それでも大丈夫

炭鉱のカナリアのように、敏感に。


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この本の表紙には著者の盛田隆二さんのお母様が若い時に

「アメリカ軍の空襲で焼野原にされた」(かぎかっこは、みなとかおる)

新宿の闇市で買った中古品の赤いハイヒールを大切そうに

見つめる姿が焼けただれた都電を背景に描かれています。

私は、盛田さんとはツイッターで偶然お知り合いになったのですが、

ほぼ同年代で傷痍軍人を街中で見かけた最後の世代でもあります。

今、戦争とは本当はどのようなものなのかを伝えていくのが

難しい時代になっていて、一つの戦争から70年が経ち、体験者が

死に絶えた時に、新たな戦争が起きる可能性があると

講演などで伺って戦慄しているところです。

盛田さんは、お母様の美代子さんとお父様の隆作さんの出会いの

詳しい経緯をお二人を亡くされてから、調べて描き、それはその前の

世代にもわたるので、その時代のことを読者として一緒にたどるという

経験ができます。

この本の中で私が印象深く感じたのは、2種類の靴のことです。

美代子さんは、ハイヒールを買いましたが、龍作さんは

通信兵として中国の過酷な戦線に派兵され、

軍靴を履くことになります。

その章で兵隊がサイズの合わない靴を支給された場合に、

合う大きさの靴を他の兵隊から盗むということを読み、

目から鱗が落ちたような気持になりました。

「日本の軍隊では、足に靴を合わせるのはなく、

靴に足を合わせるのだ」

ということまでしか知識として知らなかったからです。

誰も好きで盗みをする人はいません。

実際の戦争は、ゲームの中の勇ましい破壊や

すかっとするような場面は

庶民には与えてくれません。

与えられるのは政府によるその場その場の法律の変更による

翻弄される生活と乏しさと惨めさのみなのです。

 

11月の始めは、おりしもアメリカの大統領が、まだ占領が続いているか

のように横田基地に専用機で降りたち、滞在中

「兵器を買え」とまで言う自国第一の態度が

下僕のような日本の総理の姿とともに

日本のテレビで無批判に流されていました。

これでは、また日本人の中から新たな傷痍軍人を

生み出してしまうのではないでしょうか?

今、戦争に無関心な人も『焼け跡のハイヒール』を、物語を

細部にわたって味わいながら読むことで、まじかに迫った

憲法改正の論議も自分のこととして考えることができると思います。

この本の中には食べる、着る、住むなど人間の営為が

全て出てきますが、一つ出てこないものがあります。

それは選挙だということも書いておきます。

 

 

 

 

 

 

 

 

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下北沢 小劇場 「楽園」にて

氏家信樹さんからのご案内で

「訪問者」を観劇。

出演者7人のノンストップ75分ハードボイルド演劇でした。

あまり日本にはないタイプのお芝居で、

何よりも印象に残ったのは、現代の日本の抱える問題を

逃げずに脚本に書き込み、それが過不足なく描かれていることでした。

社会の片隅に追いやられ、判断が少しずれた人が起こして

しまう事件の連鎖。

教師役を演じた氏家さんと後輩の教師役の小井戸一章さんの

衣装の行き届いた「垢ぬけなさ」が醸し出す雰囲気。

氏家さんの娘さん役の大西結衣さんは、前半の可憐な雰囲気を

保つことがラストでの爆発に観客の共感を誘ったと思います。

事件を起こした青年役のかめや卓和さんの怪我をした方の

足の指先の曲がりに神経の行き届いた演出を感じました。

タクシー運転手役の吉田さとしさんは、のっぴきならない

状況にあるタクシーの車内での長台詞が一番の見せ場で、

いらいらしながら、くすっと笑わせ、それは後半の緊張感に備える

時間となっていました。

かめや卓和さんの演じる青年と福島で同級生だったという

ホステス役の嶋木美羽さんは長身を生かし、不運を

振り払うことができない女性の悲しさを表していました。

「片隅に生きる私達が、どうしようもないじゃない。」という意味

の台詞が心に残ります。

嶋木さんと同居しているDVを振るう若い「ヒモ」役の

佐藤修平さんは訪問してきた年上の男性への尊敬も配慮の

かけらもない役を力いっぱい演じていました。

 

ところで、この感想を書いていて、

タイトルの「訪問者」には二種類あるということに

気がつきました。

そして、どちらの訪問者もないほうが平和だという

ことです。

最後に面白いお芝居を作り上げたチームに拍手!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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先日の九条サロンで取り上げられた歌人は、中城ふみ子でした。北海道出身の女流歌人で、渡辺淳一の『冬の花火』でその名前を知ったという方も多いと思います。
若くして乳がんで亡くなり、第一歌集が『乳房喪失』という題名のためにセンセーショナルに扱われている側面があり、離婚の理由なども含め実像について知る機会があればと思っていた私には素晴らしい時間でした。
今回、ふみ子の実の妹さんと東京家政学院で同級生だったという佐方三千枝さんの綿密な実地調査は、離婚した女性の生きにくい時代にシングルマザーとして子供にも愛情を注いだふみ子の実像を知らせてくれるものでした。
それにしても、映画化の際に遺族が監督、主演の女優さんなどを訪ねて映画化に反対したことは初めて知りました。恋する女性として家族を顧みないイメージがもたらす遺族への負担は、部外者には想像もできないような大きなものがあったようです。
最後に中城ふみ子は、こうした伝えられ方でも残ったことを発表者の佐方さんも参加者も一応評価してはいましたが、実像についてこの訂正記事とも言える情報に接することのできる人は、少ないのですから、現代のバッシング対象を探し回るようなマスメディアの姿勢には、もう少し慎みが欲しいと思いました。
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