ぽやぽやエブリデイ

ドラクエ10などのWeb世界で、世知辛い世の中を憂い

それでいながら眠気には勝てない毎日を繰り返していきます。

ミソスープの具は豆腐とワカメ!!

特撮やアニメの歌が好きです。スライム状のものは嫌いです。


テーマ:

ふと思い立ったので、三毛猫プロジェクト初期の小説作品も掲載していこうと思います。


初期の頃の作品なので、正直基本的に18禁(エロ、グロ系)が多いです。


どのくらい18禁かといいますと、書いた私自身も読み直しててドン引きするくらいです


それくらいなので、18歳未満の方は、自己責任で心して読むか、または見なかったことにしてください。


個人的には、責任を持てる大人の方向けだと思います


※ちなみに、連載中の「ガラスの瞳のクラルス 」は全年齢対象版です。



何で今回過去作を掘り返そうと思ったのかといいますと。


弟と共同で書いていたのですが、私が書いた話の著作権が私に移ったのが第一の理由です。


※話し合いにより。


好きにできるようになったので、原稿をWeb上のどこかに保存しておこうと思ったわけです、まる。


お仕事中のサボりのおともにでも読んでやってください。



過去作第一弾は、「マインドスイーパー」というお話です。


全26話の予定ですが、今読み直してみたら20話までしか書いてなかったというね。


あと6話どこにいった?


まぁ、クラルスもそうですがおいおい時間ができたらまとめて書きます。


少なくともこれから始めるお話は、20話まではありますので、少しの期間はお楽しみいただけます


一話原稿用紙60枚ほどなのですが、一記事には収まらないので、基本前編後編に分けます。



また、しつこいくらいに書きますが、18禁です。


放送禁止用語や、放送禁止要素がふんだんに盛り込まれています。


これは冗談ではなく、本当のことです。


回が進むに連れてどんどん厳しくなっていきます。


なので、そういうものに耐性がない方や……。


未成年の方、そして微妙な気分になりたくない方にはオススメしません。


(これくらい注意書きしておけば十分だろう……)


私は止めましたからね。


閲覧は自己責任で!



ご感想やイラストなどは随時募集しています。


それではどうぞ!


前編後編のダブル更新でいきます!


バックナンバーは「こちら 」から!!



マインドスイーパー


……精神掃除士(患者の精神疾患を主とした自殺病治療の特殊能力を持つ医師の総称)




1.劣等感の階段 前編



巨大な「目」の下に、彼女は立っていた。


目を取り囲むのは、無数の目。


蠢く肉質な壁、壁、ピンク色のそれは建物や地面を覆っている。


ぶよぶよした浮腫のようなものがまとわりついているのだ。


そして、そこに埋め込まれているのは眼球。


血走った目がぎょろぎょろ動き、彼女のことを数千、数万も凝視している。


空は黒い。


どこまでも黒い。


その真上に、空全体を覆い隠すほどの眼球が、まるで太陽のように浮き上がり、あたりを照らしていた。


常軌を逸した空間。


普通でははかりえないような、そんな空間に、彼女は平然と立っていた。


年の頃は十三、四ほどだろうか。


長い白髪を、背中の中心辺りで三つ編みにしている。


可愛らしい顔立ちをしているが、その表情は無機的で、何を考えているのか分からないところがあった。


彼女は、眼前にぽっかりと空いた「穴」の前に進んだ。


穴は、肉の床が崩れ、内部に人間の体内に似たものが見える。


丁度食道を内視鏡で見るかのような感覚だ。


奥は曲がりくねって深く、よく分からない。


彼女は耳元に手をやった。


右耳の部分に、イヤホンつきの小型マイクがはまっている。


そのスイッチを動かして、彼女は口を開いた。


「ついたよ。この人の煉獄の入り口」


『OK、それじゃ、攻撃に遭う前にそこに入って、記憶を修正してくれ』


マイクの向こう側から、まだうら若い青年の声が聞こえる。


「…………」


『おい、汀(みぎわ)、聞いてるのか?』


「…………」


返事をせずに、彼女は周りを見回した。


いつの間にか、地面の肉質にも眼球が競り出して、プツリ、と所々で音を立てながら、奇妙な汁を撒き散らしていた。


それら全てに凝視されながら、汀と呼ばれた少女は、自嘲気味に、困ったように頭を掻いた。


「見つかっちゃった」


子供がかくれんぼで鬼に見つかった時のように軽い言葉だったが、マイクの向こうの声は一瞬絶句した後、キンキンと響く声を張り上げた。


『すぐ戻れ! この患者はレベル4だぞ。入り口まで出てこれるか?』


「見つかっちゃったの。逃げられないの」


ゆっくりと、言い聞かすようにそう言って彼女はウフフと笑った。


その目は、声に反して笑っていなかった。


足元の眼球をブチュリと踏み潰し、彼女は両手を開いて大声を上げた。


「鬼さんこちら! 手の鳴る方へ!」


パンパンと手を叩く。


『こら、何してるんだ! おい、汀!』


「鬼さんこちら!」


ぶちゅり。眼球を踏み潰す。


「手の鳴る方へ!」


裸足のかかとが、肉壁にめり込む。


パンパン。また手を叩く。


瞬間、その「空間」自体がざわついた。


ぎょろりと空に浮かぶ眼球が、こちらを向く。


間を置かずに、汀を囲む壁から、眼球がまるで銃弾の雨あられのように吹き飛んできた。


汀は軽い身のこなしで、まるで曲芸師のようにくるりと後転してそれを避けた。


彼女が着ているものは病院服だ。


右から眼球が飛んできて、左の壁に当たって爆ぜる。


嫌な汁と血液のようなものが飛び散る。


まるでプチトマトを投げ合っているかのようだ。


汀を狙って、地面や壁から、次々と眼球が飛び出してきた。


くるくると少女は回る。


片手で地面を掴んで体を横に大きく回し、目の群れを避ける。


『遊ぶな!』


怒号が聞こえる。


今までぼんやりしていた表情は、まるで別人のように生き生きと輝いていた。


しかし、次の瞬間、眼球が一つ汀の脇腹に食い込んだ。


不気味な音を立てて爆ぜ、彼女の顔に、パタタタッと音を立てて汁が飛び散る。


衝撃で汀はもんどりうって肉床を転がり、したたかに後頭部を壁にぶつけた。


「あうっ!」


小さな声で叫び声を上げる。


右脇腹で爆ぜた眼球は、ベットリとガムのように病院服に張り付き、次いでアメーバを思わせる動きで、ざわついた。


それが爪を立てた子供の手の形になり、汀の服をむしりとろうとする。


彼女は、口の端からよだれをたらしながら、しかし楽しそうにそれを払いのけ、また飛んできた眼球をくるりと避けた。


『お願いだからやめてくれ、汀。患者のトラウマを広げたいのか!』


「分かってる。分かってるよ」


『分かってないから言ってるんだ。汀、早く中枢を』


そこで汀はイヤホンのスイッチを切った。


そして彼女は、ゴロゴロと地面を転がる。


彼女を追って、眼球たちが宙を舞う。


それを綺麗に避け、汀は、地面にぽっかりと開いた穴の中に飛び込んだ。


一瞬視界がホワイトアウトした。



次いで彼女は、狭い、四畳半ほどの真っ白い、正方形の部屋に立っていた。


何もない部屋だった。


天井に蛍光灯が一本だけついていて、バチバチと異様な音を発している。


薄暗い空間の、汀の前には肌色のマネキンのようなものがあった。


それは体を丸め、体育座りの要領で頭を膝にうずめていた。


大きさは一般的な成人男性程だろうか。


どこにも継ぎ目がない、つるつるな表面をしている。


頭髪はない。


耳も見当たらない。


汀は無造作にその前に進み出ると、腰を屈めて、頭を小さな手で掴んだ。


そして顔を自分の方に向ける。


耳も、口も鼻もない。


ただ、一つだけ眼球がその顔の真ん中にあった。


眼球は虚空を注視していて、汀を見ようとしなかった。


汀は興味を失ったように頭を離した。


マネキンは緩慢に動くと、また頭を膝の間にうずめた。


「そんなに目が気になる?」


汀は静かに聞いた。


「あなたは、そんなに他人の目が気になるの?」


マネキンはゆっくりと頷いた。


何の音もない空間に、汀の声だけが響く。


「馬鹿ね」


汀はにっこりと笑った。


そしてマネキンの前にしゃがみこんだ。


「だから死にたいの?」


マネキンはまたゆっくりと頷いた。


「だから逃げたいの?」


マネキンはまた頷いた。


汀はまた微笑むと、その頭を両手で包むように持った。


そして眼球に、両手の親指を押し付ける。


「じゃあ見なきゃいいよ」


マネキンは痛がる素振りもみせず、ただ微動だにせず硬直していた。


「私が、あなたの目を奪ってあげる」


ぶちゅり、と指が眼球を押しつぶした。


そのまま指を、眼窟に押し込み、中身をかき回しながら汀は続けた。


「耳も、鼻も、口も、目も、そして心も閉ざして、逃げればいいよ」


眼窟から、どろどろと血液が流れ出す。


「私がそれを、許してあげる」


マネキンの手が動き、汀の首を掴んだ。


それがじわりじわりと、彼女の細い首を締め付けていく。


汀は、苦しそうに咳をしながら、ひときわ強く眼窟の中に指を突きいれた。


『ウッ』


部屋の中に、男性の苦悶の声が響き渡った。


マネキンの手がだらりと下がり、糸が切れたマリオネットのように、足を広げ、壁にもたれかかる。


汀は拳を振り上げると、眼球がつぶれたマネキンの顔面に、何度も叩きこんだ。


血液が飛び散り、その度にビクンビクンと、魚のようにマネキンが震える。


やがて汀の病院服が、転々と返り血で染まり始めてきた頃、彼女は荒く息をつきながら、動かなくなったマネキンを見下ろした。


ダラダラと、原形をとどめていない顔面から血液が流れ出し、白い床に広がっていく。


そして彼女は耳元のイヤホンのスイッチを入れ、一言、言った。


「治療完了。目を覚ますよ」



「……と言うことで、旦那様は一命を取り留めました」


眼鏡をかけた、中肉中背の青年が、柔和な表情でそう言った。


それを聞いた女性が、一瞬ハッとした後、両手で顔を覆って泣き崩れる。


「主人は……」


少しの間静寂が辺りを包み、彼女はかすれた声で続けた。


「主人は、何を失くしたのですか……?」


「視力です」


何でもないことのように、青年はそう言ってカルテに何事かを書き込んだ。


「視力?」


信じられないといった顔で女性は一旦停止すると、白衣を着た青年に掴みかからんばかりの勢いで大声を上げた。


「目が見えなくなったということですか!」


「はい。しかし一命は取り留めました。自殺病の再発も、もうないでしょう」


「そんな……そんな、あまりにも惨過ぎます……惨すぎます!」


青年は右手の中指で眼鏡の中心をクイッと上げると、またカルテに視線を戻した。


柔和な表情は、貼りついたまま崩れなかった。


「まぁ……後は区役所の社会福祉課にご相談なさってください。こちらが、ご主人が今入院されている病院です。面会も可能です」


「先生!」


女性が机を叩いて声を張り上げた。


「主人の目が見えなくなって、一体これからどうやって生活していけというんですか! 私達に、これから一体どうしろと……」


「ですから、それから先は私達の仕事の範疇外ということで。誓約書にありましたでしょう。命のみは保障いたしますと」


「それは……」


「脳性麻痺の疑いもありませんし、植物状態になったわけでもありません。ただ、『目が見えなくなった』だけで済んだという『事実』を、私は貴女にお伝えしたまでです」


「…………」


「それでは、指定の口座に、期日までに施術費用をお支払いください。本日はご足労頂き、ありがとうございました」


話は終わりと言わんばかりに、青年は軽く頭を下げた。


散々喚き散らした女性を軽くあしらい、診断室を追い出した青年は、息をついてカルテをベッドの上に放り投げた。


八畳ほどの白い部屋だった。


見た目は普通の、内科の診断室に見える。


彼は、看護士もいない部屋の中を見回し、立ち上がってドアを開け、診察を受けにきた患者もいないことを確認すると、大きく伸びをした。


そして、診断室の脇にあるドアを開ける。


中はやはり八畳ほどのスペースになっており、ディズニー系統のカーペットや壁紙など、年頃の女の子のコーディネートがなされていた。


部屋の隅には車椅子が置かれ、端の方にパラマウントベッドが設置されている。


上体を浮かせた感じで、そこに十三、四ほどの少女が目を閉じていた。


テディベアの人形を抱いている。


腕には何本も点滴のチューブが刺されている。


青年はしばらく少女の寝顔を見つめると、白衣のポケットに手を入れて、部屋を出ようと彼女に背を向けた。


「起きてるよ」


そこで少女が、目を開いて声を発した。


青年は振り返ると、一つため息をついて口を開いた。


「汀、もう寝る時間だろ」


「隣が煩かったから」


「悪かったよ。もう寝ろ」


「怒らないの?」


問いかけられ、青年――高畑圭介は、少し考え込んでから言った。


「お前は立派に命を救っただろ。怒るつもりはないよ」


「そうなの。なら、いいの」


テディベアを抱いて、汀がにっこりと笑う。


そこには快活そうな表情はなく、げっそりとやせこけた、骨と皮だけの少女がいるばかりだった。


汀は、上手く体を動かすことができない。


下半身不随なのだ。


左腕も動かない。


圭介が、彼女の生活のサポート、つまり介護を行っている。


他にもいくつかの病気を併発している汀は、一日の殆どを横になってすごす。


それゆえに、部屋の中にはテレビやゲーム機、漫画や本などが乱雑に置かれて、積み上げられていた。


「今度は何を買ってくれるの?」


汀がそう聞くと、圭介は軽く微笑んでから言った。


「3DSで欲しいって言ってたゲームがあるだろ。あれ買ってきてやるよ」


「本当? 嬉しい」


やつれた顔で汀は笑った。


それを見て、圭介はしばらく考えた後、発しかけた言葉を無理やりに飲み込んだ。


「…………」


「疲れたから、もう寝るね」


汀がそう言う。


彼は頷いて、ベッドの脇にしゃがみこむと、汀の手を握った。


「薬は飲んだか?」


「うん」


「無理して起きなくてもいいからな。目を覚ましたらブザーを鳴らせ」


「分かった」


汀の頭を撫でて、圭介は立ち上がった。


そしてゆっくりと部屋を後にする。


背後から少女の寝息が聞こえてきた。



その「患者」が現れたのは、それから三日後の午前中のことだった。


夏の暑い中だというのに長袖を着た、女子高生と思われる女の子と、その母親だった。


圭介は、座ったまま何も話そうとしない女の子と、青ざめた顔をしている母親を交互に見ると、部屋の隅の冷蔵庫から麦茶を取り出して、紙コップに注いだ。


そして二人の前に置く。


「どうぞ。外は暑かったでしょう?」


女の子に反応はない。


何より彼女の両手首には、縄が巻きつけられ、がっちりと手錠のように動きを拘束していた。


女の子の目に生気はなく、うつろな視線を宙に漂わせている。


圭介はしばらく少女の事を見ると、彼女の頬を包み込むように持って、そして目の下を指で押した。


反応はない。


「娘は……」


母親は麦茶には見向きもせずに、青白い顔で圭介にすがりつくように口を開いた。


「先生、娘は治るんでしょうか?」


「自殺病の第五段階まで進んでいますね。きわめて難しいと思います」


柔和な表情を崩さずに、彼はなんでもないことのようにサラリと言った。


母親は絶句すると、口元に手を当てて、そして大粒の涙をこぼし始めた。


「赤十字の病院でも……同じ診断をされました。もう末期だとか……」


「はい。末期症状ですね。言葉を話さなくなってからどれくらい経ちますか?」


「四日経ちます……」


「絶望的ですね」


簡単にそう言って、圭介はカルテに何事かを書き込んだ。


「ぜ……絶望的なんですか!」


母親が悲鳴のような声をあげる。


「はい」


彼は頷いて、カルテに文字を書き込みながら続けた。


「隠しても何もあなた方のためになりませんので、私は包み隠さず言うことにしているんです。自殺病は、発症してから自我がなくなるまで、およそ二日間と言われています。第四段階での場合です。今回のケースは、その制限を大きく逸脱しています」


彼は立ち上がってFAXの方に行くと、送られてきた資料を手に取った。


それをめくりながら言う。


「担当は赤十字病院の大河内先生からの紹介ですね。知っています。どうして入院させなかったんですか?」


「そ、それは……娘が入院だけは嫌だと言い張って……」


「その結果命を落とすことになる自殺病の患者は、全国で一日に平均十五人と言われています」


柔和な表情のまま圭介は続けた。


「日本に自殺病が蔓延するようになって、もう十年ほど経ちますが、一向にその数は減らない。むしろ増え続けています。そして、娘さんもその一人になりかかっています」


資料をデスクの上に放って、彼は椅子に腰掛けた。


「どうなさいますか?」


穏やかに問いかけられ、母親は血相を変えて叫んだ。


「どうって……ここは病院でしょう? 娘を助けてください!」


「それは、どのような意味合いで?」


淡々と返され、母親は勢いをそがれ一瞬静止した。


「意味合い……?」


「娘さんを元通りに戻すのは、無理です。自殺病第五段階四日目の生存確率は、およそ十パーセントほどと言われています。生かすことも困難な状況で、はいできましたと、魔術師のように娘さんを戻すことは不可能です」


「それじゃ……」


「しかし」


一旦そこで言葉を切って、圭介は眼鏡を中指でクイッと上げた。


「私どもは、その十パーセントを百パーセントにすることだけは可能です」


「どういう……ことですか?」


「命のみは保障しましょう。命のみは」


二回、含みを加えて言うと、圭介は微笑んだ。


「その代わり、娘さんは最も大切なものをなくします」


「仰られている意味が……」


「言ったとおりのことです。植物状態になるかもしれませんし、歩けなくなるかもしれない。しゃべれなくなるかもしれないし、記憶がなくなって、貴女のことも思い出せなくなるかもしれない。具体的にどうとはいえませんが」


「……そんな……どうしてですか?」


「娘さんの心の中にあるトラウマを、物理的な介入によって消し去ります。その副作用です」


端的にそう答え、圭介はデスクから束のような書類を取り出した。


「それでは、今から契約についてご説明します」


「契約?」


「はい。ここで見聞きしたことについては他言無用でお願いします。その他、法律関係のいくつか結ばなければいけない契約があります」


「…………」


「それと」


母親に微笑みかけて、圭介は言った。


「当施術は、保険の対象外ですので、その点もご承諾いただきたいのですよ」



「急患だ。即ダイブが必要だ」


車椅子を押しながら、圭介が言う。


そこにちょこんと乗せられた汀は、手元の3DSのゲームを凝視しながら口を開いた。


「今日はやだ」


「ゲームは後にしろ。マインドスイーパー(精神清掃士)の資格があるんなら、ちゃんと仕事をしろ」


「でも……」


「でももにべもない。ゲームは後だ」


そのやり取りをしながら、彼らは施術室と書かれた部屋の前に止まった。


母親が、真っ赤に目を泣き腫らしながら、立ち尽くしている。


彼女は車椅子の上で3DSを握り締めている小さな女の子を見ると、怪訝そうに圭介に聞いた。


「この子は……」


「当医院のマインドスイーパーです」


施術室の扉を開けながら、圭介は言った。


母親は絶句した後、圭介に掴みかかった。


「何をするんですか」


それを軽くいなした圭介に、彼女は金切り声を上げた。


「娘の命がかかっているんですよ! それを……それをこんな……こんな小娘に!」


汀が肩をすぼめ小さくなる。


怯えた様子の彼女を見て、圭介は白衣を直しながら、淡々と言った。


「……お母様は、待合室の方で待たれてください。マインドスイープはとても繊細な動作を要求します。この子を刺激しないでください」


「からかわないで! こんな子供に何が出来るって言うんですか!」


「…………」


「娘を殺したら、あなたを殺して私も死んでやる! ヤブ医者!」


「待合室の方に」


圭介はそう言って待合室を手で指した。


彼を押しのけ、母親は施術室に入ろうとした。


「私も同席するわ。娘を妙な実験の実験台に……」


「入るな」


そこで、圭介が小さな声で呟いた。


「何を……」


「二度同じことを言わさないでください。貴女が邪魔だと言っているんです」


ネクタイを直し、彼はメガネを中指でクイッと上げた。


「刻一刻と、娘さんの命は削られていきます。今この時にも、自殺を図る可能性が高い。あなたは、私達の施術を邪魔して、娘さんを殺したいのですか?」


「…………」


目を剥いた母親を、無理やりに押しのけ、圭介は汀の乗った車椅子を施術室に押し入れた。


「その場合、殺人罪が適用されますので」


柔和な表情を崩さずに、彼は施術室のドアをゆっくりと閉めた。


「待合室で、お待ちください」


ガチャン、と重い音を立ててドアが閉まった。



後編に続く



バックナンバーは「こちら 」から!!



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