の失敗を素直に認めているようです。
確かに『茶の湯』設定どころか雰囲気すらも皆無で、
最後に急に“サゲらしきもの”が出てきて終わりですから
選ばれた『茶の湯』もあんな使われ方じゃかわいそうなもんです。


結局今回は荒川良々の強烈キャラの紹介だけが見どころで終わってしまったようです。
高田文夫も淡島ゆきおが林家亭どん兵衛の元を早々に出て移った先の師匠役でちょこっと出演、
次回以降が楽しみです。
ところで大森南朋もレギュラー予定なのかしら?


それでは次週「『権助提灯』の回」へ


関連サイトはこちら


 ■「タイガー&ドラゴン『三枚起請』の回」のサイト
 ■「タイガー&ドラゴン」レギュラー放送分のサイト


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2005-04-28 12:22:59

「タイガー&ドラゴン『饅頭怖い』の回」

テーマ:TV

レギュラータイガー&ドラゴン

ついに第2回目ですよ「タイガー&ドラゴン」

この2回目を見て宮藤官九郎脚本が
2つの異なるエピソードを同時進行させて、
その2つのエピソードをリンクさせる“きっかけ”をお題である落語にからませるという
スタイルをはっきりとさせましたね。
スタイルが確立すると脚本は次のステップを目指す事ができるから優位ですよね。
この回も前回よりはずっとおもしろかったです。
但し何度も言うとおり、スタイルの確立は新しい要素を入れていかないと
“マンネリ”へと陥りやすいですからね…。


それでは第2話「『饅頭怖い』の回」。


4/22 TBSにて放送
脚本:宮藤官九郎
演出:金子文紀
出演:長瀬智也、岡田准一、春風亭昇太、銀粉蝶、阿部サダヲ、猫背椿、宅間孝行、
    松本まりか、伊藤修子、笑福亭鶴瓶、西田敏行、他


今回も2つのストーリーが出てきます。


1つ目のストーリーは、
林家亭どん兵(西田敏行)の長男・どん太(阿部サダヲ)は落語はカラキシだめで、
TVで、追い込まれたときの“テンパリ芸”のタレントとして人気をとっている。
しかし女性誌の「抱かれたくない男」一位に選ばれるは、
後輩のどん吉(春風亭昇太)の真打ち昇進が先に決まるはで、
どん太は芸人としての生き方に人知れず悩んでいた。
そして悩んだ末、どん太は自ら買って出たはずのどん吉お披露目公演の前座をドタキャンし、
師匠・どん兵と大喧嘩する破目に…


そしてもうひとつのストーリーは
ガラリと設定変わって虎児(長瀬智也)の所属する、新宿流星会の若頭・日向(宅間孝行)が
堅気の女子高生・寿子(松本まりか)と結婚することに。
しかし組長(笑福亭鶴瓶)はカンカン。日向は組長の娘・静(伊藤修子)と交際していたからだ。
怒った組長は虎児に、披露宴でハプニングを起こすように命じる。
というもの。


そこで、どん兵衛が高座にかけた「饅頭恐い」を思い出した虎児は、
ある考えをひらめき、披露宴の余興をどん太に依頼。
披露宴当日、相変わらずの“テンパリ芸”を見せるどん太に、
花嫁はキャーキャー悲鳴をあげるのだが…。

…とまあこういった訳で披露宴会場で2つのストーリーはリンクし
『饅頭怖い』の“サゲ”まで一気に進みます。

今回は阿部サダヲをメインに持っていったのがいいですよね。
「『三枚起請』の回」 の時から、私は阿部サダヲを楽しむためにこのドラマを見ているといっても
過言ではありませんから、
ただ第2回目から「芸に悩んでいる」阿部サダヲは見たくなかったな。
もうちょっと引っ張って、最終回近くであの軽い芸人・どん太が実は悩んでた
という意外性で見たいくらいでしたけど、
まあ今後も強烈キャラが続々でてきそうな感じで、
(最後に出てきた荒川良々がまた強烈!)
これからのキャラ達で後ろが詰まっているのかもしれませんし
とりあえずは阿部サダヲメインのエピソードを歓迎しましょう


それでは明日は4/29放送分「『茶の湯』の回」


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2005-04-27 23:02:23

「タイガー&ドラゴン『芝浜』の回」

テーマ:TV

レギュラータイガー&ドラゴン

ついにレギュラー始まりましたね「タイガー&ドラゴン」
なんでも放送分では視聴率を稼げない宮藤官九郎脚本にしては
そこそこの視聴率をいっていると聞いています。


4/15からスタート以来、

私の「『三枚起請』の回」の紹介記事へ
コメントやTBの方もいただきありがとうございます!
ところがご紹介しておきながら私のほうはDVDに録画はしたものの、
なかなか見る機会がございませんでした。
そこで本日から3日間はこの遅れを取り戻すべく
3話分を鑑賞して感想をつらつら行きたいと思います。


本日はレギュラー第1話『芝浜』の回


4/15 TBSにて放送
脚本:宮藤官九郎
演出:金子文紀
出演:長瀬智也、岡田准一、伊東美咲、塚本高史、春風亭昇太、尾美としのり、銀粉蝶、阿部サダヲ、
    笑福亭鶴瓶、西田敏行、他


『三枚起請』の回の時は、2時間のスペシャル枠ということで
設定も展開もたっぷり時間がありましたし、
なにより設定の奇抜さが目を引きましたので
それなりに楽しく拝見させていただきました。


ですがレギュラーとなると話は違ってきます。
なにより“奇抜さ”の新鮮味は薄れてきますから、
おのずとその後展開する内容次第でおもしろくもつまらなくもなってきます。
しかもあのテンションの高さでスペシャルを描いてましたから、
レギュラーでどこまでこのテンションの高さが継続できるかをついつい期待してしまいますよね。

しかもレギュラーは1時間枠。短い時間にいかにコンパクトにまとめるかに手腕がかかってきます。
なんでも毎回落語のお題が違うという離れ業に挑むそうですから
…んんん、こりゃお手並み拝見ですわな。


しかし第1話目から「芝浜」とは宮藤官九郎も恐れを知らぬ、といった感じですね。

オープニングでいきなりメグミ(伊東美咲)がバスガイドで登場。
この人ってスペシャルのゲスト出演だけじゃなかったのね。
今度は悪女・メグミに虎児(長瀬智也)の舎弟の銀次郎(塚本高史)がゾッコン。
というのが一つ目のストーリー。


そしてもうひとつのストーリーは
林家亭どん兵(西田敏行)の不肖の次男・竜二(岡田准一)がやっている裏原宿の店「ドラゴンソーダ」。
商品は相変わらず全く売れず、いよいよ経営が立ち行かなり、
アルバイト・リサ(蒼井優)に給料もまともに払えない状況。
ついに悪態をついた竜二にリサは逆ギレし、店を飛び出してしまう。
というもの。


『三枚起請』の時は、現代版として落語の筋ソックリのストーリーが平行して展開していましたが、
今回は『芝浜』とは似ても似つかぬ設定で展開していくため、
どこでどう『芝浜』とリンクするのか不安になりましたが
2つのストーリーが出揃ったところで、1つ目のエピソードからはボンボン銀次郎が、
2つ目のストーリーからはアルバイトのリサが飛び出してきて、
『芝浜』のような設定の中で2人がリンクして…という展開。

ほとんど“革財布”“サゲ”だけの使用ではありますが、
「こういうオチもあるのね」ということでひとまずは安心した第1話であります。


それでは明日は4/22放送分「『饅頭こわい』の回」


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2005-04-26 13:43:03

十八代目中村勘三郎襲名披露「四月大歌舞伎」(夜の部その弐)

テーマ:伝統芸能
4月写真なし

4/24 東銀座・歌舞伎座にて


昼の部に続き、いよっ、中村屋っ!


昨日 の続き)


こうして4日間に渡って書いているうちに「四月大歌舞伎」も終了してしまいました(4/25千秋楽)。
いよいよ5/3からは三ヶ月続いた歌舞伎座での襲名披露の最後を締めくくる

「五月大歌舞伎」 がスタートします。
中村屋さん、とりあえずは歌舞伎座のゴールは見えましたよ!

さらに一層の熱演、来月も期待してますからね!

と、いうことで【夜の部】の後半戦です。

『口上』は出演者達が一堂に勢揃いし、各々勘三郎襲名のお祝いを述べると共に、
勘三郎丈との思い出やら中村屋と“自分たちの家”との縁などを語っていく一幕でありますが、そ
のズラリ勢揃いする舞台面といい、居並ぶ役者陣の晴れやかな衣裳といい、
この一幕が『口上』として立派な一幕物として成立し、また人気演目となっているところが、
いかにも歌舞伎らしいなと思わされます。


今回は15名が勢揃いしました(勘三郎を除く)が、全部書くとまた長くなってしまうので
この【口上の名手】の口上のみ書かせていただきます。


市川左團次(高島屋)

  開口一番「十七代目中村勘三郎…いやな爺ぃでありました」(これであります)

  左團次丈も若い頃は思いっきりツッパッていたため、事あるごとに十七代目とは対立。
  周りの誰が見ても二人は犬猿の仲と思われていた。
  しかしある日を境に急に「おい!これにお前出演しろ」と十七代目から声が掛かり、
  なぜかウマが合ってその後度々共演することとなった。
  周りは“犬猿”と思っていたが実は“類は友を呼ぶ”であったのだ。
  今でも役者を続けて来れたのは十七代目のおかげと自分は感謝している…。
  コメント:ポーカーフェイスで決して本音を言わない左團次丈が

        珍しく本音を語って満場の観客を大いに沸かせた名口上!


そして【夜の部】の切狂言は襲名披露狂言『籠釣瓶花街酔醒』であります。
中村勘三郎の佐野次郎左衛門に坂東玉三郎の兵庫屋八ツ橋の顔合わせ。

もうこの舞台は様々な役者で何度見たと事だろう。
ちょっと列記しただけでも
 ●初代松本白鸚・六代目中村歌右衛門(昭和50年11月 歌舞伎座【NHK-BS放送】)
 ●中村吉右衛門・中村児太郎(現福助)(平成2年4月 歌舞伎座)
 ●中村吉右衛門・中村福助(平成5年3月 明治座【NHK-BS放送】)
 ●松本幸四郎・坂東玉三郎(平成9年3月 歌舞伎座)
と今回で5回目の鑑賞となります。
見る度にこの演目は、吉原の当時の華やかな雰囲気が描写され、その美しさに圧倒されるとともに
花魁と客との“恋の駆け引き”や、一見華やかな世界の花魁が実は裏で持っている“影”をも
的確に戯曲化していて、人間の持つ“性”が巻き起こす悲劇として、
見る度に「いい芝居だなぁ」と思わされます。


特に私にとって『籠釣瓶花街酔醒』は当代・中村吉右衛門(播磨屋)の佐野次郎左衛門が
なにより当人の当たり役であり強烈なイメージとして残っております。
しかし今回の中村屋の佐野次郎左衛門はいままでのイメージを覆す新しい人物像を作り出して、
評価は賛否は分かれるでしょうが、これまた興味津々な内容でありました。


 佐野の絹商人次郎左衛門(中村勘三郎)がお供の治六(市川段四郎)を連れ
 “華の吉原”にはじめて足を踏み入れる。
 初めてのことで、見るもの全てに驚きを隠しきれない2人。
 そこで次郎左衛門は花魁道中を行っていた吉原NO1の人気花魁・八ツ橋(坂東玉三郎)に
 出会って一目惚れ。
 
 その後次郎左衛門は足しげく通いつめ吉原で“いい顔”にまでなり、
 八ツ橋を身請けするまでになったのだが、
 八ツ橋には腐れ縁ともいえる“マブ”栄之丞(片岡仁左衛門)がおり、
 八ツ橋の養父・権八の入れ知恵もあり身請けの話が栄之丞の耳に入ってしまう。
 栄之丞に詰問された八ツ橋はついに次郎左衛門との縁切りを約束してしまい。
 さて身請け話という満座が揃った場で八ツ橋は次郎左衛門に冷たく“愛想尽かし”をしてしまう。
 満座の場で恥をかかされた次郎左衛門はしばらく故郷の佐野へ帰るが、

 4ヵ月後、ひょっこり吉原を訪れ八ツ橋に会いに来る。
 久々の再会を喜ぶ八ツ橋。
 しかし次郎左衛門は実は“ある目的”を持って吉原を訪れたのだった、それは…。


中村勘三郎の佐野次郎左衛門はとにかく【真面目・実直】を貫き通しています。
八ツ橋に一目惚れするのも、その【実直さ】の表れですし、
その後吉原へ通いつめるのも通人気取りをしたいよりも、
ただひたすら“八ツ橋”恋しさの【真面目な純愛】だからこそなのであります。

私は今までここまで【真面目・実直】な次郎左衛門を見たことがありません。
ご贔屓播磨屋の次郎左衛門だって、吉原へ通いつめるうちに“通人気取り”をしだし、
仲間うちを同席させることで自身の通人ぶりを自慢したい雰囲気がありました。
しかし中村屋の次郎左衛門はただひたすら【真面目な純愛】なのです。
だから“八ツ橋の理不尽な愛想尽かし”は次郎左衛門をコテンパンに打ちのめします。
少しでも“通人気取り”であれば「なにもこんな場で花魁…」と
愛想笑いのひとつを浮かべるくらいの余力もあり
それでも花魁の愛想尽かしが変わらないならば「田舎の商人が見分不相応な遊びをしてしまった」と
反省の言葉を一つでも残し吉原を後にする。
…播磨屋の次郎左衛門像はこんな感じでした。
しかし中村屋の次郎左衛門には、純愛の前で愛想笑いを浮かべる心の余裕などありません。
ただひたすらショックで呆然としてしまうのであります。
ですから4ヵ月後の八ツ橋との再会で起こる悲劇も、
播磨屋が演じると一度はあきらめたのに、実は根に持っていたという【意外性】がありますが
中村屋は【あってしかるべき】結論として演じています。


中村屋演じる【真面目・実直】な次郎左衛門。
よく言えば【リアル】。悪く言えば【歌舞伎の粋を打ち壊している】。
でも私はこのまったく新しい中村屋の次郎左衛門を興味深く拝見させていただきました。
現代演劇とのコラボレーションを続ける中村屋らしい役の造詣だったのではないでしょうか。


真面目一筋な男がついに殺人鬼にまで転落する、まるでワイドショーの再現フィルムのような悲劇に
観客たちもその重いラストで場内シーンとしており、
終演後のロビーも心なしか静かに皆さん帰られてましたね。
そばに座っていた2人組のおばさま方も終演後ポツリと言ってました、
「かわいそうね」って。



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