三原朝彦 ~あさやんブログ~

衆議院議員
自由民主党福岡県第九選挙区支部長のブログです。



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 先日「日本の生きる道」(平川祐弘・飛鳥新社)を読んでいると著者がこの本を推賞していたので早速手にしました。「日本帝国と大韓民国に仕えた官僚の回想」(任文桓・筑摩書房)がそれで、日本に併合された旧朝鮮で生まれて教育を受け、それも苦学して旧東京帝国大学を卒業し、難関の高等文官試験に合格して国家公務員になり、署名通りの日本帝国の公僕として働き、日本敗戦後は今度は戦後独立した大韓民国の公務員も経験した著者の自伝です。


 著者はこの本を上梓するに当り、氏の人生を日本人と在日韓国人に特に読んでほしいと述べています。この本に一連して流れる著者の心情は民族間の恩讐を超えての日本人との交わりから得た前向きな姿勢であり、恨の文化と言われる韓民族とは思いを異にするものです。
 

 十代のなかばで旧朝鮮を離れ、立志の夢を抱いて日本の中学校に入り、次に当時の日本の若者が憧れたナンバー校である岡山の第六高等学校に行き、そして遂には東京帝国大学で当時最高の教育を受け(あの有名な民法学者の我妻栄や憲法学者の美濃部達吉が指導教官)、堂々と高等文官試験に合格します。
 

 しかし氏が新付日本人であったが為にエリート公務員とは言っても損なクジを引くような役目を与えられますが、彼自身も日本社会の不合理性は十分承知ですからそんな決定にも不満を感じてサボルような事はなく、職責の中で全身全霊を傾けて公僕たる使命を果たします。勿論理不尽な場面に出会えば彼なりに工夫してより公平な行政を行うべく彼の言によれば「曲芸師」を演ずるのです。つまり日本国の公務員の責務を全うしながらも大いに新付日本人として自らの同胞たる旧朝鮮人の気持ちを忖度する決定に腐心するのです。
 

 氏の精神構造は高等教育を日本で受けたにも拘らず100パーセント朝鮮人そのものです。しかし氏の明晰さが日本人と朝鮮人の精神構造を分析理解する能力を氏に与えています。この本は初めから終り迄氏のこの能力が遺憾なく発揮されていますから国籍を超えての考え方の理解を判り易くして呉れます。
 

 氏は併合された国の人間なら常識的には卑屈になっても当然であるにも係らず寸分だにその気配を見せず、常に前向きで自らの苦労の人生を語り、エリートであるにも拘らず全くこれを自慢するでもなく、俗な言葉で言えば誠に「出来た人間」を実践して日帝時代と大韓時代を生き抜いて来たのです。氏の豊かな人間性と才能をもしかしたら天が支持し、苦難の道を歩んで行く末に氏に光明を与えたのではと思わざるを得ないのです。氏の人生物語を読みながら日本の併合政策も学べるし、氏が出会ったエリートから市井の人々迄色んな人の考えを知る事が出来、1ページ1ページ貴重な学習をする気分でこの本を読了しました。
 

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