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2005-06-21 16:15:25

南の島の星降りて-21

テーマ:「南の島の星降りて」

静かな稲村ガ崎


結局 チケットは取れたけどバイトが休めなかったので沖縄行きは取りやめになった。もちろん夏樹は田舎に帰っていった。

久々の海岸はにぎやかだった。
大場だけはなぜか静かで、ちょっと不思議だった。
「なんか、俺に文句ありそうな顔してない?大場?」
朝から気になってしょうがなかったので思い切って聞いてみた。
「俺か・・・俺さ、なんかさ、柏倉の事さ、わかんなくて・・」
顔を海に向けてしゃべっていた。
「なにがよ」
「夏樹さ、いま、沖縄帰ってるジャン。知ってるでしょ?柏倉は・・」
なーんか暗かった。
「あぁ、知ってるけど」
長くなりそうだったので、岩場に座りこんだ。

「俺、夏樹が帰る前の日にさ、俺も一緒に行っちゃおうかなーって言ったのよ、あの子に。そしたらさ、柏倉のこと誘ったんだけど、なんか、行けなくなっちゃったんだよね。とか言うわけさ、夏樹がよ。 なんか先週いろいろ、あったんでしょ・・・夏樹も隼人さんも麗華さんも、柏倉も・・。」  
陽に焼けた顔で大場はゆっくりしゃべっていた。
「でさ、そりゃあさ、夏樹からいろいろ聞いたさ、俺も。でもよ、朝からお前と顔合わしてるのによ、柏倉なーにも話してくれないじゃん。それがさー
なんか、俺てきには気に入らないわけよ。わかる?そりゃ俺がさ、夏樹のことを好きなのお前が知ってるから言いづらいのわかるけどよ」

真剣な話をしてるのに悪いと思ったけど、ちょっと笑いそうで困っていた。
「あのさ 俺と夏樹はなんもないぞ」
真剣な顔をしないといけないと思った。

「うーん。なんも、ないからイヤなんだわ、きっと俺。夏樹が、俺より柏倉を好きでさ、そいでお前も夏樹が好きでさ、付き合いだした・・ってのは気が楽なんだよなー。でも、ほれ、お前さ、彼女いるから全然夏樹と付き合うきないでしょ?そんな奴に、夏樹が惚れてると思うと・・なんかこう胸が痛いのよ、俺」
いい奴だなーって思っていた。

「大場、怒るかも知れないけど、言うわ。彼女いなかったら俺、夏樹好きだわ。いい子だもん。でもなそれはどうしようもないことなんだわ。でさ、夏樹が惚れてるかもしれない俺はね、直美って女の子と付き合ってる俺よ。それが事実よ。直美と付き合っていない俺は、お前らの前にいなのよ。お前が今、見てる俺は直美って彼女がいる柏倉だよ。だから 俺は夏樹とは付き合わない」
大場はも俺もゆっくり息をしていた。
「柏倉らしいわ・・」
波は静かに岩場に寄せていた。それが心の慰めになるようには思えなかった。

「帰ってくるかなぁ 夏樹・・」
「あれ、月曜日に帰って来るって、言ってたぞ・・お土産持ってくるって言ってたよ。大場も夕方おれん家くる?」
「あーその無神経さが・・ムカツクわ。でも行くわ。俺」
ちょっと二人で笑っていた。
稲村ガ崎の波も静かに笑っているようだった。


あとから聞いたんだけど、「帰ってくるかなー夏樹・・」って大場が言った時に、俺が「そうだなー帰ってくるかなー」って言うのが良かったらしかった。よくわからなかったけど、酔っ払った時に大声で俺に怒っていた。
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2005-06-20 21:03:42

南の島の星降りて-20

テーマ:「南の島の星降りて」

豪徳寺の鐘は鳴る


「ビールちょっとくれ」
隼人さんが俺に向かってちょっとぶっきらぼうに言った。
「あ、すいません」
あわてて、缶ビールとコップを差し出すと、隼人さんは缶ビールに口をつけてそのまま飲みだした。
一息飲み干すとテーブルに缶ビールを置いた。
俺は緊張していた。

「好きなんだ・・」
麗華さんにだった。
俺も夏樹も、もちろん麗華さんもわかっていた。
麗華さんは黙っていた。
全員黙っていた。

麗華さんの口元が動いた。
「さっき、劉とキスした・・」
固まった・・そんな展開になるとは思わなかった。

「昨日まで、夏樹と付き合ってた・・」
隼人さんだった。

俺も夏樹は声も体も動かなかった。目だけがクルクルと舞っていた。
空気は静かに流れていた。

誰もが誰かが口を開くのを待っているかのようだった。
「帰るぞ・・麗華・・」
隼人さんだった。
俺も夏樹も、止まっていた息を一気に吐き出していた。
静かに麗華さんは立ちあがった。
頬を伝う涙を麗華さんは隠さなかった。
いいものを見ていた。
夏樹もいい顔をしていた。

立ち上がった麗華さんを抱えている隼人さんは俺と夏樹に頭を下げた。
俺たちは、立ち上がらずにそれを見ていた。
玄関の扉の閉まる音が響いていた。

「なんか、よかったね・・」
夏樹だった。
「ずっと、麗華さんのこと好きなんだもん・・隼人さん。でも、私も好きだったんだけど・・ま、仕方ないよね・・」
少しの笑顔と遠くをみている顔だった。
「ちょっとショックのちょっとほっとした」
返事をしなかったので夏樹は話を続けていた。
「あんなふうに愛されたかったなー」
ちょっと笑っていた。

「飲むか?」
気の利いたことは言えなかった。
「あ、泡盛飲める?劉?」
そんなものは見たことも飲んだこともなかった。
「とって来るね、昨日、沖縄の家から送ってきたから」
言いながらもう立ち上がっていた。
「平気?夜中に?」
「近くだもん。行ってくるね」
夏樹は酔っているだろうに足元はしっかりしていた。

横になって待つことにした。
ちょっとウトウトしてたら玄関の閉まる音とともに夏樹が戻ってきた。
手にお酒の瓶とお皿を抱えていた。
「なに、それ?」
「お腹すいちゃったから、ゴーヤチャンプル作ってきちゃった。食べられる?ゴーヤ?」
初めて聞く名前で、なにがなんだかわからなかった。でも、見ると炒め物だったので、おいしそうだった。
新しいコップと氷と箸を用意した。
夏樹がその泡盛をコップにそそいでくれた。
「さ、乾杯ね」
口にいれてあわてた。
「わー強い?これ?」
「ちょっとね」
言いながら夏樹はおいしそうに飲んでいた。
「やっぱり泡盛はおいしいわー」
俺にはおいしいというより、めっちゃ強い酒だった。

「ねー沖縄遊びにこない?今週帰るんだけど・・」
突然だった。
「バイトあるから月曜からなら開いてるけど・・飛行機とか取れないでしょ?」
飛行機代っていくらなんだかわからなかった。
「じゃ、取れたら来る?飛行機のチケットこっちで取るから。泊まるのは私の家でいいでしょ?」
家に泊まっても平気なんかなーって考えたけど、酔っていたので、もう、あんまり頭が回っていなかった。

それから、夏樹は泡盛をグイグイ飲みながら、ずっと沖縄の話をしていた。
ゴーヤチャンプルの炒め物は、はじめちょっと苦かったけどおいしかった。
夏樹は俺には良くわからなかったけど、沖縄のおいしい食べ物の話をしていた。

豪徳寺にお寺の鐘がなりだした。
もう朝の5時になっていた。

鐘の音を聞きながら夏樹は家に帰って行った。
「どうせ、劉はキスもしないから、このままいてもここに・・」
笑いながら、そんなセリフを言い残して。
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2005-04-13 14:26:16

南の島の星降りて-19

テーマ:「南の島の星降りて」

夜中の2時に


玄関のドアを開けると予想通りに怒られた。
「遅いわよ。どこまで行ってたのよ」
麗華さんだった。
「夏樹に聞いたら、すぐそこじゃないのよ、酒屋さん」
夏樹がすぐそこに住んでいたのを忘れたいた。
答えると余計めんどくさいことになりそうだったので、ビールとお菓子を二人のテーブルの上に出した。
二人はまだ飲むようだった。
俺は離れてひとりでアイスクリームを食べた。
「あー私も食べたい。アイス・・」
夏樹だった。
「冷凍庫に、いま、いれたからいつでもどうぞ・・バニラもチョコもカキ氷まで買ってきたから・・」
夏樹も麗華さんもうれしそうだった。

1分もしないでマンションのインターフォンが鳴った。
「わーなになに・・」
麗華さんも夏樹も俺もみんなでビックリした。
まだ、鳴っていた。
「ちょっとー出なさいよー早く。劉」
夏樹に言われてあわてて玄関に走った。
まだ、鳴っていた。
「はぃ。」
「劉かー。隼人だけど・・」
いっぺんにねむかった目がさめた。
あわてて玄関を開けるとまさしく隼人さんだった。
「ごめんな、遅くに・・麗華じゃましてないか・・」
言いながら隼人さんは玄関の靴を見ていた。
「あ、あがってください。」
「悪いな。こんな夜中に・・」
玄関に麗華さんが出てきた。隼人さんの声が聞こえたらしかった。
「お、いたか・・・」
静かな声だった。
「隼人。どうしたの・・」
隼人さんは黙っていた。
「あ、とりあえずあがりませんか・・狭いですけど」
促すと、大場から俺のマンションは電話できいたって隼人さんは説明した。
部屋に入ると隼人さんはビックリしていた。
「夏樹もか・・お前ら・・まったく・・」
夏樹もビックリしていた。
「隼人さん・・どうしたんですか・・」
俺は隼人さんと麗華さんと夏樹の顔を交互に見ていた。
「ま、ビールでも・・飲みますか?」
隼人さんに聞くと
「劉、車なんだ・・俺」
こんな時間だからそれしかないか・・って思った。
「さ、帰るぞ・・麗華」
麗華さんの肩を叩いていた。
「今日はここに泊まるのよ。夏樹もいるからいいでしょ・・」
ちょっと怒ったような顔だった。
「話あるんだ。送っていくから」
「話ならここでいいじゃない・・ここじゃ出来ないの」
冷たい言い方だった。
俺も夏樹も黙って聞いていた。でも、俺も夏樹もたぶん何の話だかはわかっていた。バカではなかったから。
麗華さんだって知っているはずだった。
緊張した空気が流れていた
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2005-03-28 18:51:42

南の島の星降りて-18

テーマ:「南の島の星降りて」
豪徳寺のマンション

時計は12時半をまわっていた。
小さなマンションはさすがに静かで、麗華さんの声だけがやたら、響いていた。
「何階なの?」
先にエレベーターに乗りこんだ麗華さんが聞いてきた。
「5階ですよ」
「ここ、家賃高いんじゃない?」
なんか、さっきまでタクシーの中で寝ていたとは思えない麗華さんだった。
「話すると長いですけど、ここはおじさんのマンションで、めっちゃ安い値段で借りてるんですよ。兄貴の部屋もそのおじさんのマンションで・・」
話の途中でエレベーターは5階についていた。
先にでて部屋のある右側に折れた。
「こっちですから・・」
麗華さんは黙ってついてくるようだった。

マンションの外廊下を左に折れて部屋のほうを見た。
俺も麗華さんも、すごくびっくりした。
人影が見えた。
「あーよかった。劉ー帰って来ないのかと思った。あー麗華さんも・・・」
ほんとうにびっくりした、夏樹がひとりで立っていた。
「わーびっくりした、夏樹じゃないのよーなにやってるのよー劉ちゃん待ってたの・・ここで」
静かなマンションに大きな声が響いていた。
「麗華さんこそ、なんで劉なんかといるんですかー」
夏樹も大きな声だった。
「あのう、どうでもいいけど、ちょっと声がなんで・・部屋に入ってくれませんか・・」
言いながらあわてて、鍵をまわして二人を部屋に押し込んだ。
中に押し込んでも大きな声の二人だった。
とりあえず二人を座らせた。冷蔵庫から麦茶を出した。
「劉ちゃんさービールとかないのー?」
麗華さんだった。
「そうよーないのー」
夏樹だった。
夏樹もなんだか酔っているようだった。聞いたらさっきまで彼女も、下北沢にいたらしかった。
「あー、よく考えたら私、おじゃまなんだー 劉ちゃん帰って欲しいって思ってるでしょ?私?」
夏樹は相当ご機嫌らしかった。
「やだー私が邪魔なんじゃない?帰ろうかー劉ー」
麗華さんだった。
冷蔵庫からビールを出している俺に二人ともうれしそうに言っていた。
「あのうー俺が邪魔なんじゃない?どっちかというと・・」
言いながら俺はすごーくほっとしていた。
二人は大笑いしていた。
ちょっと二人から離れて座ってビールを飲むことにした。
「麗華さん、劉と付き合うんですかー知らなかったー」
マジで聞いている夏樹の横顔はおかしかった。
「劉ちゃんは好きよーでも、夏樹なら譲ってあげるわよ。好きなんでしょ?劉のこと・・あんた・・だから待ってたんでしょ?今夜も?」
ビールを飲みながら麗華さんもうれしそうだった。
「麗華さんだから言いますけど昨日一晩一緒にいたんですよ。劉と・・手ださないんですよーこいつ。ひどいでしょーなんか彼女が大好きみたいですよ。変ですよねー」
途中で俺のことを指差してまくし立てていた。
「あらー私だって、さっき、下北座の店で、ここに泊めてよって言ったら、送ってきますよ・・なんて言うのよ・・こいつ」
麗華さんには こいつ 呼ばわりだった。
「さっき、店でキスしたのに・・それはないわよねー」
「えー。キスしたんですか?劉と・・・キスもしなかったですよ・・昨日 こいつ・・・」
夏樹まで こいつ だった。
麗華さんはソファーの前ですごく笑いころげていた。
俺はずっと黙って聞いていた。
「あのーもう、ビールないんですけど、買ってきますか?ギリギリだけど酒屋あいてるはずなんで・・」
ビールもなかったけど、ちょっとだけでもここから逃げたかった。
「あ、いっぱい買ってきて。なんかお菓子もね」
麗華さんの声を聞きながら俺はもう、靴をはいていた。
「早くねー」
夏樹の大きな声だった。
角の酒屋ならギリギリで開いている時間だった。
夜中なのに蒸し暑かった。
店の閉まる時間にギリギリだったので、店までは走っていったけど、帰りはゆっくりゆっくり歩いた。
途中で、なんだか笑いながら、ゆっくり、ゆっくり手にいっぱいのビールとお菓子を抱えて歩いていた。
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2005-03-27 09:47:02

南の島の星降りて-17

テーマ:「南の島の星降りて」
終電車は

それから、麗華さんはずっと俺にもたれかかって話をしていた。
麗華さんは、もう大学病院に勤めている兄がいることや、それから、隼人さんと出会ったころのこととかを話していた。話のほとんどは隼人さんとのことだった。少しは俺のことも聞いてきたけど。
もう、これ以上、麗華さんに飲ませないほうがいいような気がしていた。
「もう、飲まないほうがいいんじゃないですか?大丈夫ですか?」
完全に麗華さんの背もたれになっていたので、後ろから話し掛けた。
「電車なくなったら、劉んとこ泊めてよ・・豪徳寺だっけ?」
小さな声だった。
「送っていきますよ・・成城でしょ、家?」
「劉って・・バカよね・・」
意味はわかったけど、黙っていた。
「今、でれば、成城まではまだ帰れますから。その後だと経堂止まりしか電車ないですから・・帰りましょう。麗華さん」
少し間があいて麗華さんは口を開いた
「はぃはぃ。帰りますよ」
ほっとしていた。
腕を持って立ち上がると、思ったよりはしっかりと麗華さんは立ち上がった。
会計を済ませるとマスターは
「大丈夫か?」
って聞いてきた。
「あ、近いうちにまた、来ます。今日はありがとうございました」
麗華さんの腕を取りながら頭をちょこんと下げた。
麗華さんは
「マスター。悪口いっぱい、劉に言ったでしょ。覚えておくわよー」
ってわざと怒った顔だった。

階段を降りて駅に向かう道はまだ、人ごみが切れなかった。
麗華さんは頭も俺の肩にもたれかけていた。

「あ、タクシーで帰ろう!」
言いながら、もう、黄色のタクシーに手を麗華さんは上げていた。
「え?」
いきなりだったのでビックリした。
「タクシーで帰りますか?」
「劉ちゃんも乗って!」
止まったタクシーに無理やり押し込められると、
「劉ちゃんも送ってあげるから・・途中じゃん」
奥に座らせられると
「豪徳寺にいってください。えーっと、どのへんなの劉ちゃんち?」
なんか元気な声だった。
「豪徳寺の本当のお寺の豪徳寺の近くに行ってください」
運転手は
「お寺のそばでいいんですね?」
って聞き返したので、そうです・・って答えた。
ここから、時間で15分ぐらいかかるかなって思っていた。
車の中で麗華さんはずっと黙って俺の手を握っていた。
酔っているせいか麗華さんの手はあたたかだった。
冷房の効いた車内だったからかもしれないけど、麗華さんの体も暖かだった。
麗華さんの頭は俺の胸の中にあった。

世田谷通りを右に曲がるとあと2分ぐらいで家の距離だった。
知らない間に寝息を麗華さんは立てていた。
「もう、着きますよ」
ちょっと体をゆすって麗華さんの耳元で話しかけた。
「うん。そう。」
「はぃ、もうそこですから・・」
返事はなかった。
車がマンションの前に来たので車を止めてもらった。
「あ、私降りないと出れないね・・」
言いながら麗華さんも車を降りた。
一緒に外に出ると
「へーここか?でも、寝てたからどのへんだかわかんないや・・」
麗華さんは笑っていた。
「やっぱり、泊まっちゃお・・と」
言うと同時に麗華さんはタクシーの料金を払いだしていた。
言い出しかねないなーって思ってたけど・・あたりだった。
タクシーはお金を受け取ると、あたふたしている俺なんか気にもせず静かに走りだしていた。
「あ、劉ちゃん、怒ってる?」
眠そうな顔だったけど、やんちゃな子供のような顔で麗華さんは聞いてきた。
「いや、麗華さんがいいなら・・いいですけど・・」
冷静さを装ったけど、いろんなことが、頭を回っていた。
「さ、部屋いこう!」
腕も組まれていた。
酔ってもいないのに俺の頭はグルグル音がしそうだった。
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2005-03-26 22:45:07

南の島の星降りて-16

テーマ:「南の島の星降りて」
下北沢の真夜中で

なかなか、手を離すきっかけがなくて困っていた。
マスターがソーセージと生ハムの盛り合わせみたいなのを持ってきて耳元でささやいた。
「麗華、いい子だけど甘えん坊だぞ。しらないぞー」
マジで付き合ってるのを信じているみたいだった。
「あー。変なことを劉ちゃんに言わないでねーなんか、今いったでしょ?マスター?」
「いや、いい女、手に入れたわ!って言っただけだってば・・」
言いながら、マスターは逃げていった。
「ねぇねぇ。なんて言ったのよ」
俺の手首に絡んでいた手に力を入れて麗華さんは聞いてきた。
困ったけど、そのまま言ってみた・
「麗華は甘えん坊だから・・うーんとなんだっけかな・・」
「わーあいつ」
マスターのほうを麗華さんは睨んでいた。
「俺の腕なんか掴んでグラス持ってるからですよ」
「え。あ。いいじゃん。彼女なんだから・・」
ご機嫌な麗華さんだった。ちょっと、酔っちゃたかなーって思っていた。

握られていた手をちょと話してトイレに立った。
テーブルに戻る時にカウンターの横にいたマスターに話しかけた。
「信じちゃだめですよ。麗華さんとは付き合ってないですからね・・冗談ですから。いつも一緒にくる子が彼女ですからね・・俺の。誤解されると後で困るから・・」
「麗華はそんな冗談言わないぞ・・好きなんだろう。お前のことたぶん・・お前に彼女がいるの知ってるんだろ。だから、遠慮してるんだわ。そんな子だぞ。彼女と別れて私と付き合ってとは言わないな・・麗華は」
なんか冷静なマスターで気持ち悪かった。
「いやー、それはないですよ。前の彼のことが今でも好きなような気がしますけど」
「隼人か?それ?」
タバコを吸いながら聞いてきた。
「ここにも良く来たんじゃないんですか・・・俺、海でよくしてもらってるから・・海でも知らない人が見たら隼人さんと麗華さんはどう見ても彼女と彼氏ですから・・」
薄暗い店の中の煙の中でマスターはちょっと遠くを見ながら答えた。
「ちょっと俺の口からはな・・いろいろあるんだろう。麗華も」
言いづらそうだった。
「ま、ゆっくりしていきな。彼女には黙っててやるから・・」
マスターはニヤって笑っていた。

席の麗華さんを見ると、こっちを見ていたらしく目があった。
あわてて席の前に立つと
「なにを話していたのよー」
「いや、田舎の話ですよ」
「ウソばっかり。どうせ私のことでしょう。悪口だわー」
ちょっとすねていた。初めてみるような麗華さんだった。イメージじゃなかった。
「ねー劉ちゃん、隣に座ってよ。こっちの奥ね」
指差した方は壁側の席だった。ちょっとそれは・・って思った。
「いいから、早く座りなさい」
座ると、麗華さんの体に触れる距離だった。
「さ、飲もう。まだ時間あるから・・」
グラスを持って麗華さんはご機嫌だった。
腕を握ることはなかったけれど、体はなんか俺に持たれかけてきた。
ウイスキーの匂いと麗華さんの甘い香りがただよっていた。
いい香りだった。

思い切って聞いてみた。
「隼人さんとはなんで別れたんですか・・」
麗華さんの顔がちょっと険しくなった。
「ごめんさい。いいです、すいません」
「いいわよ。聞きたいでしょ?」
ウイスキーのグラスを飲み干して話し出した。
「結婚しようか?なんて言うからよ・・隼人が・・それで、別れたのよ。ダメなのよ。それは・・隼人も私も・・」
「なんでですか?」
ちょっと、無神経かな・・って思ったけど聞いていた。
「私の家、医者だって知ってる?」
知っていた。大きな総合病院らしかった。
「隼人の家は建設会社なのも知ってる?それも長男なのよ。だから結婚なんて無理なのよ。それを、結婚しようなんて・・言うから・・もうダメなのよ。それだけよ」
返事に困った。
「そんなことがあったのよ・・・」
遠くを見ながらつぶやくような麗華さんだった。
「バカなのよ・・結婚なんて言わなきゃずーっと今でも付き合ってるのに・・」
言いながら麗華さんの顔が近づいていた。
目に涙が浮かんでいるような気がした。
「劉って、3年前の隼人に似てるわ。雰囲気がそっくり・・」
目の前に麗華さんの唇があった。
知らない間に麗華さんの柔らかな唇は俺の口をふさいでいた。
静かに長い時間だけが過ぎた。

麗華さんは 3年前の隼人さんにキスをしてるんだろうな・・って思っていた。それならいいと思っていた。
唇を離すと麗華さんはグラスに水割りを作っていた。片手は俺の腕を掴んでいた。
酔った麗華さんは、マスターの言うとおり甘えん坊のようだった。
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2005-03-25 22:18:39

南の島の星降りて-15

テーマ:「南の島の星降りて」
セイント・ホース

デザートは、まだこれから飲みに行くからって言って断って店をでた。
いくらぐらいだったんだろうかと思ったら、麗華さんはお金も払わずにサインで店をでた。
「払わないんですか?」
「いいの、ここはいつもお父様が払うから・・」
そんなもんかなーと思っていた。
「さ、歩くよ、ここから5分ぐらいだから。次の店」
後ろをついて行くと
「横を歩いてよ。デートなんだから」
麗華さんはほんんり赤い顔で笑っていた。
まだ、時間は10時前だったので、下北沢の狭い道は混んでいて横を歩くのはちょっと大変だった。
ぴったりくっついて歩いていると麗華さんの腕が自然と俺の腕に絡んでいた。
「俺はいいですけど、麗華さんが誰かに見られても知らないですよ」
「あらぁ。いいじゃない。新しい彼氏って紹介しようか?友達に会ったら。誰かに会うかもよ」
「だめっすよ。やばいっすよ」
もう、それを言うので精一杯だった。
「あそこだけど。知ってる?劉ちゃんも?家近くだから下北もよく来るんでしょ?」
指差した店は俺もよくいく見せだった。びっくりした。
「ほとんど、下北か、学校が江古田だから、池袋ですね。飲むのは・・」
「そっか。私はほとんど下北だよ」
麗華さんの家は成城で大学もずっとそこだって聞いていた。
「さ、階段あがるよ」
2階の店に上がっていった。
ドアを開けて麗華さんを店に入れると、マスターがちょうど入り口に立っていた。
「麗華。ひさびさだねー」
ヒゲのどう見ても体重が100kgあるマスターだった。
「こんばんわ。席空いてる?二人なんだけど・・」
「いつもの席あいてるよ」
マスターは指で席をさしていた。
「なーんだ。連れはお前かー」
マスターはびっくりしていた。
「え?知ってるの?劉ちゃんのこと?」
麗華さんもびっくりしていた。
「なーんだ言いなさいよ劉ちゃん。この店しってるなら・・よく来るの?ここ?」
「そんなに来ませんよ。でも、マスターの実家が田舎の家の近くなんですよ。それでなんかよくしてくれるんですよ」
実家も近くだったけど、卒業した高校が一緒だった。遠い後輩だった。
「そうかー1回も会ったことないね。ここで劉ちゃんと私」
席に座りながら、麗華さんが本当に不思議そうな顔で聞いてきた。
マスターはもうグラスとかをせっせと用意してるみたいだった。
「麗華のボトル?それとも劉のボトル?それとも新規?どっちにするー?」
麗華さんに聞いているみたいだった。
「新規でーいれてー」
「あ、いいっすよ。入れてあるので麗華さん」
言い終わらないうちにヒゲのマスターがボトルを持ってきた。
「麗華と劉が知りあいとは知らなかったなー」
「付き合ってるのよ。今日がはじめてのデートなのよ」
冷静に言ってる麗華さんが、おかしかった。
それを真顔で聞いてるマスターはもっとおかしくて笑いそうだった。
「ビックリだわ。こいついいかねー」
そこまで言うかよって思った。
「あら、そう、けっこうかっこいいじゃん。タイプなのよ」
そこまで落ち着いて言わなくても・・って思った
「へー。この手もタイプとは知らなかったなー。年下だぞ。こいつ・・」
「知ってるわよ。それぐらい・・」
俺はずっと、会話には参加しないで水割りを作っていた。
マスターは首をふりながら、仕事にもどっていった。
「あんまり、からかうと、信じますよ。あのマスター・・」
「いいのよ。この頃彼氏なかなか出来ないねーって私のことからかうんだもん。いつも・・」
笑いながら麗華さんはうれしそうだった。
「さ、乾杯しましょ」
テーブルの上の小さなろうそくを挟んで乾杯した。
麗華さんは綺麗だった。
飲んでる途中で麗華さんはマジックを持ってきてカティーサークのボトルに名前を書き出した。
「ryuu reika」って書いていた。
麗華さんはそのボトルを近くを通ったマスターに見せて笑っていた。

JAZZが静かに店内を流れていた。
酔った麗華さんはテーブルの上にあった俺の手を握っていた。
俺はそのままにしていた。
断り方がわからなかった。
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2005-03-24 20:46:07

南の島の星降りてー14

テーマ:「南の島の星降りて」
リストランテで手紙を読まれて

「私がよく行く店でいいかな・・」
そりゃ、どこでもよかった。下北ではよく飲んでたけど、絶対に知り合いの店なんかに行くかよ・・って思った。麗華さんを連れて行ったら誰に何を言われるかわかったもんじゃなかった。
「はぃ、どこへでも」
連れて行かれたのは、イタリアンの家庭料理の店だった。この店は知っていたけど・・俺的にはちょっと予算オーバーの店っぽくて1度も入ったことはなかった。
麗華さんの後からついていくと、店長らしき人が出てきた
「浅見様、お待ちしておりました。こちらでよろしいでしょうか」
通されたテーブルは1番奥の2人ではちょっと大きめのテーブルだった。
緊張しながら座ると
「ワイン飲める?劉ちゃん?」
嫌いだったけど、ビールってのはどうなんだろうか・・
「あのう、ビール頼むと恥ずかしいですか・・ワイン苦手で・・そんなに飲めなんですよ俺」
「あら、いいのよ、ここそんなに気取った店じゃないから」
横にずっと立っていた店長らしい人は笑っていた。
「ではワインとビールをお持ちいたします。料理はこちらでお任せでいいでしょうか」
「お願いしますね」
麗華さんは、どう見てもお嬢様だった。

ビールとワインで乾杯して前菜らしいものを食べた。
「なんか、隠してるみたいで嫌だから先に用件すませちゃうね」
ドキドキした。
「隼人が怒ってたわよ・・劉ちゃんのこと・・」
ちょっと黙った。
「そりゃ、怒りますよねー」
顔を麗華さんは近づけてきた。
「そりゃ、そうよー。だめよーあんなことしちゃ」
あんまり近いので関係ないほうでドキドキしてた。
「あんなに、怒ることあんまりないんだけどねー」
「そうですか・・」
ドキドキしてる場合じゃなかった。
「隼人、今夜ね、劉ちゃんに会いたかったらしいんだけどバイト休めないらしいのよ。で、私に言ってこい・・っていうからさ」
ヤベーよーって思った。
「夏樹ちゃんも怒られてたわよ。隼人に」
忘れていた。俺より夏樹の方が大変なんだった。
「連絡ないんですけど・・夏樹は大丈夫ですか・・」
「え、電話もないの?劉ちゃんに?あの子らしいわ、なんか、ほっとしちゃったのかしら・・」
よく意味がわからなかった。
「ま、食べなさいよ、冷めちゃうよ」
気がつかない間にテーブルにはいろんな料理が運ばれていた。
お腹はすいていたけど、それどころじゃなかった。
「で、伝えるね、隼人からの伝言」
「あ、はぃ」
麗華さんはちっちゃなバックから手紙らしいものを出した。
「読むよー。隼人から預かってきたから」
「は、はぃ」
緊張した。
「つまらん嘘はつくな。夏樹とはちゃんと話したから心配するな。迷惑かけたな。でも、こんな芝居は2度とするな。明日はちゃんと海にこい!・・だってさ。劉ちゃんにこんな嘘つかれるとは・・って怒ってた。ま、笑ってたけど」
背中に汗が流れていた。
「あのう。それって、ウソがバレちゃった・・ってことですか」
「劉ちゃん夏樹に、俺と付き合うって言えっていったんでしょ?それ私でもウソなの分かるから・・私、笑っちゃったもん・・その話聞いたとき」
なんか、すごく力が抜けていた。
「正直いえばいいものを・・って隼人怒ってたから、明日あやまりなさいよー。俺ってそんなちっちゃい男にみえるのか・・・って傷ついたみたいよ・・隼人」
「あ、すいません。そりゃ、そうですよねー」
なんか、ほんとに全身の力が抜けそうだった。
「ほっとした?」
「はー」
精一杯の返事だった。
「さ、もう、用件は終わったから、楽しいデートしよ」
「はぃ」
「さー。飲もう、食べよう。ここでたら、電話でいったパフに行くからね。劉ちゃん。ちゃんと付き合ってよー」
ほっとしたら、お腹が本当にすいてきた。モリモリ食べる俺だった。
「劉ちゃん。いきなり、そんなに食べなくても・・」
夏樹が俺に連絡しなかった理由がなんとなくわかった。

テーブルのキャンドルの明かりが麗華さんの瞳の中で揺れていた。
「あのね、劉ちゃんと1回デートしたかったのよ。だから、隼人に私が劉ちゃんい言ってくるね・・って言っちゃたのよ。本当は」
とてもとても、気の利いた返事なんかできるわけはなかった。
思いっきりお皿の肉に食いついてごまかしていた。
麗華さんは大人の笑みをキャンドルの明かりの中で浮かべていた。

「麗華さんて浅見さんなんですね」
「やだー」
恥ずかしそうだった。
「さ、食べたら、次いくからねー。今日は終電まで帰さないからねー劉ちゃん」
見かけはお嬢様だったけど、海でみる麗華さんに戻っていた。それも素敵だった。
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2005-03-23 10:55:36

南の島の星降りて-13

テーマ:「南の島の星降りて」
暑い夏の日

目を覚ますと、9時だった。
テーブルの上には短い夏樹からの走り書きが残っていた。
[ 隼人にあって来ます。いろいろありがとう ]
なんか、短かった。
今日は稲村ガ崎は諦めた。
兄貴の部屋を片付けて、家に帰って今日はのんびりすることにした。

お昼過ぎに豪徳寺の駅について、駅前の中華やで、やっと朝昼兼用食事にすることにした。もちろんしょうが焼き定食の大盛りにした。めっちゃこれだけはうまい中華やだった。

家に帰ると、部屋の中は蒸し風呂だった。バイトしてやっと買ったばかりのクーラーをつけると、暑そうに室外機がうなりだした。
涼しくなるとさすがに昨日の疲れと満腹で寝入っていた。

電話が鳴ったのはそれから数時間たった夕方だった。
「もしもし、劉ちゃんですかぁー」
なれなれしい声だった。寝ぼけていたので
「誰・・」
って聞くと
「わーこわー。麗華だけど・・寝てたの・・」
びっくりした、麗華さんに電話番号なんか教えたことはなかった。
「わーすいません。起きてます。起きてます」
「今日、これから暇?」
なにを言ってるんだろうと思った
「え、あ、何もないですけど・・」
「じゃあ、下北沢の南口に7時半ごろ来てくれない?デートしよう」
もっとわけわからなかった。
「デートですか・・俺とですか・・」
言いながら気がついた。夏樹のことに決まっていた。
「そうそう、いいでしょ・おいしいとこでご馳走してあげるから・・」
「は、はぃ。あのー、それって、Gパンとかでいいですよねー」
「あ、普通でいいわよ。なんでそんなこと聞くのよ」
「いやーなんか、お医者さんなんでしょ・・麗華さんち?すごいレストランとかだと困っちゃいますから・・」
聞いた話だったけど、麗華さんはどこかの大きな病院の娘で、成城に住んでいるらしかった。
「いつもの格好でいいのよ・・パブだから」
わ、パブだってって思った。
「じゃあ。劉ちゃん、南口降りたところのマックの前にいるからね」
「はぃ。いきます」
麗華さんはどこからかの公衆電話のようだった。
電話を切って時計を見るともう、6時に近かった。
ものすごく寝ていたらしかった。
ここから駅まで歩くのを入れても電車で30分もあれば下北まではつく距離だった。

夏樹は隼人さんに言ったんだろうなぁ・・って考えていた。
それで、麗華さんから電話だなぁ・・
夏樹からの電話ならわかったけど、麗華さんだもんなぁ・・
夏樹は今、どこでなにをしてるんだろうって考えた。
連絡がないのはどういうことなんだろか・・
冷蔵庫の中の冷えた麦茶を飲みながらしばらく、ぼーっといろんなことを考えていた。

待ち合わせの時間にはものすごく早かったけど、出かけることにした。遅れるのがイヤだった。高そうな店に連れて行かれては困るのでそこそこの格好に着替えて出かけることにした。
下北に着いたのは7時だった。
北口の洋服やで時間をつぶして7時20分に南口に回ってマックの前に行くと
「あら、早かったわね」
と後ろから声をかけられた。
振り返ると海で見るのとはまったく違った大人の女の人が立っていた。
麗華さんだった。

それはそれは、綺麗な、大人の女だった
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2005-03-21 20:48:29

南の島の星降りて-12

テーマ:「南の島の星降りて」
マンションは静かに見守る

時計を見ると2時半をまわっていた。
「俺のことを好きじゃないのに、好きか?なんてもう聞くなよな・・」
腕の中の夏樹にちょっと怒って言っていた。
「そんなことないよ。けっこう好きなんだけど・・」
「そうかねー そうは思わないけど・・・ま、いいや」
体を離してソファーに座り込んだ。缶ビールをそのまま取って一気に飲んだ。
コーヒーを飲んでる気分ではなくなっていた。
夏樹もグラスのビールを一気に飲んでいた。
そしてソファーに座り込んだ。

しばらくして、夏樹はシャワーを浴びたいというので、風呂場に案内した。
夏樹が出すシャワーの音は泣いているようでなんかイヤだった。
出てきた夏樹に兄貴のTシャツと短パンを探して貸してやると、着替えた夏樹は顔の黒い男の子みたいだった。それはそれで、とてもかわいかった。
「寝ちゃっていいよ。そこあけると奥にベッドあるから」
「うん。ありがとう。ちょっと、寝かせてね」
馬鹿でかいベッドに案内すると、驚いていた。
「なに、これ」
言いながら、喜んでベッドに夏樹はもぐりこんでいた。
俺はちょとだけ笑って風呂場に向かった。説明はメンドウだった。

風呂場で、いろんなことを考えていた。
「俺と付き合う」ってちゃんと夏樹は隼人さんに言えるだろうか・・
で、その後は俺はどうすりゃいいんだろう・・
なんか、考えたけど、もう、それだけで混乱していた。
隼人さんは俺になんか言うだろうなぁあ・・
酔いはさめてきていたけれどけど、頭はグルグルとめまいが起こりそうだった。

風呂場から上がっ電気を消しててソファーに横になった。
とりあえず、もう、なるようになるか・・って思っていた。
あまりよく知らない夏樹にどうして、俺はこんなことをするんだろうって思っていた。でも、それで済むなら仕方ないやと思っていた。
後で、付き合っている直美にはどう言えばいいのかなんて考えも浮かばなかった。

「ねー。劉ぅー」
隣の部屋からもう、寝いっていたのかと思ってた夏樹の声だった。
「なにー」
ソファーの上から答えた
「こっちで寝ないのー」
「うん。俺こっちでいいからー」
電気を消したマンションに二人の声だけが飛び交っていた。
「嫌いになっちゃうよーこっちにこないとー」
「いいよー。嫌いでー」
静かなマンションにおかしな会話が続いていた。
少し時間があいて、夏樹の声がした。
「劉ぅー、明日、隼人に会ってくるね。ちゃんとしてくるね」
しっかりした声だった。
「うん。しっかりね」
それからは一切話をしなかった。

兄貴のマンションは静かに夏樹を見守っていた。
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