1 | 2 | 3 | 4 | 5 |最初 次ページ >> ▼ /
2005-01-31 23:24:04

ラサール石井プロデュース「なかよし」

テーマ:演劇
1/30 THEATRE/TOPSにて

昨年も新劇の老舗・文学座にて新作「踏台」を発表し、多いに気を吐いた水谷龍二の新作。またもや、といいますか中年の哀愁を切々と描きます。もう水谷氏の作風には1本筋が通ってますね。

作:水谷龍二
演出:田村孝裕
出演:ラサール石井、小倉久寛、山口良一

先日1968年が舞台のイキの良い青春映画「パッチギ!」を見た後で本舞台を見ると、ちょうど「パッチギ!」の高校生たちがこの舞台の主人公たちである中年のおじさん世代になっている計算で(ちょっとこちらの世代の方が若いですが)、この舞台のように一つの夢が破れようとしている哀愁漂う世界には、「パッチギ!」のイキの良さも現代の厳しさには勝てないのか!と何かシュン、とさせられてしまいます。

舞台はちょっと時代に取り残された商店街のラーメン屋。そこの2代目主人(小倉久寛)と同じ商店街の電気屋の主人(山口良一)は中学時代エレキギターバンドに熱中していた大の仲良し。そこへ30年ぶりに音信不通だったかつてのエレキバンド仲間(ラサール石井)が現れます。
現在は学習塾を経営していると羽振りの良い話ばかりをしますが、どうもその行動には【訳あり】の臭いがつきまといます。劇はその男の「実は…」の世界を中心に展開していきます。

水谷龍二は「踏台」でもそうでしたが、現在の50代に手が届きそうな40代の、現代での哀愁を切々と描いて行きます。彼らの置かれている状況は決して居心地の良い状況ではありません。バブルがはじけ不況の波をもろに被ってしまった世代であります。しかし彼らは若い頃に心底燃え上がった「何か」を経験しています。そしてその「心底熱狂した何か」を支えにこの厳しい環境にも耐えて今日も【しぶとく】生きている事を水谷戯曲は静かに訴えます。その熱狂したものとは「パッチギ!」で言えばフォークソング、本作「なかよし」でいえばベンチャーズに代表されるエレキギターなのであります。本作「なかよし」はこのエレキギターをキーワードに、厳しい現実の中での中年の哀愁を描いていますが、決して深刻にならず、観客を笑わせ楽しませるという水谷戯曲の最大の長所を、演出がうまく生かした好舞台となっておりました。

キャストの3名(ラサール石井、小倉久寛、山口良一)もそれぞれ劇団(またはグループ)の中では比較的地味めな存在の方々ばかりですので(失礼な表現をお許し下さい…)、水谷戯曲の哀愁が実にうまく演じられていて、それぞれのキャラが本当にリアルで等身大の世界で展開しています。またそれが今回の劇場THEATRE/TOPSの小ぶりな舞台にピッタリ合っていて、「傑作だ!」と大騒ぎするような作品ではありませんが、何か胸に残る小品に出会えた喜びに浸れる一幕でありました。

人気blogランキングに登録しました!☆


AD
いいね!した人  |  コメント(0)  |  リブログ(0)
2005-01-30 03:01:01

「バウンス ko GALS」

テーマ:映画(ビデオ他)
この作品は絶対タイトルから「ko GALS」をとって「バウンス」で再販売すべき。
「ko GALS」がついている限りは、本作の素晴らしい点がいつまでも伝わらずに一時の通俗劇としか見られず、いつまでも観客から疎外され、そのうち人々の記憶から無くなってしまうのでしょうから!

1997年劇場公開作品
監督:原田眞人
出演:佐藤仁美、佐藤康恵、岡元夕紀子、役所広司、桃井かおり、他

誤解される事を承知で言えば、この作品大好きです
8年前に鑑賞して一発で好きになり、その後8年たって色あせているんじゃないかと再鑑賞するのが心配だったのですが、
全く色褪せていない傑作であります
しかし好きだからこそこの作品が「コギャル」などというタイトルをつけている事に腹が立つのです。
「バウンス」でいいじゃないか。
この作品で唯一色褪せているのが
この「コギャル」のキーワードだけなのですから!
(あと色褪せてたのがオープニングの「シネマジャパネスク」!)
「コギャル」とつくからは、いつまでも「当時の流行をとりいれたインスタントな作品」としか見られないのではないでしょうか。
確かに当時の「コギャル」の風俗がふんだんには盛り込まれてますが、
監督の視点はそちらには向いてません。
少女3人の24時間での出会いから別れが本作は本軸となり、
その映像がホント素敵でスタイリッシュ。
ラストの別れのシーンなど今回見ても胸にジーンときます。

主役の3人がホント素晴らしい
しかし本作がヒットしなかったせいか、
その後の3人がこれといった活躍をしていないのが何とも残念。
佐藤仁美は気の強いコギャルのボス役を好演してましたが、
その後「リング」でオープニングにあっけなく気が狂ってしまう役でちょっと見たきり。
佐藤康恵はその天然キャラで一時TVのホスト役でちょこちょこ見ましたが、最近はぱったり。こういうキャラって結構ひんぱんに新人が出てきて生き残るのは大変なんですよね。
そして本作で最も魅力を放っていた岡元夕紀子などは、
その後その姿すらも見ません。
この記事を見られた方で「3人のその後を見た!」というかたは
是非教えて下さいませ。
この作品が傑作であったからこそ、
彼女たちの好演を本作の中だけで完結させたくないのです!
なんだかアイドル評論家みたいな文章になっちまいました。

人気blogランキングに登録しました!☆




タイトル: バウンスkoGALS

AD
いいね!した人  |  コメント(2)  |  リブログ(0)
2005-01-29 02:28:10

「HANA-BI」

テーマ:映画(ビデオ他)
ちょっとご無沙汰してしまいました。
1999年まで見ましたから1998年より再開します。
また新作や舞台鑑賞した時はそちらを優先させますが…

1998年劇場公開作品
監督:北野武
出演:ビートたけし、岸本加世子、大杉漣、寺島進、白竜、他

言わずと知れた北野武監督のベネチア国際映画祭グランプリ受賞作。
それまで映画のジャンルでは一部のファン(だけ)を熱狂させていたカルト作家であった北野武が一気に「世界の巨匠」の舞台に踊り出た記念すべき作品であります。
また本作で「ヒットメーカー」の冠までついたくらいですから!
そういえば「ソナチネ」の時あまりにも前売りが売れず(興行も惨敗してましたが)ビートたけしで出ていた深夜番組「北野ファンクラブ」で
「(前売りを)買えよバカヤロー!」と自分の作品と観客とのあまりの壁の高さに苛立って、その苛立ちすらもギャグにしてましたっけ。
その頃を考えると今日、特に最新作「座頭市」も大ヒットするなど北野武監督の映画界での環境は180度変わった事になります。

ちなみに私の好きな北野武監督作品ベスト3は
 1位 「ソナチネ」
 2位 「キッズリターンズ」
 3位 「HANA-BI」
であります。
正直、本作「HANA-BI」以降の作品には
どうにも魅力を感じなくなってしまいました。
「菊次郎の夏」なんかを見ると、あの徹底的に冷酷であった「ソナチネ」を作った同じ作家とは思えないくらい
「なんか甘くなっちゃったなあ」という感じなのです。
でも、そうは言いながらも現在も北野武監督の作品は、制作されれば毎作いそいそと見に行っているのですが…。

「HANA-BI」は劇場公開時はもちろん鑑賞していたのですが、その後なぜか再鑑賞する機会がなく、
今回実に7年ぶりに見直したことになります。
そして今見直すと、バイク事故を起こした北野武監督が、リハビリを経て監督に復帰したその時の心境を驚くくらい正直にスクリーンに表現している作品だったのだなと再認識しました。
特に大杉漣扮する半身不随となったため刑事の職も辞め、自暴自棄になりながらも【絵を書くこと】で自分を再度とりもどしていく役柄など、そのまま北野武の分身のような役ですものね。
大杉漣がその時の助演男優賞を総ナメにしたのも良くわかります。
監督の演出する熱の入れ方(こだわり方)は
半端じゃなかったでしょうから!
そういえばこの役、半身不随になる前の刑事の時は、下っ端の刑事たちにやたらと「バカヤローッ!」を連発するのも【たけしの分身】のようで笑ってしまいます。
その他でも見ていくと、やはり北野武監督にとって【バイク事故】というのが「モノの考え方」「表現の仕方」に決定的に変化をもたらした出来事であったことが良く分かります。
そう考えると、全ての事柄を背筋が寒くなるほど冷酷に描いていく【バイク事故】前の代表作「ソナチネ」と本作を照らし合わせて比較してみたくなりますが、長くなりそうなので今度時間のあったときにでも書いてみましょう。

最後に、ベネチアにも当時同行していた久石譲の音楽が、
今回聞き直しましたがやはり良いですね。
たしかにラストの、あの曲の盛り上げ方はちょっと「ズルい!」とも思いますが、臭くなる一歩手前で踏みとどまって実にドラマチックにラストを盛り上げます。
映像と音楽の理想的な一致を見たような思いです。
「HANA-BI」以降の北野武監督での久石譲の音楽は、
こちらもどうも「甘く」なってしまってまして、本作がギリギリの線の成功作なんじゃないでしょうか。
ちなみに北野武監督での久石譲の音楽のベストは
文句なしで「キッズリターンズ」。
これは揺るぎ無い。あのテーマ曲は今聴いてもゾクゾクします。

人気blogランキング に登録しました!☆




タイトル: HANA-BI


AD
いいね!した人  |  コメント(1)  |  リブログ(0)
2005-01-27 21:18:24

「パッチギ!」

テーマ:映画(映画館 2005年)
1/25 ユナイテッドシネマとしまえんにて

好きだなあ、こういう映画。
登場人物たちが1968年をガムシャラに一生懸命生きている…
その姿に無条件で胸が熱くなります。

監督:井筒和幸
出演:塩谷瞬、高岡蒼佑、沢尻エリカ、楊原京子、尾上寛之、他

60年代・70年代と過去の青春群像を描いた作品は、往々にして制作者たちのノスタルジーが入ってきて、時々鼻持ちならない出来の作品に出くわす時があります。
例えば、その当時の青春群像を描きながら、
最後に画面が現代になり、中年になった主人公が
「昔は良かった…」などと言ってしまったりする作品。
思い当たる作品ありますでしょ。
こういうのってその年代の人たちが見れば、主人公と自分の青春時代をダブらせて結果「いい作品だ」などと言ってしまうのでしょうが、
年代の違う人間が見ると完全にシラケてしまいます。
せっかく画面のなかで、その当時の主人公たちが一生懸命生きているのに、最後にはその主人公の思い出話にしてしまう。
これでは共感できません。
「結局は自分の青春を美化してるんじゃないの?」と
余計な勘ぐりまで入れたくなります。

それに比べると「パッチギ!」は制作者たちが、
前述のような【時代のノスタルジー】に浸っていないのが、
なによりも好感がもてます。

時代背景としては昨年公開の妻夫木聡・安藤政信の「69」と同じで、
「パッチギ!」の評論には「69」と比較したものなども目にしました。
私は両作とも大好きな作品なのですが、
両作を比較するのはちょっと違うなと思います。
なにせ両作のテイストが全く異なるのですから。

「69」は若いクリエイターとキャストたちが、1969年という時代背景に、学生運動などの当時のキーワードは活かしつつも、特に強くは1969年にこだわらず、現代の感覚で当時の学生たちの「パワーの爆発」を描いています。そこが非常に新しい感覚の映像となり不思議なテイストの作品になっていました。

それに対して「パッチギ!」は1968年という時代背景、流行をふんだんに活かし、ストーリーのどこをとっても1968年があふれかえっています。
これは監督の井筒和幸を中心に制作者たちが、その時代の体現者であったからに他ありません。
しかし制作者たちは現代から当時を振り返ることなく、登場人物たちを舞台となる1968年の中で精一杯暴れさせています。
 日々喧嘩に明け暮れる者、
 恋に落ちる者、
 当時のフォークやヒッピーにのめりこんで行く者。
 飲んだくれている者。
それぞれが「今を生きることに一生懸命」なのです。
その姿、そしてその姿を写した画面には、常識や理屈など存在しない、見るものに有無を言わさぬ説得力があります。

ストーリーは朝鮮差別を扱った難しい問題を含んでいます。
しかし制作者たちは変な理屈をこね様としていません。
「これが1968年だったんだ!」といわんばかりに当時の青春を、ありったけのパワーを使って映像で見せつけます。
だから今となっては難しくなってしまった問題も、すんなりと抵抗なく見ることが出来、それらの問題は見ている自分の問題として受け止めることが出来たのではないでしょうか。

人気blogランキング に登録しました!☆
いいね!した人  |  コメント(2)  |  リブログ(0)
2005-01-25 20:41:21

「五線譜のラブレター DE-LOVELY」

テーマ:映画(映画館 2005年)
1/23 シャンテシネにて

三十路の男が純粋に感動しました。
正月作品なので昨年公開扱いですが、昨年中に見ていたらベストテンに入れていたかも…。

監督:アーウィン・ウィンクラー
出演:ケヴィン・クライン、アシュレイ・ジャッド、ジョナサン・プライス、ケヴィン・マクナリー、サンドラ・ネルソン、他

「ナイト・アンド・デイ」や「ビギン・ザ・ビギン」などアメリカの代表的な作曲家であるコール・ポーターについては
曲については知ってましたが、その人物や人生については
お恥ずかしい限りですが、全く知りませんでした。
なにせこの作品の公開前までジョージ・ガーシュウィンと
混同していたくらいですから!
コール・ポーター生存中にケイリー・グラント主演で
「夜も昼も」という自伝的作品まで作られたそうですが
(本作でも洒落たエピソードで紹介されてます)、
こちらの作品も残念ながら未見。
コール・ポーターという人を知る上でも、
また彼の有名な曲の数々を聞けるだけでも、
などという軽い気持ちで鑑賞した訳でありますが、
これがもう意外な秀作で驚きました。
もっとも小林信彦氏が「週刊文春」で本作を取り上げていて、
滅多に褒めない小林氏が多少の皮肉をこめながらも
本作を褒めてましたので、小林氏の本の愛読者の一人としては
「週刊文春」を読んでから本作を
見たいリストに何となく入れてはいたのですが…

コール・ポーター氏は結構激しく
そしてスキャンダラスな人生だったのですね。
まずは彼が同性愛者だったというのが、まず第一の驚き
彼はパリで、その後彼が最も愛した<女性>で、
そして彼の最大の理解者だったリンダ(アシュレイ・ジャッド)と
結婚しますが、それでも同性愛は止められず、妻の監視の目(?)を
潜り抜けながらもイケメンたちとの逢引を繰り返していた、
というのですからもう<筋金入り>ですね。
また現在彼の曲で最も聞かれているであろう
「ナイト・アンド・デイ」や「ビギン・ザ・ビギン」が
実はスランプに陥って決して満足して作った曲ではない
というのが第2の驚き
初期の【愛】について純粋な気持ちで書いた曲のほうが、
本人もまた世間の評価も高かったのだそうだ。
でも初期の作品は、あまりにもストレートに【愛】を歌い上げすぎて、
逆にこちらが恥ずかしくなってしまうくらいなのですが…
第3の驚きは晩年の落馬事故で半身不随になってしまっていたこと。
足を切断するとピアノのペダルが踏めなくなるからと手術を拒否。
リハビリでペダルを軽く踏めるまで持ち直してしまうというのが
もっと驚きでありました。恐るべき作曲家魂!といったところでしょうか。
しかし彼が、リンダの死とともにあれだけ拒否していた手術を受け
片足を切断する、というエピソードは
この作品で最も胸詰まるシーンであります。

これだけドラマティックな人生なのですから、
映画として演出する方は楽だったのではないでしょうか。
でも監督のアーウィン・ウィンクラー はコール・ポーターの曲を
ふんだんに使い、そしてその曲の発表時の彼の人生を丁寧に描くことで
コール・ポーターの人物像を見事に浮き彫りにしております。
また丁寧に描きながらも2時間ちょっとで作品をまとめていて
見ていてとにかく退屈しません。
まあ唯一欠点を挙げるならば、
妻リンダの臨終のシーンが大メロドラマすぎるところ。
観客は(特に中年のおばちゃんたち!)はワーワー泣いておりましたが、
あそこまで大芝居させなくても…
サラッと描いた方が味わい深いと思いました。

キャストについては何と言ってもケビン・クラインが見事!
恋してピアノを弾いて(自ら!)、そして自ら歌って!
コール・ポーターが彼に乗り移ったかのような名演であります。
彼がイケメンの腰に手を回して優しくキスするシーンなんざ
「この人本物!」と思いましたもん。
あれじゃフィービー・ケイツが怒りますよ、ホントに!

人気blogランキング に登録しました!☆
いいね!した人  |  コメント(2)  |  リブログ(0)
1 | 2 | 3 | 4 | 5 |最初 次ページ >> ▼ /

AD

Ameba人気のブログ

Amebaトピックス

      ランキング

      • 総合
      • 新登場
      • 急上昇
      • トレンド

      ブログをはじめる

      たくさんの芸能人・有名人が
      書いているAmebaブログを
      無料で簡単にはじめることができます。

      公式トップブロガーへ応募

      多くの方にご紹介したいブログを
      執筆する方を「公式トップブロガー」
      として認定しております。

      芸能人・有名人ブログを開設

      Amebaブログでは、芸能人・有名人ブログを
      ご希望される著名人の方/事務所様を
      随時募集しております。