黒猫:さてやってきました活字ラジオの時間です。こんばんは。今日も宣伝するものがあるんだろ?

作者:なんだよ、振りが雑じゃないか。さては付き人と喧嘩でもしたか。

黒猫:いや、なにも……。

作者:その顔はしたな。食器の洗い方にケチでもつけたのか?

黒猫:僕は他人のやり方をいちいち否定したりしない。

作者:ほう、それはそれは。じゃあなんで喧嘩を?

黒猫:ちょっと勝手に出張入れて……。

作者:勝手に出張を? そらいかん。事前申請しないと。

黒猫:だって大学が決めたことだからさ。

作者:ホウレンソウは社会人の基本だろう(溜息)

黒猫:まあ、たしかにうっかりしてた。

作者:何か考え事でもしてたのか?

黒猫:まあ、ちょっと新しい研究のことでね。

作者:なるほど。それで付き人ちゃんが激怒ぷんぷん丸になったわけだ。

黒猫:ぷんぷん丸とか、彼女に似合わない言葉を選ぶな!

作者:すまんすまん。ところで、さっき君が雑に振ってくれたとおり、宣伝はあるぞ。

黒猫:だろうね。これだろ?

 

 

作者:それだ! ただいま発売中! 講談社文庫の棚にて飼い主募集中。で、それに合わせて、ひとつ前の記事で、特典クイズやってます。http://ameblo.jp/millionmaro/?frm_id=v.mypage-ameblo--myblog--blog

黒猫:なるほど。クイズに答えると後日談が読めるのか。あの話の後日談ってちょっとすごそうだな。

作者:まだ書いてないけどね。

黒猫:書いてないのか!

作者:うん、だから今日のキミの態度次第では君も登場させる。

黒猫:やめろ。

作者:あ、態度わるい。決定。

黒猫:待て。

作者:どうしようかな。

黒猫:ごめん、あやまるから。

作者:じゃあさ、今すぐここで付き人に電話して。

黒猫:え、いま? 活字ラジオ中だぞ。

作者:できないんだぁ、じゃあしょうがないなぁ。

黒猫:わ、わかった。電話するから。

作者:あ、一つ条件。

黒猫:なんだよ…嫌な予感しかしない。

作者:赤ちゃん言葉でかけて。

黒猫:断る! ぜったいに……。

作者:いいんだぁ? 登場させていいんだ、そうかそうか…どうしようかな、殺される役にしようかな。

黒猫:ま、待て、待てって……卑怯だぞ!

作者:あと五秒、四、三…。

黒猫:だあああああああああ! やりますやります。(電話かける)あ、もしもし?

作者:もちもち、だろ。

黒猫:も、もちもち……(赤面中)。

作者:ほら、さっきは悪かったって言えよ。

黒猫:さ、さっきは悪かったでちゅ。事前に言うべきでちた。……うん、気を付けまちゅ。

作者:(電話切れたの確かめ)おめでとう! 許してもらえたじゃん。

黒猫:大いなる挫折感、敗北感……立ち直れそうにない……。

作者:大丈夫、付き人は今頃悶えているはずだ。

黒猫:そんなわけないだろう、泣いて爆笑してるに決まっている。

作者:マイナス思考だな。まあいい。とにかく、約束通り赤ちゃん言葉で電話もかけてくれたし、合格としよう。

黒猫:ほっ。

作者:合格。よって、正式に特典に君を登場させることに決定!

黒猫:な……なんだと!?

作者:いやあ、本当はさっきまで態度悪いから出すのやめようかと思ってたけど、これだけ頑張ってくれたからには出さないわけにはいかない。

黒猫:おかしいだろ! 言ってることが違う!

作者:わたくしはですね、『態度わるい、決定』と言ったのでありまして、ですね、あたかも、あたかもですね、わたしが嘘を言ったようなレッテル貼りはですね、やめていただきたいと……。

黒猫:その微妙な真似はやめろ! 話をそらすな!

作者:というわけでみなさん、特典クイズ、どんな形で黒猫が登場するのか、あるいはしないのか、ぜひ楽しみに、どしどしご応募してみてくださいませ~。

黒猫:ころす、もり、ぜったいころす!

作者:「ころちゅ」じゃないの? 黒猫ちゃん。

黒猫:ころす!ぜった…(ガムテープ貼られる)

作者:それではみなさん、今夜はこのへんで~。

 

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黒猫:どうした? 上機嫌だね。

作者:いやー『ららららどんどん』よかったなぁ。

黒猫:『ララランド』な。観てないことバレバレじゃないか。

作者:いまちょっと観た気分に耽ってたんだから邪魔するな。

黒猫:妄想がすぎる。

作者:でも、デミアン・チャゼル監督の前作『セッション』はなんとか寝る前に15分ずつ観ていってこないだ観終わった。

黒猫:なんて不謹慎な鑑賞法なんだ…。

作者:15分ずつ観ると、細部にまで注意力を維持したまま見られるんだよ。

黒猫:言い訳だな。

作者:まあ、言い訳だよ。でも面白かったよ。各シーンに緊張感があったし、ストーリーの構成自体が小さな緩急の繰り返しになっていくことで、映画にテンポが生まれて、徐々に観衆を前のめりにさせるジャズみたいなところもある。

黒猫:たしかに、そういう映画だったな。でも、観ていて「ああ、これは音楽だなぁ」とは思わなかった?

作者:まあ思ったけどね。それはあの映画にかぎらないからなぁ。

黒猫:『君の名は。』もそうだった。ワーグナー楽劇みたいな感じだね。音楽がある種の「主題」を担っていて、シナリオや演出、構成がそれに従属し、それによって最大限の感動を引き出すことに成功している。

作者:まあこの時代のひとつのやり方ってことだよね。「あんなもの映画じゃない」とか言う人もいるし、まあしょうじき、俺自身もそう思わない部分がなくはない。でも、じゃあ何が映画なの? って考えるきっかけにはなるし、そういう意味では、この時代における映画の出したひとつの結論ではあったんだと思うよ。

黒猫:そうだね。19世紀もそうだった。ワーグナー楽劇は大きな成功を収めることになったけれど、それがすなわちオペラとしての成功だったかというとそうではなかった。とりわけ当時の批評家のなかにはワーグナーに厳しい人もいた。一方、詩や絵画の世界では、ワーグナーという劇薬を目にして、それぞれの芸術の自律性について再考しはじめた。

作者:そうそう。まさに、いまの状態なんだよね。いま、しょうじき世界全体がくたびれかけている。それはエンタメ業界全体がまさにそうで、それぞれがどこかで袋小路に入っている部分はある。だからこそ、ある者は越境し、ある者は実験に走る。音楽に主題をゆだねるというのも、ひとつのやり方としてあっていいし、それが成功したとなれば、その成功の意味を各々考察しなくちゃならないよね。

黒猫:冷静じゃない時代、ということは言えるかもしれない。感情的というか。

作者:あるいはね。でも、それだけではない。もっと、倦怠感というか。そう、21世紀になってからまだ世界に答えが出ていない感がある。むしろどんどんカオスに近づいていく。

黒猫:そうだね。震災後のガムシャラさが消えて、その頃のエネルギーを使い果たしたような虚無感に、ニスでも塗るみたいに音楽を主題に据えた映画が感動をさらっていく。

作者:小説はどうあるべきなんだろうか。なんてことを考えながら、俺もじつはこの先が見えなくなっている部分はあったんだよね。そういうなかで依頼があったのが、『ダ・ヴィンチ』さんからのスガシカオデビュー20周年特集におけるスガシカオ短篇。

黒猫:読んだよ。いつもの君の作風とはまた少し違った感じだったね。

作者:僕はよくTwitterで丹地先生のイラストに挿文とか勝手に書くときもそうなんだけど、絵や音楽に寄り添って自分をからっぽにしていると、思いもかけない台詞とか文体が降ってくるときがあるんだよね。でも、それで正解だな、って感じるんだよ。

黒猫:それは自分の執筆のときはないの?

作者:だって自分の作品のときは、ゼロから作るわけだからね。

黒猫:そっか。

作者:だから、スガさんの「黄金の月」ていう曲を主題に据えて「9月には残らない」って話を書かせてもらったんだけど、めちゃくちゃ楽しかったし、するする~っとラクに書けたんだよね。もうこんなスムーズに書けていいのかってくらい。

黒猫:そんなにラクだったのか。

作者:そりゃね。スガ楽曲をテーマに小説書くのはデビュー前の僕のライフワークのような感じだったから。久々にやってみたわけだけど、結論から言えば、音楽でも絵でも、文章の外に主題を置いて書くのはやっぱりいいもんだな、と思った。ただ、たとえば今回の仕事で言うと、その作品の感動は誰によるものかって考えると、僕はたしかに執筆者ではあるけど、その感動はやっぱりスガさんの楽曲に寄与されるべきだと思ったんだよね。

黒猫:ふむ。純粋に小説の力で感動させたわけではない、と。

作者:もちろん、小説だから、映画みたいに音楽が流れてくるわけではないけれど、多分に音楽的な書き方を心がけたところはあった。だから、たとえ「黄金の月」を知らない人でも、あの小説を読むと音楽的な感覚をたしょうなりとも味わうことになったと思うんだ。

黒猫:ほう。まあ、そうかもしれない。

作者:もし、音楽にある魅力を、小説家が100%小説のものとして奪還するのならば、結局感情に訴えるのではなく、きわめて温度を低く、冷静さを保っていかなければならないだろうな、とも思う。

黒猫:それは難しそうだ。でも、たぶんそれが今後の君の課題にもなっていくんだろうね。

作者:そうだね。でもとにかく、そういったことも含めて、音楽に寄り添って文字を紡ぐっていうのはすごくいい経験だったよ。まあそんなこともあったから、チャゼル監督や新海監督の挑戦に対しては、僕は時代的にひとつのやり方としてもっと肯定される部分があっていいのかもしれないな、とも思うようになっているわけ。

黒猫:なるほど。そういえば、今日はとくに宣伝なしかな? 「ダ・ヴィンチ」以外のことは話していないようだが。

作者:お、そうだった。来月中頃に講談社文庫から『M博士の比類なき実験』が出ます。

黒猫:『COVERED M博士の島』の文庫化だね。直球のタイトルだね。

作者:「広義の」ミステリファンに読んでもらいたい作品です。けっこう装画も装幀も刺激的な感じにできているはずなので、また発売日近くなったらアナウンスさせていただきます、と。

黒猫:また臨時更新があるかも?

作者:そうだね。お楽しみに。いやーしかしね、最近は仕事とは関係なく、とってもいいことがあったんだよ。

黒猫:ほう、いいことが……。

作者:執筆で疲れていたら、丹地先生が、付き人の…ああ、いや、何でもない。これは君には言えない。

黒猫:おい、なんだそのわざとらしい言い淀みは!

作者:なんでもない、忘れてくれ。

黒猫:丹地先生が付き人をどうしたんだ!

作者:なんでもないってば。しつこい男は嫌われるぞ。それでは皆様、今夜の活字ラジオはこのへんで。

黒猫:続きを話せ! はなs…(ガムテープ貼られる)…

 

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黒猫:今晩は、一日遅れで活字ラジオの時間です。

作者:皆さん、もう『人魚姫の椅子』の特典はダウンロードしていただけましたでしょうか? まだの方はぜひ帯袖のQRコードにスマホをかざしてバーコードリーダで読み込んでくださいませ。

 

人魚姫の椅子人魚姫の椅子
1,620円
Amazon

 

黒猫:君さ、毎回特典に僕を使うのはいかがなものかと思うよ。

作者:それで喜んでくれる人がいるうちはやればいい。いなければやめればいい。簡単な話じゃないか。それともあれか? 君はまさか飽きられるのが怖いとでも言うんじゃないだろうな?

黒猫:まさか…馬鹿なことを。

作者:まあ飼い主のみなさんに飽きられる前にせいぜい付き人に飽きられないように気をつけなさい。

黒猫:それはさすがに……。

作者:さすがに? え? さすがにない? すごい自信だな。

黒猫:なにも言ってないだろう。

作者:さて(無視)、ところでTwitterではすでに言っていることをここでも再度言っておきます。

次の書店さまにサイン本を作らせていただきました。※現在も在庫があるかどうかはわかりかねます。

【東京】

紀伊國屋書店新宿本店様/ブックファースト新宿店様/三省堂書店神保町本店様/ジュンク堂書店池袋店様/三省堂書店池袋本店様/ブックファーストアトレ吉祥寺店様/書泉ブックタワー秋葉原店様

【大阪】

梅田蔦屋書店様/ジュンク堂書店難波店様/紀伊國屋書店梅田本店様

また追加情報などありましたらお知らせしたいと思います。引き続きよろしくお願い致します。お読みになられたご感想もTwitterやブログに少しずつアップされており、これまで以上にしっかりと受け取っていただけているのを実感しております。これから年末に向けて一人でも多くの方の心に届きますように。

また、年末にご本人さま用以外にもご友人やご家族などにギフト用にお送りしたいとお考えの場合は、送り主さまとセットでご芳名の入ったメッセージカード2枚分のPDFデータを差し上げます。kuroneko.since2011@hotmail.comまでお飼いいただいた『人魚姫の椅子』(一冊で結構です)の写メとともにメールをお寄せください。年内いっぱい受け付けさせていただきます。

黒猫:そういえば、『偽恋愛小説家』のほうでも動きがあるんじゃなかったっけ?

作者:そうだった! たまには君もいいことを言う。
   
12月・1月の期間、福島県内のみどり書房さま5店舗(桑野店、イオンタウン郡山店、白河店、二本松店、福島南店)にて、『偽恋愛小説家』(朝日文庫)を大展開していただいています! 店店頭にて、今回のコーナー用に直筆POPなども飾っていただく予定なので、近くにお住まいの方はぜひチェックして「こいつ知ってる!Twitterで馬鹿なこと言ってる作家!」と周りに言いふらかしてください。

 

 

 

黒猫:そんな情報要らないだろ…。

作者:ふう……まあ師走とはよく言ったものだ。

黒猫:勝手に忙しくしている気もする。

作者:しかし君の特典、「黒猫のパフェ巡りまたは椅子講義」はなかなかいい役目を果たしたんだぞ。あれがあったから本編にはあまり蘊蓄を入れずに済んだ。

黒猫:まあ、本編で蘊蓄やったら僕の真似みたいになっちゃうからな。君もたいへんだ。しかし、『人魚姫の椅子』は付き人も読んだと言っていたよ。ずいぶん気に入っていた。とくに丹地先生のイラストを。

作者:中身は! 中身は!

黒猫:はは、忘れたな。

作者:嫉妬だな、みっともないぞ。

黒猫:誰が嫉妬するか。

作者:おっとそうだ、最後に。来年のことを言うと鬼が藁を編むというが…。

黒猫:「笑う」だ、「笑う」。

作者:まあしかし年末にもなればさすがに藁を編むこともあるまい。

黒猫:「笑う」な、「笑う」。

作者:というわけで、1月半ば頃、『僕が恋したカフカな彼女』が富士見L文庫から発売になります。

 

 

テイストとしては、『人魚姫の椅子』が物語を丁寧に追ったクラシックなつくりだとしたらこちらはポップ。と言っても「ああ、いつもの男女の、あの感じ」と思わないでいただきたい。この二人の関係性はこれまでとはだいぶ違うので。そこのところが、これまでの雰囲気を好んでくださった方にどう読まれるかはわからないところでもあるけれど、これまでまったく森晶麿を読んだことがない方々とどう対話するかをじっくり考えながら書いた話なので、これまでの読者は先輩風をふかせて見守っていただけたらと思います。

黒猫:カフカのテクストを扱うんだな?

作者:まあ、そうなる。だから作品解体をやるって意味では、黒猫シリーズに通じる味わいもある。でもこっちは二人とも高校生だからね。君らと張り合うのは無理があるし、高校生らしい解体をしていくと思うよ。

黒猫:なるほど。いずれにせよ楽しみだ。僕を特典に使わないならね。

作者:それはどうかな……。

黒猫:おい……まさか。

作者:あ、そういえば、本文に二か所、黒猫と付き人らしきカップルの出てくる場所があるんだよね。

黒猫:な、なんだって……? 人違いじゃないのか?

作者:いや、場所がねぇ、場所だからねぇ。

黒猫:……森、何を企んでいる?

作者:それでは今夜はこのへんで。みなさん、よいお年を~。

黒猫:ちょっと待て! 森ぃ!! 

 

※年末にもう一度ブログは更新すると思います。

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