8月になるとさすがのコーヒー党もコーラを飲む。
ただ、メーカーの違いやカロリーの違いはあれど、
どれも甘いことに変わりはない。この甘さがときに我慢ならない。
そんならいっそ甘くない炭酸を飲んだら、と言われそうだが、
それはできない。甘くない炭酸は大抵黒くないからだ。
執筆に向かう前は深い闇を内部に取り込む必要があるのだ。
書くということは少しずつ死を背負うことでもあり、
死を背負うことは、ほんの少し生きることでもある。
黒い飲み物にはそんな「覚悟」がしみ込んでいるように思える。
だからこそ、コーラの甘さを私は見逃すことができない。
深い闇を内部に取り込むのにあの甘さは要らない。
かと言って、黒ビールはダメだ。昼間に黒ビールを飲んだのでは
確実に執筆ペースに影響が出てしまう。
やはり珈琲に戻るか。しかし、私はじつはアイスコーヒーも
あまり好きではない。コーヒーは黒く熱く苦くが鉄則であり
冷たい時点でかなり失格なのである。
そこで、私は2センチぶんだけホットコーヒーを作った。
そこに13センチぶんのコーラを注ぎ込む。
さらに氷を5つ。これを勢いよくかき混ぜる。
コーヒーコーラはこうしてできるのだが、これ、けっこううまいのだ。
うまいけれど、友人に勧めようとして味を説明すると結局
「コーヒーとコーラの味」という言い方になる。
これではケチャップとマヨネーズをまぜて喜んでいる小学生の発言だ。
夏に、「かつてホットコーヒーであったもの」と
「甘くないコーラ」を飲める喜びなど、そもそも誰が理解してくれる
というのだろう? そもそも、この飲み物に他人の共感は必要と
されるのだろうか? 私はそんなことを考えながら、
深い深い闇を内部に取り込むのである。





とまあそんな話はともかく、
本日は『ホテル・モーリス』内覧会を開こうと思います。

まず、表紙から。

森晶麿のLEVEL 100,000,000

装画は宮原葉月さん、装幀は鈴木久美さん。これについては先日触れましたので
ひとつ前の記事をご覧ください。
じつは、サイズがわずかに横を短くしており、夏の旅行にも携帯がしやすい仕様と
なっています。
では、本日はそのカバーをめくるとどうなっているのかをお見せします。


森晶麿のLEVEL 100,000,000

担当K治さんこだわりのブラウン。ホテルの材質を感じさせるウッディな
感じに、さらに光沢を出すためニスを塗っているそうです。
店頭ではがすとお店の人に怒られますので(たぶん)ご自宅でこっそり
ご確認ください。
次、表紙をめくります。

森晶麿のLEVEL 100,000,000

イメージは砂浜から海へ。本来は糊付けする部分を、
読みやすさとデザイン性を考慮してあえて糊付けしておりません。
そこをめくると──海の中。


森晶麿のLEVEL 100,000,000

そう、このホテルは海辺に立っています。
季節は五月目前。真夏の暑さよりもっと涼しげな海の風に吹かれながら、
ギャングとホテルマンたちの危険な一週間が始まります。


森晶麿のLEVEL 100,000,000

第一話「グリーン・ビートルをつかまえろ」

コンサル会社から派遣され、つぶれかけた高級リゾートホテルの
支配人になった准。彼の使命は一週間後に控えたギャングの大宴会を
ホテルのおもてなしの精神で無事に乗り切ること。

ところが、その初日に鳥獣会というギャングの一味である鈴木が
外国人女性をつれてやってくる。彼の去ったあとには必ず身体に傷を負った
女性が残されると言う。話がちがう。ギャングは一週間後ではなく、
毎日ホテルを利用しているではないか……。
同じ頃、「パパが先にチェックインしてろって」と
少女が一人やってくる。もしや泊まり逃げか? 准はこの怪しいゲストを徹底的に
「おもてなし」する方法を模索する。が、そこに事件が起こり──。
頼みの綱は、酒に弱い元殺し屋コンシェルジュ日野だけ。
はたして無事に一日を乗り切れるのか?

第二話「ローチ氏を始末するには」

オーナーの星野るり子がゴールデンウィーク前に大掃除を希望。
そこで、日野の知り合いだという掃除屋〈軍曹〉を呼ぶことに。
だが、この〈軍曹〉、はたして本当にただの掃除屋なのだろうか?
日野は鳥獣会を根絶やしにしようという気ではないのか?
同じ頃、ホテルにはスナイパーらしき男が訪れて──。
危険なゲストであれ、ゲストはゲスト。無事に帰さなければならない。
准は、日野と〈軍曹〉を警戒しながらホテルを駆け巡る。

と……本日はここまで。

残り三話については、また後日の紹介とします。

最後に。

『ホテル・モーリス』(講談社)は8月8日より全国で発売中です。
黒猫シリーズからのお付き合いの方もそうでない方も、
あるいはその方々の知人や親せきの方々にいたるまで、
幅広く、ゆるく、何の気なしにおすすめできる一冊です。
この夏スカッとしたいすべての方へ。夏の旅行のお供に。
海辺の危険なおもてなしをご堪能ください。

ではまた。
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ホテル・モーリス/講談社
¥1,470
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このたび、森晶麿は『ホテル・モーリス』(講談社)なるホテルを

建設する運びと相成りましたので、謹んで御案内申し上げます。


当ホテルは、危険なお客様が多く訪れる仕様となっており、

それに相対する主人公は、クールだが頼りなさの拭えない新人支配人。

彼の頼みの綱は、お酒に弱く、すぐにたおれてしまう元殺し屋のコンシェルジュだけ。

「ホテル・モーリス」のおもてなしの精神を、この新米支配人が数日で体得できるか

いささか不安はありますが、なんとかしなくてはなりません。

というのも、当ホテルでは数日後にはギャングが一同につどう宴会が開かれることに

なっているからでございます。


ええと、


そんな案内状のような口上はそのへんにしておきまして、


『ホテル・モーリス』明日(早いところは今日?)より発売となります。

五話の連作からなり、鳥獣会というギャングの根城と化したホテルを

復興するべく、若き新米支配人が、一目惚れしたオーナー夫人のためにも、

ギャング大宴会の大団円まで、ノンストップで駆け抜けます。

いつも森晶麿の作品に触れてくださっている方も、そうでない方も、

あるいはその知人や親せきのおじさんおばさんにまでも広くおすすめできる

ファンクでありド演歌でもある、つまりはすごくスタンダードなナンバーではないかと

思っております。

装画は宮原葉月さん、装幀は鈴木久美さんです。

スタイリッシュでいて、幸福感がほのかに漂う絶妙のテイストに仕上げていただきました。

この場を借りて御礼申し上げます。

また、「小説現代」の連載中に広い心でゴールまで支えていただいたT井さん、

書籍化にあたり適切なパスをつねにくださったK治さん、そのほかこの書籍にかかわって

くださったすべての方に御礼申し上げます。


中身のタイトルは以下のとおり。

1話「グリーン・ビートルをつかまえろ」

2話「ローチ氏を始末するには」

3話「けじめをつけろ、ドラゴン・フライ」

4話「シェルの歌でも聴け」

5話「バタフライを見失うな」


それぞれのあらすじをさわりだけでも触れようかと思いましたが、

それはまたの機会に。


それでは、本屋さんでお会いしましょう



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