土筆田の抜けた穴は大きかった…
ストックルームは足の踏み場もない。
冬物の返品と春物の入荷で、ストックがごった返す時期ではあるのだが、土筆田がいれば、ここまでの状態にはならなかったであろう…

と、考えていても仕方ないので、作業、作業。
今日は、店長まで解荷、梱包作業をしている…
いそがしいっていいな!怒られてるひまもないもんね。

ダメ母は、袋詰や梱包作業が好きです。
忙しく手を動かして、頭の中は自由になれるもん。
……そして、シンデレラのことを考えたりするの…
シンデレラ。シンデレラは、継母にきつい家内労働を強いられたから、あのように美しく、かしこく、魔法使いのおばあさんや小さな動物たちも味方したくなるような女性に育ったのではないだろうか…
おかあさんもおとうさんも生きていて、何不自由なく甘やかされて育ったら、いがいと継姉のような娘になってたかもしれないなあ…
う~ん。毎日の労働がひとを作るね。
年末に観た筋肉番組でも、ジムで鍛えてる人より、10トントラックを運転して毎日スコップ1本で産業廃棄物の山に立ち向かっているという人の方が、成績良かったもんなー。

それから、昨日のことに思いを馳せる…
昨日ダメ母は、総合学習発表会に来てなかったおかあさんにランチに誘われたのである。フラワーアレンジメントの展覧会の準備で来られなかったのだそうだ。子供から、あんまり参観者は来てなかったが玉田りんごちゃんのおかあさんは来ていたと聞いたので、様子を聞きたくて…ということだった。
ひとしきり学校やクラスのことを話した後、よもやま話に移った…
みみ子(わたしの名。娘の友達の香田さんと同名です)専業主婦のみなさんの多芸ぶりに改めて感服。ライブドアとフジテレビの問題もわかりやすく解説しもらったし…なんと、株もやってるんだそうです!ライブドアのが下がってて心配なんだそう…
「玉田さんも30万ほどヘソクリ作ってやってごらんよ。おもしろいよ!その方面の本も読むようになるし、そうすると経済問題もよくわかるようになるよ」
その30万ほどが作れないのが、ダメ母たるゆえんなのだが…
それから、女子小学生をめぐる昨今の事件に話題は移る。
「もう~。大人になってない男がさー多くって。そんな小学生なんか相手にしなくっても、、おばちゃんが相手したげるのにって言ったら、だんなが、いーえ、若いのがいーですって。ファッ、ファッ、ファッ」
ここは、笑っていいところなのかどうか迷ったのであるが…
みみ子、これは一理あると考える。
女子児童相手に犯罪を犯した者達は、
「小学生ならゆうことを聞くと思って」とか
「自分と会ってくれる女の子がほしかった」
とか供述している。あなたに会いたい、あなたとお話したい、とだれからも思われない男に育ってしまったのである。現代の日本ではなんでも金で買えると錯覚しがちであるが、能力は金では買えないのである。
愛される能力ねぇ…人間愛…どうやったら育てられるであろう…
みみ子の脳裏に、光輝くおばちゃん現る!(みみ子もおばちゃんです)
おばちゃんが世の男どもに親切に接してやれば良いのである!そうして人間愛の感覚を育ててやるのだ!(注:不倫を推奨してるわけではありません。あくまで人間愛でお願いします…)
若いおねえちゃんがやれば、誤解を生んで面倒な状況を作ってしまいかねないが、おばちゃんならきっとできる!
日本から性犯罪を撲滅するため、人間愛にあふれた日本男児を育てるため、おばちゃんの小さな親切愛運動…がんばろう!

あら…もう、こんな時間。
土筆田さんの送別会に行けないことを伝えておかなくちゃ。今日はオッスィが休みなので、チャックン―男、22歳、主婦パートは怒鳴って躾けるよう上司から教育されている―に託けよう。(早くも小さな親切愛運動実践の機会!)

「…。じゃ、子供つれて来いよ…」
「……」
わたしはダメ母であるが、耳ダンボな小5女子を職場の飲み会に連れて行くという無謀なことはしない。
「土筆田さんによろしく」
「…まかしとけ」
……
まかしとけ、も、土筆田がよく使ったせりふである…
みみ子、ここでもう一度、土筆田が次の職場で幸福になることを祈る…

退社時刻。きょうはぜんぜん疲れていない!
手は動かしていたが、頭ん中自由にぼーっとしてられたもんなー。

土筆田がいるときは、こんなことはできないのである。
ちょっとボーッとしていたら、すぐにとんできて罵声や指示を浴びせるのである故。

土筆田の抜けた穴は大きい。