前回は「オーガニック」「有機JAS」についてお話しでしたが、今回は「特別栽培農産物」についてのお話しです。


特別栽培農産物の生産の原則は農林水産省によって以下の様に定められています。


農業の自然循環機能の維持増進を図る為、化学合成された農薬及び肥料の使用を低減することを基本として、

①土壌の性質に由来する農地の生産力を発揮させる。

②農業生産に由来する環境への負荷を出来る限り低減した栽培方法で生産する事を原則とする。   


上記の生産の原則の基づくとともに、その農産物が生産された地域の慣行レベル(各地域で慣行的に行われている化学合成農薬及び化学肥料の使用状況のこと)に比べて、化学合成農薬の使用回数が50%以下、化学肥料の窒素成分量が50%以下で栽培された農産物であること。(性フェロモン誘引剤を除く)


また、農薬や化学肥料の使用に応じて区分毎に名称「無農薬栽培農産物」「無化学肥料栽培農産物」「減農薬栽培農産物」「減化学肥料栽培農産物」などと設定していたのを、一括りの名称「特別栽培農産物」へと変更しました。


解りやすく言うと、環境に優しく土壌の健康を取り戻し、それを保持する為に慣行栽培(スーパー等で普通に売られている野菜、農産物)と比べて、化学肥料の窒素成分量が50%以下、化学合成農薬の使用回数も50%以下で栽培された農産物が「特別栽培農産物」ということです。

そして以前の様に「無農薬野菜」「減農薬野菜」「無化学肥料野菜」などとごちゃごちゃした、手前味噌な名称は使用禁止になり、数字的に根拠を持ち、ガイドラインに則した栽培方法を実施した場合のみ「特別栽培農産物」の名称が使用出来る様になりました。ただしこちらはガイドラインなので、「有機JAS法」の様な違反に対する罰則は定められていません。


ここで皆さんに注目して頂きたいのは、慣行栽培の各都道府県ごとの慣行レベルについてですビックリマーク


例えば熊本県の「にんじん」の慣行レベルを調べてみると、化学合成農薬の使用回数はなんと15回ショック! これは15回までなら化学合成農薬を使ってもいいですよ、と熊本県が認可した回数ということです。


私は初めてこれを知った時、ものすごくびっくりしました。スーパーや流行りの直売所で普通に売られているにんじんに、こんなに農薬が繰り返し使われているなんて思ってなかったからです。そんな事表示もされていませんし・・・


はてなマーク待てよ・・・何かおかしなことに気付かれませんか!?


そうです、「15回まで」となっていますから、ばらつきはあるにせよ、かなりの回数の農薬を使用した「慣行栽培」の野菜(市場物)はその使用回数、内容を全く表示されずにお店に並ぶのに、やむを得ず最小限の使用をした「特別栽培」の野菜は[農薬使用回数○回]と表示されます。例えそれが1回の使用としても、です。


オーガニックママンのお客様からも「農薬を1回使用していると野菜の袋に書いてありますが、大丈夫ですか?」とご質問を頂くことがあります。


その際こういった説明をさせて頂くとやはり皆さんも大変驚かれた上に納得をされます。


私は食に対する恐怖を煽っているのではなく、私自身がこういった食の現状を知った時に大変ショックを受けたこと・・・一消費者として知っておくべきだと思う情報を、特に私と同じ立場の食卓を担っている女性達には知っておいて欲しい、と強く思ったことからオーガニックコンシェルジュとしての活動を始めました。


こういった現状をきちんと把握した上で食材を選ぶ基準を改めて持ってほしいのです。価格やメーカーなどそれぞれの方に選ぶ基準があると思いますが、もう一つ安全な品質という基準をカテゴリーに加えて頂けたら、と思います。


ちょっと堅いお話しが続きましたが、オーガニックコンシェルジュとして、また一人のハハとして松田はこの様なことを強く願っているのであります。


http://organicmaman.com/