ぽやぽやエブリデイ

ドラクエ10などのWeb世界で、世知辛い世の中を憂い

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ミソスープの具は豆腐とワカメ!!

特撮やアニメの歌が好きです。スライム状のものは嫌いです。


テーマ:

第8話 あの時計塔を探せ 後編 」の続きです。



注:この小説は18禁です。現実と空想の区別がつかない方にはおすすめしません。


バックナンバーは「こちら 」から!!



マインドスイーパー


……精神掃除士(患者の精神疾患を主とした自殺病治療の特殊能力を持つ医師の総称)




9.name 前編



薄暗い部屋の中、少年三人は背中合わせに立っていた。


三人とも、白い病院服の所々が鋭利な刃物で切り刻まれ、血が流れ出している。


彼らの周りには、同年代の少年や少女達が、刃物で喉笛を切り裂かれ、無残な死骸となって転がっていた。


「通信が繋がらない……完全に遮断されたぞ!」


少年の一人がそう言う。


彼らは、手に何も持っていなかった。


ヘッドセットを地面に叩きつけ、もう一人の少年が言った。


「チッ。完全にジャックされてやがる。精神世界と現実世界が、これでもかと完璧に切り離されてる」


「大河内、何か構築できるものはないのか?」


大河内と呼ばれた少年が、青くなり震えながら言う。


「……出来ない……精神防壁が張ってある。石ころ一つ持ち上げられない……」


「しっかりしろ。ここであいつを倒さなきゃ、俺達もどの道犬死にだ」


「で……でも高畑……!」


高畑と呼んだ少年に、大河内は叫ぶように言った。


「丸腰じゃどうしようもないよ! みんな、完全に『殺され』た! 俺達も死ぬしかないじゃないか!」


「安心しろ、大河内、高畑。お前達は僕が必ず守る」


そこで、もう一人の少年が口を開いて、足を踏み出した。


そして腰を落とし、腕を体の横に回し、拳闘の構えを作る。


「腕一本になっても、お前達は僕が守る。高畑は僕のサポートを。大河内は外部との連絡通路を急いで構築してくれ。一からでいい」


冷静に指示を出し、彼は周りを見回した。


一面、蜘蛛の巣だらけの空間だった。


時折、引きつったような奇妙な笑い声が暗闇に反響している。


「決して、何が起こっても慌てるな。僕が死んでも、お前達二人はすぐに現実世界に戻れ。分かったな?」


大河内が泣きながら何度も頷く。


そして、彼は空中の、目に見えないパズルピースを掴むような動作をして、それを見えないキャンバスにはめ込み始めた。


高畑が少年の脇で同じような構えを取り、低い声で聞く。


「……大河内はあの調子だ。何分もたせればいい?」


「二分……二分三十秒」


「最悪だな」


キチキチキチキチ。


金属のこすれる音がして、二人の前方に、奇妙な「物体」が現れた。


ドクロのマスクを被った人間の頭部。


そして、丸いボールのような体。


所々が腐食して崩れ、内部の歯車やチェーンが見えている。


ムカデのような足。


蟹股のそれらが、カサカサと蟲のように動いている。


手は、数え切れないほど巨大な、丸いからだから突き出していた。


それらの手一つ一つに、ナタのような刃物を持って、振り回している。


また、キチキチキチキチと音がして、ドクロのマスクがこちらを向いた。


「スカイフィッシュのオートマトンか。でもどうして……」


「高畑、考えている暇があったら動け。来るぞ!」


少年がそう言って、こちらに向かって猛突進をしてきた奇妙な「物体」に向けて走り出す。


そして彼は、数十本の腕が振り回す鋭利なナタを一つ一つ、見もせずにかわすと、丸い胴体部分に、腕を叩き込んだ。


放射状の空気の渦が出現するほどの、早い拳速だった。


空気が割れる音と共に、二、三メートルはある「物体」が数メートルは宙を浮き、足をばたばたさせながら、背中から地面に落下する。


大河内がそこで悲鳴を上げた。


振り返った二人の耳に、大量の、キチキチキチキチキチという、機械の部品がこすれる音が響く。


幾十、幾百もの「物体」が、こちらに向けて近づいてきていた。


「二分三十秒でいいんだな、坂月!」


高畑がそう言って腕を構える。


坂月と呼ばれた少年は、自分達を取り囲む「物体」の大群を見回し、一瞬だけ口の端を吊り上げて笑った。


しかしすぐに無表情に戻り、唖然としている大河内の頭を、ポン、と撫でる。


「いや、一分三十秒でいい」


彼の声に、大河内がすがるように言う。


「そんな短時間じゃ無理だ! 扉を作るのはいくら僕でも……」


「もう作らなくてもいい」


彼はまた、口の端を吊り上げた。


「スカイフィッシュ……僕を誰だと思ってる……」


彼は腰を落とし、醜悪に、舐めるように、呟いた。


「僕は、S級能力者の坂月。坂月健吾だぞ」



「汀ちゃん、しっかりして! 汀ちゃん!」


担架に乗せられて運ばれていく汀を、理緒が必死に追っている。


汀は、左腕を押さえて、意味不明な言葉を喚きながら、担架の上でもだえ苦しんでいた。


「痛い痛い痛い痛い痛い痛いー!」


彼女の絶叫が響く。


担架を押しながら、大河内が、看護士に押さえつけられている汀に口を開いた。


「すぐに痛みは消える。もう少し我慢するんだ!」


「せんせ……死ぬ! 私死んじゃう!」


「大丈夫だ死なない! 私がついている!」


大河内がそう言って汀の右手を握る。


担架を冷めた目で見ながら、施術室の扉に、腕組みをして圭介が寄りかかる。


そこに、冷ややかな瞳でソフィーが近づいた。


「……どういうことか説明してもらいたいですね、ドクター高畑」


「何だ?」


「どうして、私まで強制遮断されて戻ってきてしまったのかしら? これは、故意だとしたら重大な過失だと思うのですけれど」


彼女の脇に、黒服のSPが二人ついて、腰に手を回して圭介を見る。


「施術は中止だ。予期しない出来事は、この仕事にはよくあることだろう?」


飄々と返した圭介に、ソフィーはバンッ! と壁を平手で叩いて怒鳴った。


「私一人でも治療できました! ドクターだって仰っていたではないですか、これは『競争』だと。なら何故、そちらのマインドスイーパーがミスを犯した時点でやめさせられなければいけないのでしょうか!」


「君一人が治療に成功しても、何の意味もないんだよ」


そこでソフィーは、発しかけていた言葉を飲み込んで固まった。


圭介が、ゾッとするような冷たい目で自分を見ていたからだった。


「で……でも……」


言いよどんだ彼女に、圭介はポケットに手を突っ込みながら言った。


「それに、君一人ではこの患者の治療は無理だ」


「何ですって!」


「君の事は、よく知ってる。調べさせてもらったからな。この患者は、特異D帯Cタイプだ。その意味が分かるな?」


「え……」


一瞬ポカンとして、次いでソフィーは青くなった。


「Cタイプ……?」


「聞いていた『情報』と違ったかな?」


圭介がせせら笑う。


「……人でなし!」


そう叫んで掴みかかろうとしたソフィーを、SPの二人が押さえつけて止めた。


「この件は正式に元老院に抗議させていただきます。ドクター高畑。あなたはマインドスイーパーを何だと思っているのですか?」


歯を噛みながらそう言ったソフィーを、意外そうな顔で圭介は見た。


「ん? 天才なら、とっくに気づいていると思ったがな」


「茶化さないで! Cタイプの患者に、よくも私を一人でダイブさせたわね!」


「君達マインドスイーパーは道具だ。それ以上でもそれ以下でもない」


圭介はそう、冷たく断言すると、押さえつけられているソフィーの前に行って、ポケットに手を突っ込んだまま無表情で見下ろした。


「道具は文句は言わない。もし言ったとしても、それは道具の戯言であって、ただのノイズだ。道具はただ、俺の思うとおりに動いていればいい」


圭介はせせら笑いながら、鉄のような目でソフィーを見た。


「図に乗るなよ。小娘」


「この……!」


「次のダイブは三時間後だ。精々『情報』を整理しておくんだな」


髪を逆立てんばかりに逆上しているソフィーを尻目に、圭介は施術室を出て行った。



「薬で眠らせてある。大丈夫だ。精神世界と現実世界の区別がつかなくなって混乱していただけだ」


大河内が、赤十字の病室でそう言う。


汀は、ベッドに横になってすぅすぅと寝息を立てていた。


寝る前によほど錯乱したのか、ベッドの上は乱れきっている。


それを丁寧に直しながら、理緒は涙をポタポタと垂らした。


「ごめんなさい……ごめんなさい……私が、もっとちゃんと出来てれば……」


圭介は一瞬それを冷めた目で見たが、手を伸ばし、理緒の頭を撫でた。


「気にするな。俺も確実なナビが出来なかった。君一人の責任じゃない」


「高畑先生……私、やっぱり……」


そこで言いよどみ、しかし理緒はおどおどしながら続けた。


「私、大人の人の心の中にダイブするの、向いてないんじゃないでしょうか……今回だって、汀ちゃんの足手まといにしかならなかったです」


圭介と大河内が、一瞬顔を見合わせた。


そして圭介は軽く微笑んでから言った。


「そんなことはない。君がいなければ、汀を制御することは今よりもっと難しくなってる」


「……本当ですか……?」


「ああ、本当だ」


圭介はそう言って、理緒の手を握った。


「汀を頼む。この子には、ストッパーが必要だ。君のような」


「すみません……ありがとうございます……」


また涙を落とし、手で顔を覆った理緒を椅子に座らせ、大河内は圭介のことを、カーテンの向こうの隅に引っ張っていった。


そして強い口調で囁く。


「……まさか、ダイブを続行させるつもりじゃないだろうな?」


「察しがいいな。当然だろ?」


「二人とも、ダイブが出来る精神状態じゃない。ソフィーも協力する気が皆無だ。このプランは見合わせた方がいい」


「そうでもないさ」


「何を根拠に……」


大河内は、そこで入り口に立ってこちらを睨んでいるソフィーに目を留めた。


SP二人は、病室の入り口に立っている。


「……少し、話をさせて欲しいわ」


ソフィーはそう言うと、理緒を指差した。


「ドクター大河内、ドクター高畑、席を外してくださる?」


「え? 私ですか……?」


きょとんとして理緒がそう言う。


ソフィーは不本意そうに鼻を鳴らし、言った。


「他に誰がいるのよ」



圭介と大河内が病室を出て行き、ソフィーは椅子の上に無作法に胡坐をかいて、汀を睨んでいた。


「あ……あの……」


理緒が言いにくそうに口を開く。


「お話っていうのは……」


「とても不本意だけど、あなた達に協力を要請したいわ」


理緒はきょとんとして、彼女に返した。


「協力……? でも、私達とは競争したいって……」


「事情が変わったのよ。協力、するの? しないの? はっきりして」


ヒステリックに声を上げるソフィーを手で落ち着かせ、理緒は続けた。


「私としては、あなたのような優秀なスイーパーさんとご一緒できるのは嬉しいですけれど、汀ちゃんが何と言いますか……」


「こんなかたわ、何の役にも立たないじゃない。特A級なんて、聞いて呆れるわ」


彼女を蔑むようにそう言ったソフィーに、理緒は深くため息をついた。


「……めっ」


そう言って、彼女の鼻に、人差し指をつん、と当てる。


何をされたのか分からなかったのか、ポカンとして停止したソフィーに、理緒は言った。


「人を、『かたわ』なんて言ってはいけません。人を、馬鹿にしてはいけません。いつか自分にそれが返ってきますよ」


「こっ……子供扱いしないでよ!」


真っ赤になってソフィーが怒鳴る。


人差し指をそのまま自分の口元に持っていき、静かにするように示してから、理緒は汀の頭を撫でた。

小白が、汀の枕元で丸くなって眠っている。


「他人は、自分を映す鏡だって、私は小さい頃、私の『先生』に教わりました。怒っていれば怒るし、悲しんでいれば一緒に悲しんでくれます。それが、他人なんです。ですから、ソフィーさんは、もっと私たちに優しくしても、大丈夫なんですよ?」


「…………」


「それが、ソフィーさんのためになるのですから」


「……脅し?」


小さい声でそう聞いたソフィーに、慌てて理緒は言った。


「そ、そんなことはないです。そう受け取ってしまったのなら謝ります。私はただ……」


「まぁ、私を貶めようとしているわけではないことだけは評価してあげるわ」


腕組みをして、ソフィーは、この話は終わりだと言わんばかりに指を一本、顔の前で立てた。


「私達がダイブさせられようとしている人間は、D帯のCタイプ型自殺病発症患者よ」


「D帯? Cタイプ?」


「あなた、本当に何も知らないのね。そんなでよくA級スイーパーの資格を取れたものね。驚いて声も出ないわ」


「汀ちゃんも、この前気になることを言っていましたけれど……自壊型と防衛型とか……」


「ああ、日本ではそう言うのね」


ソフィーは頷いて、手を開いた。


「いい? 馬鹿なあなたに教えてあげる。自殺病は、大別して五つの分類に分けられるわ。一つは、通常、緩やかに進行していくAタイプ。緩慢型と言うわ」


指を一本折って、ソフィーは続けた。


「二つ目は、あなたがさっき言った自壊型。これは緩慢型が悪化したケースね。これにかかった患者は、精神分裂を起こし、結局は自殺するケースが最も多いわ。Dタイプよ。防衛型は心理的防衛壁が大きいタイプ。これがBタイプ」


すらすらと医者のようにそう言って、ソフィーはまた二本指を折った。


「そして、防衛型の反対、攻撃型。攻撃性が異常に強い患者の精神内壁のことを指すわ。これがEタイプ」

「そ……そうなんですか……」


「そしてCタイプ……まぁ、その中でもいろいろ種類があるんだけど、説明しても分からないと思うから、しない。とにかく、Cタイプは『変異型』という特殊な型が分類されてるの。その中でも、D帯Cタイプというのは、日本語で言えば『特化特異系トラップ優位性変異型』と言えるわ」


「どういうことですか?」


首を傾げた理緒に、髪をかきあげながらソフィーは続けた。


「簡単に言えば、マインドスイーパーに対する精神的トラップを、訓練によって心の中に多数植えつけた人間のこと。私達が最初に入った部屋とか、次に入った空間、異様に面倒くさい手順だったでしょ? 防衛型の特徴も出てるけど、ああいうのは、時間稼ぎをして私たちのタイムアップを狙ってくる、完全な意図的トラップなの」


「じゃあ、今回の患者さんって……」


「ええ。マインドスイープに深く関わっている人間で間違いないと思うわ。それだけに、危険性が急上昇するのよ」


「私達に対する対策を、知っているわけですからね……そういえば、中で私達の名前が呼ばれたような……」


「知ってるからよ。私達のことを。アミハラナギサって言うのは、気になるけど」


ソフィーは鼻を鳴らして、忌々しげに言った。


「それでも、私なら一人で出来ると思ってたけど、この患者、D帯ということは攻撃性も持ってるの。通常、D帯とCタイプが合わさった場合、専門のスイーパーでチームを組んで、十人単位のグループでダイブするわ」


「え……?」


思わず聞き返した理緒に、ソフィーは頷いた。


「私達、ハメられたのよ。あの高畑とかいう医者に。ドクター大河内も信用は出来ないわ」


「そんな……お二人とも、良い方々です」


狼狽しながらそう言った理緒を馬鹿にするように見下し、ソフィーは吐き捨てた。


「信じるのは勝手だけど、夢を見るのは結果を見てからにした方がいいと思うわ」


「お二人が私達を騙すなんてこと、ありません。ソフィーさんの思い違いです」


断固としてそう言う理緒を呆れたように見て、ソフィーは肩をすくめた。


「そう思いたいんなら、それでいいわ。時間がないから、話を進めるわよ。で、今回は、最低でも五種類の役割が必要になるの」


「五種類……?」


「まずは、トラウマ等の攻撃から、私達スイーパーの身を守る、アタッカーとディフェンサー。一番力のある、つまり脳細胞の働きが活発なスイーパーが役割に当てられることが多いわ」


眠っている汀を見て、ソフィーは続けた。


「この子みたいなね。言ってしまえば、一番重要な役割よ」


「他には……?」


「次は、トラップを解除する役割のリムーバー。この場合、私ね。そして治療を行う、キーパーソンが一人絶対に必要。この場合はあなた」


理緒を手で指して、ソフィーは続けた。


「最後はキーパーソンを守る、ファランクス(盾)が必要。それで、最低五人。通常は二人ずつ各ポジションに配置して、一つのチームとして運営するの。『危険地帯』へのダイブの場合はね」


「二人も足りませんけれど……」


「足りないのは七人よ。二チーム使うこともあるから、そう考えると二十七人の手数が足りないわ。圧倒的に、これは『私』をハメるためとしか思えないわ」


歯噛みして、ソフィーは言った。


「……最初に頭に血が昇ったのがまずかったわ。気づけばよかった……」


「…………」


彼女の勢いに圧倒されながら、理緒はおどおどと口を開いた。


「じゃ、じゃあどうすれば……」


「この猫は戦力に入れないとして、この子……高畑汀が、アタッカー、ディフェンサー、ファランクスの三つの役割を兼任するしかないわ」


「そんな……汀ちゃんは一人なんですよ?」


「でも、そのための『特A級』でしょ?」


せせら笑って、ソフィーは続けた。


「私達が仕事を完遂するためには、どうしても『守ってくれる人』が必要になる。だから、こうして馬鹿なあなたに説明をしに来たの」


「汀ちゃんが自分を犠牲にしてでも、私達を守らなきゃいけないって、そう言うんですか? この子は、私のせいで左腕が……」


「どうせ現実世界でも動かないんだから、関係ないじゃない」


「…………」


理緒が眉をひそめる。


「かたわは、かたわのままがお似合いよ」


ソフィーが鼻を鳴らしてそう言う。


そこで、理緒の手が飛んだ。


パンッ、と頬を叩かれ、ソフィーが唖然として目を見開く。


病室の入り口に立っていたSP二人が、急ぎ部屋の中に入ってきて、理緒とソフィーを引き離した。


「何するのよ!」


ソフィーが我に返って大声を上げる。


理緒は目に涙をためながら、押し殺すように言った。


「……協力は、お断りします。人の気持ちが分からない人とは、一緒に仕事はできません」


「何言ってるの? 説明したじゃない! あなた達に、あのパズルが解けるの? トラップを解除できるの? 二人じゃとても無理よ。私の力を使うしかないじゃない!」


色をなしてソフィーが怒鳴る。


しかし理緒は、SPの手を振り払って、ソフィーを睨んだ。


「あなたには出来ないかもしれない。でも、『私達』には出来ます」


理緒はそう言って、病室の入り口を手で指した。


「出て行ってください。汀ちゃんは、次のダイブまでゆっくり休まなきゃいけないんです。あなたも、休んだ方がいいと思います」


「ちょっと待ってよ。何いきなり怒って……」


「出て行ってください」


理緒は堅くなにそう言うと、汀の脇に腰を下ろした。


「手を出したことは謝ります。でも、お互いお仕事の仲間なのですから、これ以上お話しするのはやめましょう? お互いのためにならないと思います……協力は出来ませんが、応援はしています。お互い頑張りましょう」


目を合わせずに理緒がそう言う。


ソフィーはしばらく鼻息荒く彼女を睨んでいたが


「ふんっ!」


と言ってきびすを返した。


SP二人が慌ててその後を追う。


理緒は、ソフィーが出て行った後、彼女を叩いた手の平をぼんやりと見ていた。


「汀ちゃん、私、初めて人のこと叩いちゃった……」


眠っている汀に、理緒はそう呟いた。


「誰でも、叩くと嫌な気分だね……」


彼女の呟きは、空調の音にまぎれ、やがて消えた。



後編に続く。



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