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2004-11-30 09:53:47

「エノケンのちゃっきり金太」

テーマ:映画(ビデオ他)
「オールド・ボーイ」「血と骨」と重量級の作品を立て続けに見てしまったため、ここ最近はすっかり疲労困憊。せめて家にいる時は息抜きにとこんな作品を見てみました。

1937年作品 監督:山本嘉次郎
出演:榎本健一、中村是好、二村定一、他

喜劇王“エノケン”こと榎本健一の実に今から67年前の作品。
現存するフィルムもずいぶん痛んでおり、ところどころ音声も途切れる状態ですが、
これが戦前の作品かと疑うくらいモダンなんであります。

とにかくこれ全編、<ちゃっきり金太>ことスリ役のエノケンと、
岡っ引き役の中村是好の追っかけあいなのです。
ジャパニーズ・ノンストップ・スクラップコメディ。
エノケンは全編これ逃げる逃げる、画面の縦横・手前奥
ふんだんに使いただひたすら逃げまくる。
それを中村是好の岡っ引きがむやみやたらと追いかける。

どこかで見た世界だなと思ったら、
そう「ルパン3世」のルパンと銭形の関係とそっくり!
モンキーパンチは絶対「ちゃっきり金太」を見ているはず!

舞台は江戸から明治の時代の替り目。
スリと岡っ引きの追っかけあいは、段々と時代背景が変わって来て
奇抜な人間が間に入ってくる。
新撰組だったり薩摩軍だったり…
仕舞にはスリと岡っ引きが2人仲良く長州軍に入って
江戸へ凱旋してくるというナンセンスな展開。
そしてラストは明治時代で二人の関係は…。

上映時間1時間15分。
サラッと見られて、
ハハハと笑って、エノケンの芸を楽しんでハイおしまい。
この気軽さにホッと一息つけました。

この作品、ビデオもなければスチールもなく
画像なしでUPの予定でしたが、ネットサーフィンしてましたら
ポスターが見つかりました。これはレアもんですよ。
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2004-11-29 21:21:58

「隠し剣 鬼の爪」

テーマ:映画(映画館 2004年)
11/28 Tジョイ大泉にて

はっきり言って「たそがれ清兵衛」よりこの作品のほうが好きです。

監督:山田洋次
出演:永瀬正敏、松たか子、田中泯、緒形拳、他

傑作の呼び声高い「たそがれ清兵衛」が
私にとってどうもしっくりこないのは、
作品のラストで岸恵子(清兵衛の娘役)が出てきて
清兵衛のその後をツラツラと回想するのが、気に入らないんです。

だって江戸時代の【普通のお侍さん】を描いた作品なのだから、
「普通の人が一生懸命背伸びして職務(造反者を斬る)を行った」
という現在進行形で終わればいいものを、
年老いた娘まで登場させて「父はあの時がんばった」などと
ノスタルジーにひたっては、
なんだか「普通の人」が「ヒーロー」に仕立て上げられたようで、
見ていた私はすっかり冷めちまった訳です。

あとなぜかラストが井上陽水の歌というのも、
ますます冷めた原因でありました。
なぜ陽水?

そして今回の「隠し剣 鬼の爪」なのですが
この作品には「たそがれ清兵衛」で私が冷めてしまった要素が、
ものの見事に無くなってるのです。
作品は2人の恋が実るところでスパっと終わり
「その後、蝦夷で苦労した」云々と、
その後の説明が一切ないのが清いですし、
ラストも冨田勲の壮大な音楽で送り出すのも、後味が非常に良い。
終わり良ければすべて良し。
この2点だけでも私はこの作品を無条件で支持するのです。

俳優でみたら永瀬正敏も松たか子も私は大の苦手。
この作品でもがんばってはいたけれど、
結果は魅力を感じるまでに至りませんでした。
だから本来、大ハンディキャップを背負っていたのですが
脇役陣が欠点をフォローするかのようにキラ星のごとくに魅力を発揮。

緒形拳は山田洋次がめったに描かない【悪役】を好演。
これじゃあ殺されてもしょーがないですな。

田中泯は「たそがれ清兵衛」に引き続き今度は朴訥な師範役。
朴訥だから台詞は棒読みでOK。役得です。
しかしちょっと見せる殺陣の動きのしなやかさが抜群。
思わず独り言「美しい!」

高島礼子は今まで創ったような【色気】が好きになれませんでしたが、
この作品での色気は本物。
緒形拳も一晩枕を共にしてしまったのも納得です。

とまあこういった訳で、
この作品は脇役の魅力で作品自体が魅力的になったともいえる好例。
「血と骨」でも感じましたが、
映画は約2時間観客を集中させなくてはいけないもの。
主役だけで見せ切るには限度があります。
演出の力もあるでしょうが、
やはり脇役は評価を決める重要なアイテムなんじゃないでしょうか。
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2004-11-28 14:05:57

「血と骨」

テーマ:映画(映画館 2004年)
11/23 丸ノ内プラゼールにて

まるで1年間の大河ドラマを2時間強で見てしまったような感じです。テレビドラマのような映画と言っているのではありません。それだけの重量級の力作だということです。

監督:崔洋一
出演:ビートたけし、鈴木京香、オダギリジョー、田畑智子 他

なんとも冷血で、しかもパワフルな人間がいたものです。
この作品の主人公・金俊平のことである。
「生きていくには金」と骨身にしみこんだポリシーのもと、
家族の事など省みず、暴力をふるうのはあたりまえ。
ただひたすら金、金、金。
こんな人間が生きていたというだけでも驚異的だが、
しかしその人間性を批判するよりも、彼をこうしてしまった時代背景に
目を向けるべきであろう。
大正期に一旗挙げるために朝鮮から渡ってきて、我々の想像を絶する
過酷な状況と差別に悪戦苦闘し、
そして戦争という狂気の沙汰を経験し、
終戦後の弱肉強食の世界を味わい、
最終的に彼の精神状況はおのずと
「頼れるものは金しかない」
となっていったのではないだろうか。
ああいう人間に【彼】が【なった】のではなく
【時代】に【そうさせられた】のであろう。
そう考えてみるとビートたけしがインタビューで

「金俊平を千分の一位にしたらウチの親父だね。あそこまではいかないけど。でもああいう人は、昔は結構周りにいたよ。(中略)俺の周りには小さい金俊平さんがいっぱいいたよ。」(プログラムより)

と言ってるのも納得がいきます。時代がああだったんですから…。

「血と骨」はこの金俊平の生き様を、主人公に同情する事も無く、
そうかといって批判的に描くという事も無く、極めて客観的に
俯瞰から眺めているかのように描いています。
そしてその客観的な視点があったからこそ、彼の生きてきた時代や、
彼を取り巻く人間たちが鮮やかに、そして魅力的に浮かび上がって
きて2時間半全く退屈せずに、充実した作品となっています。
ただひたすら金俊平だけを追いかけていたら、
とても息苦しくて見てられなかったでしょう。

「彼を取り巻く人間たち」と書いたようにこの作品、
脇役が非常に充実しています。
細かく書いていきたいのですが、長くなるので
特に印象に残った三人をピックアップ。

まずは朴武役のオダギリジョー

金俊平の息子だと言い張って住みこみ極道の限りをつくす役。
さすがの金俊平も彼には太刀打ちできません。
血は争えないといったところでしょうか。
この極道者をオダギリジョーが魅力的に演じて
前半の30分間は完全に彼が作品をひとりジメにします。
それ位彼はすごい。
オダギリジョーってこんなに上手かったんでしたっけ?

次に高信義役の松重豊

金俊平の舎弟、また彼の娘の旦那なので義理の息子役。
全編に渡って登場する役なのにもかかわらず、
あまりクローズアップされない地味な役。
しかも演じる松重豊も映画・舞台と脇役ばかりの
これまた地味な役者さん。
地味に地味が重なって「本当に地味」なのですが、
あれだけ傍若無人な金俊平にも彼がいたからこそ、
家族が離散せずに一つでいられたと納得できる好人物であり、
松重豊の演技も脇をしっかり固める好演なのであります。

そして最後が鳥谷定子役の濱田マリ

金俊平の愛人・清子の介護を名目に結局は俊平の愛人となる役。
俊平の「脱げッー!」の一言で平気で全裸になる彼女もすごいが、
愛人になると立場逆転、子供を次から次へとこしらえて
最後には俊平を殴り倒し、築いた財産をもってトンズラしてしまうという
驚愕な役柄。
金俊平の存在も衝撃的だが、私はなにより鳥谷定子のような人間が
いたことの方に衝撃を受けました。
しかも濱田マリがこれまたビックリの怪演。
とても「あしたマニアーナ」の濱田マリとは思えません。

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2004-11-27 22:32:05

追悼・島田正吾

テーマ:演劇
島田正吾氏が亡くなった。
98歳、大往生である。
しかしなぜか残念でならない。

私は、氏のひとり芝居
「夜もすがら検校」(平成14年5月、新橋演舞場)
を見ていた。
島田正吾のひとり芝居は毎年一回、新橋演舞場で
2日間限定で上演されていた。
「白野弁十郎」「王将」など
評判は高かったが平日の2日間というのがネックで
なかなか見ることができなかった。
しかしなんとか時間をやりくりして仕事を切り上げ
その年はなんとか見ることが出来た。

見てビックリした。
あまりにも元気はつらつな舞台だったからである。
二千弱の演舞場の大舞台に96歳の老俳優がたった一人。
さすがに歳が歳だから動きも最小限に抑えている。
しかし大舞台いっぱいに島田正吾は存在していた。
休憩を挟んだ2時間の舞台。
セリフもはっきりと演技に寸分のブレもない。
これが96歳の俳優の舞台か…
ただひたすら圧倒されていた。

当日はなんと美智子皇后が鑑賞に来ていた。
この小公演に皇后陛下が見に来るのもすごいが、
カーテンコールで島田正吾が
「現在100歳の記念公演の演目を考えてる」
と言ったのもスゴイと思った。
彼には96歳というプレッシャーが全く無い。
常に前向き、4年間などアッという間だと言わんばかりであった。
私はその時、スゴイと思いながらも
「もしかしたら100歳記念公演は実現しそうだな」
とも思ったのである。

この年の「夜もすがら検校」ののち氏は怪我をして
その年の舞台を降板。
緊張の糸がプッツリ切れてしまったのか
翌年のひとり芝居も開催されず
結局「夜もすがら検校」が
私にとっては始めての
しかし島田正吾にとっては最後の
ひとり芝居となってしまった。

「100歳の記念公演の演目を考えている」
いまでもあの時の言葉が耳を離れない。
98歳の大往生。
しかし目標は果たせなかった。
だから氏の訃報は本当に残念でならない。

合掌

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2004-11-26 02:17:50

古今亭志ん朝3.「お見立て」

テーマ:落語
志ん朝師が亡くなってすっかり「廓噺(くるわばなし)」をやる演者がいなくなってしまたなと、寄席に落語会に行く度に思います。
【廓】吉原にあった遊郭の事。
江戸・明治から昭和30年代まで吉原は花魁(おいらん)のいる遊郭が
ズラリと並ぶ、男の一大レジャーランドだったそうです。
(そういう私も影も形も知りません)
そこで織り成す花魁と客とのやりとりは、男の本性丸見えの
まさに落語にはうってつけの「こっけいな」世界であったのでしょう。
落語にはいくつもの「廓噺」の傑作があり、
その「廓噺」をもっとも得意としていたのが古今亭志ん生であり、
その得意ジャンルを忠実に受け継ぎ、
亡くなる前まで演じ続けたのが志ん朝であったのです。

志ん朝師亡き後「廓噺」は古今亭円菊師が「明烏」「幾代餅」あたりを
今でも演じますが、他の演者ではすっかり下火になってしまいました。

話を戻して
志ん朝師の「廓噺」も傑作揃いですが、
ベストスリーを挙げるとすれば
●お見立て ●お直し ●五人廻し
を躊躇無く選ばせていただきます。
「お見立て」は志ん朝の廓噺の頂点であるとともに
今回再聴して何度も聞いているにもかかわらず
思わず大声で笑ってしまう位、抱腹絶倒の傑作なのであります。

ここでストーリーを
 吉原の人気花魁・喜瀬川にぞっこんベタボレの田舎者・杢兵衛氏。
 ところが喜瀬川花魁、この杢兵衛氏がどうにも嫌いでならない。
 今日も杢兵衛氏中店に来たが、喜瀬川は会いたくない。
 そこで喜瀬川、間に入った若い衆に
 「喜瀬川は病気で入院していると言いな」とウソをつかせる。
 言われた若い衆は困ったが花魁の言うことは逆らえない。
 杢兵衛氏に喜瀬川入院を伝えるが、
 今度は杢兵衛氏、入院の見舞がしたいと言い出す。
 追い返す口実がドツボに入った喜瀬川、若い衆に
 「喜瀬川は杢兵衛氏に恋焦がれて死んでしまった」の
 ウルトラC級のウソをいわせる。
 さすがに杢兵衛氏もあきらめて帰るかと思いきや、言った言葉が
 「墓参りがしたい」
 墓があると言ってしまった山谷まで付き合わされた若い衆、
 喜瀬川の墓などあるわけがなく、さあどうなる…

志ん朝師はこの噺を、
まずは吉原の遊郭の雰囲気をサラリと説明してから本題へ。
このマクラがなんとも良い。
「お見立て」の登場人物は喜瀬川花魁に田舎者の杢兵衛氏、
そして店の若い衆の三人。
この三人の会話が中心で、
吉原の舞台背景の説明がこの噺自体には希薄なため、
まずは客が吉原の遊郭を訪れ、
花魁と対面するまでの一連の流れをマクラとし、
吉原の雰囲気を充分聞く側にインプットさせておいて、
あとは会話だけで進行していく。
まさに構成の妙であります。
このマクラが無いと舞台背景がわからない。
長すぎるとクドくなる。
この「サラリ」が本当にいい按配なのであります。
あとは「嫌う花魁」「食いつく杢兵衛」「右往左往の若い衆」の
ドタバタがパワフルな志ん朝師の語り口で展開し、
聞く側はただひたすら笑いに身を委ねるだけなのであります。

人情噺に比べれば「廓噺」はただ滑稽な、
あとに何も残らない噺かもしれません。
しかし「廓噺」にこそ落語がもつおかしみがあふれてますし、
この「お見立て」の世界を
【遊郭】から【キャバクラ】あたりにおきかえれば、
現代にも充分通用する噺なんじゃないでしょうか。
まあさすがに墓参りまではしないでしょうが…

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【シリーズ古今亭志ん朝】
 古今亭志ん朝のこと
 古今亭志ん朝1.「火焔太鼓」
 古今亭志ん朝2.「雛鍔」
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