三原朝彦 ~あさやんブログ~

衆議院議員で自由民主党福岡県第九選挙区支部長のブログです。



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 先日、旧友の奥さんから手紙と共に出版物が送られて来ました。彼女はプロの翻訳家で、以前といっても十年は過ぎましたが「さむらいウィリアム」(ジャイルズ・ミルトン 原書房)を訳して世に出しました。その折、大層面白い本なので私のホームページの「読後感」に紹介したことがあります。 

 今回頂いた本「レーニン対イギリス秘密情報部」(ジャイルズ・ミルトン 原書房)も同じ作家の訳本で、前回の書同様、内容はノンフィクションで基本的には似た所があります。「さむらい――」の方も今度の本も冒険譚の様相でワクワクさせる筋立てです。特にこの本は近代情報合戦の初期の話であり、それもロシア帝国の崩壊と共産主義国家ソヴィエトの誕生、およびそのイデオロギーを世界に拡げようとするレーニン以下新生ソヴィエトの権力に対抗する七つの海を抑えて来た古豪大英帝国の情報機関との丁々発止の前線での闘争の物語ですから面白くないわけありません。

 歴史の流れの観点から見てもプロレタリアート独裁を掲げてロシア帝国を滅亡させ、それ迄の植民地を世界中に持つ英国を初めとする旧来の西欧勢力に対抗して共産主義社会で地球を支配しようと画するソヴィエトの誕生に対し、旧ロシアや周辺地域における新生ソヴィエト(訳者は敢えてヴォルシェビキと説明)と共産主義を否定し、旧ロシアに接する植民地インドに権益を保持しようとするイギリスがあり、この両国が政治外交の表舞台で火花を散らしたであろうことは想像に難くありませんが、その裏で国益の為に命を張って諜報活動をしたスパイの存在の重要性をこの本を通して著者は教えて呉れます。

 著者は基本となる資料は国立の公文書館に多くを頼ったと言います。となると公文書館は歴史の真実を知る上でまさに宝の山であり、歴史の大切さを認識すればこそイギリスはこの資料を重要視し、又公開することによって真実に向き合う事が出来るような制度を持っています。誠に羨ましい限りであり、我国も政府の公文書は時を経て公に全て開示する姿勢を持つ事が大切ですが、それが何時の事になるのでしょう。一応公文書公開の法律は不十分ではあるが存在しますが・・・。 

 蛇足ながらイギリスと言えば諜報機関を上手く使うことで知られています。下世話の話になりますが007シリーズの映画は原作はイギリスの作家です。その映画作品の中に対ソヴィエトを主題にした一巻があり、この作者はストーリーは架空のものであると言っています。しかし、今回の一冊を読むとどうもその作者も公文書館の資料にヒントを得て作品を書いたのではと、ついつい思いたくもなります。それ程この本に出て来てスパイ活動をする人物は波乱万丈の経験をしています。いやもしかしたら「事実は小説よりも奇なり」で映画以上の九死に一生の体験の連続だったのかもしません。 

 今回も面白いノンフィクションの翻訳を出版して呉れた旧友の夫人に心から謝意と素晴らしい訳に敬意を表します。

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