人工物による乳房再建(4) | Life can be beautiful. (みかこクリニック院長 高木美香子のブログ)

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4 二次再建について

『二次再建』とは、初回の手術で乳腺の切除(乳癌自体の手術)のみが行われ、いったん癌治療が落ち着いた後に初めて乳房再建を目的とした手術を行うことを言います。初回の手術と同時に再建に着手できないことがあるのですが、その理由は一概には言えず、受診した病院の事情やその他の様々な要因が挙げられます。

初回手術から再建に着手することを希望していながら、何らかの事情で「二次再建」となり、初回手術でのエキスパンダー挿入まで至らなかった患者さんの中には、エキスパンダーを入れるために手術回数が1回増えてしまうことを非常に残念がられる方もおられます。確かに、手術回数が増えることは、肉体的にも経済的にも負担が大きいものです。しかし、悪い事ばかりでもありません。二次再建にももちろん良いところがあるのです。

二次再建の最大のメリットは、皮弁壊死がおこりにくいということです。乳腺切除はすでに終了していますので、乳腺切除の際に起こる可能性のある皮膚の熱損傷は起こりえません。また、一度剥がされて元に戻した皮膚は血流が良くなるという、形成外科用語でいうところの『皮弁のdelay効果』という作用も期待できます。皮弁壊死が起きなければ、それに起因する人工物の露出や引き続いて起こる感染の可能性も非常に低くなります。これらも、二次再建の大きなメリットと言うことができます。

二次再建の中にも、1回の手術でシリコンを挿入して終わる『二次一期再建』と、エキスパンダーを留置して皮膚を伸ばした後、2回目の手術でシリコンに入れ替える『二次二期再建』とがあります。

1回の手術でシリコンを留置して再建手術を終了する『二次一期再建』は、あまり胸の大きくない方が対象となります。あまり胸の大きくない方、というのは非常に抽象的な表現ですが、乳房再建のベテランのある先生が、その適応を決める計算式を提唱されています。現在はそれを参考に適応を決めていますが、実際問題として「どの程度の大きさの胸まで安全に1回でシリコンを留置できるか」という判断は、これから手術経験を重ねることでまた変わっていく進化途上のものだと考えています。