黒猫の約束あるいは遡行未来/早川書房

¥1,620
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飼い主を探しています。

今回飼い主を探しているのは、本日より全国発売となった
『黒猫の約束あるいは遡行未来』。著者のデビューシリーズ
でもあり、シリーズ第5作目となる本作。
もちろん今回も装画は丹地陽子先生です。
このシックなグリーンと、パッと目を引くレモンイエローが
目印の本作は、黒猫シリーズをこれまでお持ちの皆様はもち
ろんのこと、「黒猫シリーズってどうなの?」と思って初め
て手にとる方によくなつくタイプの本でございます。
毛並みもよく、飼い主を噛むなんてこともございません。
また、今回はとくに部分的に、ごく部分的にではありますが
これまでのシリーズに比べて、かなり糖度の高い部分があり
ますので、苦い珈琲などをお手元に用意して飼われますこと
をお勧めしております。

しかししかし、
「わ、私は文庫派だから、文庫で統一して集めるんだからね!」
という方もいらっしゃることでしょう。
「まだ『薔薇』だって文庫化されるの待ってるんだし!」
まったくごもっとも。単行本なんて移動の際にはかさばるだけ、
せっかく文庫で揃えたんだから、文庫を待って全部文庫で揃え
たほうがいい。
そのうえ、第三作『薔薇』を飛ばすだなんて……。
ええ、ええ、まったくその通りでございます。

しかし──おや、表紙と裏はこんなふうに一枚の絵に……。



これは贅沢ですねえ。え? これは単行本だけ?
そうなんですか? そうか、文庫の裏はたしかにあらすじなんか
が載っていて裏は白いですね。
え? それだけじゃない?
脱いでもすごいって? 今回は、内容に合わせた色になっている?
なるほどなるほど。

だそうでございます。
というわけで、触り心地もしっとりとした単行本サイズの黒猫最新刊
の飼い主に我こそはと思われた方、どうぞよろしくお願いいたします。

さて、そこで、あくまで私が個人的に、お買い上げいただいた皆様に
何か特典をと思いまして、ささやかながら、簡単ではございますが、
クイズを出題させていただきます。
回答期間は10月末日までです。
(9月末までではないのでご注意を)


では問題です。
【問題】
付き人は今回、さる事情から、とある衣装を身につけること
になります。その衣装のなかで、付き人が想定していなかったものを
カタカナ4文字でお答えください。


正解者全員に、一昨日公開しました(すでに削除しましたが)
断篇小説17篇のブラッシュアップ版プラス4篇の計21篇&
巻末に黒猫と作者によるスペシャル対談
を付けたPDFファイルをメールにてお送りします。
なので、必ずEメールの送れるアドレスからご回答ください。

宛先はこちら

kuroneko.since2011@hotmail.com

多くの方のご応募お待ちしております。
なお、メールの管理は森晶麿が一人で行いますので、
発送に締切後一週間ほどお時間をいただけますと助かります。
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黒猫の約束あるいは遡行未来/早川書房

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9月25日、黒猫シリーズの第五弾
『黒猫の約束あるいは遡行未来』発売予定。
どうぞよろしくです。

(あらすじ)
仏滞在中の黒猫は、恩師の依頼でイタリアにある
〈遡行する塔〉の調査に向かう。
一方、付き人は学会参加のため渡英することに。
しかしそれを伝えても黒猫から連絡はなく……。

というのがホームページやアマゾンさんに載っている
あらすじです。
こう聞いて、あれ? と思うでしょう。
そうです。今回も
『黒猫の薔薇~』の流れを引きずるように
黒猫と付き人の章がべつべつになっています。
前回が、交互にくる構成だったのに対し、
今回は前篇をマチルド視点から、
後編を付き人視点から、という構成にしています。

まだ世に出ていない作品でもありますのであまり
多くは言いません。
なるべく予備知識なしでお読みになりたい方はこのへんで
またあとは読後にとっておいていただくのも一興かと。
(と言っても、べつにミステリ部分のネタバレをしようと
言うのではありません)

これまで黒猫シリーズは、付き人と黒猫が
いわば額縁の外側から、(まあ本人たちも巻き込まれつつも)
絵を眺めていたような感じだと思うのですが、
今回ぼんやりイメージしていたのは、
「生きたメロドラマ」としての黒猫、付き人のパートが
事件という「動かない神話」と調和し、
物語の内部の新しい「生きた神話」として
着地するような物語にしたいということでした。

何だかわかりにくいな。

でも、まあこういった隠れた試み(言ってしまってますが)と、
ミステリ部分が、
そしてミステリの解法として機能する
美学解釈、ポオテクスト解釈が、
渾然一体となっていけばよいなあと思っていました。

まさに渦のように。

渦──といってピンとくる方もいらっしゃるでしょう。
今回は大渦に巻き込まれるあのポオの有名短篇を扱います。

その「渦」は現代という巨大な渦にも繋がっています。
おもえば、黒猫シリーズとしては初めて現代に焦点を向け
て書いていると言えるかもしれません。

ぼくがデビューした2011年というのは、
東日本大震災の年でした。
大震災のさなかに、僕は『奥ノ細道オブザデッド』を書いていて
こんな時期にこんな不謹慎なものを書いていて、
出版できなかったらどうしようとか、そんなことを考えていました。
あと、『遊歩』でデビューしたときも、7年前の作品なこともあり、
何というかハッピーはハッピーなんだけれど
時代と一緒に歩いていない感じがして、何だか妙な気分でした。

たぶん『接吻』がある種の悲劇を扱い、
そこから生と死を見つめる内容になっていたのは、
自分なりに時代と己の感性をなるべく
近付けていくための努力だったような気がします。

『薔薇』では、さらに踏み込んで「時間」について
考察しようと。
それは、ごたいそうに「3.11以降」なんて言える
試みではなく、ごく個人的に、どうにか「今」を自分
のなかで咀嚼し、生きていく一歩とするための作業に
すぎなかったんじゃないかと思います。

そして、『刹那』を挟んで、今回の作品で、
ようやく「今」と「未来」を見据えられるようになっ
てきたんじゃないかと思っています。
さっきも言ったように社会や時代全体を見据えて
とかいうほどのものではなく、一個人としての
身の丈にあった今と未来です。

それは、三年前に作家となり、
ようやく森晶麿がゼロの地点に立っている、
ということでもあるのです。

『COVERED M博士の島』発売のときに、
僕は今年をターニングポイント
と思える年にする、というようなことを言いました。
言うなれば、今年が起点になって来年があり
再来年があり五年後十年後があるのだという
ことでもあるでしょう。

話を『約束』に戻します。

ミステリ部分についてどうこう言うのはやめようと
思っていますが、
一つだけ言えるとすれば、この小説は、恋愛部分も、
ミステリ部分も含め、これまでのシリーズの、本を
閉じるときの「お決まりの」感覚とは、少し異なる
だろうということです。

それは、ゲラを何度も読みながら僕自身がそういう
感じだったので、恐らく何割かの人は同じ感覚にな
るのかな、と予測しているだけなのですが、
何とも不思議な感覚です。
もちろんそれは、最初に自分で意図した
「メロドラマの神話化」の効果によるのではないか
とは思うのですが。

ええと…長くなってしまいましたが、
外装についても最後に触れておしまいにします。

装画はもちろん、丹地陽子先生。
キュートな部分は相変わらず残しつつ、
いつもよりクールでスタイリッシュな雰囲気と
何より付き人の表情の変化にご注目ください。
何だかだんだんいい女になってきてるなーとしみじみ
思ったり。
ますます黒猫にはもったいない気がしてきました。
装幀はハヤカワ・デザインさん。内側は何色だろう、
とか作者としてもワクワクしてる部分はあります。
末筆ながら、編集に携わってくださった編集者さん、
校正さんをはじめ、この本が書店に並ぶまでにご尽
力いただきましたすべての方々、
これからその本を読者の皆さんに届けてくださる
書店員の皆様、
そして、これから『約束』の飼い主になってくだ
さる飼い主の皆様に
先んじて厚く御礼申し上げます。

ではではこのへんにて予告終了です




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